衛宮家の日常。   作:ますたー☆あじあ

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霊薬パニック事件

「シーロー…ウッ!!」

「おわっ…?!い、イリヤか…ビックリした…」

俺に抱きついてきた子は郊外のお城(イリヤ曰く別荘だそうだ)に住む()()()だ。いや、見た目で判断できるわけないよな…子供のように見えるが魔術師としては超一流なのだ。で、ちょくちょく俺の家に来るのだ。

「今日はねー、士郎にプレゼントがあるの。日頃の感謝を込めてねー」

ニコッと笑いながら、はいこれと渡して来る。早速中身を開けてみる。

「これは…お酒か?」

普通じゃ見られないような装飾が施されている容器にブランデーに近いような色の液体が入っている。…見た目は完全にお酒だ。

「お酒じゃなくて霊薬。別に何か悪い効果があるわけじゃないわ、そうね代表的な効果としては魔力の回復とかかしら」

そういえば、イリヤの家には蒸留所があるんだっけ。ん?霊薬って蒸留所でできるのか?するとそこにセイバーが現れた。

「魔力のようものを感じてきてみれば…イリヤスフィール、これは…霊薬ですか?」

「そーよ、日頃の感謝を込めて士郎へプレゼントしたの」

誇らしげなイリヤ。しかしセイバーは難しい顔をしている。

「士郎、あなたはもしかしたらこれは匂いでダメかもしれないです」

マジか…匂いで…そんなに強烈なのか。

「無理して飲め、とは言わないわ。セイバーや凛が飲んでも問題ないから」

「サーヴァントも問題ないのですか?」

「大丈夫だと思うわ」

セイバー飲む気だな…グラス持って来るか。

「へぇ…アインツベルン特製の霊薬かぁ…」

「…遠坂、お前いつのまに…」

気付かないうちに遠坂まで来ていた。うちは集会所か何かか?

「リンも飲む?霊薬」

「あら、いいの?じゃあお言葉に甘えて…士郎ぉ〜グラス2つ持ってきて〜」

「はいはい、持ってきますよっと…」

適当にグラスを用意する。封を切るとなんとも言えない感覚に襲われる。

「…確かにセイバーの言う通り、かなりきついな…」

正直、匂いだけでダウンしそうだ。遠坂はニヤニヤしながら俺をみる。

「衛宮君は匂いだけでダウンしそうねー」

「士郎、無理だけはしないように」

遠坂に煽られるがセイバーが釘をさす。大丈夫だセイバー、俺は多分飲むことはできない…まぁでもせっかく貰ったものだしな。

「飲むはできなさそうだが…せっかくの贈り物だし、舐めるくらいには…」

イリヤが霊薬の入っている容器を手に取る。

「2人ともどうする、水で薄めたりする?」

「私はそのままでいいわ」

「では、水で少し薄めていただけますかイリヤスフィール」

遠坂はそのままとは…変なことにならなきゃいいんだが。

「リンはそのままで、セイバーは水で薄めてねー、フンフフーン♪」

上機嫌で霊薬を注ぐ。この部屋に立ち込める匂いだけで酔ってしまいそうだった。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

遠坂とセイバーはグラス、俺は2〜3滴くらいの量だ。

「それじゃ、かんぱーい!」

遠坂との掛け声とともに霊薬を飲む。2〜3滴の量の霊薬を飲む…それと同時に視界が歪む。

「うっへぇ…こりゃきついぞイリヤ…」

瞬間的なものであったが、俺にはきついのは確かだ。一方で前の2人はというとーー

「うーん、なかなかイケるじゃないこれ!なんだか不思議な味ね」

「はい、これは美味しいです。何かに例えるのは難しいですが少なくとも美味しいです」

と、大絶賛である。俺からすると前の2人がグビグビ飲んでいるのは異様としか思えないのだが…。

「イリヤ、霊薬に相性とかあるのか?」

「相性はないけど弱い強いはあるわ。士郎はものすごく弱いんだと思う」

う…直球で言われると少し傷付くというか、その飲めなくて悔しいというか…。

「「…」」

ん…?なんか2人の様子がおかしいような…。顔が赤くないか…?

「しろお…」

セイバー?!なんだその声?!聞いたことない…って待て待て待て!!!

「セイバー服!!!服を脱がない!!!ここは風呂場じゃないぞ!!!遠坂も何か言って…」

遠坂に助けを求めるが…遠坂も…セイバーと同じ状態だ。2人が服をはだけさせながら徐々に距離を詰めてくる。う、嘘だろ…まさか…

「な、なぁイリヤ…さっきの霊薬って、まずいものなんじゃ…」

流石にこれはおかしい。霊薬を飲む前はこうではなかったのだからなおのことだ。

「お、おかしいわね…そんな害のあるようなものじゃ…あ」

イリヤが容器の入ってた箱の蓋を取り上げてある文字を見つけてフリーズする。…なんだか嫌な予感がするな…。その蓋をイリヤがそっと俺に手渡す。なになに…

()()()()…?」

…脳裏に様々なことが浮かぶ。これから起こること、そしてその霊薬の効果が切れた時のこと。

「ーーいかん」

このままでは命がない、と俺の脳が告げている。少なくとも遠坂からはガンド、セイバーからは竹刀での強力な一撃。目の前のセイバーが…服を…

「せ、せせセイバー?!待て待て待て待て!!!!」

見える!!!いや何とは言わないけどいろんなものが!!!!というか目が据わってるよね?!?!獲物を狙う目だよね?!?!

「イリヤたすっ…」

イリヤに助けを求めようとするが…イリヤがグビグビ霊薬を飲んでいる。ーーなおのことやばいなこの状況。

「しーろーおー…諦めてそこに座りなさいー」

あの遠坂が服をはだけさせて…っておぉい!!だからやめろって!!!!

「まずいぞ、これは過去最高にまずい」

まずは俺を狙う3人。次はこの如何わしい光景を桜か藤ねえに見られた時の対処。この二つが重なると俺は…命がない…。

「逃げないと…!」

まずは部屋の脱出だ…しかし、回り込まれた…あぁ終わった。逃げ場なし…。

「士郎…」

「しろお…」

「シーローウー…」

3人が俺を囲む…ここまでか…俺は諦めて目を瞑って流れに身をまかせることにした…。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

どれほど時間が経っただろうか…特に何も起こらないので目を開けてみる…。

「…んにゃっ?」

「…」

顔が赤くなっていない…効果が切れたのか?助かったーー

「ーーっ」

顔を背ける。正気に戻ったが服は元に戻っていない。

「士郎、なぜ顔を背けるので…?!」

「衛宮君、なんで目を…?!」

二人とも気付いたみたいだ、早くその服何とかしてくれ…。

「セイバー、遠坂…その霊薬の影響でその…」

いろいろなことが一度に起きて言葉がまとまらない。そ、そうだイリヤは…

「はぁ…霊薬への耐性が高いのもまた問題ね…」

どうやら効果がすぐ切れてようだ、よ、良かった…ん?殺気を感じ後ろを振り向く。

「2人とも…?ど、どうしたんだよ…?」

顔を少し赤らめながら怒りの眼差しを俺に向ける。

「えーみーやーくーん?」

「士郎…」

「ち、違う誤解だ!これは霊薬の効果でその…俺がやったわけじゃないんだ!」

遠坂はガンドの構えを、セイバーはすぐそこにあった布団叩きを持つ。あぁもうなんでさ?!と、とにかく誤解を解かないと俺の命はない。

「セイバー、どうしましょうか?」

「そうですね、凛…まずは士郎も同じ目にあってもらうべきではないかと」

「なんでさ?!」

どうしてそうなる?!それじゃ根本的な解決にはならないだろ!

「い、イリヤ俺はどうしたら…」

イリヤは首を振って諦めなさいとアピール。イリヤのせいだと言っても聞いてくれないだろうしそんなことはそもそもできない…。あぁ…くそ!こうなったら…!

「あ、士郎!待ちなさい!!!」

「待ちなさい士郎!!!」

全力で部屋から出て走る。逃げるが勝ちだ!…逃げきれるとは思えないけど…。この後どうなったかはーー察してほしい。

あとイリヤ、次からはちゃんと確認して持ってきてくれ…。

今日のわが家は騒がしい1日だった…いてて…ったく容赦ないんだから…。

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