「おや…これは…」
私、セイバーは夕方に言われた食材を買いに街に出たついでに何気なくあるパンフレットわもらった。
「わくわくざぶーんに新施設、新スポーツ…ですか」
そのスポーツの内容はアーチェリーハント、というものらしい。初めて聞くスポーツです。
「アーチェリーハントの施設がわくわくざぶーんに?おれは全然いいぞ」
士郎に相談してみたところ、なかなか良い反応がもらえました。しかし、大きな問題が。…それは人数の問題である。これはチーム分けして行う競技なので少なくとも4人はほしいのです。
「私とはしてはまず少人数で行って楽しそうであれば大人数で行きたいところなのですが…」
「確かに、楽しかったら大人数で行きたいよな。下見で俺とセイバー以外にあと二人か…」
うーんと士郎が悩む…不本意ではありますが…背に腹は変えられません。
「士郎、ライダーはどうでしょう?おそらくですが快諾してくれるかと」
「ライダーか、いいな!早速誘ってみよう」
あと一人…桜はどうなのでしょうか、予定が合えば一緒に…。桜とライダーのいる部屋をノックする。
「俺とセイバーだけど、二人ともいるか?」
「先輩にセイバーさん?はい、どうぞ」
「なぁ二人とも、突然だけど明日は…暇か?」
桜とライダー目を合わせて何かあるのだろうか?と考えている。
「私は特にないけど…ライダーは?」
「私もありません。士郎、何かあるのですか?」
「新都のわくわくざぶーんに新しい施設を置くみたいでな、それを下見がてらやりに行こうと思うんだが…あと2人足りなくてさ。よかったら行かないかなーと」
わぁ、と目を輝かせる桜。ライダーも少し笑顔に見える。
「競技はアーチェリーハント、というものです。当たっても痛くない矢を使ってドッチボールをするような感じです」
大雑把な説明をする。もっと細かいルールはあるが少人数なので状況次第で制限を設けるつもりだ。
「弓道部の腕の見せ所ですね!」
桜は嬉しそうだ。たしかに私とライダーは桜と士郎から弓の扱い方を教わらないといけないくらいの初心者だ。
「ただ動きながらだから難しいと思うぞ。まぁそういう訳だからよろしくな」
「はい、楽しみにしてますね」
そっと部屋を桜たちの部屋を後にした後は明日のことでドキドキワクワクしていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
4人で新都へ…前を歩く女の子3人の後ろをついていくように歩いていくのは俺だ。よく考えてみれば初めて4人で出かけるし珍しい組み合わせだ。奮発してお弁当も作ったし、今日は中々楽しめそうだな。
「これはこれは、皆さんお揃いでどうしたんですか?」
わくわくざぶーんのオーナーである、金ピカの王様…の子供の頃の姿だ。これがどうしたらあんな王様になるのか未だによく分からない。あいつにはあいつなりの考えがあってあぁなったんだろうけど…まぁ今はその話は置いておいて。
「わくわくざぶーんに新施設ができたって聞いてさ。お試しに4人でプレイしに来たんだ」
「ありがとうございます!楽しんでいってください」
それと、と金ピカの王様が付け加える。
「
…嘘だろ…。脳裏に浮かぶはボコボコに打ちのめされる俺の姿…。あとライダーとセイバーの熾烈な争い、か。
「あ、ありがとう…楽しんでくるよ…」
お金を先に払い、指定のフロアまで移動する。…行きて帰れますように…。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おぉ〜…!」
4人揃って驚きの声を上げる。人工芝に適度に置かれたバリケード、そして弓と矢、顔に直撃しても怪我しないようにフルフェイスマスクまで用意してある。
「こりゃすごいな…」
思わず本音が漏れる。と、そこにセイバーが来る。
「士郎、あそこの的を撃ち抜くことは可能ですか?」
指を指す方向にはそれなりの大きさの窓がある。距離は大体20mくらいか、これなら多分いける…。
「当たるかどうかは別として、近いとこまではいけると思う」
セイバーから弓と矢を受け取ると静かに弓を引く。弓道部の時に使っていた弓とは違う感触だが、弓がしなるのを感じられた。集中してーー放つ。矢は少し放物線を描き、的に命中した。
「ふう…久々だったけど意外となんとかなるもんだ」
そっと弓をセイバーに返す。セイバーは目を輝かせながら俺に問う。
「私も士郎のようにできるでしょうか?」
「セイバーは飲み込みが早いからな、今日だけで俺を超えていけるんじゃないか?」
正直、セイバーはスポンジが水を吸うかの如くルールやコツを吸収する。俺くらいの実力ならばセイバーは今日だけで超えれると思う。
軽く練習をして二人ともある程度扱えるようになってチームを分ける。で、俺とライダーチームと桜とセイバーチームになった。
「よし、じゃあ始めようか」
フェイスマスクをつけて矢を散らばらせる。矢は拾って使えるので移動しながら入手して撃つ、という感じになる。復活ルールもあるが人数は少ないので今回は無し。
「士郎、私たちは
「いいけど…俺たちが死なない程度ってか怪我しない程度で頼む…」
サーヴァントの本気なんて受け止めるわけがない。まぁ多少力を加減してくれればなんとかなるはずだ。
「士郎、私も頑張りますので」
ライダーは表情にこそ出さないがやる気のようだ。無事に帰れるかなこれ…
「いいかー、当たったら即フィールドから退場で安全なところで観戦だからなー」
熱くなりすぎて、当たっても退場しないで居続けないようにと念押ししてスタート地点へ向かう。
「さて…」
気合いを入れる。遊びとはいえ全力でやらないとセイバーに怒られそうだからな…。
「士郎…投影魔術はこの矢には使えないのですか?」
とライダーが言う。武器ではないが…イメージするーーうん、問題なさそうだ。
「うーん、できないことはないと思うけど。なんでだ?」
「何も対策無しではセイバーを驚かすことはできないでしょう?だから複製された矢で一芝居できるのではないでしょうか?」
…なるほど、俺の投影魔術は材質も変化できる。ライダーの伝えたいことが分かった。
「了解、だけど桜がいるからな。今は投影魔術なしでやらせてもらう」
ライダーは微笑み返すとすぐに真剣な顔になる。ーー完全に戦闘態勢だ。頼むから全員怪我なく終わりますように…。試合開始合図のブザーは自動でお互いのチームが準備が整ったら自動でカウントダウンをする。
「両チーム準備完了を確認、カウントダウン開始します」
始まる…気合いを入れる。これはあの時のように殺し合いではない、だけど負けたくない…本気でやってやる。やれるとこまでとことん…!
「ーー3・2・1…」
息を飲む。そして合図と同時に
「ーースタート」
「セイバー相手にどこまでいけるかな…!」
全速力で前線へ出る。こうして試合の火蓋が切って落とされたのである
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「っはぁ~~…ちょいと休憩…」
何試合かやった後の俺はたまらず人工芝に倒れる。多少の加減をしているとはいえセイバーは…
「
風を撃ち出す。俺の放った矢はたまらず風に耐えきれず地面に落ちる。これを解消するには近づいて矢を放つしかないがーー
「そこです!」
桜の矢が襲来する。桜の矢を対処しているとライダーと撃ち合っているセイバーもタイミングをずらして矢を放つ。俺も手加減しているわけではないが対処が間に合わない。あと、いまも弓道をやっているという意味で全体的に桜が勝る。制度は俺の方が若干上のようだが、速度と人数差で負ける。ライダーも応戦するがセイバーの風に苦戦する。
「セイバーの風はとんでもない脅威だな…」
何か対策を考えねば、と休憩しているとサーヴァント同士で一騎打ちしていた2人が帰ってくる。
「なかなか良い試合でした、セイバー」
「貴方もなかなかの強敵でした…」
お互いに称え合う。こういう時は仲がいいよな、あの2人は。
「士郎、お腹が空きました」
っと、もうそんな時間か。許可は取っているからここで飯にするか。
「了解、じゃあ飯にするか」
持ってきた弁当でちょっと早いお昼休憩にする。
「全力に近い力でプレイするのはスッキリしていいですね」
弁当に舌鼓しながらセイバーは笑顔で話す。まぁ確かにサーヴァントである以上、常にそういうのに気を使わねばならないから尚のことだろう。
「私もセイバーと同意見です、たまにはこういうのも良いですね」
お茶を飲みながらリラックスした表情のライダー。しかしあんなアクロバットな動きは聖杯戦争以来に見たな。…よし。
「セイバー、この後一騎打ちしたいんだが」
このまま負けてばかりいられない。セイバーに一騎打ちを申し込む。
「ほう…いいでしょう、ご飯を食べて少ししたら一騎打ちです、士郎」
セイバーは嬉しそうに答える。とそこに桜が堪らず注意する。
「せ、セイバーさん、さっきのライダーとの一騎打ちのような力ではしないでくださいね?その…先輩は生身の人間なので…」
「分かっています、士郎には手を抜くつもりはありませんが威力は落としましょう」
昼食後少しゆっくりしてからセイバーと俺はそれぞれのフィールドのスタート地点に立つ。さっきまでの試合では桜もいたから投影魔術は使わなかったがセイバー相手なら存分に使える。
「あとはセイバーに通用するかどうか、か」
サーヴァントに人間が通用するわけがないのは百も承知だ。でもセイバーにあっと言わせたい一心でこの一騎打ちを申し込んだのだ。さっきは桜もいたから投影魔術は使わなかったが…セイバー相手なら問題ないだろう。
「カウントを開始します」
桜とライダーが見守る仲、カウントダウンが始まる。
「3・2・1…」
スタートも同時に投影を開始する
「スタート!」
「
投影をしながら一気に距離を詰める。距離はおよそ15m、近いようで遠い距離だが――三本の矢を同時に撃つ。精度は落ちるが進行方向に放つだけでこいつは役に立つ。セイバーはそれを確認し剣を握り、風で矢を迎撃する。
「
迎撃され落ちる矢が地面に落ちたと同時に閃光のようにまぶしく光る。
「ちぃっ…」
セイバーの視界が眩むうちにさらに距離を詰め、滑り込む。
「もらった…!」
先ほど撃たなかった本物の矢を超至近距離で放つ、がセイバーは跳躍し放った矢を回避する。1m未満で放った矢でも回避されるのか…。となると…隙を突くしかないか。
「見事な作戦です、士郎」
フッと一瞬笑うとすぐに真剣な表情に戻る。
「申し訳ありません、士郎。少しあなたを見縊っていたようだ。あなたが本気で来るのであれば私も本気で行きましょう」
「あぁそうしてくれ。じゃないとセイバーに勝ったとは言えないからな。ただ、死ぬような威力でやるのは無しだからな」
「えぇ、もちろん。さぁ――始めましょう」
お互いに少しずつ距離をとる。先に仕掛けたのは…
「フッ…!」
セイバーだ。バリケードに隠れ、回避する。お互いに位置が把握されないように移動する。
「
投影した矢を放ちながらたまに本物の矢を放つ。セイバーの矢も少しずつ精度が上がっているのがわかる。早めの決着をつけなければ俺に勝機はない。
「…ッ」
まずいな、押されている…。こうなったら最後の手段だ…!
「はぁっ!」
矢を3本同時、1本と変則的に連射する。これで風を起こすのを阻止する。
「いまだ…っ」
セイバーの真横へ行く。お互いに無防備で狙うは敵のみ。
「ここだ…っ!」
「決める…っ!」
同タイミングで矢を放つ。一瞬時間が止まっているように感じた。お互いに放った矢がお互いの体にあたる。
「…引き分けか」
「…そのようですね」
お互い息を切らしながら寝転ぶ。久々に全力で動いた気がする。
「引き分けだけど…なんだかスッキリしたな」
「サーヴァント相手にここまでやれるとは大したものです、士郎」
修行の成果でしょうか、と嬉しそうに話す。セイバーとの修行のおかげで間合いや立ち回りの戦術が多く立てることができるようになった。もう必要になることはないと思っていたが、まさかここで役立つとは。
「いい勝負でした、士郎。最後にみんなでやって帰りましょう」
「あぁ、そうだな」
桜とライダーがやってくる。
「士郎、見事でした。引き分けとはいえ、士郎の戦術的勝利ではないでしょうか」
「先輩すごいです、セイバーさんを相手にあそこまでやるなんて!」
はは、そんなことはないさと呟きながら
「最後にみんなでやろうか!」
セイバーとの1戦の後で体力は限界に近いが、もう1戦ならギリギリいけるはずだ。さぁ…ラストゲームと行こうか!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
帰りのバスの中で静かに寝息を立てるのは私のマスターである衛宮士郎。いえ、マスターだったというべきでしょうか。桜もライダーに寄りかかって寝ている。
「全く、2人もはしゃぎすぎです」
ライダーはやれやれと二人の寝顔を見ながら話す。
「しかし、今日は楽しかったです。同行ありがとうございます、ライダー」
ライダーは驚いた表情で私を見る。
「まさか、あなたからそのような言葉を聞けるとは思いませんでしたよ、セイバー。でもそうですね、私も感謝しなければいけませんね。私も楽しかったですし、桜も楽しそうだったので」
「また、こういうのにはいきたいですね」
「ふふ、そうですね」
二人して微笑みながらマスターを見る。相変わらず幸せそうな寝顔である。と次が降りるバス停のようだ。
「ライダー、どうしますか?」
「私は背負って帰りますが…士郎は恥ずかしがるかもしれませんね」
「むぅ…しかし起こすのはかわいそうなので私も背負って帰ります」
あとで士郎から恥ずかしいとか言いそうですが仕方ありませんね。背負って家に帰る。
「今日は楽しかったですよ、士郎。今度は凛やイリヤスフィールもつれていきましょう」
寝ている士郎に話す。もちろん反応はないが、独り言のようにつぶやく。イリヤスフィールを連れていくならアーチェリーハントではないところになるでしょう。でもそれはそれでいいのです、みんなが楽しければそれでよいのです。ライダーとともにゆっくりと士郎の家へ帰る、今日も我が家は平和です。
タイトルと内容説明の文を変更しました。
いつのまにかUA5000を超えてました、お読みいただきありがとうございます!これからも作品を投稿していきますので読んでいただけると幸いです!(ストーリ―物も投稿しようかなと計画中です)