今回はプロローグでありながら少し長く、かなり暗い話となっています。
原作キャラも登場しません。
そんなの嫌だ!という方は悲しいですがブラウザバックを。
それでも構わないという方はお付き合い下さい。
では、物語の始まりです。
「お前目が見えないのかよ!障害者め!」
「なんでこんなやつが同じクラスにいるんだよ!」
「障害者なら障害者が集まる学校に行けばいいのに。」
ある事件を境に目が見えなくなった俺はそんな言葉ばかり浴びせられていた。
別に目が見えないこと以外皆と違うところがあったわけではない。
普通に喋れるし、耳も聴こえる。
両足は動くし、両手は傷が目立つがそれを抜きにしたら普通に動く。
『目が見えなかったらだめなの?』
「当たり前だろ!その腕の傷も気持ち悪い!!」
『目が見えなかったら君たちと遊ぶことも許されないの?』
「ふん!逆に目が見えないお前と何して遊ぶんだよ!お前と遊ぶためにこっちが遊びたくない遊びをしなくちゃいけないのか!もう俺たちに話しかけんな!」
『目が見えなかったら君たちと話すことすら許されないの?』
「う~ん話すことというより~もう私らと関わることすらやめてくれる?その腕の傷も気持ち悪いんだよね。」
『そっか...』
ケガする前までは普通に接していた皆もある事件を境に僕を同じ人として見なくなった。
対等な人間と見なくなった。
人として認識しているかもわからなかった。
別にその事で暴力を加えられたりはしていない。
でも...言葉の刃が俺の心をズタズタにした。
唯一の救い...それは喉が無事だったこと。
それ以外は何も残されていない。
厳しく叱りながらも時には愛情を示してくれた父も。
辛い事があっても優しく包み込んでくれた母も。
僕にいつも笑顔で抱きついてきてその日にあったことを楽しそうに話してくれた妹も...
全員いなくなってしまった。
あの夏の夜に...
俺の目の前で真っ赤に染まって父と母は倒れていた。
妹は大人の男2人に囲まれ泣いて何度もお兄ちゃんと叫んでいた。
そんな中俺は1人の男に殴られ、蹴られ、倒れこんだ俺に腕を中心に所々ナイフで傷つけられる。
その男は僕が叫び声をあげたり、泣いたりする反応を見て嗤っていた。
そして浅く傷つけるだけじゃ物足りなかったのか俺の目にナイフを突き立てた。
僕が絶叫をあげると嗤い声はさらに大きくなる。
そして髪を強く捕まれ固定され、もう片方の目に鋭い痛みが走る。
理由は言うまでもない。
僕は痛みに反射し痛みの走った目を押さえようと手を伸ばし、何かを掴む感触がした。
それは恐らく男が使っていたナイフ。
そのときの僕はそれを理解すると自分の目からそれを引き抜き馬乗りになっているだろう男に力の限り振り回す。
なにか野太い叫び声が聞こえた気がする。
何カなまアタタかい液体がカオニついたキガスル。
ボクにノッテイたオモイもノが軽クなッタキガする。
なニモカンガえラレナクなッテイクきガスル。
ナンデモイイヤ。
ナイフを振り回す。
何かが当たった気がする。
不快な感触がナイフを握る手に何度も走る。
「おい!あのガキ!!」
「まじかよ!長門が殺られた!」
そんな声が聴こえた瞬間僕の体が吹き飛ぶ。
恐らく殴られたのだろう。
「長門!長門!!駄目だ。死んでやがる!!」
「くそ!せっかくあの女で楽しんでたってーのに!!おい!あの女殺せ!俺はこのガキ殺す。そして逃げんぞ!」
「わかった!」
そんな会話が聴こえる。
俺は吹き飛ばされてもなおナイフを振り回していた。
すると少し離れたところで妹の叫び声が聞こえた。俺はそれに気づいて妹の声がしたところへ走ろうとする。
「オラァ!!」
しかし走り出した背中に鋭い痛みと熱が広がり、堪らず前に倒れ混んでしまう。
「こいつ!よくも!!」
すると、
外からパトカーのサイレンが聞こえ始める。
「やばい!警察か!!」
「おい!逃げるぞ!!」
「ああ!!」
「そのガキ早く殺せよ!」
「どうせほっといても助からねーよ!!俺たちが逃げるのが先だ!!」
そうして廊下を走っていく音が聞こえ、玄関の扉を勢いよく開けて出ていく音が聞こえた。
俺は必死に妹の声が聞こえた場所へと向かう。
起き上がって進もうとするも何かに足をとられ床に倒れ、床に叩き付けられた痛み、背中を斬りつけられた傷や腕の傷、両目の激痛に悶える。
それでも立ち上がるために何かに捕まろうとして両手を這わせる。
何かを捕まえ手の感触に伝わるのは冷たくなった人肌。
恐らく両親の物だろう。
しかし今は悲しんでいられなかった。
慧を呼ぶ結希の声がどんどん弱くなっていく。
怒りも悲しみも痛みも全てを心の奥に押し込んで床を這いながら進む。
時間感覚が無くなっていた。
永遠の時をこの地獄でのたうちまわっているような。
しかし明確に目指す場所へ。
ただ手探りで結希の下へ。
それはまるで地獄の底に垂らされた糸にすがり付くように。
そして遂にたどり着く。
全てが真っ暗な世界で聞こえた声の下へ。
『結希(ゆき)!!』
「お...にぃ...ちゃん」
声に力がなく、慧が結希の手に触れたときにはもう温もりは感じる事が出来なくなっていた。
手遅れだということが嫌でもわかってしまう。
『結希!結希!!ごめん!守れなかった!!みんな!みんな!!』
「おにぃ...ちゃん...ユキ..も、ごめんね...おに..ちゃ...んのおよ..めさんに.....なるっ..て」
『結希!』
失った目では結希の顔すら見えない。
最後の姿すら見えなかったら。
だが見えない方が良かったのかもしれない。
結希も今の姿を見てほしくなかっただろう。
「お...にぃ...ちゃ.......生き...て」
結希の声が消えかける。
それはもう力尽きる前の言葉は最後の息吹きだった。
『結希!!一人にしないでくれ!!僕を...俺を一人にしないでくれ!!』
「お..ちゃ.だ.すき」
その言葉を最後に結希は何も言わなくなる。
『結希...?...結希!!』
見えないながらも結希へと手を伸ばす。
しかし触れた結希の頬は冷たくなっていた。
いつもの抱きついてきた時の温もりは無くなっていて、もう結希は2度とあの愛らしい声で言葉を紡がないことを理解してしまう。
『結希!結希!!なんで!なんでだ!!なんで俺たちがこんな目に!!!赦さない!!ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!!』
少し前までこの部屋にいた大人たちの顔を頭のなかで思い浮かべ怨嗟の言葉を叫び続ける。
心の奥底に押し込んでいた感情が爆発する。
最後に残るのは純粋な怨み…
しかし不意に体に力が入らなくなり、意思とは裏腹に倒れ混む。
本来であればこうして叫んでいられることすら不思議だったのだろう。
力が抜けてからは壮絶な痛みが襲ってきた。
それと同時に体がどんどん冷たくなっていくのがわかる。
(俺も死ぬのか...これで、皆のところへ...)
家族のもとへ行けるのだと思えるとどこか安心してしまった。
全身に広がる冷たさ、痛みも後少しだろう。
そのまま押し寄せてきた睡魔に身を任せようとする。
しかし頭にあの忌々しい男の顔がよぎる。
『しね...ない...』
あいつらが生きているのに!
全てを奪っていったあいつらが生きているのに!!
爆発して燃え尽きたはずの想いは荒れ狂う。
怨みが全てを先導して。
しかし体は限界だった。
体は動かない。
だが意識は迫り来る死に抗う。
「君!!大丈夫か!!」
誰かが部屋の中へと入ってきて僕を抱き上げる感触がある。
体は動かないが重い口で言葉を紡ぐ。
『しに..たく.....ない..あい..つ.らを....こ..までは』
そう口にする。
「!!ああ!!死なせない...絶対に!!」
その言葉が聞こえるとそのまま意識が途切れた。
はい、ということで、かなり暗い始まりとなってしまいました。
次の話も多少暗い話となりそうです。
ですが、どうにか原作キャラを出そうと思っているので、そこのところは楽しみにしていただけるとうれしいです。
では。