前回の投稿からかなり時間が空いてしまった…
言い訳するつもりではないのですが、この時期はやはり仕事しながらだとキツいですね…
しかも少し短めです。
もっとペースを上げなければ…
では!9話 忍び寄る悪意と歪んでいく心
慧が浴室へ入る。
脱衣所にはバスタオル等を入れる場所とは別に慧の私服等を入れている棚もある。
慧の部屋へ着替えなどを取りに行かなくても済むよう、少しでも楽に過ごせるようにと千秋が考えた方法であった。
慧は皆の好意を当たり前と思ってしまわないかと自分を恐れていた。
目の包帯を外し、転ばぬように慎重に歩いてシャワーを浴びる。
千秋さんと共同生活をはじめた頃は千秋さんにお風呂を入れてもらっていた。
その時のことを思い出すと恥ずかしさで頭が一杯になってしまう。
『だめだ、変なことを思い出すのは止めよう。』
いくら小学生から中学生の初めの頃の事といえど流石に精神的に来るものがあった。
思考を停止し頭を洗い、体を洗い終えると着替えて新しい包帯を巻き風呂場を出る。
「おや?もう出たんだね。」
『はい。』
「じゃあ私も入ろう。」
そう言って千秋は出ていく。
そうして一人になった慧はゴロリと広くなったソファーに寝転ぶ。
『俺は…なにしてるんだろうな…』
ただなにをするでもなく皆の手を借りながら何を産み出すでもなく、ただ生きている。
誰かの役に立つでもなく、むしろ足枷としかなっていない。
『俺に…なにが出来るんだろう…』
「ふぁ~、いい湯だった。ん?慧~…寝ちゃったのか~」
そうして千秋は慧の頭の直ぐ横にこしかける。
そうして慈しむように頭を撫でていると、
「!?」
バイブにしていた携帯が着信を受け震える。
「もしもし、葛城だ」
千秋は先程までとは違い、鋭い雰囲気を纏う。
相手は同僚の後輩警官からだった。
「あっ!先輩!
「なっ…嘘だろ!長門が!!」
千秋は大声で叫んでしまい、すぐ我に帰って隣で寝ている慧を見る。
『スー…スー…』
慧は起きることなく寝息をたてていた。
慧が起きていないことに安堵し、千秋はそのまま後輩に話を促す。
「どうやら一昨日の事のようです。目撃されたのは夜の8時頃。ずっと慧君が通う学校を見上げて不気味な微笑みを浮かべていたみたいです。たまたま通った通行人が気味が悪いと思ったことでよく覚えていたようです。」
「一昨日の話が何でこんな遅くに!!」
千秋は慧を起こさないように、しかし憤りを隠しきれずに後輩へ怒鳴る。
長門 美希…彼女はあの過去の事件…水瀬家で起きた悲劇で慧が手にかけた
歳は慧と同じ今年17歳。
「…先輩だって気付いているでしょう、先輩より上の人間はあの事件に関しては先輩に話が行かないようにしている。先輩は慧君の事になると歯止めが効かないんですから。本当は自分がこうやって話を流していることがバレても結構ヤバイんですよ。」
「………そうだな…すまない。」
千秋は落ち着いて返した。
「…先輩の気持ちは分かります。僕だってあの事件は話でしか聞いてませんが許せるものではありません。ですが、彼女が慧君に対して恨みを抱いてるとは限りません。もしかしたら謝りたいだけで、それが許されないと知っているからかもしれません。」
「そう…だな」
千秋は後輩の言葉に肯定を示す。しかし、そう答える反面、
「(それはあり得ない)」
そう思っていた。
最後に見た彼女を思い出す…被害者である慧を恨みと殺意で歪んだ顔で人殺しと叫んで狂ったように喚き散らす彼女の姿を…
「連絡ありがとう…危険な橋を渡らせてすまない。」
「構いませんよ、慧君に何かあったら僕も嫌ですから。」
後輩も慧と面識がある。
何度か千秋の仕事中の送り迎えの席に彼が乗っていることがあり、直ぐに打ち解けていた。
「それじゃ、お休み山田」
「はい、おやすみなさい。葛城先輩」
そうして千秋は後輩である
そして慧の顔を見る。
さっきと変わらず安らかに寝息をたてている慧の髪を撫でながら呟く。
「大丈夫だ慧、例え長門がお前になにかしようとしても絶対に守るから。」
そうして千秋は立ち上がり、慧の為に毛布を取りに行った。
しかし、千秋はが出ていったあと…
『…』
慧の口許には歪んだ笑みが張り付いていた…
はいっ!てことで、9話でした。
少し短いですがご容赦を…
そして!次回やっとメインヒロインと主人公が絡みます。
長かった…
なんだか感慨深いな…
では!次回会いましょう!!