盲目で灰色な日々~暗闇に響く歌声は~   作:清夜

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どうも!清夜です!!

今回はもうちょっと早く投稿したかったな。

ポピパのCD今週発売ですね!!

めっちゃ買いたい!けど金がない…

なんて私情は置いといて…

23話 陽だまりでも照らせない闇

どうぞ!!


23話 陽だまりでも照らせない闇

「慧の家族が…殺人事件の被害者…」

 

リサは顔を真っ青にしながら呟く。

 

そんなリサの様子を見た千秋は顔をしかめる。

 

「…どうやら君は聞かない方が良いかもしれないな。」

 

「そうですね。」

 

「えっ…?」

 

紗夜が同意し、言われたことが咄嗟に理解できなかったリサは千秋と紗夜を見る。

 

「君の今の状況を見るとこれ以降の話を耐えられる様には見えない。」

 

「そんな…なんで!!」

 

リサは立ち上がるも友希那に止められる。

 

「そうね、私も同意見だわ。」

 

「っ!友希那…!」

 

「今のリサは取り乱し過ぎよ。」

 

声を上げようとしたリサに友希那は落ち着かせるように言った。

 

「様子を見る限り、君達は学校で慧と仲良くしているのだろう?これ以上の事を聞いてこれまで通りに接する事が出来るのか?」

 

千秋の指摘にリサは俯く。

 

「君達には慧にとっての日常であって欲しいんだ。慧が過ごす毎日を何事も無く過ぎていく日常として…過ごしていく内に過去も薄れるくらいの今にしてほしい。」

 

千秋は優しい眼差しでリサを見る。

 

「私は学校が違うので彼を見ていることのできない時間があります。その代わりと言ってしまうと悪いのですが、湊さんと今井さんが見ていてくれると安心できます。日菜だけでは不安なので…」

 

紗夜も苦笑い交えて優しくリサと友希那に言った。

 

「私…は…」

 

リサの弱々しい声が漏れるが、その先を紡ぐ事は無かった。

 

「…私が聞きます。そしてリサに聞かせるかどうかは私が判断します。私はリサ程彼と関わりが長いわけではありません。それで良いですか?」

 

「…わかった。じゃあ君、えっと…今井さんだったかな?君は二階の部屋に…」

 

「すいません」

 

リサが千秋の声を遮る。

 

「慧の部屋で待たせて貰えませんか?」

 

俯いていたリサは千秋の目を見て言った。

 

「…わかった。じゃあ慧を見ていてくれ。」

 

「…はい。」

 

千秋から許可を貰うとリサは出ていった。

 

 

 

~リサside~

 

 

私はリビングから出て向かいの部屋の扉に手をかける。

 

男性の刑事さんがこの部屋に慧を連れていったからこの部屋が慧の部屋だとわかった。

 

扉を開いてみると簡素な部屋で余計な物は余り置かれてない部屋の窓際にベットがあり、上半身を起こしている慧がいた。

 

「っ!慧!?」

 

起きていると思っていなかった慧を見て私はビックリしてしまった。

 

目が見えない筈なのに慧は窓の外を見るように顔を向けていた。

 

『…?』

 

だけど私が声をあげてしまったことで反応して、私を見るように慧が顔を向ける。

 

『…今井…さん…?』

 

意識がはっきりしてないのか、慧が名字で私を呼んだ。

 

「も、もう!私はリサって呼んでって言ったじゃん!」

 

私は何時もの調子を取り戻して明るく話しかける。

 

『…なんでここにいるノ?』

 

だけど慧の言葉を聞いて言葉に詰まってしまう。

 

『…ここ…千秋さんの家?』

 

「そうだよ。山田さんっていう刑事さんが連れてきてくれたんだよ。」

 

「そっか…」

 

慧はまた窓の外に顔を向ける。

 

私は何か言おうとしてなんて声をかけて良いかわからなかった。

 

『…なにかあった?』

 

「え?」

 

『いつもと雰囲気違うから…』

 

慧に言われて千秋さんに言われたことを思い出す。

 

私にはこのまま何も無かったように振る舞うには無理かな。

 

「その…ね。慧の昔の話を聞いたんだ。」

 

『昔…』

 

「うん、慧の家族がもういないって…」

 

私は言うことにした。きっと過去を聞いてしまったことを隠してそのまま接していることは私にはできない。

 

『そっか…聞いちゃったか。まぁ、そういう可能性もあるとはおもっていたけど。』

 

慧は弱々しく笑っていた。

 

 

 

~慧side~

 

いない…そう、もう居ないんだな。

 

全ては夢、俺が作り出した都合の良い記憶でしかない。

 

それでもあの家に行くことは止めることは出来なかった。

 

「…怒らないの?」

 

リサが恐る恐る聞いてきた。

 

『怒る理由なんてないよ。怒るのは筋違いだ。』

 

きっとリサは僕があの家から出てくるのを見てしまったんだろう。

 

その時点で気付かれる可能性はあった。

 

『どこまで聞いたの?』

 

「その…あの家が慧の家で、あの事件の被害者だってことまで。それ以降の話は聞かない方が良いって…」

 

『そっか…』

 

リサはまた申し訳なさそうに言う。

 

『あの事件の時千秋さんが最初に乗り込んできてね。その時まだ息があった僕を千秋さんが助けてくれたんだ。』

 

あの時を思い出す。

 

お父さんが見せしめの様に殺され、それを見せられながらお母さんは男に弄ばれて殺され、そしてその手は俺と結希に…

 

今でも、胸に激情が荒れ狂う。

 

絶対に許すなと、この手で殺せと。

 

一番殺したいやつは居ないのに…

 

『キツいな…』

 

「!!」

 

つい言葉をこぼしてしまい、同時に後悔する。

 

リサには聞こえていた様だ。

 

そして急に暖かい温もりが体を覆った。

 

『リサ?』

 

「ごめんね。ホントにごめん…」

 

リサは俺を抱き締めて泣いていた。

 

そんなリサの背中をさする。

 

『大丈夫だよ、リサ。まだ完全に吹っ切れてはいなけど前は向けているから。』

 

そう、前は向けている。

 

「でも…辛いんだよね。」

 

リサの抱き締める力が少し強くなる。

 

『…大丈夫、俺さ、実はやりたいことがあるんだ。』

 

「やりたいこと?」

 

『そう、やりたいこと。これがある限り俺は生きていける。生きたいと思えるんだ。どんなに辛くても。』

 

「…それって?」

 

『秘密。』

 

「ええ~。そこまで引っ張っておいて秘密なの~」

 

泣いていたリサも少し笑ってくれる。

 

『うん、秘密。でもそれが叶うまでは生きていようって思えるんだ。』

 

「そっか…」

 

リサが離れる。だけど俺の手をとって包んでくれた。

 

「なら私はそれを応援するよ!」

 

『応援?』

 

「そう!応援。そしてそれが叶った時のために新しい慧のやりたいことを一緒に見つけたい!そうしたら慧ももっと生きていたいって、もっと()を生きていたいって思うでしょ!」

 

そっか応援してくれるんだ。

 

何も知らないのに(・・・・・・・・)

 

 

『…ありがとう、リサ。応援してくれて嬉しいよ。』

 

「うん!何があっても私は慧の味方だからね!」

 

きっとリサは今笑顔なんだろう。

 

夜の筈なのに陽だまりのような暖かさを感じた。

 

だから俺は心からリサに感謝する。

 

「ありがとう、リサ。」

 

俺の復讐を応援してくれて…

 

 

 


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