相変わらずの不定期と亀更新をお許し下さい…
お盆の連休なんて無くなればいいのに…( ;∀;)
前回からキャラ別sideを取り入れましたが、違和感などを感じたらご意見等貰えるとうれしいです!
主人公のイメージの絵を描こうとしたのですが自分の絵心の無さを思いだしやめました。
後描いてる暇ないし…
では!
26話 歌姫の誘い
楽しんで頂ければ嬉しいです!!
~友希那side~
「う…ううん?」
心地よい微睡みの海から浮上し、カーテンの隙間から太陽の光が私を照らしていた。
心地よい眠りを邪魔されたように感じた私はその光を恨めしく思いつつ、直接睨めないことに微かな苛立ちを覚えていた。
寝起きはあまり良くないことは自覚しているが、この程度のことに微かでも腹をたてている自分が小さく思えた。
時計を見るといつも起きる時間より早かった。
二度寝をする気にもなれず、潔く布団からでてシャワーでも浴びようと思い、着替えを持って1階に降りていく。
「あら?友希那、おはよう。今日は早いのね。」
「おはよう、お母さん。なんだか目が冴えたみたいだからシャワーを浴びてくるわ。」
お母さんに軽く挨拶し、浴室に入ってシャワーを浴びる。
一通り体を洗い終え、着替えを済ませて浴室を出てリビングに入ると…
「あ!おっはよ~。友希那。」
「リサ?どうしたの、早いじゃない。」
「いや~、なんか早く目が覚めちゃってさ。二度寝も出来なくて…」
リサは笑いながら言うが、私には苦笑いにしか見えなかった。
「リサちゃん、朝ごはんは食べた?こっちで食べていく?」
「いいんですか!それじゃあいただきます!」
「…制服に着替えてくるわ。」
私は一言残して自分の部屋に戻る。
制服に着替えながらリサに水瀬君の過去をどこまで話すか考える。
別に全部話しても問題は無いとは思うのだけれど…
(もう少し様子を見てからにしましょう。)
私はそう結論付けて着替えを始めた。
着替えを終え、リサと朝食を食べた後、することもないので早めに登校することになった。
「ねぇ、友希那。今日もお昼は慧のところで良いよね?」
若干きまづそうにリサが聞いてくる。
「そうね、いつも通りで良いんじゃないかしら?」
「そ、そうだよね!いや~楽しみだな~♪」
少し空元気な感じもするけど喜んでいるのは本当の様だし構わないかと思いながら今日のお昼に水瀬君には過去の事を聞いたことを報告するべきか考える。
(紗夜の方から話している可能性もあるけれど…)
そこまで考えて私は思考を止める。
今考えても仕方無いわね。お昼まで時間はあるのだし。
そう考え直してリサと雑談しながら学校へ着き、隣のクラスを通り過ぎようとすると…
「あれ?薫じゃん。」
その教室には中性的な顔立ちをした女子生徒が居た。
「っ!おや?朝早くから珍しいね。仔猫ちゃん達。」
リサの知り合いの女子生徒は瀬田薫。何度かすれ違ったりリサが話しているのを見たりはしている位であまり接点は無い。
「薫こそどうしたの?こんな朝早く。」
そう言いながらリサは教室へ入っていった。
他のクラスに簡単に入っていくリサを見ながら教室の前で待つ。
「え、えっと…まぁ、早く来るのは良いことじゃないか?」
いつもより歯切れの悪い彼女を不信に思ったのかリサが好奇心に目を光らせて詰め寄る。
「な~に~?何を隠しているの~?」
「あ、アハハ…」
そんな二人のやり取りをやや呆れた気持ちで見ていると、どこからか微かに歌声が聞こえた。
「え?」
それはリサにも聞こえたようで窓の外を見た。
私も直ぐリサの元へ行き窓の外に耳を澄ませた。
「……何処…るの…何し…の」
その澄んだ歌声は段々鮮明になる歌詞で耳に届く。
「伸ばした手はなにも掴めず ただ泣くだけの日々で 輝いていたあの日はもう返らずに 未練がましくあの日の欠片を抱いて眠る…」
その歌は何処か引き寄せる魅力があった。
決して楽しい歌じゃない。
激しく胸を打つ歌ではない。
胸に響く歌ではない。
それはまるで聞いている此方を無視してひたすら何処かへ歌っている歌だった。
それなのに私は…いや、この場で聞いている三人はその歌に魅せられていた。
「運が良かったね、仔猫ちゃん達。歌鳥は中々うたってくれないんだが珍しく気紛れを起こしてくれてね。こんなことは滅多に無いよ。」
薫は外を優しい眼で見る。
「会えないと知っている それでも君が居た事実は変わらない だから覚えていよう 例え覚めることのない悪夢でも 」
「水瀬君なの?」
「え?嘘!慧なの!?」
「ああ、そう。盲目の歌鳥…水瀬慧のリサイタルさ!!」
薫は両手を広げて芝居がかった動作で紹介する。
~out of 友希那side~
「ふぅ~」
歌い終えた慧は一息吐いていた。
「やっぱり薫に聞かせたのは失敗だったかもな。」
朝紗夜と登校してきた慧は学校の入り口で当然の様に待っていた薫に手を引かれて何時もの教室に来ていた。
しかし昨日の実家で歌ったことを忘れられずどうしても歌いたくなっていた為、薫に屋上へ案内を頼んだのだった。
当然薫は歌を歌うのだと察して興奮し屋上へ案内した。
「俺の歌の何が良いんだか…」
心底わからないと言いたげに首を振っていると…
「今日も良かったよ!歌鳥!!」
ドアを開け放って薫が屋上へ入ってくる。
「ああ、そう、ありがと。」
慧はげんなりして軽く返していたが、他の人の気配を感じた。
「…誰?」
「アハハ、凄いね慧、あんなに歌が上手かったなんて。」
「ええ、どうして隠していたの?」
リサが笑いながら会話に入り、友希那も何時もより声のトーンが高めだった。
「…薫」
「ち、違うんだ慧!私は二人を呼んだり等していない!偶々彼女達が早めに登校してきただけで私は!」
「まぁ、別に疑ってないですよ。」
必死に弁解する薫に一度ため息を吐いて宥める。
「こんなところで歌っていれば誰かに聞かれる可能性は元々あったんだし。…もう学校では歌えないな。」
最後の言葉は声が小さくなったが、友希那はしっかりと聴こえていた。
「…ねぇ、水瀬君。貴方もスタジオで歌ってみない?」
今回慧が歌った歌はオリジナルというか、作者が考えた詩を繋げただけです。
既存の曲じゃなければ大丈夫ですよね?
尚、メロディー等は考えておりませんので曲として捉えるのは難しいかもしれません。
では!また次回に!