盲目で灰色な日々~暗闇に響く歌声は~   作:清夜

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どうも、清夜です。

仕事が忙しくてなかなか更新できなかった…楽しみにしてくれていた方は遅くなってすいません。(いるのかな~?)

では!6話 日だまり少女と青色の偶像

どうぞ!! 


6話 日だまり少女と青色の偶像

「慧~!!」

 

放課後、授業が全て終わり日菜の迎えを待っていると教室のドアを勢いよく開ける音と日菜の声、そして走りよってくる気配がした。

 

「ゴール!!」

 

『まったく、何回言っても聞かないんだから』

 

慧は抱き付いてきた日菜を受け止め、諦めたように言った。

 

「さぁ慧、帰ろ!!」

 

『わかったから離れなさい。』

 

慧はまるで妹に言い聞かせる兄のように日菜を諭す。

 

「む~…慧が冷たい~」

 

『はいはい、わかったから。』

 

日菜はぶーぶー言いながらも慧の手を取って歩き出す。

 

日菜に連れられて廊下へ出ると、

 

「あ!日菜!慧さん!!」

 

「あっ!リサちー!!」

 

パタパタと誰かが走ってくる音がした。

 

「日菜、さっきぶり。慧さんは久しぶりだね。」

 

『お久し振りです、今井さん。』

 

「もう!リサって呼んでって言ってるのに。」

 

声をかけてきたのは今井リサ。

 

見た目はギャルそのものだが、本当は面倒見の良い優しい少女である。

 

ただ物凄くコミュ力が高く、慧を下の名前で呼ぶ。

 

慧は別に呼ばれることは問題ないが、呼ぶことには抵抗を覚える面倒な性格をしていた。

 

そこへ

 

「おや?歌鳥じゃないか。今帰りかい?」

 

次は反対側から薫がやってきた。他にも大勢の気配を感じるのはおそらくファンに囲まれているからだろう。

 

『そうだよ。薫は?』

 

「いまから演劇部に顔を出すところさ。」

 

『そっか、ならはやく行ってきなよ?薫はいつも遅刻していると先生からよく話を聞くんだから。』

 

「おや、どうやら麗しい子猫からも噂を聞くくらいに私は皆は私の魅力の虜となっているようだ。ああ、儚い…」

 

「「「キャー!!」」」

 

薫の言葉の後に大人数の女子の黄色い声が聞こえる。

 

その中の一人の声に聞き覚えがあるのは気のせいだろうか?

 

『わかったから早く行ってきなさい。部員と顧問の先生を待たせるな。』

 

「つれないね、わかったよ。ではまたね、歌鳥。」

 

そう言いながら薫は演劇部へと向かっていく。

 

「む~」

 

薫とその取り巻きがいなくなった後、不満そうな声を出している少女がいた。

 

『どうしたんですか?今井さん。』

 

「薫だけ呼び捨て、敬語なし…」

 

『…』

 

慧はなにも返せず無言になる。

 

「なんで私だけ~!!女の子から距離縮めてるんだから男の子も応えなきゃ!」

 

『…もう少しだけ待っててもらえますか?なんとか頑張ってみます…』

 

慧は苦笑しながら答える。

 

「ファイトだよ!リサちー。慧はシャイだからあまり押せ押せじゃ慧も引いちゃうよ。」

 

「押してダメなら退いてみろ!って事だね!」

 

『日菜はどっちの味方なんだ?』

 

慧は味方だと思ってた日菜に裏切られショックを受ける。

 

「でもねリサちー、慧は渡さないから!」

 

日菜はそう言いながら慧に抱きつく。

 

『うわ!日菜!!だから人前で抱きつくなって言ってるだろ!』

 

只でさえ注目を集めているのに日菜が抱きつくことで更に注目を集めるのがわかり、すぐに日菜を引き剥がした。

 

『まったく、何回言ったらわかるんだ!お前は女の子なんだから…』

 

慧が日菜に説教を初めて日菜は耳を手で塞ぎ聞かないふりをしていた。

 

「…なんか二人とも兄妹みたいだね」

 

そんな二人を見ていたリサはポツリと言葉を漏らした。

 

『っ!!』

 

慧はリサの呟きが聞こえたとき固まってしまった。

 

「!そんなことないよ!幼なじみなんてこんなもんだよ!」

 

日菜は慧の様子に気付き、リサに悟らせないように明るく振る舞う。

 

「そうかなぁ~」

 

「そうだよそうだよ!ほら!慧かえろ!」

 

日菜は振り向き慧を見る。

 

その眼差しは少しの後悔ともになにか強い決意を秘めていた。

 

「気を付けてね~」

 

「リサちーも部活頑張ってね~」

 

日菜はリサに手を振りながら慧の手を引いていく。

 

慧はなにも応えずにただ手を引かれるまま歩いていた。

 

「今日は天気が良いね。」

 

『…』

 

日菜が明るく慧に話しかけるも慧は応えなかった。

 

「今日の晩ご飯はなにかな~」

 

『…』

 

慧は応えない。

 

日菜は繋いでいる手をぎゅっと握りしめる。

 

「…慧…」

 

日菜はリサが兄妹みたいと言った時、安心してしまっていた。

 

 

なぜならわざと妹らしく振る舞っていたからだ。

 

幼い時から慧とその妹、結希のことはよく知っている。

 

結希は慧が大好きでよく慧の後ろを付いてきてよく抱きついていた。

 

その時の結希はとても幸せそうな顔をするのだ。

 

そして慧も満更でなさそうにしていた。

 

結希は亡くなるときに慧に『生きて』と言っていたらしい。

 

日菜は結希と性格が似ていた。

 

過度なスキンシップとよく姉の後ろから付いて回る娘だった。

 

だから日菜は思ってしまった。

 

「もし私が慧の妹になれば…結希の代わりになれれば…」

 

慧は自殺を考えないのでは…と。

 

実際、慧も日菜を結希に重ねて見ている時がある。

 

頭では結希はいないと理解している。

 

しかし心は結希を、結希の偶像を欲していた。

 

それに気付いた日菜が妹のように接することで僅かでも満たされていたのも事実だった。

 

「(慧はきっと苦しんでいる。私を…氷川日菜を水瀬結希の偶像ではなく一人の氷川日菜として見ようとしている。)」

 

慧がその事で苦しんでいるのは知っていた。

 

しかし、もしちゃんと氷川日菜として慧が認識してしまったら…

 

「(きっと心が耐えられなくてまた自殺を考えてしまう…それだけは…ダメ)」

 

事実、慧が事件の後何度も自殺を図っていたのが収まったのは日菜が妹のように振る舞い初めてからである。

 

結希を思い出す度にあの時の「生きて」という言葉を思い出すのだろう。

 

最初はお兄ちゃんと呼んでいたのだが、慧の精神が安定しはじめてからはお兄ちゃんと呼ぶことを嫌っていた。

 

だから呼び捨てで呼んでいるのだが、やはり結希と重ねて見るのはどうしても抜けなかった。

 

「(…それでも…私は…慧の為ならどんな歪んだ関係でも続けてみせる。たとえそれで慧が傷ついたとしても…大好きな慧が生きていてくれるなら…)」

 

たとえこの恋が実らなくても…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




てことで、6話でした。

今回はリサの登場回と見せかけどちらかというと日菜主役みたいになってしまった。

ミュミュシュシュさん!感想ありがとうございました。

何人からかのご感想で、メインが決まっている為、他のヒロインの立場が可哀想という感想がありました。

それは自分も考えていたことで、結構辛いんですよね。

なので、少し意見を聞きたいのですが、自分的にこの話にハーレムは合わないと思っていて、ヒロインの個別ルートにしようと思っています。

よければその事に関してご感想をいただければとおもいます。

では、次回お会いしましょう。
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