とある決闘者の教師生活   作:カージ

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なぜジェネックスからかというと、作者がGXを見たのはその辺りからだからです。



始まる、ジェネックス

「世界大会『ジェネックス』の開催を、ここに宣言する! 」

 

歓声が沸き上がる。プロすらも参加する、超大規模世界大会の開催。それは当然、デュエルアカデミアの生徒にとっても喜ばしいもの。通常授業および定期試験は全て延期となり、開催期間中はひたすら決闘に力を注ぐことが許される。大会スタッフ扱いの教師たちは参加できないことを悔しがっていたが、それは別の話。

 

『最後の一人になるまで勝ち続ける』

 

シンプルだからこそ、最強を証明できるというもの。参加資格であるメダルを受け取った生徒達は、我先にと講堂の外へ走り去っていく。残された教員たちも、各々が大会スタッフとして活動するために島のあちこちへと散っていった。三人の教育実習生を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、校長先生。私たちに話とは? 」

 

葵が、教育実習生を代表して疑問を投げ掛ける。

 

「うむ、例年通りであれば決闘教師としての実習はともかく、教職課程としての教育実習は通常通りの授業を行えばよかったのだが今年はこの通り、そうはいかなくなってな。そこで、君たちにはジェネックスへ参加してもらい、それを教育実習の代わりにしようと思う」

 

清々しいほどの、決闘脳発言である。

しかし、ここはデュエルアカデミア。教師が決闘脳ならば教育実習生も決闘脳。葵以外の二人は、

 

「いやっほぉーい! 」

 

と、喜び勇んで対戦相手(エモノ)を探しに走り去る。よかった、葵は常識人だ。

 

「・・・わかってた、わかってたさ。デュエルアカデミアで普通の教育実習などできるはずがないと」

 

葵はうつむき、ぶつぶつと呟く。そして、がばりと顔をあげて、

 

「こうなったら、とことん楽しむに決まってるでしょう! さぁ、私の対戦相手はどこだ! 」

 

講堂の外へ走り出した。・・・訂正しよう。葵も立派な決闘脳である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、そこのブルー生! 私と決闘しな! 」

 

しばらくして、学内を歩いていた葵の前に青い制服の生徒が現れた。

 

「おや、遊城先生ですか。いくら遊城十代の姉とはいえ、デュエルアカデミア出身ではない貴女に、エリートであるこの僕に・・・」

 

「御託はいいから。受けるか、受けないかだ」

 

「・・・いいでしょう、お受けします。後悔しても知りませんからね! 」

 

やや傲慢なブルー生がディスクを構え、それに向かい合って葵も己のディスクを構える。

 

「「決闘! 」」

 

 

ブルー生

 

VS

 

遊城葵

 

 

「先行は、僕のようですね。ドロー!僕は手札から『スクリーチ』を攻撃表示で召喚! 」

 

場に現れたのは、緑色の怪生物。牙の生えた顔と同じサイズの円形状の口から奇声を上げて、それは威嚇する。

 

スクリーチ ☆4 ATK1500

 

「これでターンエンド! 」

 

ブルー生 手札6枚➡5枚

 

 

「私のターン、ドロー。私は、手札から儀式魔法カード『祝祷の聖歌』を発動する! 手札からレベルの合計が6以上になるように生け贄を捧げる」

 

葵の言葉と共に、フィールドに燭台が6つ現れる。そしてそこへ2体の供物(モンスター)がくべられる。

 

「祷りは満ちた。聖なる歌に祝福されて、降臨せよ、『竜姫神サフィラ』! 」

 

美しい、女性型の白い竜が降臨する。その神々しい白翼は、天使を連想させる。

 

竜姫神サフィラ ☆6 ATK2500

 

「バトルフェイズ! サフィラでスクリーチを攻撃する。『ホーリーブレイズ』! 」

 

サフィラの放った白いブレス攻撃が、スクリーチを焼き尽くす。

 

ブルー生 LP4000➡3000

 

「バカめ、スクリーチのモンスター効果! デッキから水属性モンスター『黄泉ガエル』を2枚墓地へ送る」

 

「モンスターを1体セットし、カードを1枚伏せる。エンドフェイズ時にサフィラの効果が発動する。墓地から光属性モンスター『マンジュ・ゴッド』を手札に戻す。ターンエンドだ」

 

遊城葵 手札6枚➡1枚

 

「僕のターン、ドロー! 『黄泉ガエル』のモンスター効果発動! 自分ターンの始めに墓地から特殊召喚される! 」

 

意気揚々とモンスターの特殊召喚を宣言するブルー生。しかし・・・

 

「ハハハハハ、『スクリーチ』の特殊能力で『黄泉ガエル』を墓地へ落とすことで毎ターン生け贄を確保するこの僕の完璧なタクティ・・・ なぜ『黄泉ガエル』を特殊召喚できない!? 」

 

ディスクが反応しない。

 

「『儀式魔人リリーサー』を生け贄として降臨した儀式モンスターがフィールドに存在する限り、相手プレイヤーはモンスターを特殊召喚できん。テストに出るぞ、覚えておけ」

 

「な、ならば僕は手札から『二重召喚(デュアルサモン)』を発動する。そしてモンスターを1枚伏せて、そのモンスターを生け贄として『氷帝メビウス』を生け贄召喚! 」

 

白い鎧を纏った、氷の帝が現れる。

 

氷帝メビウス ☆6 ATK2400

 

「メビウスのモンスター効果! 相手のマジック・トラップカードを2枚まで破壊する! 『帝王の凍気』! 」

 

葵の場に伏せられていたカードが、氷付けとなり粉砕される。伏せられていたカードは『手札抹殺』。つまりは、ブラフである。

 

「さらに、『デーモンの斧』をメビウスに装備! 攻撃力1000ポイントアップだ」

 

禍々しい装飾の施された斧が、メビウスの手元に現れる。

 

氷帝メビウス ATK2400➡3400

 

「メビウスで、竜姫神サフィラに攻撃!『フリージング・アックス』! 」

 

メビウスの振りかざしたデーモンの斧が、サフィラへと襲いかかる。

 

「墓地に眠る『祝祷の聖歌』の効果。自分の儀式モンスターが破壊されるとき、代わりに墓地のこのカードをゲームから除外する」

 

遊城葵 LP4000➡3100

 

「まぁ、ダメージは通るがな・・・」

 

「ちっ、これでターンエンドだ」

 

ブルー生 手札6枚➡2枚

 

「私のターン、ドロー。・・・カードを1枚セット」

 

「ハハハハハ、良いカードを引けなかったのか? ククク、僕の勝ちだ! 次のターンで今度こそサフィラを破壊して止めを刺してやる! 」

 

「私は、『メタモルポッド』を反転召喚」

 

メタモルポッド ☆2 ATK700

 

「ハハハハハ、そんな雑魚を攻撃表示にして、何があるというのですか? 」

 

ブルー生の哄笑に葵はニヤリと口角を吊り上げて答えた。

 

「メタモルポッドがリバースしたとき、お互いのプレイヤーは手札を全て捨てて、カードを5枚ドローする」

 

「ハハハハ、ハ? 」

 

「さらにリバースカードオープン、『儀式の下準備』! その効果により、儀式魔法カード1枚とそのカードにカード名を記された儀式モンスターカード1枚を手札に加える。私が手札に加えるのは2セット目の『祝祷の聖歌』と『竜姫神サフィラ』だ! 」

 

「ひ? 」

 

ぐるぐると目まぐるしくカードを操る葵に対し、ブルー生はやや思考停止気味なのか、は行を呟き続ける。

 

「そして手札に加えた『祝祷の聖歌』を発動する! レベルの合計が6以上になるようモンスターを生け贄に捧げる。このとき、墓地の『儀式魔人リリーサー』の効果! 墓地のこのカードをゲームから除外することで儀式召喚のための生け贄として使用することができる。墓地のリリーサーと手札のモンスター1枚を生け贄として降臨せよ、『竜姫神サフィラ』! 」

 

「ふ? 」

 

「儀式召喚に使用した『シャドール・ドラゴン』のモンスター効果! カード効果によって墓地へ送られた場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊できる。『デーモンの斧』を破壊! 」

 

「へ?」

 

ポカンと、口を大きく開けて呆けるブルー生。そして次の瞬間ようやく正気を取り戻す。

 

「これで終わりだ。サフィラ2体、そしてメタモルポッドで連続攻撃! 」

 

「バカなぁぁぁぁぁぁ! 」

 

ブルー生 LP3000➡2900➡400➡0

 

Winner 遊城葵

 

 

 




葵「今回の最強カードはこれだ」

『竜姫神サフィラ』

カジ「強力な3つの効果を内蔵したレベル6の儀式モンスターだな」

葵「作中で使用した『墓地の光属性モンスターを回収する』能力、それから『カードを2枚ドローして1枚棄てる』能力、『相手の手札を1枚捨てさせる』能力がある」

カジ「さらに専用儀式魔法の『祝祷の聖歌』には儀式モンスターを守る墓地発動効果も有るから最低でも一回は死なない。前回紹介した『儀式魔人リリーサー』との相性も良いんだ」

葵「自身の効果で手札に余った『祝祷の聖歌』を捨てればさらに一回守ることができるな」

カジ「ただ、効果の発動条件はちょっとめんどくさくて『儀式召喚に成功したターン』か『手札かデッキから光属性モンスターが墓地へ送られたターン』のエンドフェイズにのみ発動できるという、単体運用が難しい能力なんだ」

葵「まぁ、この世界ではまだ登場していない『エフェクトヴェーラー』やあまり出回っていない『オネスト』なんかは相性が良いカードの筆頭だな」

カジ「あれ? チューナーモンスターのヴェーラーはともかく、オネストも出回ってないんだ」

葵「あぁ。少なくともこちらの世界では私は見たことがない」

カジ「・・・まぁ、それは置いときましょう。ところで今回の決闘で疑問に思ったプレイングについて確認して良いかな? 」

葵「いいぞ」

カジ「最初のターンのエンドフェイズにサフィラの効果で『マンジュ・ゴッド』を回収していたけど、あれにはどんな意図があったのかな? 」

葵「サフィラの能力の発動条件が『手札かデッキから光属性モンスターが墓地へ送られること』なのはさっき説明したな。そして私のセットモンスターは『メタモルポッド』だった。あとはわかるな? 」

カジ「なるほど。仮に相手がメタモルポッドを攻撃していれば、マンジュ・ゴッドが墓地へ送られて発動条件を満たしていた、と」

葵「そういうことだ。ちなみに、デッキの回転率を上げるために使用はするが、別に切り札ではない。私の切り札は別のカードだ」

カジ「葵さんのエースが召喚されるのは、いつのことになるのやら(笑)」
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