魔王の剣   作:厄介な猫さん

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ミーハーな作者だと感じるこの頃
てな訳でどうぞ


再会と共闘

あの鮫との戦いから時間が幾ばくかたち、ソウジは五十階層に足を踏み入れた。

ここに来るまでもソウジは虹色蛙や見た目がモ○ラの蛾、巨大ムカデやトレントのような樹の魔物とも戦った。

まず最初の二体がいた階層は薄い毒霧が漂い、そいつらも猛毒を持っていたためエリクシールを常時服用しなければならず、蛙と蛾を仕留めた後も沸き上がる抵抗心を必死に押さえつけて食べた。蛾の方が美味しかったのに納得できなかったが。

 

文字通り、密林が生い茂った階層にいた巨大ムカデは体の節事にわかれ、Gを彷彿とさせられた。氷の刀で切り裂いたり、足で踏みつけて直接凍らせたり、地面伝いで氷漬けにしたりして対処したが、いかんせん数が多く苦戦した。

トレントのような魔物はピンチになると赤い果実を投げつけてきた。試しにその赤い果実を食べてみると、スイカのように美味しかった。

赤い果実目的でトレントのような魔物を全部狩ったが、数が少なかった為満足できなかった。

そんな感じで階層を突き進んだソウジは五十階層の探索に乗り出す。

しばらく探索を続けていると……

 

 

「……何だよこれは?」

 

 

とある場所を見つけたソウジは警戒心丸出しでそこを睨み付ける。

そこは高さ三メートルある両開きの扉が鎮座しており、すぐそばには肉を剥ぎ取られた二体の魔物らしき者の死骸が転がっている。しかも―――

 

 

「……シャァァァァア!!!」

 

 

その奥から魔物の叫び声が聞こえてきているのだ。幸い扉が開いているので“遠目”と“夜目”を使って扉の向こう側を確認すると。

 

 

「……ん?」

 

 

部屋の中には体長五メートル程、二対の巨大なハサミを持ち、八本の足と二本の尻尾を有したサソリのような魔物だ。

それは別にいい。ソウジが訝しんだのは、そのサソリに対峙するように白髪隻腕の男と金髪の少女らしき二人がいたからだ。その白髪隻腕の男の右手には拳銃らしきものが握られている。

 

 

「まさか……あいつ、南雲か……?」

 

 

そう呟いている間にも白髪の男はサソリと戦っており、白髪の男が体勢が崩れた所をサソリの二本の尻尾が標準を合わせている。

 

 

「……チッ」

 

 

ソウジは舌打ちして“凍鎧”の派生技能―――“冷気操作”を使う。

あの男が本当に南雲なのか確認するためには、あのサソリの攻撃から守らなければならないからだ。

“冷気操作”により二人の元へ向かうように地面が凍っていき、二人の目の前に巨大な氷の壁が姿を現した。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

体勢が崩れた白髪の少年―――ハジメは背中に背負った金髪の少女―――ユエを守る為にその身を盾にする覚悟を決めるも、突然、目の前に巨大な分厚い氷の壁が現れた。

 

 

「「!?」」

 

 

突然現れた氷の壁にハジメだけでなくユエも驚愕に目を見開く。

その直後、サソリモドキから散弾針と溶解液が発射されるも、氷の壁が盾となって防いでいく。

我に返ったハジメはすぐに体勢を整え、閃光手榴弾をサソリモドキへと投げ飛ばしてからその場から離脱する。

 

その二秒後、氷の壁はサソリモドキの攻撃によって砕け散ると同時に強烈な閃光が放たれた。

ハジメはすぐに“気配感知”と“魔力感知”で周りを探ると、扉のすぐそばに何かがいることを感知した。

警戒心むき出しでそちらに目を向けると、そこにいたのは、灰色の頭髪に、右足の膝から先が氷柱、顔には左目を隠すように布が巻かれている男だった。腰には氷でできた棒らしき物が二つある。

 

 

「お前は……一体誰だ?」

 

 

目の前の男が誰かは分からないが、敵ならかなり面倒だと考えて、探るような目付きでこちらを見ている男を睨み付けていると。

 

 

「……やっぱりお前、南雲だな?」

 

 

全く予想していなかった言葉がその男から出てきた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「……やっぱりお前、南雲だな?」

 

 

金髪の少女を背負っている白髪の男をじっと見つめていたソウジは、目の前の男にそう問い質した。髪の色も目付きも違うがそれは自身にも言える事であるし、顔の輪郭と声色は記憶と一致している。

 

 

「何故俺を知って……いや……」

 

 

 

白髪の男―――南雲は不意に何かに気付いたのかこちらの顔をまじまじと見つめ……

 

 

「……お前、空山か?」

 

「滝川書店で店の手伝いをしていた空山ソウジなら確かにオレだが?オタクの南雲ハジメさんよ」

 

「……本当に空山なのか?お前……」

 

「キィシャァアアアアア!!」

 

 

そんな二人の再会の空気を無視するかのように、例のサソリが咆哮を上げて暴れている。

 

 

「……言いたい事はあのサソリを始末してからだな」

 

「……そうみたいだな」

 

 

互いに殺気を全開にしてサソリを睨み付ける。

 

 

「あのサソリの特徴は?」

 

「外殼がかなり硬い。目か口を狙おうにもあのハサミが邪魔で通らない。おまけに周囲の地形を変えてくる」

 

「加えてさっきの溶解液と散弾のように飛ばす針か……」

 

 

かなり面倒な魔物のようだが。

 

 

「とりあえず協力してあのサソリを始末するぞ?」

 

 

ソウジはそう言って氷の刀を抜いてサソリへと向ける。それに対し、南雲はソウジの氷の刀を見て眉を顰めた。

 

 

「それには同意だが、お前はどうやって戦うんだ?そんな得物じゃ、あのサソリモドキは絶対斬れないぞ。ドンナーでさえ、満足に効いていないんだからな」

 

「頭が堅いぞ南雲。外殼が硬いなら……」

 

 

ソウジはそう言いながら、“爆縮地”でまだ閃光のショックから回復しきれていないサソリへと肉薄し、すれ違い様に刀を振るうと、大きい方のハサミを有する腕の関節が半分ほど斬れていた。

 

 

「節部分を狙って斬るだけだ」

 

 

いくら外殼が硬くても生物として動いている以上、関節部分はどうしても他の外殼と比べたら弱い。

そこに“飛爪”をぶつける事で斬撃を通したのである。

 

 

「キシィイイイイイイイ!!」

 

 

ようやくショックから回復したサソリが自身を傷つけたソウジに狙いを変え、怒りに任せるかのように溶解液と散弾針をソウジに向かって飛ばしてくる。

ソウジはそれらを“空力”と“縮地”を駆使して事もなげに躱していく。

そのままソウジは肉薄し、もう一つの氷の刀を抜きながら至近距離でサソリの尻尾の関節部分に“飛爪”を二回同じ箇所にぶつけて溶解液を出す方の尻尾を斬り落とした。

 

 

「―――空山!その場から離れろ!!」

 

 

急に南雲が大声をあげて指示を出してきた。南雲の近くから莫大な魔力も感じたので一先ず南雲の言葉通りにその場から飛び下がる。

見れば金髪の少女がサソリに向けて片手を掲げており、黄金色の魔力が少女から溢れている。

 

 

「“蒼天”」

 

 

少女がそう呟いた瞬間、サソリの頭上に直径六、七メートル程の青白い炎の球体が出来上がり、その球体は逃れようとしたサソリに直撃する。

 

 

「グゥギィヤァァアアアアアア!?」

 

 

青白い炎の球体をマトモにくらったサソリから、明らかな苦痛の絶叫を上げる。そして青白い炎が消滅した先には表面の外殼が溶けながらもはっきりと悶え苦しんでいるサソリの姿だった。

ドサリと音がしたのでそちらに目を向けると。

 

 

「無事か?ユエ」

 

「ん……」

 

 

金髪の少女―――ユエが肩で息をしながらその場に座りこんでおり、南雲が安否を確認しているところだった。

それを確認したソウジは未だに苦しむサソリにへと肉薄していき、サソリも散弾針を発射して迎撃しようとする。

 

ソウジは目の前に隠れる程度の氷の壁を作り、散弾針を受け止める。すぐに“気配遮断”と“爆縮地”を使ってその場から横へと飛び出す。

その直後、氷の壁は壊れるも、そこにソウジがいなかったため、サソリは気配が掴めないソウジを探す。

その隙をついてソウジはサソリの背中に着地する。

 

 

「キシュア!?」

 

「熱くて苦しいだろう?すぐに冷やしてやるよ」

 

 

ソウジはそう言って、サソリの背中を一気に冷やしていく。赤熱化して薄くなったサソリの外殼が急激に冷やされた事で、外殼は元の色合いに戻るも亀裂が走る。

ソウジはそれを確認するとすぐにサソリの背中から離れる。そしてソウジと入れ替わるように南雲がサソリの背中に乗り、亀裂が入った部分に拳銃を押し付け、身体中から雷を迸らせながら連続で発砲する。

サソリは自身が傷つく可能性を無視して一本となった尻尾で南雲を叩き落とそうとするも、それよりも早く南雲がサソリに何かを捩じ込み、その場から“縮地”を使って離脱する。サソリが南雲に向き直った、その直後。

 

ゴバッ!!

 

サソリからくぐもった爆発音が響き、そのサソリはビクンと震えて動きが止まる。やがてサソリは力なく、地響きを立てながら倒れこんだ。

ソウジはトドメの為にサソリにへと近づいていく。しかし、それより早く南雲が近づき口内から二、三発、拳銃で撃ち込んだ。

だが、ソウジはそんなの関係ないと言わんばかりに口内に手を入れ、ダメ出しとばかりに“熱閃”で頭部に向かって三回くらい放って頭部を焼き焦がした。

 

 

「トドメは確実にさしただろ」

 

「やるなら徹底的に、だろ。少なくとも頭部をちゃんと潰すくらいはしないと安心出来ない」

 

「……一理あるな。次から大きい奴には手榴弾で頭部を吹き飛ばすか」

 

「小さいやつには手榴弾は大きすぎるだろ。簡単なのは首から斬り落とすのが一番確実だ」

 

「そんな面倒な事より拳銃で二、三発撃ち込んだほうが手っ取り早いぞ」

 

「それが出来るのはお前だけだ」

 

 

そんな物騒な会話を口論するように交わしていく。

 

 

「……忘れられてる……」

 

 

そんな二人のやり取りを、かやの外となっているユエは不満げに見ながら呟いた。

 

 

 




割と早い原作主人公との再会。作者的にはここで合流が妥当と思いました
感想お待ちしてます
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