魔王の剣   作:厄介な猫さん

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ようやく思いついたオリキャラ達の顔

ソウジ:目付きの悪いフルメタの相良
アタランテ:表情が名前の人物(某運命)通り
ジークリンデ:青セイバーさん
アリア:東亰のアイドル天使
フィア:狐の耳がついた、エロゲの最凶戦闘メイド(剣士)
マキアス:軌跡シリーズの眼鏡(殴らない方)

てな訳でどうぞ


スパルタで鍛える鬼教官

亜人族が奴隷から解放され、フェアベルゲンへと帰還した翌日。

フェアベルゲンから少々離れた場所に、とある集団が集っていた。

 

 

「今回のお前達の訓練は、オレが直々につけてやる。異論はあるか?」

 

「「「「「おおおおおおおおおおおおおお―――っ!!!」」」」」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

ソウジが腕を組んで告げたその言葉に、その集団―――ハウリア族から歓声が上がり、訓練志望者の兎人族は目を瞬かせて驚いている。

 

 

「教官自ら我等の訓練をつけてくれるとは、光栄の極みです!」

 

「前回は皇帝襲撃班しかつけて貰えませんでしたが、今回は俺達が勝ち組です!」

 

「新入り共!教官に訓練をつけてもらえるとは、ついているぞ!」

 

「そ、そうなのか……?」

 

 

大歓喜しているハウリア族の言葉に、他の兎人族は困惑を隠せないでいる。

大樹へは周辺の霧が弱まってからでないと行けないので、ソウジは自身の鍛練と坂上の特訓のついでに、ハウリア族とカムの演説で集まった兎人族達の訓練を見ることにしたのである。

ちなみに、この一体には紅雪の新機能の“指定結界”が張られており、四方三百メートルの範囲で囲っている。

 

 

「今回は新入りもいる事から、魔物との実戦はお預けだ。だから、木刀による模擬戦をやってもらう。……ハウリアの諸君!帝城を落とした貴君達の実力を、“ピー”以下の“ピー”である、負け犬根性が染み込んでいる“ピー”な新入り達の体の髄に、容赦なく刻み込んでやれ!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「「「「「Sir,Yes,Sir!!!」」」」」

 

 

ソウジの口から自然に出てきた汚い言葉に驚く兎人族の前で、ハウリア達は支給された木刀を構え、新入り達に切っ先を向けて囲っていく。

 

 

「構えろ新入りぃ!」

 

「既に訓練は始まっているぞぉ!“ピー”されたくなかったら早く構えろぉ!」

 

「まずはお前達の性根を叩き直してやるぜぇ!!」

 

「逃げるなよ?逃げて後ろを向いたら、その瞬間、全員で“ピー”してやるからな!」

 

「「「「「う、うわぁあああああああああああああああ―――ッ!!!!」」」」」

 

 

新入りの兎人族達は、やけくそ気味に木刀を構え、涙目で自分達を囲んだハウリア達に向かっていった。

 

 

「……本当にすげぇな、ハー○マン先生は」

 

「……す、鈴達は大丈夫なのかな?ああなったりしないよね?」

 

「やはりソウジは凄いな」

 

「……これが魔改造なのですね」

 

 

目の前で繰り広げられ始めたハウリア族の蹂躙劇に、坂上は感嘆の呟きを、谷口は冷や汗を流して不安げに呟き、アタランテは改めてソウジに惚れ直し、ジークリンデは困ったように笑みを浮かべていた。

坂上だけでなく、谷口もこの場にいるのは、少しでも自身の目的に近づく為、今回の訓練に自主的に参加したのである。

 

勇者(笑)は解放された亜人族の女性に捕まり、八重樫はストッパーの為に不参加である。もっとも、勇者(笑)はソウジが訓練に参加するか聞いた際、複雑な表情をしていたので、参加したかはどうかは微妙である。

別に強制的に参加させてもいいが、それでは意味がない。()()()()()からこそ訓練の意味があり、()()()()()()()のではほとんど意味がないからだ。

まぁ、その辺りは置いておいて。

 

 

「それじゃあ、お前達の訓練も始めるぞ」

 

 

ソウジはそう言って、“氷刻”と“冷気操作”を使い、ロッカーサイズの氷塊をその場に幾つも作り出していく。

 

 

「坂上はいつもの特訓から始めてもらう。お前の技能“浸透破壊”を利用した、二重衝撃を全く同時に叩き込む技の会得だ。もちろん、常時、“金剛”を使ってな」

 

「おう。だけど、なんでこんな特訓を?」

 

「脳筋のお前に駆け引きとか、そういった心理戦は全く出来ないだろ。なら、防御しながら敵の懐に潜りこんで、必殺の一撃を叩き込む方がよほど建設的だ。籠手型のアーティファクトの衝撃波も合わせて、三重衝撃を全く同時に叩き込むのも想定しているんだからな」

 

「……なぁ、俺を馬鹿にしてねぇか?空山」

 

「なに事実に目くじらを立てているんだ。わかったらさっさと訓練を始めろ、このクソ蛆虫にも劣る筋肉ダルマ。……返事は!?」

 

「!Sir,Yes,Sir!!」

 

 

ソウジの罵倒に、坂上は敬礼と共に声高に返事を返し、氷塊に向かって拳を振るい始めていく。

 

 

「うぅ~……龍太郎くんがどんどん改造されていくよぉ……」

 

「無駄口を叩いていないでお前も訓練を始めるぞ。つっても、オレにできることは限られているが」

 

「……鈴は一体何をすればいいの?」

 

「お前は回避訓練だ。魔法を使いながらな」

 

 

不安そうに呟く谷口に、ソウジは“宝物庫”から紅雪・模擬(刀身部分がゴムモドキ)を七本取り出し、谷口を囲むように展開していく。

 

 

「……もしかして」

 

「今からこれでお前を叩きのめしにかかる。それが嫌なら、必死にかわし、得意の結界も駆使して凌いで見せろ」

 

「それで鈴を叩くの!?」

 

「真剣だと今のお前では確実に大怪我を負うからな。これなら打撲で済む」

 

「確かにそうだけど!普通は詠唱を早くするとかじゃないの!?」

 

 

谷口の文句に、ソウジは呆れ気味にこの特訓の目的を話し始めていく。

 

 

「それも大事だが、今必要なのは広い視野と咄嗟の判断力だ。ただ防ぐのではなく、司令塔としての役割も持ってもらうためのな」

 

「司令塔……?」

 

「そうだ。前衛は近距離で戦う都合上、どうしても視野が狭まってしまう。オレ達のパーティーでは遠近中、どれもこなせるハジメが司令塔だ。お前は“結界師”だから結界で相手を妨害して、前衛が安心して戦えるようにする……何より、お前の目的を考えれば、これは必要だろ?」

 

「あ……」

 

 

ソウジが不敵な笑みで告げた最後の言葉に、谷口は思い至ったような表情となる。

谷口の今の目的は魔人族側に寝返った中村恵里との対話だ。当然、中村は傀儡兵や魔人族からもらい受けた魔物を使って邪魔者を排除しにかかるだろう。

 

ソウジとしては“敵”である中村と対峙したら、一切容赦しないが、連中にぶつける戦力を育てるという目的上、谷口と中村が対峙する可能性は濃厚だ。故に、谷口にこの特訓を施すことにしたのである。

 

 

「ありがとう空山くん!」

 

「礼なんぞいらん。単に必要なこととお前の目的を利用してやる気を出させただけだ」

 

「……今、鈴はお礼を言ったことを後悔してるよ……」

 

「これ以上は時間が惜しいからもう始めるぞ」

 

 

色々と台無しとなった空気を無視し、ソウジは紅雪・模擬を容赦なく谷口に向かわせていく。

 

 

「うわぁ!?空山くん!少し手加減―――」

 

「手加減したら訓練にならないだろ。痛いのが嫌なら、死ぬ気で凌げ」

 

「空山くんの悪魔ぁあああああああああっ!“天ぜ”つぅ!?」

 

 

谷口は涙目になりながらも、襲いかかる紅雪・模擬を必死にかわし、避けきれないのは“天絶”で防ごうとするも、別方向から迫っていた紅雪・模擬に頭を容赦なく叩かれる。

 

 

「常に周囲に気をつけろ!判断は素早く迅速に!戦場では一瞬の判断の遅延が命取りになるぞ!!」

 

「うわぁああああああああああん―――ッ!!!」

 

 

容赦なく全方位から迫る紅雪・模擬に、谷口は涙目で必死に食らいつくのであった。

 

 

「アタランテはニフテリーザと記録装置を使って谷口の特訓を撮影してくれ。ジークは坂上の特訓用の氷塊を折を見て追加していってくれ」

 

「わかった」

 

「承りました」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

―――数時間後。

 

 

「…………(ビクンッ、ビクンッ)」

 

「痛い……痛いよぉ……」

 

 

ハウリア族にボコボコにされた新参者達は、死屍累々と地面に転がっていた。

 

 

「これで諸君達の今の実力は理解しただろう。分かったら、さっさと立ち上がって丸太を担いでランニングしろ」

 

 

そんな彼等に、ソウジは容赦なく追い打ちをかけていく。

 

 

「そ、そんな……少し、や」

 

「嫌なら、さっさとここから立ち去れ。骨の髄まで“ピー”な負け犬兎。優しくされると思ったら大間違いだぞ」

 

 

一人の兎人族の懇願をソウジはバッサリと切り捨て、“宝物庫”から取り出した竜殺剣を地面に叩きつける。

 

ドゴォオオオオオオオオオンッ!!!!

 

 

「それがわかったら、訓練を続けるかここから逃げるかさっさと決めろ!!紙屑な決意しか持っていない、“ピー”で“ピー”な“ピー”の極みである軟弱兎どもが!!決めなければ、容赦なくぶっ飛ばすぞ!!!」

 

「「「「「うわぁああああああああああ―――ッ!!!!!!」」」」」

 

 

ソウジの罵倒に、地面に転がっていた兎人族全員は涙目で立ち上がり、丸太を担いでランニングを開始していった。

 

 

「流石教官。見事な指導です」

 

「お前達も重石が入った袋を担いでランニングしろ。勿論、地面ではなく木々等の障害物を足場にしてな」

 

「「「「「Aye,aye,Sir!!!」」」」」

 

 

ハウリア族も重石が入った袋を背中に背負い、シュバッ!シュバッ!と流れるようにパルクールによるランニングを開始していく。

 

 

「坂上はこれを付けてランニングしろ」

 

「俺もなのか?けど、こいつを付けて意味があるのか?」

 

「こいつは魔力封じの枷に重力魔法を付与したパワーベルトとパワーアンクルだ。これで魔力抜きで走り続けて根気を鍛えてもらう」

 

「お、おう……って、これ、結構重いじゃねぇか!?」

 

「重くないと特訓の意味がないだろ。わかったら、さっさと手足に装着し、オレがいいと言うまで走ってこい!!へばって歩いたりしたら、タイヤ引きならぬ鉄塊引きを追加するぞ!!」

 

「Yes,Sir!!」

 

 

坂上は素直に頷き、パワーベルトとパワーアンクルを手足に装着し、丸太を担いで走る兎人族達と一緒に走り始めていった。

 

 

「そして、谷口だが……」

 

「もしかして、鈴もあれをやらされるの!?」

 

 

紅雪・模擬に叩かれて、全身の至るところが赤く腫れている谷口は焦燥を露に問いかける。

 

 

「いや、お前には休憩も兼ねて先のお前の訓練の映像を見てもらう。その後でもう一度、同じ訓練を受けてもらう」

 

「また、叩かれるんだね……」

 

 

谷口は肩を落として、ハウリア族に贈呈する予定である、例の魔力タンク機能を搭載した、筐型の記録装置から、ニフテリーザで撮影された記録映像をディスプレイ映像で確認していく。

 

 

「……こうして見ると、鈴は全然周りを見てないんだね……やられている時は気づかなかったけど、明らかなフェイントにも引っ掛かってるし……」

 

「さて、この映像を見て、今のお前に不足しているのはもう一つある。それが何かわかるか?」

 

「……ごめんなさい、答えを教えて下さい」

 

 

速攻で手を上げた谷口に、ソウジは嘆息しながら谷口に不足しているものを指摘する。

 

 

「個人における戦闘能力の圧倒的な低さだ。“結界師”という天職の都合上、どうしても攻撃手段は限られるのは仕方がないが、皆無なのは明らかな問題だ。一人となった場合、これは大きな問題だからな」

 

「そ、そうだね……」

 

「だから、生成魔法の実験で作ったこれを使え」

 

 

ソウジはそう言って、腕輪を谷口に放り投げる。

 

 

「えっと、これは?」

 

「それは“複合魔法”と“魔衝波”を付与した腕輪だ。それを自身の結界に混ぜて使ってみろ」

 

「わ、わかったよ」

 

 

谷口は素直に頷き、そこ腕輪を装着していく。アタランテとジークリンデがソウジにジト目を向けているが、本人は気にしないことにする。

 

 

「“天絶・爆”!」

 

 

谷口が魔法名を唱え、幾枚ものシールドを展開。そして、轟音と共に爆発し、橙色の魔力が波紋を作る。

 

 

「おお……」

 

「単純だが、有効な攻撃手段だろ?上手く使えば防御にも応用が効く。回避訓練ではそれの使用にも慣れてもらう。異論はあっても聞かん。これは決定事項だからな」

 

「異論なんかないよ!絶対、使いこなしてみせるよ!」

 

 

渡された腕輪の効果に、やる気が再び充填された谷口は拳を自身の前で握り締める。

 

 

「そうか。では次の特訓では五本追加してお前を叩きのめすからな」

 

「やっぱり空山くんは悪魔だよ!」

 

 

ソウジは何処までも容赦がないのであった。

 

 

 




「はぁ!やぁ!せいやっ!」

キンッ!キンッ!キンッ!

「…………」

「(やっぱり強いわね。けど……)……随分と中二くさい形状の刀ね」

「……悪いか」

「その様子からして、形状は空山君の発案ね?空山君もちゅ―――」

「よし、今から攻めに入る。死ぬ気で凌げ」

「八つ当たりしないでちょうだい!!」

夜の手合わせで、中二を突きつけられたソウジの図。

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