魔王の剣   作:厄介な猫さん

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原作順序
てな訳でどうぞ


チームと無情

ハジメが全長一・五メートル程の対物ライフル―――シュラーゲンと二メートル程の直刀―――魔鋼南雲(まこうなぐも)が完成し、準備を終えた一同は迷宮攻略に動き出した。

十階層程はさくさく順調に降りる事が出来ていた。ソウジが前衛で敵を引き付けて魔鋼南雲で斬り、ハジメが中衛でドンナーのドバンを繰り返し、止めに後衛のユエがノータイムの魔法で一網打尽にする。

 

ユエは全属性の魔法に適性があるが、固有魔法のせいか回復系や結界系の魔法は然程得意ではないようだ。もっとも、神水があるから今のところ問題は無いが。

ちなみに今まで名字呼びだったソウジとハジメは互いに名前の方での呼び方に変わった。理由はユエは名前呼びだからせっかくだし、という単純な理由からだ。

そして現在、彼らは樹海の階層にいる。

 

 

「空気は湿っぽいし、生い茂っているがそこまで暑くないのが救いだな……」

 

「そうか?オレは“熱耐性”でまったく暑く感じないからあの熱帯林と同じくらい鬱陶しく感じるんだが」

 

「あの三つ目の火猫から得た技能だったか……くっ、蹴りウサギより先に食べておけば今頃……ッ!!」

 

「またおいてけぼり…………」

 

 

そんな感じで会話してながら階下への階段を探して探索していると、ズズンッという地響きと共に、頭に一輪の花を生やしたティラノサウルスのような魔物が三人の前に現れた。

すぐさま始末しようとソウジとハジメは構えるも……

 

 

「“緋槍”」

 

 

ユエが唱えた円錐状の炎の槍がティラノを貫通、絶命に追い込んだ。

ユエが魔力枯渇で倒れ、その事をハジメに慰められて以来こうやって魔物を瞬殺しているのでハジメとソウジの出番はめっきり減っているのだ。

 

 

「ユエ?張り切るのはいいんだけど……俺は足手まといなのか?」

 

「違う……私が役に立つところをハジメに見てもらいたくて……」

 

「はは、もう十分に役立ってるさ。俺は魔法はからっきしだし、ソウジも似たようなものだからな。ユエが後方にいるだけで凄く助かっているさ」

 

「ハジメ……」

 

 

そんな二人のイチャツキにソウジは……

 

 

「…………(オロロロロロロロッ)」

 

 

口から砂糖を大量に吐いていた。端から見ればハジメとユエは恋人同士である。ソウジはそんな二人のイチャツキを自身の頭の中からフェードアウトさせるために、半ばヤケとなって襲いかかってきた頭にチューリップを咲かせたラプトルのような魔物達を斬りまくる。

試しに頭のチューリップを切り落としてみたらラプトルは墜落。その後、切り落として転がっていたチューリップをゲシゲシと踏みつけるという奇行にはしった。……その直後にハジメのドパンの餌食となったが。

 

 

「今のは一体何だったんだ?」

 

「考えられる定番は、あの花に操られていたからよくも操ってくれたな!!という感じかもな」

 

「……寄生?」

 

「現時点で確定できないが、頭には入れておくか」

 

 

そして……

 

 

「二人とも……ごめんなさい…………」

 

 

ドリアードのような植物の魔物を庇うように立ちはだかる、頭に真っ赤な薔薇を咲かせたユエがハジメとソウジに謝っていた。

あの後、花を咲かせた大量の魔物が三人に襲いかかって来た。それを見た三人は寄生されて操られていると断定し、“焼夷手榴弾”やレールガン、“緋槍”に“凍獄”、“放炎”を纏った斬撃と、“飛爪”に“熱閃”等を駆使して、魔物達を撃退しながら花の本体を探していた。

 

そして、怪しいと睨んだ縦割れの洞窟に入り込み、道なりに進んでいると無数の緑色のピンポン球のようなものが全方位から飛んできて迎撃していたのだが、途中でユエが警告と同時に二人に向かって魔法を飛ばしてきたのだ。

 

ハジメはすぐにドンナーをユエの頭に咲いた花に標準を合わせようとするも、操られたユエが花を庇うように動いたのですぐに行動に移す事が出来なかった。その直後にドリアードモドキが姿を現したのである。

ドリアードモドキは緑の球を二人に向かって打ち込み、二人はそれぞれの得物で払っていく。

しかし、二人にはユエのように頭に花が咲く気配が微塵もなかった。

 

 

(たぶん、耐性系の技能のおかげだな)

 

(オレらに通じず、ユエしか効いてないならそうなんだろうな)

 

 

ドリアードモドキはハジメとソウジの頭に花が咲かないとわかると、操ったユエを使い、風の刃を繰り出す。二人は躱そうとするも、ドリアードモドキがユエを再び人質に取ったので、“金剛”を使って耐える事にした。

 

 

(取り敢えずどうする?)

 

(速攻で終わらせられるんだが……後が面倒なんだよな)

 

 

間近でしか聞こえないよう、互いに打開策を考えていると。

 

 

「二人とも。私の事はいいから……!」

 

 

ユエが覚悟を決めた顔でそう叫んだ。普通ならここで、必ず助けて見せる!と意気込む場面なのだが……

 

 

「お?助かるわ」

 

「じゃあ遠慮なく」

 

 

ユエからのお許し(?)を得た二人はあっさりとそう言い、直ぐ様ハジメはユエの頭の上に咲いた花をドンナーで撃ち抜き、ソウジは“冷気操作”でユエの足を若干凍らせながらドリアードモドキを氷漬けにした。氷漬けになったドリアードモドキはハジメが再びドンナーで撃ち抜いて、バラバラに砕け散った。

 

 

「……撃った」

 

 

ユエが銃弾がかすった頭を擦りながら、信じられない目でハジメとソウジを睨む。心なしか、ハジメに向ける視線の方に若干力が宿っているように見える。

 

 

「いいって言っただろ?」

 

「……躊躇わなかった……足も若干、凍ったし……」

 

「問題ないとわかったし、本人の了承も得たのに躊躇う必要があるのか?」

 

「それくらいなら“再生”ですぐに治るだろ?」

 

 

二人のあまりにも軽すぎる反応に、ユエはどんどん不機嫌になっていく。

 

 

「戦闘中に躊躇ったのに何がそんなに不満なんだ?」

 

「大方、オレらの反応に不満といったところだろ。もっと躊躇ってほしかったとか」

 

「それで死んだら元も子もないから却下だ」

 

「うぅ~………」

 

 

その後、夢を壊されたユエの機嫌は二人の血を限界まで吸うまで直らなかった。

 

 

 




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