魔王の剣   作:厄介な猫さん

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もうすぐありふれのアニメ始まるので、楽しみです
てな訳でどうぞ


怒りと揺るぎなき思い

「……なぁ、アタランテ」

 

「……なんだ、ソウジ」

 

 

嫌悪、否、憎悪と言っても過言ではない深く暗い感情を瞳に宿したソウジの呼び掛けに、アタランテも同様の憎々しげな表情と殺意が宿った瞳でソウジに向き合う。どうやら、互いに考えていることは同じのようだ。

 

 

「……今、お前のことが凄まじく憎いんだが」

 

「それは私の台詞だ」

 

 

そして、不快感を露に、同時に互いの武器を構えた。ソウジは竜殺剣の切っ先をアタランテの顔に向け、アタランテはヤークトにつがえた魔力矢をソウジの額に狙いを定めて。

 

 

「何をしておられるのですか?あなた方を殺すのは私なのですよ?」

 

 

そんなソウジとアタランテに、ジークリンデが両手に水色の球体を宿して二人の間に割って入る。その瞳は当然、憎悪と殺意が宿っている。

見れば、ハジメ達も今のソウジ達と似たような状況だ。フィアもソウジに憎悪の視線を向けている。八重樫もだ。

障壁の外にいる()()()()()G達は大津波のように障壁に群がり、ボスG二体が特殊なG達を生成している間に、ソウジは今の状況を推察する。

 

 

「……さっきの光は感情を反転させるもののようだな。抱いていた感情を正反対にするから、お前にここまで嫌悪を抱いているんだな」

 

「貴様のことは気にくわないがその意見には同意してやる。その意見にだけはな」

 

「……ちっ、お前達も俺と同じ考えかよ」

 

「……ん。本当に不本意」

 

 

感情が反転しても記憶まで消えているわけではない。自分達がどれだけ想い合っていたのかという記憶から推測すれば確信に近い憶測だ。

実際、アタランテも嫌そうな顔をしながらも同意しており、ハジメとユエも同様に肯定している事、周りのメンバーも嫌そうな顔をしながらも反対しないのだから。

 

 

「なるほどの。記憶、あるいは紡いできた絆を以て反転した感情を振り払い元に戻れるか、あるいは、悪感情を抱いたままでも今までの自分達を信じて共に困難に挑めるか……嫌らしい試練じゃ」

 

「そんなことはどうでもいい。今は……」

 

 

ティオの推測を、ソウジはどうでもいいと言わんばかりに切り捨て、奥のボスGをギロリと見据えていた。

 

 

「アイツを可愛がる(抹殺する)ことの方が重要だ!!」

 

 

瞳に激烈な怒りと殺意を宿して怒りを露にしているソウジを筆頭に、アタランテ達がGに向かって鬼のような怒りの形相を向けていく。

 

 

「……そうだな。今は奴らを撫でる(消し去る)ことが重要だ!!」

 

「ああ、野郎を愛でて(殺して)やりたい!!」

 

「……ん、あいつを可愛がってやりたい(嬲ってやりたい)!!」

 

「ええ、今すぐ抱擁して(潰して)やりたいですぅ!!」

 

「はい。子守唄(氷漬け)で寝かせてあげますよ!!」

 

「……そうじゃな」

 

「献身的に奉仕(蹂躙)してさしあげますよ、うふふ……」

 

「うん。精一杯、介護(分解)してあげるからね!!」

 

 

自分達の大切な想いを利用され、土足で踏み込んだ大迷宮のGに激烈かつ巨大な怒りのプレッシャーを放つソウジ達。

ユエが発動中の“聖絶”を解いた瞬間―――

 

ズドォオオオオオオン!!!

 

持てる技能を駆使し、ハジメとソウジが共にそんな爆音を残しながら弾丸のように飛び出した。ハジメは“纏雷”を、ソウジは“蒼煌”状態の“放炎”を全身に迸らせ、谷口の障壁を内側から紙屑のように破壊し、ハジメは真っ黒な巨大Gを、ソウジは若干赤みがかかった巨大Gに躊躇いなく向かい、その怒りをぶつける為、一切の容赦なく、一瞬で蹴っ飛ばした。

 

 

「……おい、オタク。オレの邪魔だけはするなよ」

 

「……それは俺の台詞だ。中二野郎」

 

「最後の台詞、そっくりそのまま返してやんよ」

 

「ああ?」

 

「殺るか?」

 

 

どこぞのヤクザの如く互いにメンチを切りあうハジメとソウジ。ガンを飛ばして睨み合う姿はまさに一触即発であった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―――ハジメとソウジが飛び出し、障壁を張り直そうとした谷口がGの愛しさから致命的な隙を晒した直後。

 

 

「“震天”」

 

「“蒼引”」

 

 

ユエが迫っていたG達を“震天”の衝撃波で消し飛ばし、アタランテは四つの“蒼引”を放って、Gを万単位で一瞬で滅ぼした。

 

 

「……余計なことをするな、年増」

 

「……余計なのは貴様だ、万年ロリ」

 

「……ふっ、どうやら、その壁と同じく頭の中も平たいみたい」

 

「そういう貴様も私と大して変わらんだろう」

 

「「…………」」

 

 

仇敵の如く互いを睨むユエとアタランテ。だが、鼻息と共に直ぐに視線を外して、ユエは“五天龍”を携え、重力魔法で宙を浮き、アタランテも翠翼をはためかせ、それぞれボスG目掛けて飛んでいった。

そこへ、ボスG達が生み出した中型Gが編隊を組みながら残ったメンバーに襲いかかっていくも……

 

 

「おらっしゃあですぅ!!」

 

「存分に可愛がって(始末して)やるのじゃ!!」

 

「やりますよ。ええ、やってやりますよ!!」

 

介護(分解)介護(分解)!!!」

 

「さあ、遠慮せずに受け止めて下さい」

 

 

シアは円盤と身体強化した脚力を以て宙を駆け、ジークリンデは空間魔法を応用した足場で跳び上がっていき、フィアも空を浮く幻影の魔物を足場代わりにして宙を駆け出していく。ティオと香織も、それぞれの翼を展開して、一気に飛び出していった。

 

 

「なぁ、ここは南雲と空山の二人に任せた方がいいと思うんだが……」

 

 

()()()()()()()()()を隠しながら、()()()()()()()()()()()()()()()に任せるべきだと天之河は進言する。勿論、その天之河の意見を真っ向から反対する者はいる。言わずもがな、八重樫だ。

 

 

「駄目よ、光輝。惑わされては駄目。空山君達が言ったように、今感じているこの気持ちは本当の気持ちじゃないのよ。私達も、あの()()()子達を倒すべきなのよ。幸い、強そうなのはあいつ等が引き受けてくれるみたいだしね」

 

「だ、だけど……ゴキちゃんが可愛い過ぎて……」

 

「そ、そうだ。あんな愛しい生き物を俺達の手で斬るなんて……」

 

 

チワワのように思えるG達に、谷口と天之河が躊躇いを見せていると、顔を俯かせて黙っていた坂上がおもむろに顔を上げ、決然とした表情でG達を見据えた。

 

 

「……俺はやるぜ」

 

「龍太郎!?本気か!?」

 

「……ああ、本気だ。お前等のことは気に食わねぇし、あいつらを殺すのは相当辛いけどよ……」

 

 

坂上はギリッ……と握り締めた拳を反対の掌でパァンッ!と強く叩き、自分達の首を狙うG達を見据えて、決然と告げる。

 

 

「自分と仲間を守れるくらいには強くなるという、俺の決意と覚悟の記憶を嘘にするわけにはいかねぇんだよ!!だったら、やるしかねぇだろ!!」

 

「!!」

 

「な……」

 

 

坂上のその決意に、谷口は何かに気づいたように目を見開き、天之河は絶句していた。

 

 

「……そうね。そいつの言う通りね。私達の記憶をこんなまやかしで嘘にするわけにはいかないわ」

 

「……そうだね。正直、説得されたような気分だけど……この記憶と願いを嘘にしたくないからね」

 

 

不満げに八重樫は呟きながら、()()()()()()()()()()四皇空雲を構え直し、谷口も()()()()()()()()()()()()になりつつも、自身の願いの為に両手をG達に向けて突き出す。

 

 

「……くっ」

 

 

そんな一同を前に、天之河は複雑な気分になりつつも、聖剣をG達に向けて構える。

天之河達には自在に空を飛ぶことは出来ない。―――だが、行動範囲は広げられる。

谷口が短く詠唱して、多数の障壁を周囲に展開する。これは守る為の障壁ではない。宙を移動する為の障壁だ。

 

 

「……礼は言わないわよ」

 

「いらないよ。これは鈴が勝手にやったことだから」

 

 

八重樫は憮然と言い放ち、谷口は内心の不満を堪えて何てことのないように返す。

 

 

「おい、絶対に俺の足を引っ張るなよ?」

 

「……わかってるさ」

 

 

坂上の苛立ち紛れの念押しに、天之河は内心のドス黒い感情を押し殺して言葉を返す。

そうして、彼等は信用ならない足場で宙を駆け、愛しいG達に立ち向かうのであった。

 

 

 




「……ちょっとだけ、愛でてもいいよね?」

「……くっ!こんなに愛しい生き物を俺は……!」

「……負けちゃダメ、負けちゃダメ…………」

「くそがぁあああああああああ!!!」

「ああ!?龍太郎が肉壁に!?」

「負けて……たまるかぁあああああああああああああ―――ッ!!!!」

「嘘!?」

「龍太郎が途中からびくともしなくなった!?しかも、逆に愛しい生き物達を……」

勇者(笑)の“神威”さえ耐え凌ぐ圧倒的な防御能力を持ち、それが強靭な武器にもなる、“物理耐性”の最終派生技能(+神鉄)に目覚め、Gを殴り飛ばし続ける脳筋の図。

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