魔王の剣   作:厄介な猫さん

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アニメはどこまで進むかな?ウルまで進むのは確実でしょうが
てな訳でどうぞ


Gは死すべし。慈悲はない

ハジメとソウジが互いにメンチを切って睨み合っていると、強烈極まりない飛び膝蹴りを受けたボスG二体は大樹の幹に盛大にめり込んでいた体を起こしていた。

 

 

「「ギチチチチチチチチッ!!」」

 

 

ボスG二体が不快な鳴き声を響かせると、ハジメが吹き飛ばしたボスGには他のG達が纏わりつき、ソウジが吹き飛ばしたボスGにはGが新たに生み出した魔方陣から出てきた茶色いG達が纏わりつく。そして、それぞれが瞬時にその体に溶け込んで同化し、放射線状に砕け散っていた腹部の負傷を治してしまっていた。

腹部を完治した巨大G二体は、己を傷つけた敵を探そうと……

 

 

「もっと味わえよ」

 

 

……する前に、いつの間にかハジメとのメンチの切り合いを止めていたソウジが治したばかりの腹部に再び蹴りをぶちかましていた。

だが……

 

 

「…………」

 

 

先程と同等の威力を持つ蹴りを叩き込んだにも関わらず、僅かに茶色も加わったボスGの腹部は少しのヒビが入る程度でしっかりと耐えていた。

 

 

「耐久力が上がったのか?なら、丁度いい。たらふく味あわせてやる」

 

 

ソウジは竜殺剣を“宝物庫”にしまいながら、獰猛な笑みでそう言ってボスGを蹴りあげ、“魔衝波”を発動させて容赦なく攻撃を繰り出した。

 

ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!

 

ソウジの繰り出される拳撃と蹴撃がボスGを玩具のように跳ね回し、大樹の幹にどんどんめり込ませていく。

と、その時、体のあちこちにヒビを入れたボスGの体が一瞬、赤黒く発光し、ソウジの頭上に大量のGが現れ、凄まじい速度で隊列を組んで魔方陣を構築した。

そうして発動した魔方陣からGが飛び出し、弾丸の如くソウジに迫ってきた。

 

 

「……チッ」

 

 

ソウジは舌打ちして飛び下がると、Gの弾丸は容赦なくソウジがさっきまでいた場所を通過し、その射線上にあった枝通路を抉り飛ばしていた。

 

 

「ギチチチチチチチッ!!!」

 

 

ボスGは相変わらずの不快な鳴き声を響かせると同時に、Gで構成された魔方陣を多数展開し、自身の再生とGの弾丸を放ち始めていく。

ソウジは絶天空山を抜き、今度は少しずつ切り刻んでやろうと構えた―――

その直後、ソウジの背後から雷の矢が大量に放たれていた。

 

 

「ゲッ!?」

 

 

それに気づいたソウジは急いで背後へと振り返り、“瞬光II”と“魔力感知”、“先読”を駆使し、雷の矢とGの弾丸をかわし、または消し飛ばして、矢とGの弾幕を凌いでいく。

やがて、雷雨の掃射が終わるころには、雷雨に穿たれてボロボロとなったボスGが残っていた。ソウジはもちろん無傷である。

 

 

「……ちっ、本当にしぶといやつだな」

 

「それは、どっちをさしているんだ?」

 

「もちろん、ソウGだ」

 

「オレと愛しのGを一緒にするとはいい度胸だな。あ?」

 

 

舌打ちをかましたアタランテの隣にソウジは降り立つも、アタランテは捌き切ったソウジに実に憎たらしい笑みを浮かべる。ソウジが青筋を浮かべて詰め寄るも、どこ吹く風である。

 

 

「あわよくば殺る気だったな」

 

「そんなわけがなかろう。この程度でお前を殺れるわけがない」

 

「……確かにな」

 

 

アタランテの言い分にソウジは憎々しげに納得してボスGに向き合う。嫌悪感丸出しにも関わらず、何故かソウジとアタランテは妙に信頼しあっている。

そのボスGは、今度は紫のG達を召喚して自身の傷を治しており、僅かに紫色も混ざって完治すると同時に多数の魔方陣を展開してGの弾丸を豪雨の如く放ち始めていく。

 

ソウジはそのGの弾幕を二刀の絶天空山を振るって的確に弾き飛ばしながらボスGに接近し、アタランテは緋竜槍と氷嵐槍を同時に放ち、放たれた焔槍の矢と氷嵐の矢はGの弾幕を蹴散らしながらボスGに迫っていく。

そして、二つの矢がボスGに突き刺さるも、効果があったのは氷嵐の矢だけであり、焔槍の矢はボスGの腹部を少し溶解させて抉るだけであった。

 

それでも、体の半分が氷漬けとなったボスGにソウジは容赦なく“魔衝波”の蹴りを放ち、ボスGの氷漬けの部分を粉々に粉砕して再び大樹の幹にめり込ませた。

 

 

「ギィイイイイイイ!!」

 

 

再び負傷したボスGはまたしても魔方陣を構築。次は水色のGを出現させ、その傷を瞬く間に治していく。再び完治すると、黒、赤、茶、紫の色に加え、今度は水色が追加された。

 

 

「「…………」」

 

「……なぁ、アタランテ」

 

「……なんだ、ソウジ」

 

「今、あのGには純粋な殺意しかないんだが」

 

「奇遇だな。私もあれには純粋な殺意しかない」

 

 

アタランテも同じことを考えていたようだ。つまり、あのボスGはアタランテを模した存在なのだろう。“再生力”は“無限の魔力”、“Gの弾丸”は“魔力矢”、“耐久力、または耐性を上げるG”は“適応力”を模しているのだろう。

つまり、アタランテ=ボスGとなるわけで。

 

 

「あのGは徹底的に殺すべきだな。二度と、出てこないようにな」

 

「ああ、そうだな。明らかに私への嫌がらせも加わっているこのGを、この世から消し去ってやる……!!」

 

「……ちなみにオレは?」

 

「愛しさだけだ」

 

「本当に奇遇だな。オレもだ」

 

 

ハルツィナとボスGへの怒りからか、ソウジとアタランテは感情反転を完全に克服したようである。

今頃、ハルツィナは草葉の陰で「本当にどうしてこんなことに……」と項垂れて呟いているのかもしれない。

 

 

「それなら、証明して欲しい。口ではなく行動で」

 

「ああ」

 

 

アタランテのその願いにソウジは快く頷き、互いに抱き合い、軽く唇を重ね合わせる。本当は濃密に重ね合わせたいが今はそれをすべきではない。

ソウジとアタランテは互いに見つめ合って微笑んだ後、表情を引き締めて、魔方陣を再び多数展開しているボスGに向き直った。

 

 

「ギィイイイイイイイイイイイイ!!!!」

 

 

ボスGはどこか狂気を感じさせる絶叫を上げ、砲弾のようになったGの塊を大量に放ち始めていく。

アタランテはそれに目もくれず、上空に魔力矢を大量に放ち始め、ソウジは空間ごと断ち切る一閃―――“閃牙”を発動してGの砲弾からアタランテを守っていく。

 

 

「相変わらず生温い弾幕だな。アタランテの魔力矢の弾幕の方が凄いぞ」

 

 

ソウジはダメ出しすると同時に“飛爪・鋭”を合間合間に放ち、ボスGの体に鋭利な傷を与えていく。

ボスGはそれならば!と自身の体を治しながらGの砲弾を上空に構築されていく魔力矢による魔方陣に向けて放つも、紅雪の空間切断の斬撃の妨害によって悉く防がれてしまう。

そして、上空に構築されていたアタランテの複雑怪奇な魔方陣がついに完成する。

 

 

「「ギィイァアアアアアアアアアア!!!!」」

 

 

ボスGはハジメと参戦していたユエがボコっていたボスG共々、絶叫を上げ、巨大なドーム状の、Gで構成された閉鎖空間を作り上げる。しかも、黒い霧を発しながらだ。

その閉鎖空間は、ゴギュウウ!!という音と共に一気に縮小され始めていく。おそらく圧殺させる腹づもりだろう。

 

下では中型Gを嬲るジークリンデ達の姿と、どこかぐったりとした天之河と目に見えて落ち込んでいる八重樫、枝通路にぶっ倒れている坂上とそんな坂上を介抱している谷口の姿がある。圧縮したことで彼女達は範囲から外れたようだが、ソウジとアタランテ、ハジメとユエはその空間の範囲内だ。

 

 

「―――この矢を手向けとしよう」

 

 

その閉鎖空間の中でアタランテは二本の魔力矢をつがえ、同時に構築していた“界穿”の小さなゲートに狙いを定める。展開されたゲートの転移先は、上空に構築した魔方陣のすぐ真下である。

 

 

「選びと定めの矢を以て、汝等に裁きを下さん―――」

 

 

アタランテは敢えて詠唱して、魔方のイメージを確かなものとする。そして、二つの魔力矢を小さなゲートに向けて放った。

放たれた二本の魔力矢はゲートを通過し、上空の巨大な魔方陣に吸い込まれ―――眩い輝きを放っていく。

そして―――

 

 

「―――穿て、“断罪之光”」

 

 

アタランテが魔法名を口にした途端、魔方陣から幾条もの光の柱が降り注いだ。

その幾条もの光の柱は意思を持っているかのように枝通路や大樹、ジークリンデ達を不規則に曲がって避けていき、Gだけを無慈悲に撃ち抜いていく。

光魔法、重力魔法、魂魄魔法を複合させた、敵だけを撃ち抜く殲滅の魔法。その断罪の光はG達を次々と消し飛ばしていく。

 

 

「……“神罰之焔”」

 

 

更に追い討ちをかけるように、ユエがその手に宿した蒼い炎の宝珠―――対象だけを焼き滅ぼす、“蒼天”、重力魔法、魂魄魔法を複合させたユエのオリジナル魔法“神罰之焔”を放ち、宝珠から解き放たれた蒼い光が容赦なくG達を殲滅していく。

そして、僅か十数秒でG達は跡形もなく消滅した。

 

 

「お疲れ、アタランテ。見事な魔法だったぞ?」

 

「ふっ、ユエの魔法と比べたら些か劣るがな」

 

 

大魔法を放って疲れた様子を見せるアタランテを、ソウジは優しく抱き止める。そのまま流れるように濃厚なキスをかわしていく。

 

「んっ、んっ、んちゅう……」

 

「ぴちゃっ……ん、れるれろ……むちゅぅぅ……」

 

 

そのまま甘い一時を堪能しようと……

 

 

『あの!お気持ちは理解しますが早く戻ってきてください!!』

 

『ふふ。中々お熱いようですが、周りが煩わしいので戻ってきてもらえませんか?』

 

 

ジークリンデとフィアの声が念話で届いてきた。その声に反応して下を見れば、ジークリンデとフィアは顔を上げてこちらを見ており、シアと香織はぷんすかしながらハジメとユエに向かって手招きしている。ティオは肩を竦めているだけだ。

 

天之河は気まずげに視線を逸らしており、八重樫と谷口は視線を逸らしながら頬を赤めている。坂上はぶっ倒れたままだ。

反応からして感情が元に戻っているであろう彼女達に、ソウジとアタランテは揃ってジークリンデ達のところへ戻るのであった。

……恋人繋ぎで互いの手を握りしめて。

 

 

 




「イチャイチャしたいですぅ!!」

「私もハジメくんとぉ!!」

「羨ましいです!!」

「ご主人様よ!!妾にお仕置き(ご褒美)を!!」

「皆様、熱々ですねぇ。さて、夜這いはいつにしましょうか?」

欲望を洩らしながら、中型G達を嬲り続ける魔王パーティーの図。

「俺は……どうすれば……」

「ゴキちゃんは可哀想?だけど……仕方ないよね」

「…………」

「……殺して……瀕死のGを撫でてしまった私を殺して……」

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