魔王の剣   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


暴言なしでもハードな訓練

「まず前提として、真っ当な戦闘技術を仕込もうと考えていない」

 

 

オルクスの最奥、オスカーの隠れ家の広場で告げたソウジの第一声に園部と遠藤は目を白黒させる。今、最奥にいるのはソウジにフィア、園部に遠藤、ユエとアタランテ、ミュウとレミアの八人だ。ユエとアタランテは隠れ家の一室で調整中、ミュウとレミアは身の回りの世話の準備中だ。ハジメと香織はアーティファクト大量作製のため、材料集めの最中でこの場にはいない。今頃、王国の使い道のないアーティファクトを片っ端から材料に変えている頃だろう。

 

 

「今から真正面から戦えるほど強くするなど、時間が普通に足りないからだ。だから今の段階で仕込むのは、利点を活かした先手必勝、不意討ち、妨害、嫌がらせといった、向こうの土俵に一切入らない戦法だ」

 

 

大侵攻の際、使徒とのスペック差を埋める方法は考案しているが、だからといって真正面から戦わせよう等と安直に考えるのは愚の骨頂だ。手札も多く、数も向こうが圧倒的に上。次から次へと戦う以上、最短、最小で討ち取る戦法の方が結果として長く戦えるだろうとソウジは考えていた。

 

園部と遠藤も真正面から使徒と戦う姿を想像し、瞬殺される姿が浮かんだことですぐに納得の意を示した。

 

 

「言いたいことは分かったけど、それで本当に何とかなるの?向こうは空を自由に飛べるんだし……」

 

「園部、お前の天職は投術師だろ。投擲が得意なら、ナイフをガンガン飛ばせば距離なんて関係ない筈だろ」

 

 

二人のステータスプレートは確認済みであり、そこから更に具体的な案を考えていたソウジはそう返す。実際、園部の天職は中距離戦向きだ。飛距離はハジメのアーティファクトで補えば良い話だし、手数の多さで攻めるのが効率的だと現状から考えたからだ。

 

 

「飛ばせばいいだけって……投げたら基本終わりなんだから、そんなに飛ばせないわよ。このアーティファクトだって、全部投げたら終わりなんだし」

 

 

園部はそう言って、十二本で一式の短剣型アーティファクトを見せる。このアーティファクトは一本でも手元に残っていれば持ち主の下に帰ってくるが、ソウジが言うような弾幕のごとき投擲には向いていない。

 

仮に大量にナイフを用意したとしても、飛び道具は基本使い捨てなので材料の無駄使いになりかねない。もしくは同様の効果を持つアーティファクトを大量に生産したとしても、数が多くなれば取り回しに苦労する上、慣れれば簡単に対処されるとも予想していた。

 

 

「そこは問題ない。なければ作ればいいだけだからな」

 

 

ソウジはそう言うと、氷の短剣を瞬時に作り出す。そのまま流れるように投擲し、用意してあった的の中央へと突き刺した。

 

 

「氷なら魔力さえあれば幾らでも作れるし、強度もそこそこある。それにお前の場合、()()()()()()()()()()()()()()()()()。剣でなくても、カードや金槌、斧に槍、鉈、鎌、クナイ、手裏剣、ブーメラン、ボール、釘や皿などでも、お前が投げれば十分な凶器になる」

 

 

実際、ソウジの“投剣術”は剣にしか補正が入らない。もちろん投げること自体は可能だが、剣と比べると幾ばくか劣ってしまうのだ。だが、園部は投擲そのものに補正が入る。ゆえに、満足に投げられるなら、形状も大きさも自由。むしろ、投擲を前提とした形状の武器の方が最大限に活かせると言ってもいい。

 

とは言え、“宝物庫”を持たせたとしても、投げられるものを全部用意するなど無駄が過ぎる上、回収と取り回しの問題をクリアできなければ無意味だ。それらを氷を使うことで解決しつつ、ある機構も加えることで利点を最大限に活かそうとソウジは考えていた。もちろん、その機構はハジメに相談して実現可能だと確認済みだ。

園部もソウジの言い分に理解は示しつつも、肝心の問題点を告げた。

 

 

「……氷魔法への適性はないんだけど。後、そんな都合の良い魔法もないし」

 

「そこはハジメ製のアーティファクトだ。仮組の試作品は速攻で作らせたから、これを使ってまずは慣れろ。もちろん、本命はこれより強力なヤツだからな」

 

 

ソウジは金属プレート付きのグローブを園部に投げ渡す。最低限の仮組だが、詠唱要らずで使える仕様だ。園部はグローブをすぐに嵌めると、氷で見慣れた形状の短剣を形成しようとする。出来上がったのは、不恰好な形の短剣だったが。

 

 

「……綺麗に作れないんだけど」

 

「そこは今後の課題だ。今は単純な形……棒状でイメージして使用自体に慣れつつ、投擲の精度を高めろ。最低でもスナイパーライフルに匹敵する投擲が目標だからな」

 

「無茶ぶりが過ぎるわよ!!」

 

 

園部のツッコミをスルーしつつ、ソウジは遠藤へと向き直る。

 

 

「遠藤。お前は自立行動できる分身が作れるだろ」

 

「お、おう。三、四人くらいが限度だけど」

 

「なら、某忍者の多重○分身のような千体分身も理論上は可能だろ。一人で全部動かすわけじゃないからな」

 

「千体!?いやいや、さすがに無理だって!」

 

 

またしても無茶な要求とも取れる言動に、遠藤は首をブンブンと振って否定する。

 

 

「あくまで理論上だ。オレが言いたいのは、分身の数を増やせってことだ。お前に施すのは……分身を目眩ましにした“暗殺”だ」

 

「分身を目眩まし……?」

 

「ああ。お前は影が本当に薄いからな。大量に分身しても、その全員を相手が把握するのは不可能に近い。加えて、お前にはソイツ―――アバドンもいる。とにかく、一度分身してみろ」

 

「わ、分かった」

 

 

遠藤は頷くと、三人に分身する。左手の魔物、アバドンも一緒に。ちなみにアバドンの名前は遠藤命名である。

 

 

「あれ?お前も分身したのか?いや、持ち物も一緒に分身されるから不思議じゃないのか?」

 

「どっちにしろ好都合だろ。分身も毒攻撃ができるんだからな」

 

「た、確かに」

 

「つうわけで実戦訓練だ。フィアと模擬戦して個人の技量を上げろ。念のために言っとくが、毒は無しだからな」

 

 

分身も含めたアバドンがガーン!とショックを受けたような反応をしているが、今回の目的は地力の底上げだ。毒で麻痺らせたりしたら訓練の意味がない以上、毒の使用はご法度なのである。

 

 

「毒なしでもサポートはできるだろ。木の枝とか葉っぱとか……足場作りからの跳躍補助はできるだろ。毒の棘を飛ばせるんだからな」

 

 

その手があったか!と言わんばかりに、アバドンがガッツポーズを取る。ここまで意志疎通ができる魔物は珍しいが、《キライマスシリーズ》の試作体みたいだからそういうものかと、ソウジは一旦隅へと追いやった。

 

 

「フィア、手加減抜きで遠藤をシゴけ。自慢の幻影戦法を使って、手本を見せてやれ」

 

「フフ、承りました」

 

 

フィアは一礼すると、幻影による分身も作り出すと同時に大鎌も幻影で作り出す。大鎌がいつも携帯しているものでなく幻影なのは、ハジメに預けているからだ。装備の新調だけでなく、既存武器への大幅な強化も施すため、ドリュッケンや四皇空雲、ヤークトに紅雪も強化の為にハジメ預かりとなっているのだ。

 

最悪一から組み直すかもしれないが……現物があれば改造しやすいので別にいいだろう。

フィアが遠藤との模擬戦に入ったのを確認し、ソウジは改めて園部へと向き直り、“宝物庫II”から紅雪・模擬二十本を周囲に展開した。

 

 

「園部、お前も実戦形式で鍛える。紅雪・模擬の攻撃を躱しながら、唯の的に当てろ」

 

「本当にスパルタね!?色々と詰め込み過ぎじゃない!?」

 

()()()での強化期間は実質三日しかないんだ。悠長にやる暇なぞないから、さっさと始めるぞ」

 

 

ソウジは仁辺もなくそう告げ、紅雪・模擬で容赦なく園部に攻撃を仕掛けていく。返答聞かずの先制攻撃に、園部は大慌てでゴム刀身の鋭い振り下ろしを避けた。

 

 

「ただ単に避けるな!回避と同時に武器を投げて的に当てろ!回避だけなら、お前が唯の的だぞ!!」

 

「だーかーらー!無茶ぶりが過ぎるって!!」

 

「打撲程度で済み、動かない的に当てるから無茶ではない!使い方も動きも、身体と感覚で覚えろ!息を吸うかの如く、自然な動作を目指せ!息切れしそうでも、気力と根性で動け!敵はお前の体調や心情なぞ、知ったことではないからな!むしろ、格好の機会だと攻めてくるぞ!!」

 

「ああもう!やってやるわよ!!」

 

 

園部は半ばヤケになりつつも、紅雪・模擬の攻撃を避けながら、氷の棒を投げ飛ばす。無論、狙いが定まってないから当たる筈もなく、投げた隙を付かれて頭を叩かれたが。

 

 

「そうだ!先ずは動け!狙いと精度は後の課題として上げていけばいい!そして、投げたら終わりにせず、次に動け!!ハジメに救われた命を無駄にしたくないなら、死にもの狂いで喰らいつけ!!」

 

「は……ハァ!?な、なんでそこで南雲のことが出て―――アイタァ!?」

 

 

相変わらずのスパルタ方式で鍛え上げようとするソウジ。本人も宣言した通り、強化期間は実質三日なのだ。時間がかなり限られているので、かなりハードに行くつもりである。

そんな容赦ない訓練開始から一時間後。

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

二人は見事に大の字となって地面に転がっていた。今までの訓練と比べものにならないハードさに、先に体力と魔力が尽きてしまったからである。

そんな実力の低さを痛感してか、弱気となった遠藤がボソリと言葉を零した。

 

 

「……こんだけボロボロなのに、本当に強くなれるのかな?」

 

「なれる。人間、死にもの狂いで頑張ればどうとでもなる。その最たる例が、目の前にいるだろ」

 

「……南雲と違って、五体満足な空山が言っても……」

 

「五体満足?違うぞ。オレも身体の一部を喪っているぞ」

 

 

ソウジはそう言って右のズボンの裾を捲り、義足の存在を露にする。生身ではない、明らかな硬質な脚に、園部と遠藤は目を丸くした。

 

 

「……お前、義足だったのか?」

 

「奈落に落ちたその日に喪ったからな。最初は鞘、次は氷、この義足はオルクス攻略後だ」

 

「片足を喪うって……片腕を喪うよりハードじゃない」

 

 

むしろハジメよりハードだったのでは?と園部と遠藤は揃って同じことを思った。片腕を喪うのもヤバいが、片足を喪うよりは大分マシと思えるからだ。何せ、足は片方でも無くせば移動すら満足にできなくなるし、ましてや化け物だらけの環境では致命的すぎる。それが平均のステータスしか持ってなかったら、尚更だ。

 

 

「……ゴメン、空山」

 

「別に気にしてない。見た目じゃ分からないからな」

 

 

園部の申し訳なさそうな謝罪に対し、ソウジは本気で気にした様子もなくそう返す。元から不幸自慢をする気もないし、そんな事で一々文句を言うつもりもないからだ。

 

 

「息が整ったなら、訓練を再開するぞ。次は相手を変えてな」

 

 

ソウジは竜殺剣を取り出すと、遠藤に向き直る。フィアも園部と向き合い、臨戦態勢だ。

 

 

「え?ずっとメイドさんとの手合わせじゃないの?」

 

「バカ抜かせ。どっちも複数同時に戦う経験を積ませなきゃいけないだろうが。だから、お前は分身の連携で攻めてこい。もちろん、改善点や案も出してやる」

 

「いや……体力もだけど、魔力の方も……」

 

 

遠藤がそう告げると、アバドンが「こちらをどうぞ」と言わんばかりに小さな木製コップ?を遠藤へと差し出す。コップの中には、色が怪しい液体が入っていた。

 

 

「えっと……これは……?」

 

パタパタ

 

「……疲労と魔力回復に効く毒?薬じゃなくて、毒?」

 

「……薬は少量の毒とも言うし、あり得ないことでもないのか?」

 

 

互いに意思疎通できていることには敢えて無視しつつ、ソウジは試しに飲めと視線で訴える。遠藤は意を決して飲むと……不味そうな表情をした。

 

 

「……めちゃくちゃ苦い」

 

「味の感想はいい。肝心の効果はどうだ?」

 

「……身体が嘘のように軽い。後、魔力も十分に漲ってる」

 

「効果は抜群か。なら、アバドン。園部の分も用意しろ。手持ちの回復薬より抜群そうだからな」

 

「ええ!?」

 

 

自身も飲まされることに園部はすっ頓狂な声を上げるも、飲まない選択肢は与えられる筈もない。

結果。

 

 

「ウェェ……」

 

 

園部は今にも吐きそうな表情で、涙目となって蹲ることとなった。もちろん、疲労も魔力も回復したが。

二人が回復したので、スパルタ方式のハードな訓練が再開される。当然ながら、手心は一切加えない。そんなものは無意味であり、逆に失礼だからだ。

 

 

「うぉあっ!?」

 

「臆してビビり腰になるな!オレにタックルを仕掛けたガッツを見せろ!冷静に状況を見極め、踏み込んでこそ、勝機を掴める!」

 

 

竜殺剣の腹によるスイングと紅雪・模擬の波状攻撃にビビり腰になりかけた遠藤だったが、ソウジの発破で気を引き締めたのか、二体の分身と共に波状攻撃を掻い潜り接近していく。

分身の一体がソウジの視界を潰すようにように迫り、本体を含めた二体は死角に潜り込むように背後を取る。ソウジは竜殺剣のフルスイングによる回転で凌いだが。

 

 

「そうだ!相手の視界を潰し、自身の捕捉をより困難にさせろ!波状攻撃は左右だけでなく、上下も加えろ!迎撃されても、置き土産を残すつもりでいけ!己の持ちうる武器を、最大限に活かせ!」

 

「お、オスッ!!」

 

 

攻撃を扱きつつも改善点や案を告げ、ソウジは遠藤を鍛え上げていく。そして一時間後、ソウジは再び園部への指導に入る。

 

 

「近くの的への単発の投擲は、手首のスナップだけで行え!距離が近い状態での大振りは、イタズラに隙を晒すことになる!一度に多くを投げられないなら、今は最小限の動きを意識しろ!」

 

「わ、わかった!」

 

「今のは悪くなかったぞ!無理に躱すのではなく、敢えて受け止めることで相手の力を利用して距離を取る。そこに投擲も加えれば尚良かったぞ!」

 

「そ、そう?」

 

 

褒めるべきところは褒めつつ、更なる改善点を上げる。例え偶然だとしても、戦闘スタイルに噛み合うなら組み込んでいく。遠藤の方も分身の数を六体に増やし、フィアの幻影戦法に喰らい付いている。

かなり濃密な数時間の特訓で二人が再び地面に這いつくばる中、ハジメと香織が最奥へと合流した。

 

 

「材料は集め終えたか?」

 

「一通りはな。後、例の部屋で予想外の物が見つかった」

 

 

ハジメはそう言うと、ダイヤモンドのように見えるピンボールサイズの鉱石を“宝物庫”から取り出す。それは、オスカー達が使っていた映像記録用のアーティファクトと非常によく似ていた。

 

 

「それは記録用のアーティファクトか?もしかして……」

 

「ああ。お前の想像通りだ」

 

「なら、ユエに見せるべきだな。ユエは……」

 

「言わなくても分かるさ。ユエのいる場所くらいはな」

 

 

ハジメはそう言って、建物の中へと入っていく。ソウジの想像通りであれば、あのアーティファクトはユエの叔父―――ディンリードが残したものだろう。そして、その内容もおそらくユエに対して残したものであることも。

 

 

「ソウジくんは気にならないの?」

 

「気にならないと言えば嘘になるが……さすがに無神経だろ」

 

「ふふ、そうだね。私の場合は不可抗力だけど」

 

「それはハジメもだろ」

 

 

それから少しして、建物からハジメ、レミア、ミュウ、アタランテ、そして―――目尻に涙を浮かべたユエが出て来る。

 

 

「もう見終わったのか?」

 

「いや、これから見るところだ。ユエが、お前にも見てほしいみたいだからな」

 

「……ん。ソウジもあの頃から一緒にいた仲間。だから、叔父様のメッセージを一緒に見てほしい」

 

「……私たちは席を外した方がいいかな?」

 

 

園部の質問に、ユエは頭を振る。どうやら一緒に見ても良いようだ。

そうしてディンリードが残したアーティファクトから流れたのは、自身の口から語られる真実。ユエを幽閉した本当の理由と、ユエを深く傷つける方法しか取れなかった自身の無力さと悔恨。そして、ユエへの深い愛情と共に在る者との幸せを願う記録であった。

 

その映像でディンリードの真意を知ったユエは泣き崩れ、アタランテたちも目尻に涙を浮かべながらユエに寄り添っていく。園部と遠藤もそんなユエたちを見守る中、ソウジは真剣な表情でハジメに向かって口を開いた。

 

 

「……ハジメ」

 

「……何だ?」

 

「絶対に連中をぶっ殺すぞ。“幸せ”を根っこから破壊しようとする敵は、一切の慈悲なく抹殺する」

 

「ああ。オッサンの“確約”を反故にする気はないし、ユエの幸せを踏みにじろうとする“敵”は絶対に殺す」

 

 

殺意と殺気を漲らせ、改めて連中を始末せんと誓うハジメとソウジ。物騒な発言であるが……今回ばかりは頼もしさが勝ちまくっていた。

 

 

「まずは園部と遠藤の専用装備だな。構想はこんな感じでまとめてある」

 

 

ハジメは簡易な設計図を取り出すと、園部と遠藤に見せる。その設計図を見た園部と遠藤は何とも言えない表情をした。

 

 

「……俺専用と言うより、アバドン専用の気がするんだけど」

 

「……これ、本当にできるの?出来れば確かに強力だけどさ」

 

 

方向性は違えど微妙な反応をする園部と遠藤。色々と疑問はあるが専用装備には違いなく、強力なアーティファクトなのも容易に想像がつく。

 

 

「ちなみに名称は“モイヒレリッシュ・ギフト”と“アイス・ヴァッフェ”だ」

 

「……香ばしい名称ね」

 

「俺も園部さんの意見に同感だ。全部の武器に名前を付けてる南雲らしいけどさ」

 

「ちなみに遠藤には、ハウリアの連中に渡す装備と同じものを幾つか渡すつもりだ。同じ“暗殺者”だから問題なく使えるし、装備の数で言えば遠藤の方が多くなるな」

 

「え?マジでいいの?俺、優遇されすぎじゃない?」

 

 

遠藤はアーティファクトの大量支給に思わず目を白黒させて問いかけるが、この程度は優遇でも何でもない。それに、遠藤だけを強化するつもりもないからだ。

 

 

「園部の方も、既存のアーティファクトに空間魔法を付与する予定だ。現段階では回収に利用する程度だが、実力の向上次第では、それ以上の効果も付与するつもりだ」

 

「……本当に訓練がハードになりそうなんだけど」

 

 

更に激しい訓練になりそうだと、園部だけでなく遠藤も頬を引き攣らせるのであった。

 

 

 




「うぅ……相変わらず苦い……」

「せめて無味にして欲しいわ……」

フルフル

「え?美味しくしたり味なしだと、依存しそうだから敢えて苦くしてるって?」

「……確かに依存しそうね」

意外と気配りしていたアバドンの図。
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