魔王の剣   作:厄介な猫さん

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出来上がったので投稿
てな訳でどうぞ


扱いの差

アタランテを連れて行く事を取引で決めたソウジはアタランテを連れ、ハジメとユエにその事を報告するために二人の下へと戻って行くと。

 

 

「断る」

 

 

ハジメがウサミミ少女に対して何らかの断りをしていた。何を断ったのか微塵も興味のないソウジはそのままハジメ達に近づいていく。

 

 

「ソウジ、そっちはどうなった?」

 

「結論から言えばコイツを肉壁として同行させる事にした」

 

「は?どういう事だよ?」

 

 

ソウジは訝しむハジメにアタランテから聞いた話を簡潔に伝えていき、取引の事も話していく。

 

 

「……コイツを連れていくより、この場で洗いざらい吐かせたらいいだろ」

 

 

話を聞き終えたハジメの第一声は、情報だけ吐かせてポイしろ、という当然の反応であった。アタランテは確かに厄介事を抱えているので普通は同行させるべきではない。

 

 

「それはオレも考えた。だが、アタランテからしたらどうでもいい事でもオレ達からしたら重要な情報もあるかもしれない。それにライセンの迷宮でアタランテは使えるし、その後も戦力に出来る可能性もあるからな」

 

「……成程な。確かにこの場所で普通に魔法が使えるのは大きなアドバンテージだな。ユエはどう思う?」

 

 

ソウジの言い分に理解を示したハジメは傍で話を聞いていたユエに意見を求めると。

 

 

「……確かに役に立ちそう。心のオアシスに」

 

 

ユエはアタランテのとある部位に視線を向けながら肯定していた。

 

 

「……何処を見て言っているのだ?」

 

 

アタランテの表情は窺えないが、手作りであろう木製の弓と手から顕れた翠色で発光している矢を構えユエに狙いを定めているのでやはりご立腹のようである。

 

 

「……下には下がいると教えてくれてありがとう」

 

 

ユエが微笑みながら口にしたその言葉で、アタランテはその場で四つん這いとなって崩れ落ちた。

 

 

「……何故あのクソは私の胸を小さく………顔を変えればいいのに何故……!」

 

「……ごめんなさい、言い過ぎました」

 

 

アタランテの顔辺りからポロポロと滴が垂れていたので、さすがにユエも申し訳無さそうに頭を下げて謝罪した。

 

 

「……取り敢えず同行させていい、という事でいいのか?」

 

「……まぁ、ユエが反対しないなら別にいいか。だけど責任はお前が全部持てよ」

 

「勿論。オレがした取引だからな」

 

 

アタランテの同行が正式に決定し、ハジメとユエも立ち直ったアタランテに互いに挨拶し、いざ出発!とした矢先。

 

 

「ちょ、ちょ、ちょっと!何で私のお願いは断って、そちらのぺったんごッ!?」

 

 

先程までポカンとしていたウサミミ少女は漸く我に返って抗議の声を上げ、再び言ってはならないセリフを吐こうとした瞬間、アタランテからラリアットを頂戴し、地面を転がっていく。

胸の話はアタランテにはご法度だな、と三人は思いつつ再び出発しようとするもウサミミ少女はハジメの脚に飛びついた。

 

 

「どうして助けてくれないんですかぁ!?」

 

 

涙目でハジメの脚に必死にしがみつくウサミミ少女にハジメは溜め息を吐きながらジロリと睨む。

 

 

「あのな、俺がお前らを助けて、何のメリットがあるんだ?」

 

「メ、メリット?」

 

「アタランテは厄介事を抱えてはいるが、それはいずれ俺達も通る道な上にアタランテからの情報で事前に対策が打てにいける、俺達の旅に支障がでない、ここの魔物を単体で倒せている事から戦力としても期待が出来そうとメリットがある。それに対してお前は樹海から追放されているわ、帝国に追われているわでデメリットしかない。仮に助けたとしてもその後もまた俺を頼るんだろうから旅に支障が出る。そもそも“未来視”とかいう未来が見える能力がありながら何でこうなっているんだよ?」

 

「その……友人の恋路が気になって……自分で使うと暫く使えなくて……」

 

「やっぱ、ダメだな。お前がダメすぎだわ。この残念ウサギが」

 

 

あまりにもお粗末すぎる理由にハジメは完全に呆れ、ウサミミ少女の目的を大体察したソウジも厚かまし過ぎるウサギに溜め息が洩れる。そんな中、意外な所からウサミミ少女に援護が来た。

 

 

「……ハジメ、連れて行こう」

 

「ユエ?」

 

「本気か?」

 

「!?ありがとうございますぅ!!ぺったんこと言ってゴメンなふごぉっ!」

 

 

ユエの言葉にハジメとソウジは訝しそうに、ウサミミ少女はまたしても余計な事を言い、アタランテから右ストレートのパンチを顔に見事に食らってその場に崩れ落ちた。

 

 

「……樹海の案内に丁度いい」

 

「「あ~」」

 

 

ユエからもたらされた理由にハジメとソウジは納得する。

樹海は亜人族以外では必ず迷うと本にも書かれていたため、このウサミミ少女とその仲間に報酬として案内させればいいという考えなのだろう。

 

 

「それに、私達は最強だから大丈夫」

 

「……まあ、ユエがそう言うなら……ソウジもそれでいいか?」

 

「構わねぇよ。樹海の探索が楽になるからな」

 

「確かにな。という訳だ残念ウサギ。お前達を樹海の案内に雇わせてもらう。報酬はお前らの命でな」

 

 

ユエの力強い言葉にハジメは諦めるように方針を決め、確認を取られたソウジも特に反対する理由もないので了承する。強力な助けを得られたウサミミ少女は―――

 

 

「あ、ありがとうございますぅ!!けど、その前に助けてくださ~い!!」

 

「……ふん!」

 

 

アタランテに逆海老固めを決められていた……

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

アタランテの怒りを何とか収め、ソウジ達はウサミミ少女―――シアの案内でシアの仲間の元へとバイクを走らせている。

ちなみにハジメのバイクにはユエとシア、ソウジのバイクにはアタランテが乗っている。ハジメは最初はシアをソウジに押し付けようとしたが、シアがハジメから離れようとしなかったので渋々といった感じで諦めたのでこの構成となった。

 

 

「つまりソウジとハジメはヤツの“遊戯の駒”として召喚されたという事か……」

 

「結論から言えばそうだ。だからさっさと元の世界に帰る為に大迷宮の攻略を目指している」

 

 

道中、後ろに座るアタランテがソウジに旅の目的を聞いてきたので、ソウジも特に隠す気がなかったので自身の経緯を軽く説明し、最終目標をハッキリと告げる。

 

 

「確かに神代魔法を得られれば、お前達の世界に帰る事も可能かもしれないな。少なくともあのクソ神は絶対に召喚した者達を元の世界に還しはしない。飽きたら手下の人形と狂信者を使って周りを煽動、誘惑して壊すヤツだからな」

 

「聞けば聞く程、その神のゲスっぷりが窺えるな……ちなみに神代魔法について何か知っているか?」

 

「残念だが、私はそこまで詳しくはない。知っているのは神代魔法の名称―――生成、重力、空間、再生、魂魄、昇華、変成だという事くらいだ」

 

「名称からして空間魔法がオレらの望みに近そうだな。その魔法が得られる大迷宮はどこだ?」

 

「それもわからん。当時は使い手の名に興味がなかったから覚えようとすらしなかった位だからな。それに彼らも上手く隠れていたしな」

 

「……まあ、魔法の種類が分かっただけでも御の字か·····悪いが飛ばすぞ」

 

 

然り気無い爆弾発言をかましまくるアタランテにソウジは呆れつつも、前を走っているハジメがバイクの速度を上げたので、ソウジもそれに続いてバイクに魔力を注ぎ一気に加速させていく。

走らせて二分、ドリフトしながら最後の大岩を迂回した先にはウサミミを生やした集団が数匹のワイバーン擬きの魔物に襲われている所だった。

 

 

 




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