魔王の剣   作:厄介な猫さん

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出来上がったので連投!
てな訳でどうぞ


ミレディ・ライセンとの因縁(笑)

ハジメがドリュッケンをシアに渡し、ブルックの町を出て、ライセン大峡谷にソウジ達は再び来ていた。

 

ズガンッ!!ゴバッ!!ヒュカッ!!ジュッ!!ドパンッ!!

 

道中の魔物はシアがドリュッケンで粉砕、ユエが魔力にものを言わせた強引な超高温の炎の魔法で焼き、アタランテが爆裂魔法の矢で腹部を吹き飛ばし、ソウジが不知火の熱線で頭部を焼き抜き、ハジメもドンナーで頭部を撃ち抜いていく。

道中の魔物が完全にザコ扱い、否、素材を回収されているからいいカモである。

 

 

「素材を回収しながら進むのはいささか面倒だな」

 

「売れば金になるし、金はあった方が困らないだろ。……食費にな」

 

「……確かにそうだな。アイツがあんなに食べるとは思わなかったな」

 

「美味しいご飯に餓えているんだろうな。今までは魔物の肉しか食ってなかったし」

 

 

アタランテ曰く、“神の使徒”は基本は食事をしないが、自分は大幅に力が低下したせいか食事をしないと活動に支障をきたすようになったそうだ。それでこの八百年、美味しくもない魔物の肉を食べ続けたのだ。だから外の世界の“美味しいご飯”はアタランテにとっては余程衝撃的だったのだろう。あの朝ご飯も物足りなさそうな顔をしていたので、ユエ達が買い出しに行った時の食料も結構大量に買って来ていた。

ハジメとソウジは最初これだけあれば大丈夫だろうと考えていたが、野営の時の食事で全部食べ終わり、アタランテが皆の二倍も食べたにも関わらず物足りない顔を見て戦慄。下手したら食費で資金が底を漬きかねないと悟った。

なので道中の魔物は極力素材を回収しながら進む羽目となり、ある意味時間のロスとなっていた。

そうして進みながら、オルクスの洞窟を過ぎ去ってから五日目。ソウジ達はついに目的の場所へと辿り着いた。

 

 

「これが言ってたやつか……」

 

「確かにダミーの可能性を疑うわ……」

 

「ん……」

 

 

実物を見たハジメ、ユエ、ソウジの三人は、あの時のアタランテの言葉に改めて激しく同意した。

 

“おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪”

 

確かにアタランテの言っていた通りの看板がそこにはあり、刻まれている文字は妙に女の子らしい丸っこいもので、“!”や“♪”のマークが妙に凝っている。

大迷宮の過酷さを知る三人は、その軽すぎる看板に本当にここが大迷宮なのか?と改めて疑わしい気分になり、アタランテも頷いて激しく同意していた。

 

 

「これが大迷宮の入り口ですか~。でも入り口らしき場所は見当たりませんね?」

 

 

そんな中、シアは彼等の微妙な心理に気づくことなく、入り口を探して辺りを見渡したり、壁の窪みの奥の壁をペシペシと叩いている。そして……

 

ガコンッ!

 

音と共にシアの触っていた壁が忍者屋敷の仕掛け扉のように回転し、巻き込まれたシアはそのまま壁の向こう側へと姿を消した。

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

奇しくも入り口が存在していた事で看板の信憑性が増してしまい、一同は溜め息を吐くと、シアと同じように回転扉に手をかける。

扉の仕掛けが作用し、扉の向こう側へと送られる。真っ暗な空間の中、彼等を出迎えたのは。

 

ヒュヒュヒュ!

 

無数の風切り音と、ソウジ達に飛来して来る何かだった。ハジメとソウジ、アタランテは“夜目”によってその正体が光を反射しない漆黒の無数の矢だと暴く。

ハジメはドンナーと義手の左腕、ソウジは炎凍空山と風雷南雲を使って飛来する漆黒の矢を尽く叩き落とす。

二十本の矢を全て叩き落とすと同時に、周囲の壁がぼんやりと光りだし辺りを照らし出す。十メートル四方の部屋の中央には石板があり、看板と同じ文字である言葉が彫られていた。

 

“ビビった?ねぇ、ビビっちゃったの?チビってないよね?ニヤニヤ”

 

“それとも怪我した?もしかして誰か死んじゃったかな?……ぶふっ”

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

この時の四人の内心は「ウザイ」と見事に一致しており、特に“ニヤニヤ”と“ぶふっ”の部分だけ彫りが深く強調されているのが腹立たしい。

 

 

「……シアは?」

 

「「「あ」」」

 

 

思い出したように呟いたユエの言葉でソウジ達も思い出し、背後の回転扉へと振り返り、未だシアが現れなかったので回転扉を作動させると。

 

 

「……ぐすっ、見ないで下さいぃ~。こんなことなら、先に済ませておくべきでじたぁ~!!」

 

 

シアはいた。回転扉に縫い付けられた姿で。しかも足元が濡れているというオマケつきで。

そんなシアの姿に、流石に同じ女として同情したのかユエとアタランテがシアを磔から解放した。

その後、シアの着替えも終わり、いざ迷宮攻略へ!と意気込み、奥へ進もうとして、シアが石板に気がつき、ドリュッケンを何度も降り下ろし、粉砕していく。

粉砕した石板が置かれていた場所、その跡地にも何やら文字が彫られてあり、そこには……

 

“ざんね~ん♪この石板は一定時間経つと自動修復するよぉ~プークスクス!!”

 

“これを見たという事は、あのペッタンコなクソ人形に劣る矢にやられたということだよねプギャー!!”

 

 

「ムキィーーーーーーー!!」

 

 

シアがマジギレして更に激しくドリュッケンを振るっていく。

 

 

「……なぁアタランテ、今の文字……」

 

「……フ、フフフフフフ……」

 

 

明らかに誰かを指して馬鹿にしている言葉にソウジがアタランテの方へ顔を向けると、当の本人は顔を俯け不気味に笑っていた。

 

 

「そうかそうか……私の事をペッタンコと呼んでいたあの金髪少女がミレディ・ライセンだったのか……当時は何故かイラッと来る程度でその意味が分からなかったが……」

 

 

次の瞬間、アタランテが咆哮をあげた。

 

 

「誰がペッタンコだ!!貧乳だ!!無駄のないスタイルと言え!!そもそも貴様も大して胸はなかっただろう!!この恨み、この迷宮を攻略することで晴らしてやる!!あの世から悔しがって見てるがいい!!ミレディ・ライセェエエエエエエエエエエン―――ッ!!!!!!」

 

 

発狂するシアと、雄叫びをあげるアタランテを尻目にソウジ達はポツリと呟いた。

 

 

「アタランテに関しては自業自得の面もあるが……」

 

「ミレディ・ライセンだけは人類の敵で問題ないな、うん」

 

「……激しく同意。後、絶対に攻略する」

 

 

それぞれの思いを胸に、ライセン大迷宮の攻略が始まる。

 

 

 




日常での迷宮発見

「本物ぽいっな」

「何度も書き直してるし、センスも古いし間違いないだろ」

「初めて見た時にこんなには書かれてなかったな·······見抜けなかったことがこんなに屈辱に感じるとは····!」

入り口で悔しがるアタランテの図


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