魔王の剣   作:厄介な猫さん

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出来上がったので投稿!!
てな訳でどうぞ


VSミレディ・ライセン

ズガァアアアアアアアン!!

 

オルカンと砲撃モードの轟天丸から放たれたロケット弾はミレディへとまっすぐ突き進んで直撃し、盛大な爆音を響かせる。

 

 

「やりましたか!?」

 

「……シア、それ、フラグ」

 

「あれで倒せるならここまで苦労しないだろう……」

 

 

喜色を浮かべるシアに、ユエとアタランテがツッコミを入れる。ユエとアタランテの言う通り、煙の中からヒートナックルが現れて横凪ぎに振るい、煙を吹き飛ばしていく。

煙が晴れた奥からは、両腕の前腕部が砕かれながらも未だ健全なミレディが現れた。しかも周囲のブロックを欠けた両腕の材料にして再構成していく。

 

 

「いきなり先制攻撃かぁ~、その程度じゃあ私は倒せないよぉ~?それじゃぁ、死なない程度に頑張ってねぇ~」

 

 

そう楽しそうに笑って、ミレディはフレイル型のモーニングスターをソウジ達に向かって射出した。予備動作無しで猛烈な勢いで飛び出したモーニングスターを……

 

 

「―――ラァッ!!」

 

 

ソウジが大剣モードに切り替えた轟天丸を振るい、真っ二つに切り裂く。真っ二つに切り裂かれたモーニングスターはそ二つに別れたままソウジ達がいたブロックを通過していく。ついでに鎖も斬っておいたので早々に引き戻されることもないだろう。

 

 

「おお、やるねぇ~、でもこれならどうかなぁ?」

 

 

嫌ったらしい口調でミレディがそう言うや否や、宙に浮くゴーレム騎士が多数現れソウジ達を囲っていく。

 

 

「総勢五十体の無限に再生する騎士達も加わったらどうなるのかなぁ~?」

 

「……いちいちうるさい」

 

「挑発する余裕があるのか?」

 

 

ユエは水筒から放つ“破断”で、ハジメは宝物庫から取り出した六砲身のバレルのガトリング砲メツェライでゴーレム騎士達を瞬く間に無残な姿にへと変えていく。

 

 

「ちょっ、なにそれぇ!?さっきのアーティファクトといい、見たことも聞いたこともないものばっかり持っているのぉ!!」

 

 

ミレディの驚愕を他所に、ソウジは左目の魔眼石でミレディゴーレムに核がないか調べていく。

 

 

「……なんだ。お前にはちゃんと核があるのか·····奴の核は心臓と同じ場所にあるぞ!!あれをぶっ壊すぞ!!」

 

「な、何で、わかったのぉ!!」

 

 

ソウジの報告に、再度、驚愕の声を上げるミレディを無視し、アタランテが爆裂魔法を付加した魔力矢を長弓形態のヤークトで何本も放って核を狙い撃つも、ミレディの目が一瞬光ったかと思うと、彼女の近くの幾つもの浮遊ブロックが猛烈な勢いで移動し、即席の盾となってアタランテの矢を全て防いでいく。

 

 

「操れるのは騎士だけとは一言も……」

 

「くらいやがれ!ですぅ!」

 

 

ミレディのニヤつく声音を遮るように、爆発によって立ち上った煙からシアが現れ、極限まで強化した身体能力でドリュッケンの一撃を叩き込もうとする。

 

 

「甘いよぉ~」

 

 

ミレディはそう言いながら右手のヒートナックルをシアに向かって振るう。

 

ドォガガガン!!

 

シアのドリュッケンとミレディのヒートナックルが激突し、凄まじい轟音を響かせる。シアは気合いを入れ、力を込めて対抗するが、ゴーレムの力には敵わず、吹き飛ばされてしまう。

 

 

「パワーでゴーレムが負けるわけないじゃ~ん。出直して……」

 

「甘ぇよ」

 

 

ミレディが小馬鹿にした言葉は炎凍空山と風雷南雲を交差するように構えて懐に潜り込んでいたソウジによって中断される。ソウジはそのまま十字を切るように振るい、胸部の甲冑に十字の傷を刻みつける。だが……

 

 

「……」

 

 

ソウジは核ごと斬るつもりで振るったにも関わらず、刀から伝わってきた感触から眉間にシワを寄せる。その間にミレディが左の拳をソウジに叩き込もうとするも、ロケット弾と魔力矢がミレディに直撃し、大爆発によってその場から飛ばされていく。

ソウジも爆発によって飛ばされながらも近くの浮遊ブロックに着地し、ハジメ達がそのブロックに集まってくる。

 

 

「……届かなかったの?」

 

「……もの凄く硬い感触が伝わってきた。おそらくあの装甲の奥にはアザンチウムが仕込まれているぞ」

 

 

ソウジのその言葉に全員、苦虫を噛み潰したような表情となる。アザンチウム鉱石はこの世界最高硬度を誇る鉱石であり、その硬さは薄くコーティングする程度でドンナーの最大威力を耐えしのぐ程だ。

 

 

「正か~い。だけど思わずちょっとヒヤッとしたよぉ。分解作用でぺったんこちゃん以外はマトモに魔法が使えないこの空間でぇ~、浅いとはいえ、これに傷を付けるなんてねぇ~」

 

 

わざとらしく浅い十字の切り裂かれた跡が付いた漆黒の装甲を指差すミレディ。もし魔法が万全に使える状態であったならば、先の一撃で終わっていただろう。だが、この場はミレディに味方していた。

 

 

「皆さん!避けてぇ!()()()()()()!!」

 

「と、いうわけでぇ~、一斉に“落とさせて”もらうよぉ~」

 

 

シアが突如警告し、ミレディがそう言うと同時に空間全体が鳴動する。低い地鳴りのような音が響き、天井からバラバラと破片が、いや、天井そのものが落下してくる。

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

「ふふふ、数百単位の雨あられ、見事凌いで見せてねぇ~」

 

 

ミレディの呑気な言葉に苛立つが、これから襲いかかるのは軽く十トン以上はあるブロックの豪雨なのだ。今は襲いかかる天からの巨石群に集中しなければならない。

 

 

「ソウジ!二手に別れるぞ!!」

 

「ああ!!」

 

 

ハジメはユエとシアを抱え、ソウジはアタランテを脇に抱えて別々の方向へ飛びさっていく。全員まとまるより、二手に別れて回避した方がミレディの狙いを分散できると考えたからだ。実際、巨石群は二手に分かれ、ソウジ達に襲いかかっている。だが、数百単位の巨石は視界の全てを覆っていく。

ソウジは砲撃モードの轟天丸を取り出し、同時に“瞬光”を発動させ、弾頭を試作型宝物庫から()()装填するという荒業を使い、残り少ないロケット弾を次々と発射して粉砕していく。アタランテもここが踏ん張りどころと判断したのか、体から翠の光を溢れさせる。使徒の能力の一つである擬似的な“限界突破”を使い、今までの三倍の速度で魔力矢を発射して、同じく巨石群を粉砕していく。

その甲斐あって、天井へと続く僅かな隙間が出来上がり、ソウジは轟天丸を仕舞って躊躇わずにそこを目指す。巨石の欠片という弾幕を針の穴を通すような最小限の動きで回避し、避けきれない欠片はアタランテが短弓形態で、爆発する魔力矢を放ち、軌道を逸らしていく。

そうして、アタランテの補助を受けているソウジはその活路を手繰り寄せるために固有魔法、“限界突破”を使う。ソウジの体を一瞬、蒼い光が包み込むも、迷宮の魔力分解作用により直ぐに霧散する。だが、内面の知覚能力の拡大はキャンセルされず、“瞬光”によって引き上げられた知覚能力が更に引き上げられる。限界を超えた限界で襲いかかる死を回避し続ける。

回避し続けていると巨石群の“落下”が止み、全ての物体が散開するように浮かび上がっていく。

 

 

「う~ん、やっぱり、無理だったかなぁ~、でもこれくらいは何とかしないとあのクソ野郎共には勝てないし、ぺったんこちゃんはどういうわけかわからないけどぉ、やっぱり能力が大幅にダウンしてるしぃ~」

 

 

ミレディが僅かな落胆を滲ませながらそう呟いている。その間にミレディの頭上の浮遊ブロックに上り、アタランテをそのブロックに降ろしてから竜殺剣を取り出し、急降下と共に竜殺剣を振るい、右腕を切り落とした。

 

 

「えっ……?」

 

 

突然右腕が切り落とされた事に茫然とするミレディ。そんな彼女に容赦なく追い討ちがかかる。

 

 

「“破断”!!」

 

 

ユエの声が響き渡り、幾筋もの水のレーザーがミレディの背後から襲いかかり、各部位の表面装甲を切り裂いていく。

 

 

「ちょっ、ど、どうやってあれを凌いだのぉ!?」

 

 

凌ぎきれず、押し潰されてしまったと判断していたミレディから驚愕と疑問が混じった声が上がるが、()()、その理由を答えるつもりはない。

 

 

「驚いている暇があるのか?」

 

 

死の豪雨をソウジと同じ状態で切り抜け、いつの間にかミレディの胸部にアンカーで張り付いていたハジメがシュラーゲンから放たれるレールガンを零距離で放ち、しがみついたまま浮遊ブロックの上にへと叩きつける。

 

 

「こ、こんなことしても……」

 

 

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュ!

 

ミレディの言葉を遮るように無数の魔力矢がミレディとその付近にへと刺さり、瞬く間にミレディと浮遊ブロックを凍らせて、ミレディを浮遊ブロックにへと固定してしまう。

 

 

「ナイスだ!!」

 

 

ハジメは翠翼をはためかせて宙に浮くアタランテに向かってそう言い、宝物庫から全身二メートル半程度ある、幾つものゴツゴツした機械が外部に取り付けられている巨大な縦長の大筒―――“パイルバンカー”を取り出す。四トン分の質量のある、直径二十センチ長さ一・二メートル、表面をアザンチウム鉱石でコーティングした杭の先端を十字が刻まれた浅い傷跡の中央―――核がある部分にへと突き立てる。

 

キュィイイイイイイイ!!!!

 

紅いスパークを放ち、高速回転の杭が奏でる旋律が響き渡る。ハジメはニヤァと笑い……

 

 

「存分に食らって逝け」

 

 

そんな言葉と共に漆黒の杭がうち放たれた。

 

ゴォガガガガガン!!!

 

凄まじい衝撃音楽と共にパイルバンカーが作動し、胸部のアザンチウム装甲にヒビを入れながら漆黒の杭が突き刺さる。

 

 

「ハ、ハハ。どうやら威力が足りなかったようだねぇ。まぁ、大分貫けたんじゃないかなぁ?」

 

 

若干、かたい声で、余裕を装うミレディ。ハジメの必殺の一撃は電磁加速が足りず本来の威力が発揮できなかった為、核の貫通には至らなかった。

―――だが、それも想定の範囲内である。

 

 

「シア!やれ!」

 

 

ハジメは杭以外のパイルバンカーを宝物庫にしまい、ミレディの胸部から勢いよく飛び退く。そこへウサミミをなびかせ、ドリュッケンを大上段に構えたシアが、遥か上空から自由落下に任せて舞い降りてきた。

 

ドゴォオオオ!!

 

シアはドリュッケンに搭載されているショットシェルを激発させ、その衝撃も利用した渾身の一撃を杭に叩き込む。それでもまだ貫通には至らず、シアは全身全霊、全力全開でドリュッケンを振るい続ける。

その凄まじい衝撃で浮遊ブロックと地面が激突し、最後のショットシェルを激発させながらドリュッケンを杭に叩き込む。

その最後の一撃はゴーレムの核を貫き……粉砕した。

ミレディの目から光が消える。それを確認したシアは力を抜き安堵の溜め息を吐く。直後、背後から着地音が聞こえたのでシアは後ろを振り向く。そこにはハジメとユエにソウジ、ソウジに肩を貸してもらっているアタランテがいた。シアが満面の笑みでサムズアップすると、彼らもそれに応えるように笑みを浮かべてサムズアップを返す。

ライセン大迷宮最後の試練が確かに攻略された瞬間だった。

 

 

 




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