魔王の剣   作:厄介な猫さん

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蹂躙劇開始
てな訳でどうぞ


殲滅戦

ドゥルルルルルルルルルルル!!!

ドゥルルルルルルルルルルル!!!

 

メツェライから放たれるレールガンの弾幕が、突進してくる魔物達を瞬く間に肉塊へと変えていく。毎分一万二千発の死が無慈悲な“壁”となり、屍山血河を築きあげていく。

 

パシュー

 

オルカンを担いだシアが片っ端からロケット弾を連続で放ち、着弾する度に周囲十メートルの魔物達を吹き飛ばす大爆発を巻き起こし、魔物達を爆散させていく。

 

パシュー

 

ジュバッ!!

 

不知火と轟天丸を手に持つソウジは、轟天丸から焼夷手榴弾と同じ、フラム鉱石という常温でタール状になる鉱石から抽出した液体入りの弾頭を放ち、魔物達の頭上で時間差で爆発して大量の炎を撒き散らす。轟天丸に弾頭を装填する間に不知火から放つ蒼い熱線を、レーザーカッターのように水平に振るい、迫り来る魔物達を焼き切るように両断していく。

ティオも突き出した両手の先から周囲の空気すら焦がしかねない黒い極光―――竜化状態で放たれたブレスを放ち、射線上の一切を刹那の間に消滅させ、水平に薙ぎ払って次々と消滅させていく。

 

ジークリンデもティオとは真逆の、周囲の空気が凍てつく程の水色の極光を放ち、射線上の魔物達を瞬時に身体の芯まで氷漬けにし、全てを凍てつかせていく。

アタランテは山なりに魔力矢を大量に飛ばし続け、その半分以上は魔物達に刺さらず大地に突き刺さっていく。だが、アタランテが右手を突き出した瞬間、大地に刺さった大量の魔力矢から翠の線が縦横無尽に迸っていき、瞬く間に直径百メートルの巨大な魔法陣を築き上げる。大地に刻まれた巨大な魔法陣が一際強く輝いた瞬間、魔法陣の中心の上空に直径十五メートル以上の巨大な闇色の球体が出現し、魔法陣内にいる魔物達が瞬く間に球体の中にへと吸い込まれていく。魔法陣内の魔物達を全て吸い込み終えてから少し経つと、その球体が消え、無惨な塊が現れて大地に落下していく。

 

使徒は光翼の羽を使って魔法陣を形成することが出来るそうで、アタランテはそれを応用して魔力矢での魔法陣の形成を可能としている。それを使って重力魔法を行使し、魔物達を一気に葬ったのだ。

ユエはソウジ達が攻撃を開始してもメツェライの弾倉交換だけしかしていなかったが、攻撃の手が薄いと判断した魔物達がユエ側から攻め込もうと流れ出す。彼我の距離が五百メートルを切った瞬間、メツェライの弾倉交換を中断していたユエが右手を掲げ、魔法名を唱える。

 

 

「“壊劫(えこう)”」

 

 

ユエが唱えた瞬間、魔物達の頭上に闇色の球体が出現し、すぐさま形を変え四方五百メートルの正四角形となる。そして、魔物達目掛がけて一気に落下し、一瞬で四方五百メートル、深さ十メートルのクレーターを作り上げながら魔物達を押し潰し、または術の境界線上の魔物達の体を寸断して圧殺する。

大規模な魔法は魔力の消費量が凄まじいが、彼女達は魔力タンク―――魔晶石から魔力を取り出し再び魔法を行使していく。

 

その現実とは思えない“圧倒的な力”と“蹂躙劇”に町の住人は歓声が沸き上がり、町の重鎮や護衛騎士達は初めてみるソウジ達の力に呑まれてしまったかのように呆然とし、クラスメイト達は改めて、ソウジ達と自分達の“差”を痛感して複雑な表情を浮かべ、魔物の大群をけしかけた黒ローブの男―――清水は目の前の惨状に口をパクパクとさせていた。

愛子先生はソウジ達の無事を祈ると同時に、自身のした事の恐ろしさを今更ながらに実感して表情を歪めていた。

やがて、魔物の数が目に見えて減り、北の地平が見え始めた頃、遂にティオとジークリンデが魔力切れで倒れた。

 

 

「すいません……これ以上は限界です……」

 

「妾も火球一つだせん……すまぬ」

 

 

うつ伏せに倒れながら、顔だけを向けて申し訳なさそうに謝罪するティオとジークリンデ。その顔色は白くなっており、文字通り、死力を尽くす意気込みで魔力を消費したのだろう。

 

 

「……十分だ。後は任せとけ」

 

「ああ。後は俺達に任せてそのまま寝てろ」

 

「……罵ってくれると思ったのじゃが……いや、アメの後にはムチが……」

 

「「変態はそのまま死ね」」

 

「ティオ様……」

 

 

死人のような顔色でゾクゾクと身を震わせるティオに、同じく死人のような顔色で涙が出ているジークリンデ。それを尻目に、ハジメとソウジは魔物の群れに視線を戻す。

既に、その数は一万を切っており、残りはおよそ三千から四千ぐらい。大抵の魔物は完全な及び腰だが、リーダー格の魔物に従って戸惑ったように突進しており、そのリーダー格の魔物は依然変わらず、猪突猛進を繰り返している。

 

どうやら清水は各魔物のリーダー格のみを洗脳して、配下の魔物を従わせていたようだ。中々効率的だが、この短期間でここまで集められるのかという点に疑問が残る。その辺の疑問は一旦置いておく事にする。

 

 

「ハジメ。メツェライの調子は?」

 

「メツェライ自体はまだ使えるが、弾数の方が心許ないな」

 

 

ソウジの質問にハジメはメツェライを見ながらそう答えを返す。メツェライには“吸熱”と“変換回復”を付加した鉱石が取り付けられており、その鉱石によってメツェライの砲身の熱を吸収し、魔力に変換するというある種のサイクル構造なのだ。

 

 

「それに、他の新兵器も実戦で試しておきたいしな」

 

「成る程な。リーダー格も見た限りおよそ百くらいだし丁度いいか」

 

 

ハジメの言い分にソウジは笑みを浮かべて納得し不知火と轟天丸を試作型宝物庫にしまい、変わりに刀身が二つに割れ、刀身八十センチ柄二十センチの十字型の剣―――“遠隔操作型近接兵器:紅雪(べにゆき)”を十本取り出す。

紅雪はオルニスの攻撃特化タイプであり、剣として切り裂けるのは勿論の他、感応石に反応する“金剛”による即席のシールド、“凍鎧”による突き刺した対象の氷漬け、表面をアザンチウムでコーティングされた内部の刀身に付加された“放炎”によるヒートブレードといった、近接特化に偏っている兵器だ。二つに割れた刀身の間からは冷凍光線が放てるが、射程は二メートル前後と短い。

 

ハジメもメツェライを宝物庫にしまい、縦六十センチ横四十センチ、中心部分にラウンドシールドの様なものが取り付けられている金属製の十字架―――“遠隔操作型射撃兵器:クロスビット”を七機取り出す。

クロスビットの方は内部にライフル弾や散弾が装填され、紅雪と同様の感応石に反応する“金剛”のシールド、射程八メートルの冷凍光線、熱線を放つ事が出来、紅雪とは真逆の遠距離特化に偏った兵器だ。

シアもオルカンを置いてドリュッケンを構え、ドンナー・シュラークを構えるハジメと、炎凍空山と風雷南雲を構えるソウジに並び立つ。攻撃が緩まった事で魔物達が息を吹き返すように突進を始めるが、ユエとアタランテがソウジ達を援護する。

 

 

「“雷龍”」

 

「“緋竜槍(ひりゅうそう)”」

 

 

ユエはオリジナル魔法“雷龍”を唱え、アタランテは“緋槍”と重力魔法を組み合わせ、魔力矢として放つオリジナル魔法―――“緋竜槍”を放つ。

緋い炎の槍は唸りを伴いながら迫って来ていた魔物達を、蛇の如く駆け回りながら次々と穿っていき、即座に立ち込めた天の暗雲から現れた雷の龍も前線を右へ左へと蹂躙し、魔物達を呑み込んでいく。その光景を見た後続の魔物達が二の足を踏んだその隙をついて、ハジメとソウジ、シアの三人が一気に群れへと突撃する。

 

ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ズドンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ズドンッ!ジュッ!

 

ズバッ!ズバッ!ズバッ!ジュバッ!ズバッ!ズバッ!ズバッ!ジュバッ!パキンッ!

 

ハジメは“縮地”で大地を疾走しながら、ドンナー・シュラークとクロスビットでリーダー格の魔物を的確に撃ち抜き、ソウジは“爆縮地”で一気に群れの中に入り、炎凍空山、風雷南雲、紅雪を駆使してリーダー格の魔物を一太刀で切り裂いていく。

シアも魔物の頭を踏み台にしてぴょんぴょんと群れの頭上を飛び越え、最後に踏み台にした魔物の頭を圧殺させる勢いで踏み込み、自身を重力魔法で軽くして天高く飛び上がる。

そして、天頂まで上がるとくるりと反転し、今度は重くしてリーダー格数体が固まっている場所に向かって落ちていく。落下途中、さらに引き金を引いて激発させ、さらに落下速度を速める。

 

 

「りゃぁあああああああああ!!」

 

 

ドォガァアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

可愛らしい雄叫びと共に、最大限の身体強化も加わった一撃は、直接食らったブルタール型の魔物を瞬時に圧殺して大地に還し、周囲いた魔物も、ドリュッケンがもたらした衝撃と散弾の如く飛び散った土石によって吹き飛ばされ、同じく大地に還っていく。

それを尻目にソウジは炎凍空山と風雷南雲の柄を連結して両剣状態にし、付加されている“蒼煌”と“三爪”を同時に起動し、端から見れば“それぞれの刀身に三つに分かれた蒼い炎の刃”を形成させる。

 

その計六つの炎の刃を宿した両剣をソウジは、魔物達に向かって、ブーメランの如く投擲した。

投擲された蒼き両剣は猛烈な回転を宿し、連結部分に仕込まれた感応石によって縦横無尽に駆け回り魔物達を次々と無惨に焼き切っていく。その内の数匹いる黒い四目の狼はそこに両剣が来ると分かっているかのように辛うじてかわし、こちらにへと向かって来ている。

 

奈落の低層にいても何らおかしくないレベルの魔物の存在にソウジは訝しむも、先に四目狼を始末すべきと判断し両剣を手元に戻す。

四目狼より先に戻ってきた両剣を手にソウジは構えを取る。すると、両剣の両の刃から光の刀身が形成され、突撃していた四目狼達がその両剣に吸い込まれるように引き寄せられていく。

 

 

「“洸円斬(こうえんざん)”」

 

 

ソウジはそのまま身体を独楽のように一回転させて両剣を振るい、引き寄せられた四目狼達の身体を両断した。

“洸円斬”―――“光刃”と重力魔法を“魔法剣術:限定複合魔法”で組み合わせたオリジナルの技である。

四目狼達を一太刀で切り捨てたソウジは両剣状態を解除し、再びリーダー格の殲滅を開始する。ハジメとシアにも四目狼は襲いかかってきたが、全てハジメによって撃退されている。

そうして僅か数分でリーダー格の魔物は駆逐され、ハジメとソウジは締めとして“魔力放射”を併用した咆哮を上げる。

 

 

「「カァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」

 

 

天地に轟けといわんばかりに戦場に響いた特大の咆哮は、残っていた魔物達に本能的な恐怖を感じさせ、北の山脈への逃亡を開始する。

その中で清水がどさくさに紛れて最後の四目狼に跨がって逃亡を図ろうとしていたので、ハジメがドンナーを両手でしっかりと構えている間に、ソウジはサイドカーが付いたままの翼丸を取り出して一気に加速して清水の方へと向かっていく。

向かう間にハジメが四目狼を仕留め、喚いている途中でソウジに気づいた清水は慌てて走って逃げ始める。

 

 

「何なんだよ!ありえないだろ!本当なら、俺がグギャッ!?」

 

 

悪態を付きながら必死に逃げようとした清水の背中を、翼丸の勢いを生かした義足の蹴りをお見舞するソウジ。蹴り飛ばされた清水は地面をゴロゴロと転がり、最後はシャチホコのような態勢で停止し、そのまま沈黙した。

 

 

「先生は一体どうするのかね?こいつや……場合によってはオレ達の事を……」

 

 

ソウジは、そんなことを独りごちながら清水の足首を掴んで乱暴にサイドカーに頭の方からぶん投げて放り込み、そのまま町へと踵を返した。

 

 

 




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