魔王の剣   作:厄介な猫さん

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令和最初の投稿
てな訳でどうぞ


魔人軍の襲来

突然の魔人族の襲撃に、王都は大混乱に陥っていた。

大結界は全て破られ、大軍が押し寄せて来るも、まだ外壁があるので多少の時間は稼げる筈と、王国の兵士達はそう思いながら必死に態勢を整えようとする。

だが、その考えも容易く粉砕されることとなる。

青い孔雀の魔物を肩に乗せた金髪を短く切り揃えた魔人族の男を背に乗せた、体長十メートル程の、一見すればトリケラトプスのような四足の魔物が大軍の先頭を悠然と進んでいる。一見すればベヒモスを連想させる魔物だが、その姿は異色であった。

まず、頭部にある一対の金属の角は長方形で真ん中に穴が空いている。尻尾も全体的に蠍の尻尾の形をしており、先端に位置する箇所は全長二メートル程の金属の長方形の箱―――角と同じものを靡かせている。そして、体の所々に金属の欠片がくっついている。

 

 

「ブォオオオオオオオオッ!!」

 

 

そのベヒモスに似た魔物が咆哮を上げてその場で屈み、その角と尻尾の先端を王都の石の外壁へと向ける。すると、その角と尻尾の先端から赤黒い電気が迸っていく。次の瞬間。

 

ドガァアアアアアアアアンッ!!!

 

その魔物の角と尻尾の先端から赤い閃光が飛び出たかと思うとほぼ同時に、盛大な破壊音と共に石の外壁に大きな風穴を作り上げていた。その魔物は同様の手段で次々と外壁に風穴を開けていき、王都への侵入口を作り上げていく。

もし、異世界から召喚された者達がその魔物を見たら、その角と尻尾の先端が“砲身”であることを一発で見抜けただろう。

それだけではない。上空から灰竜や黒鷲のような魔物、さらに紅い啄木鳥のような魔物が飛び交い、上空から攻撃を仕掛けていっているのだ。灰竜達は極光を、黒鷲達は石針を、紅い啄木鳥達は全身に炎を纏って音を置いていく程の速度で突撃していき、王国の兵士達を次々と無惨な姿へと変えていく。

地上も風を纏った体長五メートル程の猪型の魔物が逃げ惑う人々を巻き込みながら突進を繰り返し、体長三メートル程のヘラクレスオオカブトのような魔物も角を赤熱化させて建物を粉砕し、体長二メートル程の灰色の毛並みを持つ二首の狼の群れもまるで未来が見えているかのような連携で兵士達を食い殺していく。

まさに、一方的な虐殺劇。まさに地獄。そんな様子を城下町にある大きな時計塔の天辺で眺めていたティオの傍に、アタランテ達が降り立った。

 

 

「……本当に来たのじゃな。気持ちはわかるが、リリアーナ姫が少々不憫じゃの」

 

「……それより、アイツ、見つけた?」

 

 

ティオが呆れた言葉を発するも、ユエは特に気にした様子もなくフリードを見つけたのかを聞く。実にドライな態度にティオは再び呆れながらも首を振ることで答える。

その直後。

 

 

「!皆さん、避けてぇ!!」

 

 

突然のシアの警告に、咄嗟に翠翼を展開したアタランテはジークリンデを、竜翼を展開したティオはユエを抱え、シアはティオの腰に飛び付いて、時計塔の天辺からそれぞれの翼をはためかせて離脱する。

次の瞬間、今さっきまでいた場所を赤い閃光が通過し、轟音と共に時計塔の天辺を吹き飛ばしていた。

 

 

「……どこからの攻撃?」

 

「!彼処です!」

 

 

ジークリンデが指を指した遥か先の地上には、青い孔雀の魔物を肩に乗せた金髪の魔人族の男と、その男を背に乗せている四足の魔物がおり、その魔物の尻尾の先端が時計塔に向けられていた。

 

 

「あの尻尾、ハジメさんの武器に似てませんか!?」

 

 

“未来視”で先程の攻撃を見たシアのその言葉は、その魔物の尻尾から再び飛び出した赤い閃光で証明される。アタランテとティオは翼をはためかせ、襲いかかるレールガンを高速で動いてかわしていく。

 

 

「まさか、ご主人様の武器を魔物で再現するとは……」

 

「……ハジメの武器を真似るとはいい度胸」

 

 

ティオが驚愕の声を洩らし、ユエは怒気が篭った声色で呟くと、念話石から通信が入る。

 

 

“ティオ!今すぐこっちに来てくれ!”

 

“ご主人様!?どうしたのじゃ!?”

 

“本物の“神の使徒”が二体出てきた!先生達を抱えた状態じゃ俺もソウジも全力を出せねぇ!だから急いでくれ!”

 

“!ティオ、急いでハジメ達の下に向かって!私とシアは自分で何とかする!”

 

“相分かった!”

 

 

ユエの言葉にティオはすぐに頷いてユエを離し、シアもしがみついていた手を離して落下していく。ティオは一瞬で“竜化”し、一気にその場を飛び去ろうとする。

当然、その魔物がティオに狙いを定めるも……

 

 

「“蒼龍”!」

 

 

ユエがオリジナル魔法、“蒼龍”を発動させ、蒼き龍をその魔物に向かわせていく。大口を開けた蒼き龍は一直線にその魔物に向かっていくも、赤い閃光を何発も食らい、最後に金髪の魔人族が放った風属性攻撃魔法“砲皇”によって吹き飛んでしまう。

だが、ティオがその場を離脱するには十分であり、ティオはそのまま【神山】に向かって飛び去っていった。

ティオから離れ、落下していたユエとシアは、そのままアタランテとジークリンデに回収され、すぐ近くの建物の屋根の上に着地する。

 

 

「これからどうします?」

 

「……アイツだけをボコるつもりだったけど気が変わった。……全員、ボコる」

 

「だな。現に空の魔物も此方に向かっているから、奴らだけ叩くのは難しいだろう」

 

「なら、襲ってきた者だけを潰しましょう。わざわざ全てを相手にする必要はありませんからね」

 

 

ジークリンデの言葉を皮切りに、アタランテとシアはそれぞれの“宝物庫”から自身の得物を取り出し、アタランテは魔力矢を、シアは炸裂スラッグ弾を上空から近づいてきていた魔物達に向けて放つ。

アタランテが放った魔力矢は寸分違わずに灰竜や黒鷲の頭部を貫いて爆散させ、同じくシアが放った炸裂スラッグ弾も灰竜と黒鷲を爆砕していく。

だが、炎を纏った啄木鳥だけはその弾幕を掻い潜り、音をも置いていく速度でユエ達に迫っていく。

 

 

「「“界穿”」」

 

 

ユエとジークリンデが“界穿”を発動させ、二つの光輝くゲートを出現させる。それぞれのゲートに、ユエとアタランテが、シアとジークリンデが飛び込み、火啄木鳥の特攻を回避する。

そして、ユエとアタランテがゲートの先に設定した、王都の外壁の外へ出た瞬間―――

 

 

「“雷龍”」

 

「“雷雨”」

 

 

それぞれのオリジナル魔法を発動させ、ゲートの先にいた魔物達を殲滅していく。

シアとジークリンデもゲート先に設定した、地上へと出た瞬間―――

 

 

「うりゃぁあああああああああ―――ッ!!」

 

 

シアは振りかぶったドリュッケンを、ゲート先にいた例のレールガンを放った魔物に向かって降り下ろす。

 

 

「ブォオオオオオオオオッ!!」

 

 

例の魔物も咆哮を上げ、角のレールガンをドリュッケンに向けて放つ。ドリュッケンとレールガンがぶつかり合った瞬間、凄まじい衝撃が巻き起こり、互いに後退して地面を削り取っていく。

 

 

「ま、マジですか……私の本気の一撃を防ぐなんて……」

 

 

重力魔法も使った全力の一撃が捌かれた事実に、シアは僅かに頬をひきつらせる。

 

 

「まさか、貴様等から俺の下に来るとはな……貴様等は此処で殺してやる。カトレアの仇だぁッ!!ゴライアスッ!!」

 

 

金髪の魔人族の男―――ミハイルが憎しみの篭った声で叫ぶと同時に、例の魔物―――《キライマスシリーズ》No.8・ゴライアスが後ろ足で立ち―――前足を地面に叩き付け、凄まじい衝撃波を巻き起こす。

シアとジークリンデは、シアが取り出した円盤に乗ってその衝撃波をかわし、不敵に告げる。

一方、その頃―――

 

 

「まさか、あの状況で生還するとはな……」

 

「君達が報告に上がっていた危険人物だな?最も危険な人物二人がこの場に居ないのが些か気になるが、今は確実に君達を仕留めさせてもらう」

 

 

ユエとアタランテはウラノスに乗ったフリードと、額に水晶が埋め込まれた、三つ首の黄金の鱗を持つ二対の翼を持つ前足の無い竜の背に乗った、眼鏡をかけた茶髪の魔人族の男を中心とした部隊に囲われていた。

 

 

「やはり、お前が攻略者の一人だな?」

 

「正解だ。僕の名前はマキアス・デュランダル。アルヴ様の忠実な僕であり、《キライマスシリーズ》の製作者だ」

 

 

アタランテの質問に、茶髪の魔人族の男―――マキアスはあっさりと肯定し、例の魔物の製作者であることも明かす。

 

 

「アルヴ様と魔人族の栄光の未来の為……フリードと共に君達異教徒を滅ぼす。……トライドス」

 

「ゴァアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!!!」

 

 

マキアスの宣言と同時に金の翼竜―――《キライマスシリーズ》No.1・トライドスは額の水晶を銀色に輝かせ、ユエとアタランテに向かって咆哮を上げる。

それに対し、ユエとアタランテは不敵に口元を歪めて告げる。

その言葉は奇しくも、八千メートル上空で戦っている彼女達の愛する者達が敵に放った言葉と同じだった。

 

 

「「「「殺れるものなら殺ってみるんだな(みて)(みなさい)(みて下さい)」」」」

 

 

 




「私の全力を防ぐなんて……」

「お前、誰!?」

普段隠していた筋肉が見事に表面に出てきたシアの姿に驚く魔人族の図。

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