ハジメがノイントにシュラーゲンの一撃を放ち、ソウジはノインツェーンに“蒼牙爪”を飛ばす。
それらの一撃を銀翼の分解防御は不可能と判断したノイントとノインツェーンは回避を選び、それぞれに迫り来る一撃を身を捻ってかわし、恐るべき速度で互いの獲物へと肉薄する。
対してはノイントにクロスビットの炸裂スラッグ弾を、ソウジはもう一刀の絶天空山を引き抜きながら“空力”と“爆縮地”を駆使してノインツェーンに迫っていく。
互いに突進していたソウジとノインツェーンは互いの得物を神速で振り抜き、甲高い音を奏でて互いにすれ違っていく。
ソウジはすぐさま反転して再度突撃、ノインツェーンも銀髪を靡かせながら反転し、同時に銀羽を飛ばしていて突撃していく。
ソウジは迫り来る銀羽を二刀の絶天空山を巧みに振るって的確に叩き落とし、再び金属音を奏でてすれ違う。鋭角に刻まれる蒼の閃光と流水のように刻まれる銀の閃光が交錯する度に金属音が辺りに響き渡り、二つの軌跡と音色を築き上げていく。
そして、何度目かの交錯で、ソウジとノインツェーンは互いに鍔迫り合いとなり、ソウジは壮絶な殺気を宿した瞳で、ノインツェーンは相変わらずの感情のない瞳で互いに睨み合う。
そんな中で、ソウジは若干気になっていたことをノインツェーンに問いかける。
「なぁ、オレ達に構っている暇があんのか?このままだと魔人族に王国が滅ぼされると思うが?」
そんなソウジの質問に、ノインツェーンは下らないといった感じで鼻を鳴らす。
「そうなれば、それがこの時代の結末になるだけです」
「結末か……つまり、“解放者”達の言う通り、この世界の“神”にとってはただの遊戯で駒でしかないってことか……それと、オレ達の事は無視してていいんじゃないのか?放っておいても、勝手にこの世界から出ていくんだしさ」
「却下です、イレギュラー」
「理由は?」
「主は、貴方達があらゆる困難をはね除け、巨大な力と心強い仲間を手に入れて……目標半ばで潰える死をお望みだからです。ですから、ノイントが対処しているイレギュラーと共に、なるべく苦しんで、嘆いて、後悔と絶望を味わいながら果てて下さい。それだけが、主に対して―――」
「却下だ、クソ人形」
ノインツェーンの予想通りのクソッタレな台詞を最後まで聴かずに遮って、ソウジがバッサリと切り捨てながらノインツェーンの大剣を払い、猛烈に体を捻って突きを放とうとする。
その神速の突きにノインツェーンは回避は困難と判断し、双大剣をクロスさせてその突きを防ごうとするも―――
バギャァアアアアアアアアアアンッ!!!
凄まじい轟音と共に、最初に受け止めたノインツェーンの二之大剣を粉々に粉砕し、一之大剣にもヒビを入れられながら、ノインツェーンは後方へと吹き飛ばされていた。
「な―――」
ノインツェーンは感情はないと言った割りには、明らかに驚きを露にして粉々となった二之大剣を見つめ、残心状態のソウジを睨み付ける。
ソウジが先程放った突きは“
「……やってくれましたね、イレギュラー」
ノインツェーンは粉砕されて使い物にならなくなった弐之大剣を捨て去りながら更に距離を取り、自身の体全体を銀光で覆いながら、大量の銀羽を飛ばし、魔法陣を大量に同時展開していく。同時にノインツェーンも残像を発生させる速度で動き始め、常に二重三重とその姿をぶれさせていく。
ノインツェーンが疑似的な“限界突破”を使い始めたと察したソウジは、すぐさま自身も“限界突破”を使い、“瞬光”状態と合わせて知覚能力を引き上げ、ノインツェーンの猛攻に猛然と立ち向かう。
「ぉおおおおッ!!」
「はぁあああッ!!」
ノインツェーンは最上級に近いレベルの魔法を波状に放ち、ハジメのレールガンに迫る威力の銀羽も大量に飛ばし、自身も凄まじい速度で大剣と、いつの間にか持っていた銀に輝く光の大剣を神速で振るう。
ソウジは紅雪で迫り来る魔法を必要な分だけ切り裂き、銀羽も二刀の絶天空山を縦横無尽に振るい、悉く叩き落としながらノインツェーンの辻切りを絶天空山をぶつけて弾いていく。
ノインツェーンは離脱と突撃を繰り返し、まともな接近戦に持ち込もうとはせず、絶えずヒット&アウェイでソウジに仕掛けていく。ソウジも無理に接近戦に持ち込もうとせず、“空力”と“重縮地”、“爆縮地”を駆使して宙を駆け、互いに交錯する瞬間を狙って刀を振るい続ける。
「おぉおおおおおおおおおおおおお―――ッ!!!」
「はぁあああああああああああああ―――ッ!!!」
ソウジとノインツェーンは互いに雄叫びを上げながら激しく交錯しあっていた。
ノインツェーンの光大剣による唐竹の一撃を、ソウジは絶天空山で軌道をずらしながら逆袈裟で斬りかかる。対してノインツェーンは大剣でその一閃を防いで凌ぐ。
ソウジの独楽のように回転しながら振りかぶる絶天空山の二閃を、ノインツェーンは最初の横凪ぎの一閃を大剣で捌き、続く脳天に迫る一閃は光大剣で受け止める。
ノインツェーンが大剣と光大剣をクロスさせて振るうと、ソウジも絶天空山を十字に振るってぶつけ、互いに弾かれ合う。
ソウジが絶天空山に蒼い炎を纏わせて袈裟で斬りかかるも、ノインツェーンは身を捻ってかわし、捻った勢いを利用して光大剣をソウジの首筋に目がげて振るう。ソウジは袈裟で斬りかかった絶天空山の柄尻を大剣の腹にぶつけて軌道を上方へとずらし、その一撃を捌く。
蒼と銀の軌跡が今まで以上に激しく動き、交錯する度に金属音が鳴り、華のごとく火花が飛び散る。ほんの僅かなミスで死が確定する激突を、本能と経験を頼りに飛び交い、際限なく速度が上がっていく。それに比例して展開される魔法の数が減っていき、少量の血が飛び散っていく。
互角の戦いを繰り広げているソウジだが、このままでは神から魔力を供給され続けているノインツェーンの方が有利になっていくことは理解しており、ソウジはリスクを覚悟して勝負を仕掛けることにする。
ソウジは絶天空山を二刀とも鞘に納め、内の一刀は鞘の連結を解除して“宝物庫”にしまい、居合いの構えでノインツェーンに突撃していく。
ノインツェーンはこれを好機と見て、魔方陣を大量に同時展開し、銀羽も大量に飛ばして全てを覆う程の弾幕を形成していく。
ソウジは宙を駆けながら“金剛”で自身の体を覆い、極限の集中力で必要最低限の動きだけで銀羽をかわし、数多の魔法も同様にかわしながらノインツェーンとの距離を詰めていく。
その光景を前に、ノインツェーンは近接での迎撃を選び、残像も残さない速度でソウジに迫り、大剣を振りかぶる。
対して、ソウジは極限の集中でノインツェーンを見つめていた。
(もっと……もっと集中しろ。もっと神経を研ぎ澄ませ。奴を切り捨てるために!!)
ソウジのその集中に応えるかのように、今まで以上に目に見える光景がスローモーションとなり―――大剣を振りかぶってこちらに迫るノインツェーンを視界に捉える。
「“
ソウジは絶天空山を蒼閃さえも捉えられない速度で抜刀し、振り抜く。
ソウジとノインツェーンはまた交錯しあい、そのまま駆け抜け合う。
「…………」
「―――」
やがて、ソウジが蒼い輝きを放つ絶天空山を振り抜いた構えから一払いして蒼い輝きを消し、パチンッと納刀すると、ノインツェーンは振り抜いていた大剣もろとも、心臓部分を切り裂かれて両断された。
空間魔法と“蒼煌”を複合させた、空間を切り裂く蒼き炎の一閃“蒼閃牙”。その一閃が容赦なくノインツェーンを焼き斬り―――激しい戦いを征したのだ。
その時、ノインツェーンは悔しさを滲ませるように歯を食いしばっていたのだが、その事に気づく者はいない。
両断されたノインツェーンは光大剣と銀翼を空気に溶け込むように霧散させ、そのまま地面に向かって体を傾かせ、教会の建物が密集する場所から少し離れた場所へと落下していった。
ハジメの方もちょうど必殺のパイルバンカーをノイントに喰らわせ、勝利を掴んだようである。
ソウジはノインツェーンの傍らに降り立つと、絶天空山を再び抜いて逆手に構え、ノインツェーンの頭部に切っ先向ける。ノインツェーンは完全に死んでいることは魔眼石と感知系能力で確認できているが、念のためである。
ソウジは僅かに聴こえる歌声をBGMに、絶天空山をノインツェーンの額に振り下ろそうとした、その瞬間。
ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!
【神山】全体を激震させるような爆発音が響き、ソウジは何事かと音の発生源に顔を向けると……巨大なキノコ雲と轟音を立てながら崩壊していく聖教教会だった。
「……マジか」
その光景に、何故かソウジの脳裏にドヤ顔するアリアの姿が浮かぶのであった。
「まさか私の剣を砕くとは……」
「あれに耐えられる剣はまだあるぞ。“竜殺剣”に何故か出来上がった“刀を持つモブなオッサン”がな」
(あのモブなオッサンは、ヤバいと本能が告げています!!変わって下さいノイント!!)
(こちらもイレギュラーがモブおじさんという謎のアーティファクト武器を構えています!!なので、イレギュラー二人の対処はノインツェーン、あなた一人に任せます!!)
(逃げるつもりですかノイント!!それでも主の僕なのですか!?)
女としての本能が警鐘を鳴らして喧嘩する神の使徒の図。
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