バカ達と超能力   作:油口

3 / 3
救出と出会い

「いやっ…来ないでください!」

 

僕が扉の前に来ると、姫路さんの声が聞こえる。その声はとても怯えていて、嫌悪感が混ざり合っている。

 

「おうおう!そんなに抵抗されると、体に傷がついちまうぜ?」

 

「あんまりやり過ぎるなよ?値段が下がっちまう」

 

「わーってるよ、へへっ」

 

そんな会話が今も続かれてている。こいつらの声を聞くだけで、嫌悪感と胸糞悪さがこみ上げて来る。僕は、その気持ちをこの一言に全てを込めた。

 

「死にやがれ!!クズどもが!!」

 

ドガンッ!!

 

僕は、言葉と同時に、鉄製の扉を思いっきり蹴り飛ばし、扉を開いた。

 

「「!?」」

 

「吉井君…!!」

 

そこには、紐で縛られた姫路さんが床に座っていた。そして、姫路さんの前にいる奴は、上着を脱いでおり、あと少しで姫路さんに触れるところだった。

 

「その汚い手で、姫路さんに触るなぁぁぁ!!」

 

「……ッ!?ゲブっ!?」

 

僕は、姫路さんの近くにいた男を殴り飛ばした。まだあと数人、だが何人いようが関係ない…全員ぶち殺すだけだ!!

 

「吉井君!!後ろ!!」

 

「!?」

 

姫路さんにそう言われ、後ろを確認すると、鉄パイプを振り上げている男がいた。やばいっ!避けられないっ!咄嗟に腕で防御する体制になり、衝撃が来るのを待つ。

 

「………?」

 

なかなか衝撃がこない。そっと目を開けてみると、その男は目の前でドサッと倒れ込んだ。そして、その男の後ろに赤髪の男が立っていた。

 

「雄二!!」

 

「まったく…一人で突っ込むバカがいるか。貸し一だからな?」

 

「了解!」

 

雄二がいれば百人力だ。なんせ、前の文化祭で、姫路さんと、美波と、葉月ちゃんがさらわれた時も、ほとんど雄二が倒した。

 

「調子にのるなぁぁぁ!!」

 

男がナイフを片手にこちらに迫って来る。でも、僕たちは避けない。何故かって?それは…

 

「……加速」

 

ひとりのアサシンが、すぐそこにいる事を雄二にテレパシーで教えてもらったからだ。アサシンことムッツリーニは、目にも止まらない速さで、その男は攻撃を加えた。

 

「グハッ!?」

 

「……加速終了」

 

よし!雄二とムッツリーニが来てくれたおかげで、残りひとりだ!あと一人は…そうあたりを見渡した時、その男がいる場所が分かった。しかし、その場所は…

 

「おい!?一歩でも動いてみろ!!こいつの顔に一生消えない傷が付くぜ?」

 

「吉井君っ…」

 

僕はその光景を見たとき、ある一つの感情の支配された。そう怒りだ。奴に対するどうしようもない怒りだ。

 

「………。」

 

「明久?どうしっ…!」

 

雄二が何故か驚いたが、今は構っている暇はない。どうしたら姫路さんを助けられるか、どうしたら奴をぶっ飛ばせるか…それだけを考えている。そして、ある方法を思いついた。それは、あまりにも無茶で、今までのを見ると成功するとは思えない方法だけど、これしかない。

 

「……B-9倉庫にテレポート!!」

 

僕の体は徐々に消え、パッと消えた。

 

「どっ、どこへ行きやがった!?」

 

「ここだよ」

 

「ガッ!?」

 

僕は、その男の後ろにテレポートして、思いっきりうなじを殴った。ここは、全神経が通ってるらしい。いわば急所だ。男はその場でドサッっと倒れ込んだ。

 

「姫路さん!」

 

「吉井君…!!」

 

ここで抱き合い、感動的なシーンに…!

 

「おぃおぃ!ここか!?邪魔者が入ったってのは!?」

 

そんな妄想は、この一言で終わりを告げた。なんだよ!?せっかくいい所だったのに!!声のする方を見ると、男たちの仲間らしき人が数十人ぐらいいた。

 

「流石にやべぇな…、おい明久、テレポート脱出できねぇか?」

 

「ダメだよ。僕のテレポートは、2人までしか他人を移動させられないよ!だから、秀吉には残って貰ったんだから!」

 

そう、僕のテレポートも万能ではない。他人を運べるのはせいぜい二人が限度。ここに誰か一人置いて行くしかないのだ…。

 

「ここは雄二が残って…!」

 

「あとで覚えてろよ?」

 

「なんでもないです」

 

くそっ!どうすれば!!そんな事を考えてると、ある声が聞こえた。いや、聞こえたという表現は語弊がある。言うなれば、脳内から聞こえるという感じだ。

 

《やれやれ、面倒なことになっているな》と…




お読み頂いてありがとうございます!あと、1・2話ぐらいで完結とさせていただきます!好評だったら続編書くかもです!お気に入り登録などよろしくお願いします!
ではまたお会いしましょう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。