今回は鬼崎と小猫の会話シーンをお送りいたします!!
それでは本編スタートです!
小猫side
部長達と別行動を取る事にした私は、特訓ができる場所と寝床を探す為に森の中を散策していた最中……突然、茂みから現れた謎の男性……鬼崎さんと遭遇した。
鬼崎さんの外見はどこか不良の学生を思わせるような感じで………私と同じような白い髪のセミロングに、左目を長い前髪で隠したような髪型。唯一見えている右目は部長の紅い髪よりも更に煌きさを持つガーネットの原石の様で、それでいて怪物の禍々しい血を一つに混ぜ集めた様な不気味さを持つ深紅の瞳。服装は白色のワイシャツに黒いズボン、そしてボタンを開けた状態でワイシャツの上に黒色の学ランを羽織った……まさに髪を染めた不良にピッタリな感じだった。
そして、空腹の状態をその人に見抜かれた私は、鬼崎さんが秘密研究所と呼ぶ洞窟内部に招待され、彼が作ったであろう様々な料理をいただかせてもらっていた。
「……ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした。それで味の方はどうだったかな?冷蔵庫に入っていた材料で、出来るだけ美味しい料理を作ってみたんだけど……」
「いえ、とても美味かったです」
「そう、それは良かった……あぁ、いま食器を片付けるよ。それまで、水を飲みながらゆっくりとしていてくれ」
「あ、わざわざスミマセン………ご飯を食べさせていただいただけでなく……」
「フフ、気にしないでいいさ。これは、僕なりの気づかいだからね?」
そう言いながら、鬼崎さんは料理が上手く出来ていたのが嬉しかったのか、楽しそうな笑顔で私の前に置いてある食器をお盆に全て載せ、チョコンと端にあるキッチンの流し台まで運び、食器を洗い始める。
私はナフキンで汚れた口元を拭いつつ、周りを見渡した。それは秘密研究所と呼ぶに相応しい様な設備が、あちらこちらと目に入る。巨大なテレビモニターにコンピューターの機材、並べられた何かの液体が入った大きなカプセル……明らかに怪しさMAXを思わせる雰囲気に、私は顔には出していないものの…いま食器を洗っているであろう鬼崎さんへの警戒と共に、少しだけ恐怖を感じた。
明らかにあの人は普通の人間では無い。だいいち、普通の人間がグレモリー家が所有するこの山奥へ来れるはずも無いし、こんな何処にでもある洞窟を設備が整った場所に改築出来るはずが無い。出来たとしてもそれは人の想像を越えた人か、人外の二つか一つ。だとすれば私と同じ悪魔……あるいは堕天使か天使、いやもしかすれば私の……いや、私達の想像を遥かに越えた種族ではないのであろうか、そう考えると額から汗がポトリと流れ、身体の身震いが止まらなかった。
そう考えていた矢先………
チーンッ!!
「ッ!?」
後ろから突然、電子レンジのタイマー音声の様な爆発が起きた。振り返るとそこには電子レンジの様な形状の機械が置いてあり、ドアが半端な状態で開いて中から煙がモワモワと溢れ出ていた。そして、煙が晴れると中には小さな黒色のキャップが着いた緑色のボトルが3本入っていた。3本のボトルにはそれぞれ《ユニコーン》《メデューサ》《クラーケン》と思われる幻獣のイラストが、銀色を基調としたエングレーブとして描かれていた。
「おや、どうやら完成したようだね……」
そんな時、丁度食器を片付け終えたらしい鬼崎さんが、濡れた手をタオルで拭きながら電子レンジの中にあった3本のボトルを取り出す。そして、それぞれのボトルを悪い笑みを浮かべながら眺めた後、上着にある懐のポケットへと入れる。
「あ、あの……」
「ん?あぁ、すまないね。どうやら驚かせてしまったみたいだが……その後ろにある電子レンジの様なモノは僕が今、研究している『フルボトル』を生成する機械なんだ」
「ふ、フルボトル?」
「そうさ」
鬼崎さんはそう言うと、懐からさっきのとは別のボトルを2本取り出した。それは白色で肉食恐竜の頭蓋骨と、黒色で地層の内面を象った絵柄が描かれていた。
「『フルボトル』というのは動物や職業などの有機物と無機物、どちらか2種類の成分が充填しているんだ。因みに僕が持っているこれが《恐竜フルボトル》と《地層フルボトル》だ。この2本は最も相性が良い組み合わせ「ベストマッチ」になるんだ」
「ベスト、マッチ?」
「まぁ、それについては次の機会で説明するとして………小猫くん。君、悪魔でしょ?しかも何処かの貴族悪魔に身を置いている眷属悪魔。違うかい?」
「ッ??!!」
フルボトルと呼ばれる2本を仕舞った鬼崎さんは、余裕のある表情から一変して真剣な表情となりながら私の正体を口にした。私は後ずさると共に臨戦態勢をとる。やっぱり、この人は人間じゃない!そう思いながら警戒する。
すると、鬼崎さんは「フッ」と薄く笑いながら向かいの椅子へと座り、私に視線を向けつつ口を開いた。
「そう警戒しなくていい……別に君をどうこうしようなんて考えていない。それに君も、なんでわざわざ初対面の僕が偶然出会った君を
「……ッ!」
確かにそうだ………私とこの人は出会って数時間も経っていないのに、初対面の私に良くしてくれた。それに、もし鬼崎さんに敵意があるのなら何時でも倒すチャンスがあったはずなのに、あえてしなかった。
「………じゃあ、あえて聞きますが……貴方は私を眷属悪魔と知って、此処へ連れて来たんですか?」
「まぁね、純粋悪魔や眷属悪魔……果てははぐれ悪魔は色々と見てきたからね。出会って直ぐにわかったよ……でも、君には眷属悪魔特有のナニカが無くなっている。それが気になってね」
「それで私を珍しい研究対象と思って連れて来た……わざわざご飯とかをご馳走してまで、随分と手が込んだ事をしますね」
「ふむ……何か勘違いしているようだが、僕は君を研究対象とは見ていない。むしろ君を一人の人間として見てるつもりさ、そんな道具の様に人権を無視するような非道な行為と君に危害を加えない事を約束するよ」
「……今さら、信用しろと?」
「僕を敵か味方かを判断し、どう思おうかは君次第さ。だが、先程の約束は守るつもりだ、これだけは信じてほしい。それと、さっきも言ったが、君には眷属悪魔特有のナニカ……そう、君の体内にある《悪魔の駒》が無くなっているんだ」
「えっ!?《悪魔の駒》が……ですか?」
「あぁ、何か心当たりはあるかい?」
「心当たり…………ッ!(もしかして、あの時…)」
そう、それは私が初めて仮面ライダーさんと遭遇した日。私はあの人に胸を貫かれた……でも、不思議な事に身体には胸を貫かれた跡が残っていなかった。
そして、鬼崎さんの話が本当なら……私はある仮説に辿り着く。仮面ライダーさんの出現と共に起きた“はぐれ悪魔の大量消失”、そして私の身体で起きたことと《悪魔の駒》が無くなったこと…………
「(繋がった!仮面ライダーさんはもしかしたら、《悪魔の駒》を取り出せる能力を持っている。そして、その能力を使ってはぐれ悪魔狩りをしていた……!それがもし、本当なら…………仮面ライダーさんなら、姉様を……黒歌姉様を助けてくれるかもしれない!!)」
そして私は、仮説が真実に変わり……それと共に希望が生まれた。もう一度、黒歌姉様と過ごせるかもしれない……でも、仮面ライダーさんは私の願いを叶えてくれるのだろうか……私はリアス部長のグレモリー眷属で敵対する側。易々と了承してくれるはずがない……こんな時、自分の置かれている立場を呪わずにはいられない。せっかく……せっかく姉様を、助けられる事が出来るかも知れないのに…………!
私は今さら弱い自分が情けなくて、悔しくて……不甲斐ないと思いながら、瞳の端に涙を溜め、奥歯をギリギリまで噛みしめながら血が出るほどに拳を握りしめた。
欲しい……!
誰にも文句を言われず、自分を変える力が………
もう二度と大切な人達を誰一人、失わない力が………
黒歌姉様を助けられる力が………
私が私自身の限界を超えられる、強い力が欲しい!!
そんな心の叫びを誰が聞いている訳でも無く、ただ虚しく頭の中で響くだけだった………
そう思っていたのに…………
「……欲しいのかい?」
「え?」
鬼崎さんが突然、私へと話しかけた。その顔は冷静にかつ真意を確かめる真剣な顔だった。
「君が本当に心の中で、自分を変えられる力を欲しいと思うなら……僕が力になろう。だが、強大な力を得るには地獄のような苦痛と君の命を代償にしかねないリスクが伴う。それでも力が欲しいかい?」
「苦痛とリスク…………!」
「君はまだ若いし、年頃の女の子だ。無理をして一度だけの命を散らす必要はない、だから…「構いません」…………今なら引き返せるのに?一度始めたら、もう後戻りできないとしても?」
「だからです………私には、探さないといけない人達が居ます。だから、それを成し遂げるには私の持つ全てを超えないといけないんです。鬼崎さ……いえ、師匠……私を鍛えてください!!お願いします!!!」
私は誠心誠意の土下座で頼みこんだ。姉様と再び会う為に、最後の希望にかける為に……そして弱い自分と決別し、超える為に…………
そして師匠は、ため息と共に何かを諦めたかの様な顔をしながら、ゆっくりと私へと手を伸ばす。
「………負けたよ、君の覚悟にはね。良いだろう、君の力になってあげる。ただし、弱音を吐いたり、悲鳴をあげても止めないからそのつもりで頑張ることだね?」
「…………あ、ありがとうございます!!!」
こうして、フェニックス眷属とのレーティングゲームまでの10日間の猶予……私は師匠から与えられた地獄と相応しい特訓を受けることになった。
全ては……私の願いを叶える為に…………
如何でしたか?
次回も気長にお待ちいただきたいです。
それでは次回まで、ごきげんよう!!
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