青司「はい、どうも、美竹青司です。Scarlet Skyは確かに名曲だよな。それに、この曲が出た時のストーリーも良かったしな」
政実「そうだね。因みに、2番目はHey-day狂想曲かな」
青司「そっかそっか。さってと……んじゃあそろそろ始めてくか」
政実「うん」
政実・青司「それでは、第2話をどうぞ」
第2話 迷う思いと兄の想い
「さぁーてと、本当にどうしたもんかねぇ……」
「そうだな……」
「うん、本当にどうしようか……」
始業式から一週間が経った頃の昼休み、俺と兎亜はタカの机の周囲に集まり、タカ達と羽沢珈琲店で話した内容について頭を悩ませていた。そして、頭を悩ませている内容というのは、俺達の事では無く、俺達の妹達についてだ。俺の妹――蘭を含めた幼なじみ5人組は、昔からとても仲が良く、一緒に遊びに行ったり勉強会をしたりしている所を割と目にするんだが、なんと今回のクラス分けで蘭だけが別のクラスになってしまったのだという。タカの妹であるつぐみ――つぐや兎亜の妹である巴達は、蘭に対して慰めの言葉などを掛けてくれたらしいが、当の本人はかなり落ち込んでしまっており、家で話し掛けてもいつもよりも素っ気ない態度を取られてしまっている。
……まあ、気持ちはよく分かるけどなぁ。俺もタカと兎亜と別のクラスになんてなったら、流石に授業を受ける気にすらならねぇだろうし……。
そんな事を思いながら昼飯のパンを一口齧っていた時、タカが少し呆れた様子で俺の顔をジッと見ているのに気付いた。
「ん……タカさんやどうしたかね?」
「いや……お前はいつも授業を真面目にうけてないだろと思っただけだよ」
「まあそうだけど……何で俺が考えてた事が分かったんだ? はっ……まさか、遂に
「……能力でも何でも無い幼なじみのカンみたいなもんだよ。というか、授業くらい真剣に受けたらどうなんだ? いくらあまり勉強をしなくても成績が良いからって、そのままだと内申にも響くだろ? 」
「んー……そうしたいのはやまやま山手線なんだけどさ、俺はどうにも授業を受けてると眠くなる体質みたいなんだよなぁ……」
「……青司、それは体質じゃない。あくまでも青司が授業に興味が無いだけだ」
俺の言葉にタカがやれやれといった様子で答えていたその時、近くからクスクスと笑う声が聞こえ、そっちの方に顔を向けると、そこには見知った顔が三つ並んでいた。
「おっ、日菜に
「んー……うん、せっかくだしそうさせてもらおうかな? ねっ、二人とも」
「ふふ、そうだね」
「そうだな」
「へへっ、そうこなくっちゃな!」
俺の声に日菜達は静かに頷いた後、昼食を持って来るために一度それぞれの机へと戻り、その間に俺達はタカの席の周りの机を人数分向かい合わせた。そして、日菜達が戻ってきた後、少し脱線していた話し合い兼昼食会を再開した。この三人、
タカ達のようにいつも傍にいてくれる存在は、もちろん貴重な上に嬉しいもんだが、咲也達みたいに
そんな事を考えていた時、タカ達から話を聞いていた日菜達がそれぞれ少々困った様子で声を上げた。
「うーん……気持ちはとてもよく分かるけど、こればかりはどうにもねぇ……」
「そうだね……本人からすれば、とても重大な事ではあるけど、クラス分けは先生達が決めてる事だろうから、何か本当に仕方ない理由が無い限りは、個人の意思を尊重する事も出来ないだろうしね」
「ああ……もし、そんな事がまかり通ってしまったら、同じような事を言い出す奴が必ず出て来るからな。それを防止するためにも、そういった事は絶対に出来ないしやってはいけないんだろうな」
「やっぱりそうだよなぁ……自由気ままな天才の閃きを持ってしても無理となれば、本当に難しい話になるよな」
「本当に悪いけど、そうなっちゃうよね……」
自由気ままな天才こと日菜がとても申し訳なさそうな様子を見せる中、咲也が何かを思いついた様子で声を上げた。
「ねえ、因みに……青司の妹さん――蘭ちゃんの学校生活の様子とかって今どんな感じなの?」
「えーとな……クラスには中々なじめてない上に授業中にフラッといなくなって帰ってこない事も多いみたいだ。んで、家でもあまり元気が無いし態度もいつもよりも素っ気ない感じだな」
「そっか……」
「……このままそれが続くようだと、家の方にも連絡が行く可能性があるな」
「だよな……だから、そうなる前にどうにかしてやりてぇんだが、良い感じの案が何も浮かばなくてな」
さてさて……本当にどうしたもんかなぁ……。
その後も俺達は昼飯を食いながら様々な事を話し合ったが、結果として良い案が出る事は無く、モヤッとした気持ちが残ったままで昼休みは終わりを告げた。
放課後の部活終わり、タカ達と一緒に帰ろうと思い昇降口で一人ボーッとしながら待っていた時、突然「……あ」という声が背後から聞こえ、それを不思議に思いながら振り向くと、そこには驚いた様子で俺の事を見る蘭の姿があった。
「おっ、蘭じゃねぇか。お前、今帰りか?」
「……そうだけど、それが何?」
「ははっ、素っ気ねぇ返事だなぁ。そんなにツンツンしてっと、その内髪型までツンツンしたのになんじゃねぇ?」
「ならないから。そう言う兄さんこそ今から帰り?」
「おう、タカ達と一緒に帰ろうと思ってな。お前だって、つぐや巴達と帰るんだろ? 何なら、一緒に帰ろうぜ?」
「……まあ、別に良いけど。その方が皆も喜ぶと思うし」
「うっし、なら決まりだな。それじゃあとりあえずこの事について全員にメールを回すとするか」
俺は制服のポケットから携帯を取り出し、蘭を除いた全員に対して集団下校についてのメールを送った。そして、携帯を再び制服のポケットにしまった後、「これでよし」と独り言ちてから少し暗い表情を浮かべている蘭に話し掛けた。
「さてと……アイツらが来るまで兄妹で仲良く話でもしてようぜ」
「話って……何を話すの?」
「うーん……そうだなぁ」
俺は何について話すかを悩むフリをしながら例の件についてどう切り出したものか悩んだ。しかし、いくら悩んでもしょうが無い上、蘭をいつまでも待たせるわけにもいかないため、「……しょうがねぇか」と独り言ちてから例の件について話を始めた。
「蘭、最近学校生活が上手くいってねぇんだよな?」
「……別に。というか、それは兄さんに関係ないでしょ」
「……まあ、確かにこれは蘭の問題だし、お前の言う通り俺には関係ない話かもしれねぇ。けどな、俺はお前の兄である以上、お前に悩みがあるなら解決してやりたいと思ってる。たとえ、俺にはどうにも出来ねぇ内容だったとしても、出来る限りの事はしてやりたいと思ってる」
「…………」
「俺はお前じゃねぇけど、いつも傍にいる奴がいない事で感じる淋しさや哀しさみてぇなのは分かってるつもりだ。だから、お前が話したいと思った時で良いから、お前の気持ちを俺に全力でぶつけてこい。そん時は、俺も全力でそれに対して答えてやるからさ」
「兄さん……」
俺の言葉に、蘭はとても驚いた様子を見せていたが、やがていつものような落ち着いた表情に戻ると、「……うん」と小さな声で答えた。
……今はこれで良い。本当ならさっさと蘭の中にある思いを吐き出させてやり、気持ちを楽にしてやるべきなんだと思う。けど、下手に急いで全てを台無しにしてしまっては、本当にどうしようもなくなってしまう。だから、今はこれでも上出来だと思うしか無い。今の蘭達に必要なのは、まずは蘭自身がつぐ達に自分の思いを伝え、アイツら5人がしっかりと話をした上でそれについての答えを出す事。そして、俺達が為すべき事は、コイツらの事に対して今日のように俺達なりの答えを探しながら支えていく事だからな。
黙り込んでしまった蘭を見ながらそんな事を考えていた時、校舎内から「あ、二人ともいたよ」という声が聞こえ、揃ってそっちに顔を向けた。すると、そこには嬉しそうに俺達の事を見るつぐやひまり、そして何かを察した様子で俺達の事を見ているタカやモカの姿があり、それに対して俺が笑いながら手を振っていると、蘭は皆から視線を逸らさずに「……ねえ」と俺に話し掛けてきた。
「ん……何だ?」
「さっきの事、一応お礼は言っておくよ。ありがとう」
「……へへっ、どういたしまして。まあ、さっき言った事は取り下げる気はねぇから、好きな時に俺に対してドーンと話してくれよ?」
「……うん、分かった」
蘭が小さく笑いながら答えていると、巴やひまりが少しぎこちない笑顔を浮かべながら蘭へと近付いていき、俺はそれを見ながらスッと後ろへと下がった。すると、いつの間にかタカ達が揃って近くへと寄ってきており、その中でもタカが代表してこっそりと話し掛けてきた。
「……俺達が来るまで、例の件について話をしてたのか?」
「ああ。だが、アイツ自身がまだ気持ちの整理が出来てねぇのは分かったから、好きな時にでも話してくれれば良いとは言っておいた。臆病なようかもしれねぇけど、今のアイツにまず必要なのは、自分の気持ちとしっかりと向き合う事だからな」
「……そっか。そういう事なら私達もそうする事にするよ」
「だね。それに、モカ姉がこの件について何か気付いた事があるみたいだし、まずはそれの結果待ちになりそうだね」
「まあ、試しに訊いてはみたけど、いつものようにはぐらかされちゃったしね」
「そうそう。どんな訊き方をしてみても、『んー……まあ、モカちゃんに任せておいてよー』としか言わなかったんだよね」
「ん……分かった。んじゃ、俺達はとりあえずアイツらの様子を見守る事に専念しようぜ。んで、アイツらだけじゃどうにもならなかったり何か話してくれたりした時は、それに対して全力で当たる。お前達もそれで良いか?」
「ああ、もちろん」
「この場合、それくらいしかやりようがないからね」
「僕に何が出来るかは分からないけど、その時が来たら僕なりにやってみるよ」
「私も同じく。この問題は、絶対にハッピーエンドで終わりたいからね」
「うん、そうだよね。お姉ちゃん達には、いつも笑っていて欲しいし、あこも出来る事があるなら全力で力を貸すよ」
「ああ、ありがとな。うっし……そうと決まれば、今日のところはささっと帰りますかね」
そして、話をしている蘭たちに対して少し大きめの声で呼び掛け、それに対して蘭達が答えた後、俺達は赤く綺麗な夕焼け空の下を思い思いの話をしながら家に向かって歩き始めた。
政実「第2話、いかがでしたでしょうか」
青司「今回は、俺達の交友関係の一部の紹介と俺達兄妹が心の中で思ってる事を少しは見せ合えた回だったな」
政実「そうだね。因みに、これからも程度や場面は違えど、お互いの思いをぶつけあうシーンは出て来る予定だよ」
青司「ん、りょーかい。そして最後に、この作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けるととても嬉しいです」
政実「さてと……それじゃあそろそろ締めていこうか」
青司「おうよ!」
政実・青司「それでは、また次回」