悠久の旅人~創世の神子と久遠の宿命~ありふれ編   作:御凪 霧封

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今年もあと残すところ1ヶ月となりました。
幸い私はコロナに感染することなく、流行り出しているらしいインフルエンザにも感染することなく生活しております。
仕事や私事でドタバタしておりますが、なんとか更新することが出来ました。


合流と崩壊

悠樹のステータスプレートには様々な技能や称号、天職が記載されており、それに呆然としていたハジメ達は自身のステータスプレートの表記確認したことで判明したことを悠樹に伝えることを忘れていた。

「お前ら、呆然としてるのは良いけど、自分のステータスはどうだったんだよ?」

悠樹は、アーティファクトだとされているステータスプレートが自身のスキルを全表示出来ておらず、自身が把握しているスキルを全表示出来ていない以上、アーティファクトだとされているステータスプレートが似非アーティファクトだと判断しつつ、ハジメ達にそう言っておくと、天之河光輝の隣にいた坂上龍太郎に視線を送っていた。

坂上龍太郎。原作では天之河光輝の腰ぎんちゃくとしてのイメージがある人間だが、この世界での坂上龍太郎は悠樹の関係者の手によってマトモな思考能力を手にしていた。故に、本来ならハジメを怠け者だとか不真面目だと蔑んでいたところが、ハジメの事情を知るとハジメの両親に対して苦言を呈する等、ハジメを援護しているし、天之河光輝が悠樹に対して『正義(笑)』を行使しようとするのを止めたりと、自分でどうすれば良いか考えて行動する事が出来ていた。

トータスにおける戦争参加が自分達に何をもたらすのか、簡単に言えば戦争中での積極的な殺人。自分の手を汚して生き残るか、地球への帰還を諦めて命を落とすかのどちらかしかない。

「柾木先輩、これからどうするんすか?」

「天之河の奴があっさり、戦争の参加を表明しちまったからな。ハジメのように異世界転移物の小説読んでいたら、どういう展開になるかはわかるはずなんだよ」

騎士団長らしき男性がやって来て訓練場に向かう中でも天之河に睨まれながら悠樹は気にすることなく、龍太郎とこれからを話していた。

ハジメ達がどのようなステータス、天職なのかは教えて貰ったのでトレーニング方法は立てやすい。また、今後の展開はまだ不明ではあるものの、エヒトやアルブは消滅させているため心配無いし、今まで培ってきた技能が使用不能になるわけではない。おまけに悠樹がアメリカ滞在中に起きたり、悠樹に引っ張られて参加したりした対テロリスト任務で、何度も命のやり取りはしてきていたので、龍太郎や優花、愛ちゃんを除いたクラスメート全員を上回る戦闘スキルがある。

ぼんやりとこれからどう動くか考えていた悠樹は、不意に聞こえてきた歓声と、それが示す物を視認したことで、眉を潜めることになった。

天之河光輝。天職は勇者で全ステータスオール100かつ多くの技能持ち。

それは明らかなチートである証拠に他ならない。ステータスに一切のばらつきがなく、最初から技能を幾つも持つのは、どんなゲームや小説、漫画でも有り得ない。

悠樹は存在その物が逸脱しているので例外ではあるものの、現有するスキルや身体特性の多くはこれまでの旅で獲得してきた物なので、チートには当たらない。おまけにハジメ達がステータスプレートに表示させた各自のステータスや技能が各自でばらつきが有ることからも、天之河のステータスが何者かによって操作されていると判断できる事も、証拠となるだろう。なお、何者かによってステータスが操作されていると判断できるのはもう1人おり、それはハジメだった。

「天職が錬成師と魔闘術師。技能が錬成に弓術、槍術に銀器術。ステータスがオール20っておかし過ぎねぇかな」

「他の奴らと比べてもステータスに一切のばらつきがない以上、おかしいとしか言えないな。龍太郎、俺達は最悪はあいつらから離脱して、独自で動く」

「なら、俺も同行する。もう、光輝の奴とは付き合いきれねぇ」

悠樹の言葉に龍太郎はそう言うと、天之河光輝に冷めたような視線を向けていた。

今までの付き合いで天之河の『自己中』や『御都合解釈』を見てきたため、もう付き合いきれないのだろう。更に詳しく言えば、無意識下で美人や美少女は自分のアクセサリーだと認識しているのも感じてはいた。おまけに魔人族との戦争を1年以内に終わらせるという大言である。もう何百年も戦争が続いているのに、たかが学生でしかない自分達が参加したからと言ってそんなに早く終結するはずがない。

家族旅行でアメリカを訪れた際、偶然にも悠樹達を見かけた龍太郎は、不意に感じた違和感の正体を知るために悠樹達を追いかけてしまい、とあるテロリストとの戦闘に巻き込まれてしまった。その時に感じた『死への恐怖』が龍太郎に『戦時』と『平穏』の差を教えた。

天之河光輝が『殺人は悪』として悠樹を否定しているが、あくまでもそれは戦争下ではなく平和な時代においての正常な考え方であり、自分達が居るのは魔人族との戦争中であるトータスなので、生き残って地球への帰還を叶えるのなら、自分達は魔人族を殺さなくてはならない。おまけに天之河光輝は気づいていないようだが、天之河光輝が『勇者』であるのならば、魔王を殺さなくてはならない。極一部を除いて皆気づいており、その事に気づいていなさそうな天之河を不安げに見つめていた。

「あ~、メルドさんだったか?ハジメや恵里、幸利は後衛職だし、此方で別メニューやらせたいんだが」

「確かにそうだな・・・判った」

メルドが悠樹の言葉に頷いてそう答えると、慌てて天之河が口を挟んできた。

「なっ⁉皆で戦わなければならないのに、なんでハジメは戦闘訓練に参加しないんだ‼恵里さんと幸利は構わないだろうけど」

天之河のその言葉に全員が冷たい視線を向けていた上に、恵里は怒りを瞳に湛えていた。

「天之河、戦闘での前衛と後衛の役割、判って言ってるのか?判ってなければバカ野郎だし、判った上で言ってるのなら最低な屑野郎だな」

「何を言って・・・」

「戦闘向きな前衛職が天職なら確かに戦闘訓練は必須だな。だが、恵里は降霊術師で幸利は闇術師。おまけにハジメは、魔闘術師という天職は有れど錬成師が主天職」「それが・・・」

「錬成師はメルドさんも言っていたように錬成術の行使が主な役割、戦闘向きな天職ではないし全く不向きな職だ・・・此処まで言ってまだ判らないか?」

かなり食い気味ではあったが、悠樹は天之河の『ハジメも戦闘訓練すべき』という天職を無視した発言の間違いを、分かりやすく説明した。勿論、基本的な話であって、悠樹達の場合は当てはまりにくい。とは言っても、何処かしら戦闘巧者と比べれば粗や不味さが出てきやすい。

「明らかに戦闘向きな天職ではないハジメに戦闘訓練すべきと強要するくせに、他の後衛職の奴らには強要するどころかそんな素振りすら見せない。明らかに魔物や魔人族との戦争中でのハジメの戦死を狙ったな?」

「そんなこと」

「無意識にそう考えたんだよ、お前は。人殺しは悪だと言い続けてるお前は、無意識下で思考を巡らせた。そして、事故死だとも言える戦争中での戦死なら自分の手が汚れたりしないし、言い訳だって可能だ。でもな、どんな状況であれ、そうなるように仕向けたのならそれは人殺しでしかないし、故意の殺人というやつになる」

悠樹は対テロリスト任務に何度も関係してきて戦友とも言える仲間を大事にしている上に、フレンドリーファイアや策略を巡らせて仲間を裏切る奴を嫌っていた。だからこそ、ハジメ達がどういったやり方で戦おうとしているかを知りもせず、自分の言い分を正しいと思っている天之河光輝を全く信用していなかった。

「兎に角、ハジメも含めて後衛職の奴らには戦闘訓練は必要ない。俺達なりのやり方でやらせてもらう。メルドさんも認めたことだしな」

悠樹が大事にしている考え方があって、それは『自分を知り相手を知れば百戦危うからず』と『復讐は無意味ではない』の2つだ。簡単に言えば戦いに勝つには情報をどれだけ集めるか、そして自分の情報も含めてどう戦うかシミュレーションしてこそ、勝利を手に出来るというものだ。

そして、『復讐は無意味』というのが第三者、無関係な者の都合の良い考え方であり、当事者にとっては意味があるという考えだ。大切な者を殺された上に犯人が司法の手に係らないまま野放しになっていれば、当事者にとっては諦めることも、況してや納得することも出来ないし、蟠りは残り続けてしまう。江戸時代において仇討ち免状が存在したのも、当事者の心に折り合いを付けさせるためでもあった。深い悲しみに対して折り合いを付けるのは心的安定を得るためであり、付けないままではいずれ狂ってしまいかねない危険性があった。

ただ、悠樹が復讐するのを容認するのはあくまでも自身の手で行うか、そういったことを生業とする者に当事者が依頼する場合であり、全くの無関係だったり生業にしていない者に行わせたりするのは容認してはいなかった。原作で操られたティオ・クラルスに襲われて同行していた冒険者を殺されたウィル・クデタが復讐を匂わせていたのも『傲慢であり卑怯』と考えていた。

「復讐をしようとする奴にとっては、ソレが正義なんだがコイツはソレが悪にしか見えないし、認めない。だからこそ、コイツは馬鹿なんだよな」

悠樹は天之河光輝を見ながら小さく呟いて、ある少女の事を思い浮かべていた。『惑星(ほし)の守護神』として『破滅の獣、ギャオス』と戦った際に巻き込まれてしまい、ギャオスの王であったイリスに取り込まれる事となった悠樹を憎んだ比良坂綾奈。ガメラである悠樹とギャオスの戦いに巻き込まれて肉親を喪った彼女が、自身を恨み続けてイリスに出会い、そしてガメラである悠樹を殺すためにイリスに取り込まれてしまった。だからこそ、復讐を容認している悠樹は、綾奈の怒りと憎しみを受け止めながら、イリスとその後に続くギャオスの群れと死闘を繰り広げたのだ。例え己に憎しみを、復讐心を持っていようと護るべき『人』を、『生命』を護るために。

恐らく天之河光輝は、天職が勇者だということで何があっても負けたりしないと無意識に考えたようだが、魔人族は魔が付くとは言え人に違いはなく、思考能力を持っている以上、情報収集や作戦立案位行ってくるのだから。

「まぁ、人族と魔人族との戦争なんて、俺らからしてみれば西洋人対東洋人、白人対黒人ってのと同じなんだけど、それを考え付かずに人種殲滅戦争に喜んで参加って馬鹿だな。せいぜい自分達がエヒトに選ばれたって喜びながら絶望しな。覚悟がないお前らにはそれがお似合いだろ」

「覚悟がない、だと⁉俺に、俺達にだって覚悟くらいある!」

「どんな覚悟だ?そして、どんなことをするんだ?戦争中での殺人すら、悪いことだと言って否定するお前やその仲間に有るのは、覚悟だと誤魔化している理想や欲望しかないだろ「なら、お前には有るのか?」俺の信念に対してケチを付けるのなら教えてやる。俺の『大切』に手を出してくるなら、俺に敵対するのなら、殺すさ。生きているのを後悔させた上でな」

「光輝、俺も柾木先輩に付くぜ。自分の正義を絶対だと考えて、ソレに反していたり対立する相手を全て悪だとするお前にはもう付き合いきれねぇ。いい加減、正義の対義語が悪ではなく、同じ正義だと判りやがれ」

「おまけに魔人族との戦争において、相手が戦意喪失したから殺さずに捕虜にするとか、話し合えば判り合えるとか甘いこと抜かすなよ?捕虜にしたところで良くて公開処刑だし、お前が助命しようとしても自殺したとか言って秘密裏に殺すだろうからな。聖教会は魔人族の殲滅を願っているし、戦争をしている以上確実に殺す。そして戦争なんて物は、話し合いが纏まらずどうしようも無くなったときに起こされる物なんだから、何百年も戦争をしている以上、話し合いなんてしても意味がない。ついでだが、正義が勝つんじゃなくて勝った方が正義を名乗るんだ。つまり、勝った正義が負けた正義を悪だとするに過ぎない。ん?来たのか。意外と早かった・・って当然か、あの三人も関わってるんだろうし」

そう言った悠樹が視線を向けた先にある空に巨大なワームホールが出現した直後、一隻の巨大な戦艦が現れたのだった。

 




原作と違い、龍太郎君は勇者(笑)の光輝とは決別ルートに突入しました。白崎香織は別として、鈴に雫、優花や恵里は主人公側に居ますし、愛ちゃん先生も立ち位置が主人公側という原作の勇者パーティーが崩壊しております。
サブタイトルの合流は、柾木家メンバーの戦艦を使った異世界トータスへのエントリー。崩壊は原作である意味腰巾着だった龍太郎君の決別と主人公側への仲間入りとなります。
解放者7人に関しては復活を考えておりまして、理由としてはエヒトとアルヴが消滅しているのと、主人公と絡ませたら大変(作者の私的に)だけど面白そうというのがあります。他の作者さんが書かれているありふれ二次にも解放者が仲間入りしている物がありましたし、大丈夫だとは思います。
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