Fateの世界に転生したがそもそも宇宙が始まっていなかった件 作:いうこにね
英雄王に半ば脅される形で言峰が柳洞寺
へ案内した。
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柳洞寺洞窟の最奥────────
英雄・魔術師の大所帯が聖杯の安置場所。
中に深淵を感じさせる様な泥が溜まりその器
は黒く染まっていた・・・・。
「うわー。汚染ってこんな感じかー」
道も分からなかったのにひたすら前を
進んできた主人公シン。
遂に聖杯戦争の目的にして万能の願望器へ
と手を伸ばした。
その瞬間。世界が塗り潰された。
燃える大地。どんな生命も耐えることの出来ない
原初の星。地平線は宙との境界線を失い、あたか
も、水面のように揺らめいている。
士郎を始め、凛や桜達、英霊達ですら驚愕の表情
を浮かべていた。
そんな中、ギルガメッシュは冷静に状況を分析し
ていた。
「これは・・・固有結界に良く似ているが少し
違う。歴史の一部を断片的に世界に上乗せして
ようだが・・・」
ギルガメッシュがそこまで言った所で、シンが
ガックリと肩を落とす。
「うわぁー来たよ抑止力だよ。普段全然働かな
い癖に、こういう特殊な時だけ一丁前に仕事す
るんじゃねえよ!」
心無しか主人公の顔に疲れが見える。
折角、ギャグパートのまま最終話を終わらせよう
としたのにバトル回に突入してしまった弊害だろ
うか?
ギシリッッ!!!と空間に歯車が軋むような音が
響き渡る。
虚空から出てきたのは古今東西の怪物達。
「オイオイオイ、、『幻想種』のオンパレード
じゃねえか!!一体何匹居やがんだ!?」
思わずクーフーリンが驚愕の声を漏らす。
「聖杯を浄化して終わりかと思えば・・・。
全く、とんだ厄介事ね。勘弁して欲しいわ。」
メディアも恐れを通り越して最早、呆れた様な
声で呟く。
マスター陣もあまりの異常な状況に怯えを隠せ
ない様子でサーヴァントの後ろに居る。
「奴さん達、待ってくれそうに無いぜ。
さてどうする?アンタが責任者だろう。」
クーフーリンがシンに問い掛ける。
「そんなの決まってる。ユラ、ブチかませ」
シンの呼び掛けでユラが全員の前に立った。
手には、シンから受け取った「幻想の剣」。
人類最強にして最古の英雄が幻想種達の大群
を静かに見据えた。
「三割程か・・・」
ユラが剣を体の後ろに弓を引き絞る様に構えた。
剣からは眩い光が溢れだしている。
『
太古の時代、巨神を消し飛ばした極光の奔流は
視界を埋め尽くす程だった幻想種の三割を消し
飛ばした。満足そうに頷いたシンが今度は全員
を見渡して宣言する。
「こういうのは全部倒すに限る。
つまりだな正面から突撃して一掃する。」
戦術も何もない作戦というにはお粗末過ぎる物。
しかし、ギルガメッシュは心底愉しそうに前に
出でて黄金の鎧を身に纏った。
「クックック・・・やはりラストはこうで
無くては。折角の聖杯『戦争』なのだからな。
こういう時、この国ではこう言うのだろう?
『良いだろう。ならば戦争だ』と」
そう言うや否や、ギルガメッシュが蔵から、
空飛ぶインド神話の舟、ヴィマーナのうち火力
重視の船体を現出させる。
「行くぞ雑種ども、砲門百二十展開。
一斉掃射!!!!!!」
空間をつんざく轟音と共に、百二十の光線が
宙を舞って、完璧な精度で全て命中していく。
幻想種達もただやられるばかりでは無い。
数百の竜種による『竜の息吹《ドラゴンブレス》』
がギルガメッシュとシン達を襲う。
一撃が神話級の威力を誇る竜の息吹にシン
が前に躍り出た。
「『雷よ、敵を滅ぼせ』」
たった二節の詠唱。それだけで数百の竜種の
一斉攻撃を逸らすほどの現象を引き起こす。
数百の息吹に百の神雷で対抗する。
大地を抉るような衝撃と轟音が世界を揺らす。
ーーーーーーーーーーー
英雄王と魔法使いの強大な力に当てられて、
英雄達は動く事が出来ない。
──────自分達はここで戦えるのか?
戦士達の心象に悪雲が立ち込める。
それを破ったのは少年、少女。彼らはマスター
として共に闘うことを選んだようだ。
正義の味方を目指す少年は─────
「セイバー。令呪を全て以て告げる。
君は強い。俺はお前を信じている。君は最高
のサーヴァントだ、その力を見せてくれ!!」
うっかりな完璧少女は─────
「イシュタル、エレシュキガル。令呪を全て
以て命じます。貴方達の力を見せて頂戴。」
強くてか弱い後輩少女は──────
「ライダー!お願いします!!!」
そして。
「ええシロウ、私は貴方のサーヴァントです。
我が剣に勝利を掲げましょう。」
「任せてリン!!このイシュタル様に係れば、
幻想種の億や万、軽いものだわ!!!」
「そうね、マスターの思いに答えてみせるわ。」
「はい桜。そこで待っていて下ださい。」
令呪のバックアップを受けセイバー、イシュタル
エレシュキガル、ライダーが飛び出す。
「かぁっ!!いいねえ若いのは。
なあマスター、俺も行きてえんだが?」
クーフーリンが言峰に目を向ける。
「・・・・・・令呪を全て以て命じる。
役目を全うせよ、ランサー。」
「オウ、任せろ!!!」
キャスターサイドでは・・・・・
「キャスター。頼んだ。」
「ハーイ!!宗一郎様 !!!」
それぞれが思いを乗せる。
「令呪をもって命じるわ!!!
やっちゃえー!ばーさーかー!!!!!」
狂化した大英雄は野獣の様な雄叫びを上げて
敵に向かって行く。その光景は一つの英雄譚の
ようだった。自分よりも強い存在と闘う、その
行為はそれだけで人を魅了する。
ギルガメッシュが熱の籠った目でその光景を
眺め、声を踊らせる 。
「クハハハハ!!!良いぞ、興が乗った。
貴様らに我の財の力を貸してやろう!!」
ギルガメッシュの持つ宝具、聖杯の原典。
それは、セイバー達に無尽蔵の魔力を送る。
「ほうれ、もう一つ。」
ギルガメッシュが宝物庫の財を大盤振る舞いする。
筋力の上昇、敏捷の上昇、状態異常無効。
絶大な効能が英霊達を幻想と同等のステージへ
と押し上げる。
「ユラ、お前も行ってくれ。士郎達!!武器を
貸してやる。これを使って戦うと良い。」
シンはそう言って懐から携帯電話を取り出すと
番号を打ち込んでいく。そして、シンが通話
ボタンを押した瞬間に魔方陣と共に彼が持つ
魔術衛星兵器が召喚される。
「細かな制御はこれがやってくれるから、
士郎達は三人でロックオン、攻撃をしてくれ。
魔力を制御装置に翳すと攻撃。移動は三人の
内一人の思考とリンクして行われる。
じゃあ、頑張ってくれ!!」
そしてシンも幻想種との混戦に突入していった。
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英霊達が奮戦する。無尽蔵の魔力という破格の
恩恵を受けた彼らは各々の宝具をひたすら撃ち
捲った。その英霊の象徴たる宝具の解放に幻想
種達が数を減らしていく。
極光が飛び交い、原初の嵐が吹き荒れ、宝具が
雨あられの如く射出され、魔法が破壊を撒き散
らした。その中でもシェードが最も原始的な闘
い方、馬鹿みたいな魔力を体に纏って只の拳で
幻想種達を虐殺していった。
腕の一振りで暴風が吹き荒れ莫大な神秘の塊で
ある幻想種を紙を破くように次々と引き裂いて
いった。シェードの強さに若干、冷や汗をかい
たシンだったが他のみんなが気にしてないので
スルーする事にした。辺りを見ればついぞ先程
まで、数え切れない程だった幻想種がもう残り
僅かとなっていた。
「これで終わりかな?」
そう呟いたシンだったが、一秒後に後悔した。
再び空間が軋む。幻想種が出現した時よりも大
きな音が広がる。
空が割れた。
音が消えた。
割れた空間から巨大な『眼』が彼らを捉えた。
魂を揺さぶられる様な圧力が人間達を襲う。
遅れて吹き荒れた風圧が彼らを吹き飛ばした。
もう一度空間が軋む。今度はソレの体が表れた。
天を覆い隠す程の巨体。身動ぎ一つでも『破壊』
を連想させる様な異常な存在。
「『
シンが今度は一切の余裕を顔から消した。
余りの存在にシンを含め、ギルガメッシュや
ユラ、シェード、イシュタル達以外では、
その場から動くことすら叶わなかった。
メソポタミア神話の創世神ティアマト。
大英雄マルドゥークによって討たれた後にその
巨体が世界に成ったとされる最凶最悪の存在。
「ギルガメッシュ、これは士郎達では荷が
重すぎる。俺達で切り崩そう。」
「うむ。まさか『抑止力』が高々、聖杯戦争の
為にここまでやるとは・・・。」
そして とシンは一つの召喚陣を作り出す。
「エルキドゥを喚ぼう。ここは万全を期して
おきたい。」
媒体には自身の力で創った癒しの首飾りを使用
した。詠唱を一切行わずに莫大な魔力と世界の
記憶からエルキドゥを呼び出した。
「、、、、、久しぶり。ギル、シン。
それにイシュタルさん達も。」
静かに目を開けた深緑の髪の青年はシンやギル
ガメッシュ、女神達を見て懐かしそうな声を出す。
遂にトップクラスの英雄達が揃い踏みした。
原初の女神もいよいよシン達に狙いを定めた。
シンは虚空より自身の最強宝具、終焉剣オメガを
取り出す。終わりを司るその剣は黒いオーラを
刀身に宿し、漆黒の風圧を辺りに拡げ始めた。
ギルガメッシュが構えたのは乖離剣エア。
既に彼の王の顔に慢心は一欠片も無く、乖離剣
は刀身に刻まれた、三界を表した石版をゆっくり
と回転させ始めた。暴風が吹き荒れる。
エルキドゥは地面から幾つもの鎖を出現させ、
ギルガメッシュの隣に並び立った。
シェードは星の破壊者の力を再び体に戻した。
ユラは特にどうする訳でもなく、自分の剣を
正眼に構えた。イシュタルは天の舟アマンナを
ティアマトに向けた。エレシュキガルは一瞬で
チアガールの格好に着替えて一歩後ろに立った。
手にはボンボンを付け、応援の準備は万端だ。
「ほら!冥府の女主人が応援してあげるわ!!!
」
エレシュキガル全力のチアリーディング。
『必殺技』の概念を持つあらゆる攻撃に絶大
な補正をかけるEXの特殊宝具。バックアップを
受けて彼らが力を振るった。
「力を示せ終焉剣。
『
「誰の許しを得て我を仰ぎ見ている?さあ、原初の
女神よ裁定の時だ。死して廃せよ!
『
「呼び起こすは星の息吹。隔たりを廃し人と共に
歩もう。───『
「私は願いを次に導くだけ。私も彼らの力と成ろう。
『
「女神イシュタルの名の元に金星の概念を開する。
星を穿て『
─────世界の源神と七人の英雄が激突した。
七つの強大な力がティアマトを打ち砕いてゆく。
終焉の力、開闢の力、繋ぎ留める力、願いの力、
星壊者の力、星の権能の力。
それらを浴びたティアマトは存在を消滅させた。
一息つくも束の間、世界がぶれる。
圧倒的な暴力の嵐で、塗り替えられた世界が文字
通り崩壊し始めた。
「プロトを起動。空間軸の移動を選択。」
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再び柳洞寺────────
帰ってきたシン達がグッタリとしながら、
地面に座り込んだ。はあーーーー と溜息を
吐く士郎、凛、桜。先程まで神威に当てられて
まともに息をすることも出来なかった彼らは
ようやく一息つけたようだ。
「あっ、聖杯。」
誰が呟いたか、あ~~ と本来の目的を思い出す
一同。だが、皆が疲労困憊の様子で動こうとし
ない。
「よっこらせっと・・・。じゃ、聖杯の破壊に
取り掛かりますか。」
シンが立ち、聖杯の前に出て手を翳した。
「まず浄化っと。『光よ』」
聖杯の中の泥が時間を巻き戻した様に透明度
を増していく。そして、汚染を完全に取り除いた
聖杯は本来の輝きを放ち始めた。
「オラァアアアアア!!!!!」
だが殴る。空気など読まずにシンが全力のグー
を叩き込んだ。グシャッッッ!!! っと音を
立てて聖杯が粉々になった。
心無しかその残骸にえも言われぬ哀愁が漂って
いる。シンは粉々になった聖杯を見て一言。
「よし!!」
「「「『よし!!』じゃねえよ!!!!」」」
メシャッ!!! っと人体から鳴ってはいけない
様な音が響いた。士郎、凛、桜が容赦無く拳を
振り切った。
「浄化したなら壊さなくても良いじゃないか!」
と士郎。それにウンウンと同調する凛と桜。
「おいおい坊主、死ぬなよー。
死ぬなら、俺達を受肉させてからだぜ。」
とクーフーリン。シンは揺れる視界でフラフラ
立ち上がった。
「分かっとるわ!!!マジで最後なのにお前ら
全っっっ然、キメさせてくれねえなあ!!」
シンは不満そうに吐き捨てて魔法を行使して
サーヴァント達を受肉させた。
「あーーー!!ちゃんと私にも『魔法』教え
なさいよーーー!!!」
思い出したように凛が主人公に詰め寄った。
「分かってるって・・・・・・・。
まあ、ハッピーエンドって事で一件落着だな!!」
そう言って見上げた空には満月が輝いていた。
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終わったー!!
急な方向転換とベタな展開ですいません。
ここまで見てくれた皆様に心から感謝を!!!