やはり俺の怪異症候群はまちがっている。   作:オルタナティブ

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第3話:戦う理由

「何があったんですか!?」

 

「外見年齢から推測するに神代由佳の兄!そいつが上半身と下半身を切り離されてくたばってんだよ!絶対想像するなよ、SAN値直葬されたらかなわん!」

 

「は、はい!」

 

俺はゆっくりと上半身の死体に近付く。そして死体に触れようとした瞬間

 

「ガアアアア!!!」

 

「何ッ!?」

 

死体が襲いかかってきた!爪を立てて俺を引き裂こうとしてくるが……

 

「離れ、ろ!」

 

思い切り顔面を殴り飛ばしてしまった。その衝撃で頭蓋骨がひしゃげ、脳漿を撒き散らしながら死体は倒れこむ。……やっちまった。反射的に妖気を使ってしまった。俺の脳裏に2年前の出来事と5年前の出来事が浮かび上がる。

 

 

 

『人間は悪だから、羨むからこそ人であれるんだ』

 

『……その在り方、見せてもらいましょうか』

 

 

 

『……約束したんだ。幸せになるって』

 

『だから、お前は死ね』

 

 

 

「……胸糞悪いな」

 

2年前と5年前に俺はある怪異を封印した。両親と小町を殺した怪異が俺に乗りうつろうとした時に取り込んだ5年前。中学の修学旅行で犯罪者のみを殺し続ける怪異と契約した2年前。5年前の奴は今どうしてるかは知らんが、2年前の奴は今頃俺のナカで意地の悪い微笑み浮かべながら俺を観察してるんだろうな。

 

「……何もない、か」

 

俺が風呂場から出ると、姫野がついてくる。

 

「……大丈夫、ですか?」

 

「……大丈夫だ。もっとえげつない死体を見たことがあるからな」

 

それでもあの衝撃は強かったんだが。

 

「……そんなことはどうでもいい。予備の電源ケーブルを探そう」

 

「は、はい……」

 

しばらく歩き回っていると、1階の扉の先に地下があるのを見つけた。その地下には2つの扉がある。おそらく書庫と物置部屋だろう。

 

「……どっちから行くか」

 

「……左でお願いします。勘ですけど」

 

「わかった」

 

鍵を当てはめてみると、物置部屋の鍵が合うことがわかった。扉を開けて中に入ると、そこにはいくつもの棚がある。その棚を漁り始めて数分後、俺と姫野はあるものを見つけた。

 

「……孫の手か」

 

「電源ケーブルです!これで終わり方が……」

 

「こっちは孫の手だ。これを使えば神代由佳の部屋のベッド下のものを取れるんじゃないか?」

 

「そうですね。どっちから先に行きます?」

 

「……パソコンだろうな」

 

「ですよね……」

 

西部屋に向かい電源ケーブルをセットし、パソコンを再起動する。

 

「さっきのサイトは……あった。『ひとりかくれんぼの終わり方』」

 

その1 コップに塩水を入れ、半分口に含む。準備が出来たら、ぬいぐるみを探す。

その2 ぬいぐるみを見つけたら、口の中の塩水とコップの残りの塩水を吹きかける。

その3 ぬいぐるみに向かって『私の勝ち』と3回言う。

 

これで『ひとりかくれんぼ』は終了です。その後、必ずぬいぐるみは燃やしてください。

 

「……よし覚えた。必要なものは火と塩水。後はぬいぐるみを捕まえるトラップと燃やす場所か」

 

「確か……2階の座敷に暖炉があったはずです」

 

「よし、となると後は火と塩水、トラップだな」

 

塩水を手に入れるために台所に向かう。そこで塩と水道水を拝借して塩水は確保できた。しかし

 

「……燃やし続けるとなると、火だけじゃ足りなくないですか?」

 

「ふむ……それもそうだ。だがどうする?」

 

「……油ならどうでしょう?何か燃やす媒体と油を使えば燃やす時間を引き伸ばせると思います」

 

「名案だ。油も拝借しておこう」

 

そういうことで油も確保した。後は燃やす媒体とトラップだ。

 

「ですけど、燃やすものは何を使うんですか?」

 

「書庫があるだろ。古い本なら乾燥しててよく燃えるだろうな」

 

「……」

 

「……生き残るためだから仕方ないだろ。悪かったからその冷たい目をやめてくれ」

 

姫野の視線にたじろぎながら書庫に向かい、適当に湿気が少ないものを5,6冊ほど確保する。

 

「これで後は火とトラップだ」

 

「火、ですか……あ、そういえば!」

 

何かを思い出したのか姫野が走り出し、俺はそれを追って大広間へと向かう。見ると姫野は仏壇から何かを取り出しており、それをよく見ると……

 

「マッチです。これならどうでしょう」

 

「グッド!後はトラップだけだが……一旦ベッド下を探るか」

 

「はい。由佳……」

 

2階に上がると、後ろから物音が聞こえる。反射的に振り向くとそこには……

 

「……嘘……」

 

首だけがない身体が歩き回っていた。ソレはこちらに気付くと襲いかかってきた!

 

「チィッ!」

 

慌てて等さん仕込みの格闘術で受け流す。そしてすぐさまナイフを取り出してーーーーー

 

「死人は死人だ、あまり動き回ってんじゃねえ」

 

両手足の腱を切り裂く。そして身動きの取れなくなった身体を階段から落としておく。

 

「……容赦ない」

 

容赦してたら生きていけないんで。ええ。

 

「……そういえば、一つ聞きたいんですけど」

 

「どうした?」

 

「……比企谷さんは、なんで戦ってるんですか?」

 

……。

 

「……俺は、実の家族を怪異のせいで亡くしてる」

 

「ッ!?」

 

「そん時に俺が養子として引き取られたのが怪異の専門家でさ。必然的に怪異のせいで家族を亡くした人とかの話を聞くんだよ。……俺はすでに失ってるから。だから、怪異が人を殺さないように抑え込む。それが……誰も知らない怪異を知ってる俺が、唯一出来ることだから」

 

「……比企谷さん」

 

「……ま、俺が出来るのは解決だけだ。これでも怪異関連者の界隈では俺って結構有名なんだぜ?解き明かすことしか出来ないが。……誰も死なせないんじゃなく、極力死なせないことしか出来ないから、戦う」

 

「悲しみを知ってる。苦しみを知ってる。憐れまれることへの怒りを、憎しみを知ってる。そんなもん知ってんのは俺ぐらいでいいよ」

 

「……」

 

「……それに、誰かと約束したからな。誰かは忘れたが」

 

「……え?」

 

「……暗くなっちまったな。さーて、さっさと行くぞー」

 

神代由佳の部屋に入りベッド下に孫の手を突っ込む。ついでに神代由佳の応急処置ぐらいはしとくか。消毒と包帯巻くぐらいしか出来ないが。

 

「鍵か。多分2階西部屋……ここの隣の部屋だな」

 

「はい。由佳のお兄さんの部屋です」

 

部屋を出て鍵がはまることを確認すると扉を開く。探索開始っと。

 

本棚は教科書ばかりだし……勉強机の引き出しを開けて見るか。

 

ガラッ

 

『巨乳天国』

 

バァン!!!!!

 

引き出しを閉める。何やってんだこいつ。

 

「……どうかしたんですか?」

 

「いや……なんでもない。本当になんでもない」

 

「……?まあ、いいです。こっちは粘着テープを見つけました!ぬいぐるみを捕まえるのに使えると思います」

 

「そうだな。確か1階大広間のそばに狭い通路があったはずだ。そこにトラップを仕掛けよう」

 

先に暖炉の準備だ。2階座敷に向かい暖炉に本と油をぶち込む。そして火を付ければ……

 

 

熱くなれよぉ!

 

 

なんだ今の。炎の精霊がいた気がする。

 

「さて、後はトラップだけだな」

 

「はい、早く出たいです」

 

「……そうだな」

 

まだ解き明かされてない謎がいくつもある。それがわからないうちは、完全に抜け出したとは言えないだろう。だけど……

 

「……ふふふ」

 

希望を見出している姫野にそれを伝えるのは、残酷だろうな。

 

「……これでトラップも準備完了。後は奴を連れてくるだけだ」

 

この怪異での最後の戦い……失敗は許されない。ぬいぐるみを探し始めて数分、台所に、ソレはいた。

 

 

ふふふ……みいつけた

 

 

「……今度は、俺たちが捕まえる番だ」




ひとりかくれんぼ三大名物が一つ

引き出しの中のエロ本
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