やはり俺の怪異症候群はまちがっている。   作:オルタナティブ

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続き待ちが意外と多くて嬉しい反面プレッシャーに潰れそうな作者です。

今回はくねくね編終了と八幡の一端の現れですね。え、短いって?ひとりかくれんぼが一晩なのに対しこれ夕方の一幕みたいな時間だもん。ひとりかくれんぼが基本的に午前3時から始めるのが通例だから美琴が神代家に着くのを推定3時半、その直後に八幡が神代家に到着と仮定したら長くても4時間経ってるのにくねくねなんて八幡が介入したの放課後だからね。仮に授業終了が3時だと仮定したら平塚や雪ノ下とのいざこざで30分取られたとしても3時半、その後バイクで突撃したとして早くてくねくねの現場に4時到着ぐらいかな?
そこから終わるのが夕焼けごろだから……八幡が介入した後、美琴ちゃんだけでも2時間ぐらいでケリついてるんだから専門家がその場にいれば……どうなるかわかりますよね。つまりそういうことです。


第7話:真実

「姫野」

 

俺は大聖剣えくすかりばー()を軽く振りながら姫野を呼ぶ。まあ大聖剣つってもただの木の棒なんだけどね。

 

「……どうしました?」

 

「そろそろ行くぞ」

 

「……何処にですか?」

 

「決まってんだろ?元凶がいるところだよ」

 

あのアマのいた場所や言動、怪異の行動から推測するに鍵はあそこだろう。というかえくすかりばー()振りながら探知したからあそこで確定なんだけどね。

 

 

 

 

 

俺たちは再度工場へ向かった。工場であのアマと出くわした場所に着くと、ワイヤーカッターかペンチか、とりあえず何かで鉄柵が切られているのがわかる。俺の背よりは少し小さいが、姫野やあのアマなら問題なく通れるほどのサイズに切られていた。

 

「……行くか」

 

俺は乱雑に鉄柵を掴むと、力任せに捻じ曲げる。あ、これジョジョ3部序盤で留置所の鉄檻捻じ曲げるスタープラチナごっこ出来るやん。

ちなみに後に聞いたところスタープラチナごっこのこと考えていた俺を見た姫野は「またこの人変なこと考えてるなぁ」って思ってたらしい。そんな変なことばっか考えてねぇよ。

しばらく歩くと、強烈な力が漂うのを感じた。感じた先を見ると、枯れた井戸があるのを見つけた。覗き込んでみると、水は1滴もないが…うん。いるな。やべぇのが。とりあえず見なかったことにしておこう。後、姫野には絶対に見せないようにしないとな。戻ろうとすると、あのクソアマがいた。いつの間に来ていたんだ?しかもそこ墓地じゃねぇか。俺とか氷室さんならともかくなんで平然としてられるんだ。めっちゃ怨念とか渦巻いてんぞ。

 

「………………あんた……あそこの井戸、見ただろ?」

 

「……ドギツイのがいたな」

 

「ああ。あそこは枯れ井戸に見えるけど………未だに枯れてないのが残ってんのよ」

 

「残っている、か。……怨念とかなら未だにえげつねぇ残り方してっけど、それじゃあねーんだろ?」

 

「ああ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………人間の骨だよ」

 

……そりゃ渦巻いてるわけだ。なんせその怨念の基点がそこに存在するわけだからな。

 

「この際だから特別に教えちゃうわ。おばさん……実はね」

 

「人を殺したことがある……だろ?」

 

ババアの言うことを遮り、その先を引き継ぐ。

 

「……あら、わかっちゃうかしら?」

 

「人殺したことあるやつ独特の雰囲気と……もう一つは波長だよ」

 

「波長……ですか?」

 

姫野の質問に対し、俺はこう答える。

 

「そ。どうも人間の波長ってのは固有のものがあってな。だが、親子・兄弟関係にある2人を合わせると、波長が合うんだよ」

 

今までドラマとかで見た超能力とかそう言う系で例えると、あれだ。視覚探偵。あれで松坂○李さん演じる主人公が親子に対して言及してたやつに似てる。あんな感じ。

 

「それで今まで俺たち2人が見てきた存在の中で、唯一その波長が合うやつがいる。……姫野。誰だと思う?」

 

「……神社のおじいさん、ですか?」

 

「ノー」

 

「……じゃあ、発狂したおじいさん?」

 

「ノー」

 

「……他には、いないと思うんですけど」

 

いんや。たった1人……1体だけ、いるんだよ。

 

「そう……あの怪異だよ」

 

「そ。……他でもない我が子をね」

 

「……っ!?」

 

こいつは超えちゃいけない一線を超えた。……最悪、ぶちのめすしかないか。

 

「あの頃は、過労とストレスでどうにかしててね。気付いた時には、もう手を掛けてたよ」

 

今でもどうにかしてるだろ。

 

「病院に連れて行く気力も湧かなかった。……何を思ったのか、死んだ子供を抱えてこの場所にまで来ててね」

 

「それで……どうしたんですか!?」

 

「井戸に投げちまったよ……。勢いに任せてね」

 

殺人に死体遺棄……重罪も重罪だ。執行猶予抜きは確定だな。

 

「……たまにね、あの枯れ井戸の所に行くのよ。なんか呼ばれてる気がしてね……」

 

ガキだろうと感情はある。なかったら水子なんて生まれねーよ。

 

「そしてね……下を覗き込むと、必ずと言っていいほどあいつが見てくるんだ」

 

「白い……あいつが」

 

「それが……くねくね……」

 

「くねくねなんてものはただの都市伝説さ。あれは……ただの怨霊だよ……」

 

「……八幡さん?」

 

「色々端折って説明すると、鎧のようなもんだ。

 

確かに怨念ってのはそれなりに強い代物だ。だが、1人1人の怨念は結局のところ一山いくら程度しかない。恨み辛みを抱えた霊ってのは、その一山いくらを凌駕したとんでもない恨みを抱えた代物だが……そんなもんがゴロゴロ転がってたらとっくに人類は滅亡してるね。だから数は少ないわけだ。まだガキの霊だとなおさらだ。

 

だがそんな弱っちい霊でも、実体を持ち、現実に干渉し、力を得る……そんな方法がないわけじゃあない。

簡単だ。概念を得るんだ。言っちまえば、存在を固定するための依り代っつーか楔って感じだな。

人間が幼少期に殺害される事例として、生贄・人柱が挙げられる。

その形として、縄で首を締め上げそれを木や案山子に吊るす……苦しくて悶える様、それがくねくねの動きに酷似していた。その共通点を繋がりとして、『くねくねという概念を依代とすることで形を得た』。そしてくねくねの要素があるが故に、人々を狂わせそれを餌に成長した……その果てに、あの大量の被害者が生まれたってわけだ」

 

「……?????」

 

うーん、分かりづらかったかな?後で紙に書いて図解するか。

 

「今まではずっと見てくるだけだったのにね。今日になって枯れ井戸から出やがった……」

 

我慢の限界ってだけだろ。

 

「………………お前が出したの?お前があいつを井戸から出したの!?」

 

どうやって出すんだよ。バカジャネーノ?

 

「だとしたら筋が通るってもんよ!お前たちだけがこの町に残ってることも!!私があの化け物に襲われることも!!」

 

日頃の行いである。ババアは俺たちに向けて1歩踏み出す。

 

「来るな。それ以上近付くと……」

 

「どうして逃げるの……?……やっぱりそうよ。やましいことがあるからだわ!」

 

濡れ衣も甚だしいわボケェ。……不味いな。怪異が近付いてくる。このままじゃ共倒れだ。

 

「姫野ッ!」

 

すぐさま姫野の腕を掴み駆け出す。

 

「待ちな!全部吐かせてもらうよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……観念するんだね!」

 

「話を……話を聞いてください!」

 

「……今更、何を言っているんだい!」

 

「そうだぞ。こんなサイコパスキチガイクソババアと話すことは何もない」

 

俺の発言に舌打ちをするクソババア。そしてビビる姫野。……あっ。

 

「志村、後ろー!」

 

「こんな時までふざけないでください!?」

 

だってふざけねーとやってらんねーもん。

 

「何を言って……い、嫌ぁぁあぁああああぁぁぁあぁぁ!!!!!」

 

草ァ!

 

いやそんなこと言ってる場合じゃなかったな。姫野を抱き上げると、妖力を足に凝縮し跳び上がる。そのまま横のフェンスを飛び越え、神社へと走り出す。

 

「喋んじゃねぇぞ!舌噛むからなァ!」

 

自販機を蹴り倒し、台車を投げつけ、力任せに引き抜いた木々をぶん投げて接近を妨害する。

 

(この人のこの力どこから出てくるんだろう……?)

 

なんだろう。失礼なこと思われてる気がする。まあいいや。

 

「……姫野。下がってろ」

 

神社に到着したので、手水場に漬け込んでいた木の枝『大聖剣えくすかりばー()』を取り出し構える。……『──』。

 

『久し振りに呼んだわね……何かしら?』

 

眼、頼んだ。

 

『了解よ』

 

次の瞬間、眼前に『死』が広がる。

 

……一太刀でいい。他の余分な動きは必要ない。ただこの一撃を持って、外敵を抹殺する。

 

「直死────────」

 

……くねくねが視界に入り込む。頭に呪詛が響いてくるが、無理矢理に頭から追い出す。

 

徐々に近付いてくる。3メートル……2メートル……1メートル……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺流・久遠ノ太刀」

 

空を切り、超速で振るわれる斬撃……それは的確に怪異の死を穿ち、その身体の6割を霧散させる。

 

「ギィ……アァァァァァ……」

 

しぶといな。ってか即死技なのに何で生きてんの?……ああ、これ怨念の集合体だからか。そりゃまだ生きてるのもあるわな。死んでるのに生きてるとはこれいかにだが確実に仕留めておくか。

 

「2発目行くぜーい。いいなー?」

 

「イィ……アァ……イィ……ヤ……」

 

「答えは聞いてない」

 

死を齎す刃が、振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姫野ー、そこの自販機で適当に水取ってきたわ。飲む?」

 

怪異を解決。ひと段落したので一休み。

 

「あ、頂きます。……あれ?」

 

「ん?」

 

「えーと、取ってきたって……『買ってきた』じゃないんですか?」

 

「うん。さっきぶん投げた自販機が衝撃でぶっ壊れちゃってたのか、あちこちの機能がイかれちゃったみたいで。際限なく小銭とジュースを垂れ流してた」

 

小銭は全部俺の持ってきた鞄の中に詰め込んだ(クズ)。

とりあえず俺は氷室さんたちが来るのを待つか。誘導とかもしなきゃなんないし。姫野はお爺さんに今回の一件の説明を受けてた。

 

……結論を言うと、だ。

 

今回の事件の起点は間違いなく姫野の体質だろう。だが、それもあの怨念が……親のために子を殺す、『子殺し』という風習があり、それが積み重ね続けられたが故にこの事件が生まれた。

 

犯人はもういない。なぜなら全て死んでしまったのだから。

 

 

っと。今回の事件のレポートはこんな感じでいいだろ。後は細かい過程を書けばいいか。

 

「八幡!」

 

そうこうしているうちに来たな。

 

「よ、氷室さん」

 

「姫野君は……無事なのか?怪異はどうなった?」

 

「無事だよ。今は神社で休んでる。怪異も俺がぶっ殺したから安心しな」

 

「そうか……よくやった」

 

「そりゃどーも」

 

……はぁ。憂鬱だ。明日にはまたあいつらに絡まれるのか。

最悪ぶっ殺すかなぁ……死体処理ぐらいなら証拠が残らないように出来るし。

 

「じゃ、氷室さんは姫野連れて警察署に戻っておいてくれ。俺は先に戻って報告書書くから」

 

「姫野君を後ろに乗せればいいだろう?」

 

「テメー免許とって1年も経ってない俺に2ケツしろと言うか」

 

ちなみに、原付は2人乗り全面禁止。運転者がオートバイの運転免許証(大型二輪免許、普通二輪免許、普通二輪免許(小型限定)のうちいずれかの免許)を受けていた期間が通算して1年に満たない場合には、道路交通法71条の4第5項・第6項により二人乗りが全面的に禁止されている。

 

「ははは、しっかりと覚えているようでよかったよ」

 

「……今度晩飯を氷室さんの嫌いなものだらけにしてやる(ボソッ)」

 

「オーケー俺が悪かった」

 

俺はバイクに乗ると、警察署へと向かっていった……。




俺流・久遠ノ太刀

八幡の『武器を使った』対怪異用の技。
内容は至ってシンプルで、『ぶった斬る』。それだけ。というか八幡の技は大概シンプル。『ぶった斬る』『ぶん殴る』など。
それだけと侮るなかれ。妖力で強化されているので下手な怪異ならワンパンで沈む。しかも今回は神社の水に漬け込んだ木の枝を使ったので破壊力倍増どころの話ではない。
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