ウルトラマンメビウス BRAVE NEW WORLD   作:ローグ5

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スクルーダ星人ディスタ

レギオノイド ブレイドカスタム

ベリアル融合獣〇〇〇〇〇〇

〇〇〇星人〇〇〇〇〇〇

                                     登場


赤いリボンの少女

ドイツのベルリン郊外の森の中、そこには周囲から浮いているほどに巨大な建物が存在する。そこは地球防衛隊独逸支部の拠点であり日夜多くの隊員たちが務めている智裕防衛においても重要な施設だった。

 

 

その地下にある一室では逮捕された宇宙人に対する尋問が行われていた。手錠をはめられ不貞腐れた様子で座るのは鴉のような顔をした宇宙人、誘拐宇宙人レイビーク星人の一人だ。

 

 

「お前の言ったことは確かなのか?」

 

「だからさっきから言ってんだろ。俺たちが何のためにこんな田舎の星に来たか、もう十遍は説明してやっただろうが。全く地球人はこんなこともわからないのかね。」

 

「黙っていろ犯罪者が!!バウマン 今すぐ日本支部に連絡を取れ! はやくこのことを伝えないと!」

 

(はあ・・・・まさかこんな程度の奴らに捕まるなんてな・・・事が終わった後も減給間違いなしだな、こりゃ)

 

 

 

 

そのレイビーク星人の男はうんざりした様子でついてないと思う。男は宇宙人による小規模な犯罪組織の一員であり、組織がある筋から受注した地球での仕事の後方支援を来なう為に何名かの部下を率いてドイツに来た。だが様々な偶然が重なり、その姿を地元住民に目撃されたことから通報され、逮捕されることとなってしまった。

 

寄りにもよってこんなバカそうなやつらに逮捕されてしまうとは我ながら情けない。そう思うレイビーク星人は地球人を見下し切っており、尋問者の顔や名前を碌に覚えていなかったが、一人だけ印象に残っている男がいた。

 

(だがまぁ・・あのやたらガタイのいい男はただもんじゃなかったな あいつがひょっとしてウルトラマンだったりしてな・・・まあそれはねえか。しかし)

 

 

監視に気兼ねすることもなく、チンピラらしく椅子にだらしなく座るレイビーク星人は振動に気づく。どうやら「雇い主」が行動を開始したようだった。

 

 

(はやく雇い主がこの星を制圧してくれるといいんだがね)

 

 

レイビーク星人は欠伸交じりにそう考えた。

 

 

 

 

千歳が受けた検査は当初の予想よりも普通の検査だった。何か物々しい機械を使って自分の体を隅々まで調べつくすのかと思ったが、実際にはTVの人間ドッグで見るような機械で体をスキャンしたり、採血をした程度で特にどうということはなかった。

 

そのあっけなさは自分が何者であるかが重視されてないように感じられ、本当に一応のことという先程の自分の考えを補強するように千歳には思えた。

 

(大したことなさそうなのはよかったけど・・・やっぱり暇だな・・・本とか持ってきてもらえればよかった。今日の午後には帰れるといいな。)

 

 

千歳はそう思いながらスマホに入れたゲームをして暇をつぶす。そうやって適当に時間を潰しているとドアを軽くノックする音が聞こえてきた。

 

「はい。どうぞって麗奈ちゃん!?」

 

千歳がドアを開けると目に飛び込んできたのは長い髪の千歳とは対照的にショートカットの少女、そう多くない千歳の友達の中でも一番の親友である麗奈だった。

 

「こんにちは千歳ちゃん!検査大丈夫だった?元気してる?」

 

「あう、うん元気だけど・・・・よくここに来れたね?ここ警備厳しそうなのに。」

 

「へっへー責任者のおじさんが入れてくれたんだー。もう検査も終わったし今日か明日には退院だから会ってもいいって言ってくれたよ!」

 

 

いつも通り元気いっぱいの麗奈も他の友達も口々に心配したんだよー退院したらお祝いしよーねと言ってくれた。みんな自分を心配してくれてたんだと改めて感じやや不安そうだった千歳は笑顔になる。さっきまでが嘘のように幸福な気分だった。

 

 

「千歳ちゃんが元気そうで俺も鼻が高いよ・・・・。」

 

 

少し離れた場所で壁に寄りかかった翼は幸せそうな千歳を見て満足げにうなずく。だがチトセは無視した。なんというかアレだったからだ。

 

 

友達を通してくれたお礼も兼ねて千歳は責任者らしき、身なりの整った男に軽く会釈をした。もっとも麗奈のおじさん呼ばわりにダメージを受けて相手はそれどころじゃないようだったが。

 

笑顔で千歳は友人と話し出す。みんながいててくれれば怖い事があっても平気だ。彼女はこの時改めてそう思った。

 

 

 

「おーいウーリ息してるか?顎にいいの貰ったボクサーみたく足が震えてんぞ。」

 

「だ、大丈夫さリオ。ちょっと純真な中学生の言葉が聞いただけさ・・・そうだよな俺もう40近いおじさんだよな・・・。」

 

 

ウーリは予想外の攻撃にダメージを受けたようだった。年齢の割には若く見られるウーリはあまりそういう扱いをされることがないため、自然にされたおじさん扱いは強烈だったようだ。

 

 

 

「いい加減回復しろよ。特に時間が余っているわけでもないしそろそろ説明を始めるぞ。」

 

「ああ、そうしよう。まずはあの子たちが襲われた経緯について、そして君が十数年ぶりにウルトラマンになったことかな」

 

「よく知ってるな!?」

 

 

従兄相手とは言えこうも早く正体が割れるとは意外だった。やや驚くリオにウーリは不敵な笑みを浮かべる。

 

「カマかけも混じってるけどな。一体これまで何回ウルトラマンの変身が目撃されてると思うんだい?変身解除時の光の収束を観測できれば後は状況証拠から数人まで絞れる。そしたら今回はちょうど元ウルトラマンがいたわけさ。」

 

ウーリは自信ありげに言う。ウルトラマンの変身者の特定はウーリのようなごく少数の防衛隊職員の行う重要な業務である。

 

 

「ああF計画の再来を防ぐためにウルトラマンの正体は防衛隊のトップシークレットでお例外は数人しか君のことは知らない。前の時みたいにはならないから安心してくれ。」

 

 

「そういう事か。なら紹介するよ。彼はウルトラマンメビウス、地球に来た目的は―――――」

 

 

そうしてリオはメビウスと共に事の経緯を語っていく。リオが千歳達を助ける為危機に陥りそこをメビウスに助けられたこと、メビウスがライザーを持ち出したベリアル軍の残党を倒しに来たこと等を語っていく。最初はリオの無茶っぷりに呆れたような顔をしていたウーリだがメビウスがなぜこの地球に来たかの話になるとその表情は自然に真剣味を増していった。

 

 

「融合怪獣を作り出すライザーか。宇宙には厄介なものがあるものだな。そうだメビウスさん。そのライザーを持っているベリアル軍の幹部は誰なんだ?」

 

『それについてなんですが・・・・・そいつが誰だかわからないんです。

倒して来たベリアル軍の構成員の話では、いつも通信越しにしか話さず、決して姿を見せることはなかったとか。

分かっていることはベリアルの片腕だったストルム星人という宇宙人直属の有能な科学者だったこと、そしてウルトラマンに強い恨みを持っている事だけなんです。』

 

 

メビウスブレスから空中にデータが幾つか投入された。リストはベリアル軍の幹部、中でもベリアルの側近だったというストルム星人――――杖を持ったフクイデ・ケイと名乗る伊達男から、メビウスにこの宇宙で一撃で倒された下級構成員まで多岐にわたる。

 

 

「ウルトラマンに恨みか、この地球だけでもそんな宇宙人は数十種はいるし、絞り込みは困難だな。やはりベリアル軍にもそういう奴は多いのか。」

 

『はい。特にベリアル軍でもいまだに抵抗を続けているのはさっき言ったようなウルトラマンに強い恨みを持っている奴や、ベリアルに強く心酔している奴ばかりです。何人ものウルトラマンがいるこの地球に来たのにも何か関係があるかもしれません。』

 

「そうかあの子を狙うのは宇宙人の中でも相当に危険な奴だという事か。わかった。上に掛け合って警備を強化するよ。少数だが陸戦専門の人員も配置する。」

 

ウーリはメビウスの言葉にうなづき、今後の警備計画の概要を語る。あらかじめ配置されている警備に加えさらなる増員――特にSAT出身者等で構成された対宇宙人用部隊を上に進言するつもりだった。

 

 

「助かるよウーリ。俺としても宇宙人に狙われている子を見捨てられないからな。」

 

「その思いは昔取った杵柄から、か?」

 

「いや一人の人間としての気持ちさ。」

 

 

 

リオは当たり前のようにそう答える。ネクサスになる前から持ち続けていたその意思は少しも変わっていない。

 

 

 

「だろうな。そういうところは年取った時から変わらないな。」

 

『僕も微力ながら助太刀させていただきます!』

 

「そいつは頼もしいな!けれどウルトラマンの微力か。謙遜すぎるんじゃないか?」

 

 

 

 

ウーリはそう言って笑う。従兄の変わらぬ人助けを是とする考え方、そしてメビウスの言葉を聞き、改めて親しみを覚えたようだった。ウーリにリオ、メビウスの三者の間にどこか和やかな雰囲気が流れる。しかしその雰囲気は無粋な振動と、それに続く緊急サイレンの音にかき消された。

 

 

「どうした!何があった!」

 

「日本上空の防宙網を怪獣かそれに類する存在が突破!無人衛星を撃破し迎撃戦闘機部隊が発進する間もなくすでに日本上空に到達しつつあります!」

 

「何!昨日に続きまたしてもか!」

 

唐突なまでの凶報にウーリは歯噛みする。重要機密であるため一部の防衛隊員にしか知られていないが、三か月前の戦闘で対怪獣用の軍事衛星などのいくつかが破壊され、現在の防宙網は宇宙人の円盤ならまだしも圧倒的な火力と機動力を持つ怪獣に対して効果を発揮し難くなっている。そしてさらに凶報が続いた。

 

 

 

「さらにドイツのライプチヒ郊外に宇宙人の手によって投下されたと思しき怪獣が出現!すでにネクサスがメタフィールドを展開し、交戦状態に入っていますが、市民はパニック状態です!」

 

「同時攻撃だと・・・・ネクサスの封じ込めが狙いか・・・・しかし。」

 

かつてリオがネクサスだった時以来の複数の怪獣の同時襲来にウーリは考え込む。確かにウルトラマンが複数いるこの地球はベリアル軍にとっては狙うべき場所であるのかもしれない。しかし昨日の侵攻に続き、今度は2体同時とはいくら何でも侵攻ペースが速すぎる。しかも戦力的には枯渇しているはずの残党がそのような攻勢に出るとなると――――

 

(ウルトラマンへの復讐が目的としても不安定な戦力での襲撃はうまくない。そうすると七原千歳・・・・やはりあの子が何か関係があるのか?)

 

 

「ウーリ!上空の奴は俺とメビウスが倒す。容堂に備えてお前はこの病院の守りを固めてくれ!」

 

「分かった!すでに部下が入院患者や職員の避難を始めている!こっちは任せておけ!」

 

ウーリの返事を聞くや否やリオは屋上へと駆け出し、ドアを開けしっかりと屋上の床を踏みしめると右手を突き上げる。

 

「行くぞメビウス!」

 

『ああ、行こうリオさん!』

 

「メビウーーーース!!!」

 

∞をかたどった焔のエフェクトと共に焔の巨人ウルトラマンメビウスが現れる。そして赤き巨人は自身と対照的な青い空へと飛翔していく。

 

 

 

 

 

大気圏突入による振動の中その怪獣―――否ロボットの操縦席に座る宇宙人は微動だにしない。

その宇宙人を地球の人々が見たならば少なくない人が「ダダ」と答えるのではないだろうか。確かにかつて人間標本を作ろうと目論んだとして有名なダダと彼は似ているように見える。しかしどこかユーモラス風貌のダダと異なり、その宇宙人は頭部から体格まで引き締まったシルエットをしている。そして何よりダダと対照的に小さく残忍そうな眼がダダと異なる種族であることを明確に示していた。

 

 

「ブリーフィングの通りあなたのミッションはウルトラマンの撃破です。ネクサスは私が足止めしたのでメビウスかティガ、あるいはその両方の相手をお願いします。」

 

「フン、ウルトラマン2体などと簡単に言ってくれる。だがまあいい。報酬の方は弾んでもらうぞ。」

 

 

モニターから雇い主の声のみが響く。用心深さか臆病さ故か雇い主は決して姿を見せず、以前から声のみでこちらに指示を下してきていた。

 

 

「ええもちろんですとも。一生どころか七代先まで遊んで暮らせる報酬を用意しております。」

 

「用意のいいことだ。こちらの流儀で存分に暴れさせてもらうぞ!」

 

「ええご自由に。銀河屈指の好戦種族スクルーダ星人の精鋭の力、存分に発揮してください。」

 

 

 

そう答える雇い主にもはや答えることなく宇宙人―――――スクルーダ星人ディスタは青い星へ降下していく。そして彼を迎撃しに上がってきた赤い巨人の姿をみて好戦的な笑みを浮かべる。

 

そして銀と赤の巨人と白亜の機械兵器が激突した――――――。

 

 

 

一説にはウルトラマンメビウスの飛行速度は数千年前かつて彼が別の地球で戦っていた頃の時点でマッハ10であるとされる。当然ながらその超高速に追随できる兵器は、ごく一部の実験機を除いて現在の地球には用意しがたく、そのごく一部も今この戦場にはいない。故に戦いは味方の加勢がなく、昨日の戦いと異なりロボットと一対一と物となる。

 

 

超高速の巴戦、両者が刃を振りかざし切りつけては離れを繰り返す。そうした攻防が数回続いた後に両者は先程の速度が嘘のように空中に制止する。

 

 

「ふむ・・・・さすがはウルトラ兄弟の末席。相手にとって不足なしといったところか。」

 

「そういうおまえは誰だ!何のために地球へ来た!」

 

 

余裕の態度を崩さない相手にリオは叫ぶ。明らかに戦略的な意図を含んだ侵攻の先兵である目の前の相手に疑問をぶつけた。

 

 

「さあな俺はただ雇われただけだ。奴のあの娘を攫う作戦を邪魔するウルトラマンを排除するためにな。」

 

「雇われただと?黒幕の傭兵という事か!」

 

「いかにも。俺の名はスクルーダ星人ディスタ。貴様の命を断ち切る者の名だ!!」

 

 

そういうや早いがディスタの乗るロボットは複雑な軌道を描き、メビウスに両腕の光剣で切り付けてくる。

 

大理石のような白と黒に塗り分けられたスマートなフォルムのそれは一見美しい観賞用の機体にも見える。だがその機体の両腕は、三角形の大型の光波ブレード発生器に肘から先が置換されており、非常に剣呑な印象を見る者に与えていた。レギオノイドブレードカスタム、スクルーダ星人ディスタが同胞以上に信頼する愛機である。

 

 

「スクルーダ星人だと・・・・・知っているかメビウス!」

 

『スクルーダ星人は好戦的な性格で有名な宇宙人。ですがその気質と正反対に身体能力は虚弱そのものの為、彼らの戦士は何らかの改造を肉体に施しているそうです。気を付けてください!奴も何らかの改造を受けて肉体を強化しているはずです!』

 

 

 やや大ぶりの斬撃を飛行速度を上げて躱し、右斜め後ろに飛んだメビウスが手から連続して光弾を撃つ。ロボット型怪獣の弱点は機械が故の内部機構の脆さである。この攻撃はレギオノイドの一部を損傷させその戦闘能力をそごうという意図があったが――――

 

 

「踏み込みが甘いっ!」

 

 

ディスタの駆るレギオノイドは達人の技を以て光弾の全てを切り払う。リオやメビウスのあずかり知らぬことであったがディスタが強化されているのは単純な筋力などではない。伝達速度の高速化を始めとした様々な強化が神経系を中心に施されている。機動兵器操縦の為強化された彼の体が故の超反射でこの絶技をなしたのだ。

 

 

「今度はこっちの番だ!」

 

 

光弾を切り払った勢いのままレギオノイドは突進する。スラスターを全開にして加速をかけたレギオノイドはすれ違いざまにメビウスの体を浅く切り付けた。

 

 

「ぐあっ・・・」

 

「その首もらったあっ!!」

 

 

メビウスの直上をとったレギオノイドは自由落下の勢いをつけてさらなる高速でメビウスに接近する。機体各所の機関砲で牽制しつつ、両腕のブレードによる同時攻撃で戦闘にけりををつけようとした。

 

 

「悪いがあれをやるぞメビウス!」

 

『かまいません!存分にやってください!』

 

 

だがディスタはメビウスの一部そしてリオの戦闘経験を過小評価していた。凶悪な双刃が到達する寸前、メビウスの体の一部が唐突に爆発し飛び散る。

 

 

「何ッ!」

 

 

その爆発の勢いを利用してメビウスはスライドするように急激に移動する。故にレギオノイドの刃は空を切り、そのままメビウスに無防備な背後を晒した。

 

 

『「メビュームシュートォ!」』

 

 

レギオノイドに向けて必殺光線が放たれる。さしものディスタの高速神経系をもってしても必殺の一撃を躱された動揺と機体の加速により躱し切れず直撃した。

 

 

「ぐああああああっ!!」

 

 

レギオノイドはディスタがとっさに動力を閉鎖した為爆発四散は免れたものの、機体各所から小爆発を発生させ無人の海岸へ墜落していく。この空を飛ぶのはメビウス一人、リオとメビウスはまたしても敵に勝利した。

 

 

「はあっ・・・・はあ・・・思ったよりきついなこれ。光の国のウルトラマンは皆この技を使っているのか?」

 

『さすがにここの技を使うのは僕とタロウ兄さんだけです。でも驚きました。メビュームダイナマイトにこんな使い方があるなんて。』

 

「地球にはリアクティブアーマーっていうのがあるんだ。それの応用で思いついただけさ。」

 

 

 

ウルトラマンメビウスの特徴的な技の一つにメビュームダイナマイトという自爆技がある。自爆時の膨大なエネルギーを相手に叩きつけるこの技は多大なリスクを伴いながらも、強力な怪獣ですら一撃で倒しうるメビウスの必殺技の一つだった。リオはこの技を応用し体の一部のみを爆発させ、その勢いを利用して緊急回避を行う技を編み出した。

 

轟音と共にレギオノイドが海岸に落ちた。メビウスは落下地点めがけておりていく。おそらくまだ生きているディスタからは何か情報を聞き出せるだろうと考えてたからだ。夕焼けの中ウルトラマンが大地に降り立っていく。

 

 

 

 

 

「ぐ・・・うう・・・・俺としたことが敵の強さを見誤っていたようだ・・・・・。」

 

既にレギオノイドブレードカスタムは動力部を破壊され大破し、戦闘は不能。その反動によりディスタ自身も浅くない傷を負っている。上空のメビウスが軽傷以上の傷を負っていない以上ディスタの敗北は明らかであった。

 

(いやそれだけではない。奴は空中戦とはいえ地球人共の街に微塵も被害を与えたなかった。)

 

実際にこの戦いで地球人んは避難の際の軽傷者しか出ていない。そう、メビウスとリオは被害を与えないように神経を使いながら超高速の空中戦でディスタを倒してのけたのだ。

 

(ここまで力の差があるとはな。ならば敗者としてのやることは一つ。無様に知る限りのことを吐くだけだ。)

 

どこかすがすがしい気分でディスタはそう考える。傭兵に身をやつしたとは言え自身もひとかどの戦士であると自負する彼は潔く敗北を認めた。故にディスタは自身の知る限りのこと、雇い主の部下から聞き出した目的や、その戦力についての情報を、冥土の土産としてメビウスに吐こうとする。

 

 

「聞け!ウルトラマンメビウス!冥土の土産だ!雇い主の情報を吐くから止めを刺すならば、その後に――――」

 

 

ディスタは目の前に降り立つメビウスに死ぬ前に情報を伝えようと、レギオノイドの壊れかけたスピーカーの音量を最大限にする。そしてメビウスに対して口を開くが

 

 

 

 

 

 

「やれやれ。大口をたたいておいて情けない。やはり同胞以外を信用するべきではありませんね。」

暗黒の宇宙に浮かぶ宇宙船の中、邪悪が敗者をあざける。

 

《 デスフェイサー 》《 ハイパーゼットン 》

 

宇宙船の中心部、人の身長を優に超える巨大な機械の中で二つのカプセルが起動する。

 

《 フュージョンライズ 》

 

 カプセルから暗黒のエネルギーが放射され、まるで絵の具が混ざりあうようにして組み合わさっていく。そしてその暗黒のエネルギーは宇宙船を包み込んでいく。

 

《 ハイパーデス! 》

 

 

 暗黒のエネルギーが凝縮され宇宙船を中心に人型を成す。そしてその人型は一瞬で地球上に転移し、日本上空に出現する。そしてその悍ましい姿にメビウスが気付くより早く右腕のガトリングガンを地上に向けて掃射した。

 

「おのれ・・・がああ!!」

 

『「メビウスディフェンスサークル!」』

 

圧倒的な火力の弾幕が一瞬でレギオノイドを破壊し中のディスタ毎容赦なく爆散させる。その圧倒的な密度にリオとメビウスはとっさにバリアを出して街を守る。

 

(まずい・・・・・威力と密度が桁違いすぎる!だが諦められるか!)

 

圧倒的な火力にメビウスのバリアはひびが入り、それから数秒と経たずに砕け散った。だがリオとメビウスはその身を盾にして弾幕を防ぐ。

 

(街にはまだ避難してない人たちがいる。その人たちを死なせない、死なせるものか!)

 

そしてとうとう怪獣のガトリングガンが回転を止める。リオとメビウスは腹から光の血を流しながらも怪獣の猛攻を防ぎ切った。

 

 

「まさかこのハイパーデスの火力を止められるとは。ウルトラマン共は本当に無駄に強いですねえ。」

 

 

ハイパーデスと呼ばれた怪獣は赤や青の光沢のある銀色の体に黒く有機的な関節を持ち、クワガタのような大角が生えた頭部には黄色と赤の目がそれぞれ一対ずつ光っている。さらに右腕は大型のガトリングガンに、左腕は大型のブレードが装着されておりそのシルエットを一層禍禍しい物としている。

 

これこそがベリアル融合獣、ハイパーデスウルトラマンを倒すために作られた無機と有機の体を併せ持つ悪魔である。

 

 

無機物と有機物が混ざったその体は無機物よりの存在であることを裏付けるかのように機械的に右腕を上げた。ハイパーデスから傲慢な声が響く。

 

 

「頭の悪い地球人にもわかるように簡潔に言いましょう。私はモネラ星人ヴェンジェラ。ある者を求めて地球に来た宇宙人です。」

 

 

ハイパーデスの頭部に映像が投影される。その映像を見て少なからぬ人が悲鳴を上げ息をのんだ。

 

映像に映し出されたのは濁った黄土色の骨格に肥大した頭部を持つ宇宙人である。その怪物然とした風貌は報道などで宇宙人の姿に慣れた地球の人々をも恐れさせる明らかな異形だった。

 

 

「そのある者はなんて事のない、皆さんのほとんどからすれば価値のない者です。ですが寛大な私はその者を引き渡してくれさえすれば、地球から去りましょう。ああもしそれだけでは不服なら役に立つ科学技術のようなプレゼントも上げますよ。」

 

 

にやにやとヴェンジェラは上機嫌に告げる。不意打ちとはいえ憎むべきウルトラマンを下せて実に気分がよかった。故に余興もかねて地球の”おもちゃ〝たちに譲歩すらしてやっている。

 

 

「その者とはそう。」

 

もったいぶってヴェンジェラは言葉をいったん切る。その視線の先には七原千歳が入院していた病院があり、

 

「七原千歳と呼ばれる地球人の少女、いやこれは正確な呼び名ではありませんね。ス ト ル ム 星 人 チ ト セを引き渡していただきたい。それが私の願いです。」

 

自信たっぷりにヴェンジェラは言い切る。それと同時に活動限界を超えたメビウスが消えていく。

 

「私が宇宙人・・・・・ストルム星人・・・・?」

 

避難所の中麗奈にかばわれた千歳は青ざめる。少女の地獄は宇宙の彼方から、どす黒い悪意とともにやってきていた。

 

 

 

 

 

 

 




登場人物

・七原千歳
友達と家族を大切にする普通の女子中学生―――――のはずであったが彼女の正体はストルム星人だという。彼女の命運は果たして・・・・

・スクルーダ星人ディスタ
スクルーダ星人は漫画『ULTRAMAN』に登場した種族。まぬけな印象のあるダダをモチーフとした姿とは裏腹に好戦的で冷酷な種族。本作に登場したディスタは何らかの事情で傭兵となり、メビウスと戦った。
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