ウルトラマンメビウス BRAVE NEW WORLD   作:ローグ5

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今回は会話中心です。

この分だと5,6話で終わりかな?


思いは灯の様に

会議室の中を煙と苦虫を噛み潰したような顔が満たす。この広い部屋は地球防衛隊日本支部に置かれた会議室であり、ここにいるのは防衛隊の高官ばかりである。普段多忙な彼らが一か所に集うのは非常事態を除いていない。そんな彼らが一か所に集うということは紛れもなく現在地球非常事態下にあるという事を示している。

 

「状況を説明します。」

 

いかにもエリート然とした参謀本部付きの職員が席を立ち説明する。

 

「昨日出現したモネラ星人ヴェンジェラ、及びレジストコードハイパーデスの現在位置は依然として不明です。ドイツおよび日本に出現した怪獣や宇宙人犯罪者の鎮圧は完了しましたが、事態は依然として予断を許しません。」

 

モネラ星人ヴェンジェラはメビウスを倒した後、虚空へと吸い込まれるように消えていった。自身の目的とする人物の引き渡しを48時間以内に引き渡しを来なうように言い捨てた後にだ。

 

 

モニターにハイパーデスの姿が表示されるとその構成要素の一部、ゼットンの要素に見覚えのある高官たちは一様に渋い顔をする。

この地球においてもゼットンの名を持つ怪獣は幾度か出現し甚大な被害をもたらしている。もう一方の構成要素であるデスフェイサーについては不明だがおそらくゼットン同様非常に強力な怪獣だろう。

 

「モネラ星人ヴェンジェラの要求は七原千歳という少女の引き渡しです。彼女は地球人ではなく実際にはストルム星人なる宇宙人であるとヴェンジェラやその傘下の犯罪者達は主張してます。」

 

 

 

「その情報は確かなのかね?宇宙人が何らかの目的で主張しているブラフでは?」

 

「その可能性は低いと思われます。最新鋭の検査機器を使用して検査を行ったところ彼女の体内に明らかに地球人の体内には存在しない器官が発見されたそうです。また彼女の父親は彼女の生後数か月で事件性のない事故により死亡していますが、戸籍データなどを含め不審な点が多いです。その為七原千歳は正確にはストルム星人と地球人のハーフだと思われます。」

 

 

彼女の数奇な生い立ちも非常に興味深い物だったが彼らの興味を強く引いたのはその体内のストルム器官であった。ストルム器官についての資料内容に何人かがうなる。調査部に先日メビウスから送信された情報によればベリアルはかつてストルム器官を利用し、失われた自身の肉体を復活させ自身の大幅な強化を果たしたという。

 

 

「奴の目的はストルム器官というわけか。それを用いてベリアルの復活をもくろんでいると。」

 

「おそらく奴の主目的はそれでしょう。しかし私は別の目的もあると考えています。」

 

 

続いて発言したのはまだ若い学者風の男だった。彼は宇宙人の文化や生態研究に関するエキスパートであり、防衛隊の顧問としてこの会議に出席していた。

 

「ヴェンジェラが七原千歳を狙うのはベリアルがストルム星人を従え多くのウルトラマンを打ち破った軍団の最盛期を再現するという目的もあるのだと私は考えます。滅びた勢力の残党はいつの世も首魁の子息などを担ぎ上げて世間にアピールするものですが、宇宙人についても同様のパターンが散見されます。奴がこのような事を行うのにはそうした他の残党勢力への呼びかけもあるのかもしれません。」

 

その言葉に会議の出席者達は押し黙る。最悪の場合別宇宙で滅びたはずの闇の軍勢がこの宇宙で復活し多元宇宙への侵攻を開始するだろう。まず手始めにこの地球を滅ぼしながら。

 

絶望の可能性を提示され、しかしそれでも出席者達は会議を有益な物とするべく話を続ける。あらゆる手段を地球のために講じながら。

 

 

 

 

 

 

「ご存知の通り千歳は私たちの実の娘ではありません。」

 

平凡だが掃除が行き届き、清潔な室内でウーリは千歳の両親と向かい合っていた。千歳の両親は予期せぬ不幸にここ数日だけで随分と老け込んだように見える。無理もない。なにせ自身の娘が宇宙人に名指しで狙われているのだから。

 

「あの子は私の友人の娘です。友人が夫に先立たれた数か月後にその友人までもが事故死し、引き取り手のいなかったあの子を私たちが引き取りました。」

 

リビングには写真が飾ってある。どこか悲しみを秘めているが、それでも笑顔を作った夫妻が赤子の頃の千歳を抱いている写真だった。

 

「あの子は子供のいない私たちにとってただ一人の大切な娘です。例え宇宙人の血が流れていようとそれだけは確かです。」

 

「それは分かります。私も人の親ですから。」

 

ウーリはうなづく。短い時間言葉を交わしただけだが、それだけでも十分に夫妻が千歳を愛している事は伝わってきた。

 

「ただあの子の母親については子供のころから知っていますが、父親については気になった事があります。」

 

「気になること、ですか?」

 

「はい。私達は彼と一度だけあった事がありましたが、その時に彼はこう言っていました。『チトセという響きは我ながら良い名前を付けたと思っている。このチトセという言葉は自分の故郷でこういう意味を持っているんだ。』と。」

 

 

千歳の父はその意味をウーリに話した。ウーリはその意味に感心する。おそらくその意味はストルム星の言葉が由来なのであろう。だがその言葉に秘められた愛は地球人のそれと変わらない。子を思う親の愛だった。

 

 

「なるほど・・・・あの子の父親、おそらく彼がストルム星人だったのでしょうが千歳さんに心から愛情を注いでいたんですね。」

 

 

「ええ。顔を知らない相手だったので当初は私達も最初は警戒していたのですが、彼と友人の幸せそうな様子を見ていると自分たちの疑念が馬鹿みたいに思えてきて・・・・それが今になってこんなことになるなんて・・・・。」

 

沈痛な表情を夫妻は浮かべる。千歳が生まれたときの二人の幸せそうな様子が目に浮かんでいた。

 

「ウーリさん。私は宇宙人の事情についてはまったく知りません。ストルム星人なんて存在すら知りませんでした。でもこれだけは言えます。あの子の父親はあの子にただ幸せになってほしかったのでしょう。」

 

そう言って夫妻はうなだれる。突然愛娘に降りかかった禍に何もできない自分たちが歯がゆかった。その表情にウーリも我が事のように胸が締め付けられる。

 

「大変です!千歳さんが!」

 

2階で千歳の護衛についていた女性隊員が息を切らせてリビングに降りてきた。

 

「千歳さんが、瞬間移動を行い消失しました!」

 

「まずいな・・・まさかストルム星人としての力を使えているとは。至急この近辺の警察や防衛隊に連絡を!」

 

部下に指示を出しながらウーリは立ち上がり自身も捜索に加わろうとする。しかしその前に夫妻へ言うべき言葉があった。

 

「あの子のことをあのモネラ星人は多くの人にとってどうでもいい者と言いました。だけど私や他の防衛隊員は微塵もそう思っていません。」

 

静かに、されど断固とした口調で語る彼の目には強い意志が宿っている。

 

「あの子は多くの人に愛され平和を望むかけがえのない存在です。私たち防衛隊の隊員はそんなかけがえのない人間を見捨てる事はありません。そんな人々を守るのが防衛隊の存在意義ですから。それはあのウルトラマン達も同じでしょう。」

 

 

「だから絶対にあなた達の娘さんを守り抜きます。それでは。」

 

 

そういってウーリは退出していく。その背中に夫妻はドアが閉まった後も頭を下げ続けていた。

 

 

 

どこかの公園近くをとぼとぼとまるで追放された罪人のように歩く人影があった。まだ幼さを残した顔立ちの千歳は打ちのめされた面持ちで歩く。

 

 

「ははは・・・・本当に瞬間移動ができるなんて・・・・やっぱり私人間じゃなんだ・・・。」

 

何も千歳は自身が瞬間移動出来ると知っていたわけではない。防衛隊を通じて自身のストルム器官がどういう物かについては知らされていたが、瞬間移動ができるとは知らなかった。

 

自室でふさぎ込んでいた千歳は自分がいれば家族や友人が危険にさらされる申し訳なさに消えてしまいたいと考えていたところ、実際に瞬間移動してしまったもだ。どう考えても地球人にはありえない能力であることに千歳はより一層自身の存在の異物感、異常性に罪悪感を抱く。

 

 

(でも・・・・・どこへ行こう・・・)

 

 

まだ中学生である千歳の行動範囲は狭く、自分がどこへ行くべきかはわからない。周囲の為を考えればどこかあの宇宙人に見つからないところへ行くべきなのかもしれない。だが、あの宇宙人から隠れられる場所など千歳には考え付かないし、仮に隠れる事ができたとしてもあの宇宙人は千歳を探すために街を破壊するだろう。あのウルトラマンを倒した砲撃の威力、それを思い出すだけで千歳は青ざめる。

 

(ウルトラマンはきっと勝ってくれる・・・ネクサスもティガも、メビウスっていう私を助けてくれたウルトラマンも勝ってくれる・・・でも。)

 

あの悍ましい怪獣を思い出すだけで千歳は身震いする。千歳も地球人の大多数と同様にウルトラマンの勝利を信じている。あの怪獣がいくら強くても最終的に三人のウルトラマンが勝つだろう。でもその過程で壊される街は?戦死する防衛隊員や逃げ遅れて死ぬ街の人は?千歳一人の為に一体どれだけの犠牲が出るだろうか?そのことを考えれば千歳はとても平穏な気分ではいられない。

 

 

千歳は回想する。血のつながらない自分を愛し、育ててくれた両親。病弱で引っ込み思案な自分に隣の席だったことをきっかけに話しかけ、自分の一番の親友になってくれた麗奈を始めとする友達たち。皆千歳にとってかけがえのない人々だった。彼らが自分のせいで傷つく事を想像するだけで千歳は涙が出そうになる。いや実際に千歳の目からは涙がこぼれ落ちていた。

 

 

 

「うああ・・ううっ、ぐす・・・・うぐ・・・私なんか・・・私なんて死んじゃえばいいんだ・・・」

 

 

千歳は泣きながら考える。坂道を転げ落ちるように千歳の思考はマイナスへと傾き続ける。もはや千歳の思考には自分が命を絶ち、それによってモネラ星人の興味を失わせるという方向にまで思考が向いていた。千歳は自身の破滅的な思考を肯定するかのように独白を続ける。

 

 

「そうよ・・・・・私はどうせ人間じゃないから無駄に長く生き続けて、そして一人ぼっちになる・・・なら今別れたって同じじゃない・・・」

 

 

この宇宙の宇宙人の多くは地球人からすれば長すぎるほどの寿命を持っている。ならばその宇宙人の血を引く千歳の命は自身の大切な人が全て死んだ後も続くのではないか。それは何よりも家族と友人を大事にする千歳には耐えがたい事であった。絶望に沈む千歳にはまた自分が命を絶つべき理由が見つかったような気がした。

 

「それは違うよ。」

 

 

千歳の絶望の闇を切り裂くように声が響く。千歳が見上げると声の主である男性には見覚えがあった。確か二日前

に千歳達を逃がそうとしてくれた人だ。あの時に怪我をしたのか包帯を体のあちこちに巻いている。

 

「その怪我・・・あの時の?」

 

「ああ、あれとは別件だよ。まあ俺の怪我のことはいい。そう簡単に死のうなんて言ってはいけない。」

 

「どうして・・・・どうしてそんな事言うんですか!私が生きていたって皆迷惑するだけなんですよ!?なのになんで!」

 

「簡単な事だ。君が死んだら君の両親や友達が悲しむ。」

 

「!」

 

千歳は自身が目をそらしていた事を突き付けられ動揺する。

 

 

「確かに君の言う通り大切な人との別れはいつか来るだろう。でもそれは今じゃない。今の君には想像できないくらいずっと後に来ることだ。それは今じゃないし、ましてやあんな奴によってもたらされる物じゃない。」

 

僅かにモネラ星人への怒りをにじませながらリオは言い放つ。

 

「そんなことを起こさない為に俺たち防衛隊やウルトラマンが居るんだ。だから今日は君の家へ帰ろう。」

 

「でも・・・・」

 

千歳はいまだ変える決心が持ててない。自己評価が低いわけではないが、どうしても自身が多くの人々の安全を脅かしてまで守られるほどの存在であるとは思えないのだ。

 

「俺の従兄、ああ君の家に来ていた金髪の男が君の両親から聞いた事があるんだ。君の生みの親であるストルム星人、その人が言っていたそうだ。『チトセという言葉は私の故郷で幸福にという意味なんです。いい名前でしょう?妻も大喜びで賛成してくれました。』ってな。」

 

 

千歳は目を見開く。今は亡き両親も自分を確かに愛してくれていた。その証が千歳という名前に込められていることを理解した千歳の目には涙があふれ出す。

 

「君は多くの人に愛されて今一つしかない命を生きているかけがえのない存在なんだ。もう二度と死んだほうがいいなんて言ってはいけないよ。」

 

 

リオの言葉に千歳はとうとう堪えていた涙を抑えきれなくなる。赤子のように泣きじゃくる千歳をリオはそっと撫でてやる。夕暮れの中千歳の中の絶望の闇を振り払えたことにリオは安堵を感じていた。

 

 

 

 

 

「さっきは助かったよメビウス。」

 

『どういたしまして、リオさん。』

 

日の暮れた街を千歳の自宅に向けてリオは車を走らせる。リオはメビウスの力を借りて千歳の位置を探知し、最悪の事態になる前に彼女を見つけ出す事が出来ていたのだ。その事を考えれば感謝の意を示すのは当然だとリオは考える。

 

ふとリオはメビウスに聞きたいことがあったのを思い出したことから助手席の千歳が寝ていることを確認し、メビウスに質問してみた。

 

「メビウスも地球にいた頃大切な仲間がいたのか?」

「はい。僕が初めて地球に来て戦っていた時いつも僕を助けてくれたのはCREW GUYSのかけがえのない仲間たちでした。もう彼らと会うことは出来ないけど・・・・皆と結んだ友情は今も僕の中に息づいています。』

 

 

メビウスの長い生の中でもあのかけがえのない時間の思い出は、自身の心の中で暖かい炎のような光を灯し続ける大切なものだ。メビウスの答えに共感を覚えたリオはそれを聞き、うなづく。

 

「俺もそうだ。俺も何よりも大切な人がいた。子供のころから一緒にいた幼馴染でいつも俺を支えてくれた人だった。・・・・・・怪獣災害で死んでしまったけどな。」

 

 

そうリオの婚約者だった奈々は十数年前怪獣による災害でリオの目の前で死んだ。何よりも大切な人を助けることができなかった当時のリオは自身の無力さに絶望していた。

 

「でも俺がネクサスになった後も奈々の思い出は俺を支えてくれた。時にやさしく、時に厳しく敵に屈しそうになる俺を支えてくれたんだ。だから俺は思うんだ。人が人へ向ける愛情は永遠に続く。時には親から子へ、友人から友人へと受け継がれていくものだって。」

 

『とても素敵な考えだと思っています。でもリオさんがさっき言った通りあの子の場合は・・・』

 

「ああ、それはまだずっと後のことだ。後であるべきなんだ。だからメビウス、俺たちはあんな卑怯者に負けるわけにはいかない。奴には必ず勝つぞ。」

 

『ええ!絶対に勝ちましょう!』

 

リオとメビウスは気持ちを新たにする。あのような卑劣な宇宙人にこの子の為にも、地球に生きる人々の為にも負けるわけにはいかない。元より一つだった二人の気持ちはさらに強固に収束する。

 

 

そうして車を運転していく内に千歳の自宅が見えてきた。リオはその家の前に集まっている人々の顔ぶれを見て足然に笑みがこぼれる。家の前にいるのは千歳の両親だけではない。チトセの友達も集まっている。それを見て目を覚ましていた千歳は驚き、また泣きそうになる。

 

「麗奈ちゃん・・・・・」

 

「千歳ちゃんどこ行ってたの!あんな事があったばかりだから私もう千歳ちゃんに会えないんじゃないかと心配で心配で・・・・・」

 

「ごめんね麗奈ちゃん。私はもうどこにも行かないから。」

 

千歳は自分に最高の友達がいることを改めて噛みしめる。そう自分が大切な人々と別れるのはまだずっと遠くの話だ。その時までに暖かな思い出を作り続ける為に自分は生きているのだから。

 

「そんな心配しなくても大丈夫だって!ウルトラマン、特にネクサスがあんな不意打ちだけの奴に負けるわけないじゃん!」

 

快活な友達が千歳を楽観的なまでに明るく励ます。

 

「もし七原ちゃんに変な事言う人がいたら私に任せて!将来の予行演習に言い負かしてやるんだから!」

 

勝気な法律家志望の友達が千歳の味方になることをぐっと力こぶを作って宣言した。

 

「とにかく今日はゆっくり休むこと!疲れていると変な方向に頭が行くからこれ食べて寝ちゃいなさい!」

 

料理上手で面倒見のいい先輩が千歳の好きなチョコレートケーキの包みを手渡しながら言う。

 

「あ・・・その・・・・お、俺もが、頑張るから千歳ちゃんもげ、げげ、元気出して・・・・ね」

 

なぜか大量の汗をかきながらいつのまにか来ていた翼が言う。普段は千歳の目には残念な人としか映らない翼も今この時はありがたかった。

 

 

「みんな・・・ありがとう・・・・」

 

 

涙を流しながらも笑顔を作る千歳の心に光が灯る。人が人を思うことで発生するその光は千歳以外の誰にも気づかれることなくメビウスブレスに流れ込んでいく。ただ純粋に相手を思う気持ち、その気持ちは光となり傷ついたリオとメビウスを癒し、新たな活力を与える。

 

 

(この人に光が流れ込んでる?あの時のことと言いもしかして・・・・・っ!)

 

千歳は自身を一昨日も、今日も助けてくれたこの青年こそがウルトラマンメビウスなのではないかと思う。そしてそれと同時にまるで歯車が噛み合うように千歳の脳は自分自身を救う為の閃きを導き出した。

 

「あ、あの!誰か防衛隊の方と話させていただけませんか!」

 

突然の申し出に千歳は自身の考えを伝えようとする。自身や家族友人の未来をつかみ取るため千歳は自分に出来る事をして、困難に立ち向かおうとしていた。

 

 

 

暗黒の宇宙にハイパーデスが浮かぶ。どこかその無機質なボディの中でモネラ星人ヴェンジェラは余裕を崩さず、あざ笑うような笑みを浮かべながら、強大な力を秘めた体の起動を行う。

 

「さてと・・・地球人共の脳みそでもそろそろ答えは出るでしょうし、準備をしますか。」

 

ヴェンジェラの言う準備とはハイパーデスの胸部に装備された大量破壊兵器、ネオトリオンフレイム砲の起動準備だ。モネラ星人のテクノロジーとゼットン特有の1兆度の火球を複合したこの破壊兵器は、一射で地球に壊滅的な被害を与えられるだろう。

 

そうヴェンジェラはストルム星人を回収して立ち去るつもりは毛頭ない。去る前にハイパーデスの力を以て地球人とウルトラマンを滅ぼすつもりだった。

 

「そして私は同胞の復讐を果たす。おもちゃの分際で我々に逆らったクズ共を皆殺しにして・・・!」

 

今から千年単位の遠い昔、ヴェンジェラ達モネラ星人は遊び半分にある宇宙の地球を滅ぼそうとした。彼らにしてみればウルトラマンという多少骨のある相手と地球人というどうとでもできるおもちゃを弄繰り回す。その程度の気持ちで彼らは地球侵略に踏み切った。

 

 

――――――――結論としてモネラ星人は敗北した。ティガとダイナというウルトラマンと、モネラ星人からすれば自分たちより比べるべくもないほど劣った地球人たちにだ。

 

モネラ星人唯一の生き残りとなったヴェンジェラは故にウルトラマンと地球人を憎む。だからこそウルトラマンを蹴散らし、一度は地球どころか宇宙を滅ぼしたベリアルに心酔し、その配下となったのだ。ヴェンジェラの目的について防衛隊の考察は当たっている。この手前勝手な宇宙人の目的はストルム器官の悪用と、ストルム星人を従えたベリアルの故事の再現により、軍団を再建することである。故にヴェンジェラはストルム星人を手中に収めウルトラマンと地球人を殺しつくそうとする。

 

邪悪な表情でヴェンジェラは笑う。すべては自身の復讐のために。凶悪な殺戮兵器を手にするこの邪悪な宇宙人は心からそう考える。

 

 

――――――――――だが、そうはいかない。一見見渡す限り闇に覆われた宇宙が少し見渡せば星々の光に満たされているように、宇宙には邪悪以上の光が存在する。

 

 

宇宙の闇を切り裂くようにハイパーデスの胸部に向けて凄まじい熱量を持った光線が伸びる。不意を突かれたヴェンジェラはあわててハイパーデスを瞬間移動させ、その光線を回避した。

 

「ぐっ・・・・誰です!この私を攻撃するとは!」

 

『決まっているだろう』

 

 

その声と共に焔の塊がハイパーデスに近づいていく。不死鳥を思わせるその莫大な焔の力を持つのは地球上においてただ一つ。

 

「おのれ・・・・ウルトラマンメビウス!貴様のような矮小な偽善者が偉大なる私の邪魔をっ!!」

 

『うぬぼれるなよ邪悪。』

 

リオとメビウスの声がシンクロする。焔をまとったその姿はこれまでとは違う。金色の翼を象ったその形態はバーニングブレイブ、メビウスがかつて共に戦った仲間たちとの絆が生み出したメビウスの最強形態であった。

 

『お前がどれほど邪悪だろうと、どれほど強かろうと関係ない。あの子たちの未来の為、おまえを倒す!』

 

邪悪の前に不死鳥の勇者が立ちふさがる。その姿は邪悪を浄化し、全ての善なるものに希望をもたらす焔と光の化身だった。

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