暗殺者のごとく   作:aros

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読んでいただきありがとうございます。
これからも頑張って投稿しようと思います。





それでは、本編スタート!!


第13話 くるくるの時間

⇒渚side

 

 

 

「更に頑張って増えてみました。

さぁ、授業開始です。」

僕たちの目の前には昨日よりも更に多い殺せんせーがいる。

 

 

 

………いるんだけど………

さすがに増えすぎだよ!!

増えすぎて分身が雑になってるし、そのせいか…殺せんせーの顔が別の作品のキャラみたいになっている。

 

 

 

 

「…どうしたの殺せんせー。なんか気合い入りすぎじゃない?」

「んん?…そんな事ないですよ?」

茅野の質問に平然と返す殺せんせーだったが、気合いを入れているその理由を僕は知っている。

昨日、理事長先生に“スピードでは解決出来ない問題もある”と言われたから、それをあえてスピードで解決させようとしているのだ。

 

 

 

 

 

だけど、それ以上に気になっていることがある。

─社会の最底辺の人間に全てを奪われた人間

理事長先生の綾崎君の評価だ。

僕が見たあの夢と理事長先生の言葉に関係があるのなら───

「こら渚君!!手が止まってますよ!!集中しなさい!!」

「あ…あぁ!!ご…ごめんなさい!!」

殺せんせーに怒られて、テスト勉強に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

▷ハヤテside

 

授業が終わり、そこにはさすがに分身をしすぎて疲れたのか仰け反る殺せんせーがいた。

 

 

 

 

「さすがの殺せんせーでも、疲れたみたいですね。」

「そうだね~。

でも、なんであんなに張り切っていたのかな?」

「さぁ?そこまではわかりませんよ…」

僕は西沢さんと先程の殺せんせーについて話していた。

教室の前側でも似たようなことを岡島君が聞いていた。

「……ヌルフフフ。

全ては君達のテストの点を上げるためです。

そうすれば…君達から尊敬の眼差しを向けられたり、評判を聞いた女子大生がやってきたり…となって、殺される危険も無くなり、先生には良いことずくめです。」

 

 

 

「…いや~、欲望全開だね~。」

「国家機密なんですから評判なんてあるわけないのに…」

机上の空論って知ってますか?殺せんせー。

 

 

 

 

 

「…いや、勉強の方はそれなりでいいよな?」

「…うん。なんたって暗殺すれば賞金百億だし…」

『百億あれば…成績悪くても、その後の人生バラ色だしさ。』

「にゅやっ!!

そ…そういう考えをしますか!!」

雲行きが…怪しくなって来た…。

 

 

 

 

「俺達…エンドのE組だぜ殺せんせー。」

「テストなんかより…暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ…。」

…違う。

 

 

 

 

 

「…皆さん!!それは…「なるほど、よくわかりました。」ッ!!」

「…?…何が?」

「綾崎君以外の皆さんには…暗殺者の資格がありませんねぇ。」

殺せんせー?

 

 

 

 

「全員、校庭へ出なさい。

烏間先生とイリーナ先生も呼んで下さい。

あぁそれと…綾崎君、先に謝っておきます。

今回、少しだけ君の過去に触れてしまうかもしれません。」

───ッ!!そうか、ついに…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何するつもりだよ…殺せんせー。」

僕たちが校庭に出るとそこには、サッカーゴールをどかしている殺せんせーがいた。

 

 

 

 

「イリーナ先生、プロの殺し屋として伺いますが…あなたはいつも仕事をするとき…用意するプランは1つですか?」

どかし終えた殺せんせーはイリーナ先生に対し、こう質問した。

雰囲気の真面目さから重要なことだと理解したイリーナ先生は真剣な顔で答える。

「…いいえ。

本命のプランなんて思った通り行くことの方が少ないわ。

不測の事態に備えて…予備のプランをより綿密に作っておくのが暗殺の基本よ。

ま、あんたの場合規格外すぎて予備プランが全部狂ったけど…見てらっしゃい。次こそ必「無理ですねぇ」く…」

「では次に烏間先生」

イリーナ先生の話を途中で封殺した殺せんせーは次に烏間先生の方を向いた。

「ナイフ術を生徒に教えるとき…重要なのは第一撃だけですか。」

「…………第一撃はもちろん最重要だが、次の動きも大切だ。

強敵相手では第一撃は高確率でかわされる。

その後の第二撃、第三撃をいかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける。」

 

 

 

 

 

「結局何が言いたいん「先生方のおっしゃるように…」」

話が見えないことにしびれを切らした前原君の言葉にかぶせるように言葉を発した。

「自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。

…対して、君達はどうでしょう?

“俺らには暗殺があるからそれでいいや。”…と考えて勉強の目標を低くしている。

それは…劣等感の原因から目を背けているだけです。」

そういいながら殺せんせーはその場で独楽のようにくるくると回り始めた。

「君達の劣等感など、綾崎君の過去に受けてきた仕打ちに比べたらとてもちっぽけだ。

ですが、もし先生がこの教室から逃げ去ったら?

もし、他の殺し屋が先に先生を殺したら?

暗殺という拠り所を失った君達には、そのちっぽけな劣等感しか残らない。」

殺せんせーのスピードが更に増す。

「そんな危うい君達に…先生からの警告です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─第二の刃を持たざる者は…暗殺者を名乗る資格なし!!─」

は…速すぎて竜巻が…

 

 

 

 

 

「……校庭に雑草や凸凹が多かったのでね、少し手入れしておきました。」

竜巻がやんだ後、そこには…まだ一度も使っていないかのように綺麗になった校庭があった。

「先生は地球を消せる超生物…この一帯を平らにするなど容易いことです。

もし君達が自信を持てる第二の刃を示せなければ…相手に値する暗殺者はいないと見なし、校舎ごと平らにして先生は去ります。」

「第二の刃…いつまでに…?」

渚君が殺せんせーに聞いたが──

 

 

 

 

「決まっています。明日です。」

当然のように───

 

 

 

 

 

「明日の中間テスト…クラス全員50位以内を取りなさい。」

そんな無茶ぶりを言ってきた。

 

 

 

 

 

 

「君達の第二の刃は先生が既に育てています。

本校舎の教師に劣るほど先生はトロい教え方をしていません。

自信を持ってその刃を振るってきなさい。

仕事を成功させ、恥じることなく笑顔で胸を張るのです。

自分達が暗殺者であり…E組であることに…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺せんせーの言葉を受け、それならテスト勉強に専念するか…と思いながら教室に戻っていると、

「待って!!」

不意に、渚君のそんな声が聞こえ、何事かと思い後ろを振り返ると、クラスメートが全員僕を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~

 

「皆さん…どうしたんですか?」

僕の叫びに振り返った綾崎君はそんな質問をしてきた。

「今までは無理には聞かないようにしていたけど…殺せんせーにあんな事を言われたら聞かなきゃいけない気がしたんだ。」

そう、殺せんせーにあそこまで言わせたのだ。

悲惨な過去を送って来たのだろう。

普通は聞かない方がいいのだが───

 

 

 

「綾崎君はもう僕たちの仲間なんだ。

そんな君に隠し事なんてされたくないんだ。

なんでE組に来たのかだけでもいいからさ…教えてよ、綾崎君の過去を」

 

 

 

 

 

 

その言葉に綾崎君は戸惑うような表情をして───

「すみません。

今教えてしまうと、確実に中間テストで全力を出せなくなってしまうと思います。

なので…教えられません。」

そこまでなのか!!

「じ…じゃあ!!中間テストが終わったら教えてくれるのかな!?」

その西沢さんの問いに綾崎君は───

 

 

 

 

「…分かりました。テスト返却後、そのときは僕の口から教えようと思います。」

そう宣言した。




今回はあのコーナーはありません。




次回もお楽しみに~

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