それでは、本編スタート!!
⇒渚side
中間テスト───
全校生徒が本校舎で受ける決まりのため、僕たちE組にとってはアウェーでの戦いとなっている。
試験官の先生も指で教卓を叩いたり、無意味に咳をしたりと、露骨に僕たちの集中を乱しに来ている。
───しかし、うちの学校のテストは凶悪だ。
問題が僕たちに襲いかかるモンスターのようだ。
(…やばい!攻略のとっかかりが全然つかめない。)
このままじゃ、この問題に殺られる!!
─大丈夫です。
そんな言葉が脳裏をよぎった。
─1カ所ずつ問題文を見極めて、それらをつないで全身を見れば…ね、なんて事ない相手ですねぇ。
─さぁ、君の刃で料理してしまいましょう。
分かる!!
問題文の重要な部分や解き方のコツ…どれも…殺せんせーがマッハで教えてくれたものだ!
周りも調子づいたのか、解くペースが上がってきた。
以前なら、もう諦めていただろう。
だけど、今の僕たちは以前までの僕たちと違う。
この問題なら…殺れる!!
次の問題も!!
その次の問題も!!
次の瞬間、僕らは…背後から、見えない問題に殴り殺された。
この問題、テスト範囲だったっけ…?
~~~~
「……これはいったいどういう事でしょうか?
公正さを著しく欠くと感じましたが………」
烏間先生が本校舎の先生に抗議の電話をかけている。
「…伝達ミスなど覚えはないし、そもそもどう考えても普通じゃない…テスト2日前に…全教科で出題範囲を大幅に変えるなんて………」
そう、テスト範囲が変更されていたのだ。
だが、僕たちにはその事が全く伝えられていなかったのだ。
“クラス全員が50位以内に入る”
それを達成出来なかった。
それだと…殺せんせーが………
「…先生の責任です…。
この学校の仕組みを甘く見過ぎていたようです。
…君達に…顔向け出来ません…。」
殺せんせーも落ち込んでいた。
と、そこに───
「にゅやっ!!」
殺せんせーに向かって、一本のナイフが飛んでいった。
こんな時にこんな事をするのは一人しかいない。
「いいの~?
顔向けできなかったら…俺が殺しに来るのも見えないよ~?」
やっぱり、カルマ君だった。
「…カルマ君!!
今先生は落ち込んで……」
怒鳴る殺せんせーに対し、平然とテスト用紙を投げるカルマ君。
そこには───
赤羽業 英語 98点
国語 98点
社会 99点
理科 99点
数学 100点
ほ、ほぼ満点じゃないか!!
数学に至っては100点だし………
「俺の成績に合わせてさ、あんたが余計な範囲まで教えたからだよ。」
なるほど…そういうことか…。
「…だけど、俺はE組出る気はないよ…。
前のクラス戻るより暗殺の方が全然楽しいし…。」
良かった。
カルマ君に出る気がなくて…。
「…で?どーすんのそっちは?
全員50位に入れなかったって言い訳つけて…ここから尻尾巻いて逃げちゃうの?
それってさぁ…
結局…
殺されるのが怖いだけなんじゃないの?」
「…なーんだ殺せんせー怖かったのかぁ。」
「それなら正直に言えば良かったのに…」
「ね~。
“怖いから逃げたい”って」
カルマ君の意図を察したのか、クラス内から殺せんせーを煽る言葉が飛び交った。
「にゅやーーーーっ!!
逃げるわけありません!!
期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!!」
「…それはいいとして、もう一つあるよね?
中間テストの後でやるって言ってた事………。」
カルマ君のその一言にハッとなる。
そして、全員綾崎君の方を向いた。
「そろそろ教えてよ…。
なんでここに来たのかを、ね。」
「…分かりました。
では、言わせていただきます。」
綾崎君はそう言って、教卓に向かって言った。
次回、E組の皆にハヤテの過去が明かされます。
次回もお楽しみに~。
「今回も無いんだな、あのコーナー。」
「二巻が発売される前にネタ切れになるのを防ぐためだって。」