今回の話では、原作ではこの話に出てこなかった原作キャラを出そうと思います。
それでは、本編スタート!!
▷ハヤテside
「えーっと…
『へー…
果穂、お前いい店知ってんじゃん。』
『コーヒーが美味しいんだよ。
パパの友達が経営しててね、私のとっておきの場所なんだ。』
『そんな事言ってよぉ…
昨日の前原とも来たんじゃねーのか?』
『そ、そんな訳ないじゃん!!
誰かを連れて来たのは瀬尾君が初めてよ!!
…昨日は前カレがみっともないとこ見せちゃってごめんね?
あんな見苦しい人だとは知らなかったの…。』
…もうやめていいですか?
見てるだけで気分が悪くなってきました…。」
「よく頑張りましたね、綾崎君。」
標的の2人がいる喫茶店のお向かいにある民家の二階で双眼鏡で会話を読唇していた僕に、殺せんせーが労いの言葉をかけてきました。
無理もない…。
あの二人の会話は神経を逆撫でするような…そんな気持ちの悪いものだったのだから…。
「よくこんな距離で聞き取れるな…。」
杉野君が呆れたような声音で言ってきました。
「唇の動きで話しているであろう言葉を予測してるだけですけどね。」
「なるほど…読唇術って訳か。」
「昔S○Kで習っておいたのが役にたちました。
…まあ、殺せんせーに披露したら鍛え直すって言われましたが…。」
「ヌルフフフ…
聞き間違いが多かったですからねぇ…。」
「ゲスい方面に使うんじゃねーぞ…。
っと、見てみろよ…あれが渚と茅野だぜ?」
杉野君にが指差した先には…一組の老夫婦がいた。
理解していなければ到底渚君と茅野さんの2人とは思えないだろう。
「なかなかのもんだろ?
パーティー用の変装マスクにちょっと手を加えたんだ。」
菅谷君が得意気に言ってきた。
「というか…あの人達、お年寄りへの対応がなってませんね…。」
「しょうがねーよ…。
あいつらはさ…弱そうな人間には興味無いから。
つーかこの民家…よく俺たちを上げてくれたよな。」
「家主の人は矢田さんと倉橋さんが押さえてくれてます。
…二人とも、本命を口説く前の練習だって言ってましたけど…どういう意味なんでしょう?」
「…お前はまだ知らなくていいと思うぞ。」
…なんででしょう?
▷友人side
「───では皆さん…作戦を開始しましょうか。」
殺せんせーのその一言を合図に始まったこの復讐作戦…標的が店からでた後タイミングを見計らって行動する5人がこの民家から出て行った。
奥田が殺せんせー(ハヤテの懇願付)に頼まれて作ってきたという弾丸を千葉と速水の2人がマガジンに入れたところで作戦決行の準備が出来たことをメールで渚に知らせた。
ハヤテがいねーから何言ってるかは分からんが…作戦だと、ここのトイレが一つしかないらしいので茅野にそこをおさえてもらい(その際、他にトイレがあるのは100m先だと思わせる)、渚には2人の気をそちらに向ける手はずになっている。
思惑通り渚に気がいったところで、2人のコーヒーに千葉と速水が弾丸を撃ち込む。
弾丸の正体は超強力な下剤だ…。
そんなものが入ったコーヒーを飲んだ2人はもれなく腹を下していた。
しばらくして、店から出てきた2人は醜い言い争いをしながら走っていた。
100m先のコンビニに向かったのだろう。
そこまでの間で前原達が待ちかまえているとも知らずに…。
だが俺は…それ以上に気になっていることがある。
「…なあ殺せんせー。
ハヤテと中村一緒にして大丈夫なのかよ…。」
そう、2人はSかMかでいうとS…しかも、頭にドが付くほどであり、よく悪戯のことで話し合っている。
…だから、心配しているのだ。
「普段よりはいいでしょう?」
「カルマいねーしな…。
ドSトリオじゃねーだけマシ…と言うとでも思ったか!!」
不安だ…。
▷ハヤテside
標的が雨に濡れ、さらには泥で汚れた姿でコンビニに入っていった。
「では行きましょうか、中村さん。
…って、うわ!!」
手を繋いでいる方がより屈辱を与えられるかと思い、中村さんに手を差し出すと、何を思ったのか差し出したその腕に抱きつかれたのだ。
「な…何を!?」
「ん~?
こうした方が手を繋ぐより見せつけられてるように見えて屈辱的じゃない?」
「なるほど…一理ありますね。
恥ずかしいですが…このまま行きましょう。」
そう言って店内に入っていった。
さて、お目当ての人達は…いたいた。
「うわっ!!見てくださいよ、中村さん。
トイレの前でケンカしてる男女がいますよ!!」
「あ~ホントだ。
しかも、あんな泥だらけで…見苦しいねぇ。」
「男の方なんて、自分のことしか考えてませんよ?
こういう時は女の方を先に行かせるのに…紳士じゃないですね~。」
「紳士といえばあの2人…少し先の喫茶店にいたんだけど…やってきたおじいちゃんおばあちゃんを思いっきりバカにしててさ~。」
「うわ~、お年寄りには優しく接しろって学校で言われなかったんですかね~?」
「ってあれ椚ヶ丘じゃん。
他人への優しさよりエリートのプライドの方がそんなに大事かね。
あ~やだやだ、あんなのと同じ学校だと思われたくないね。」
煽りに煽りまくった結果居づらくなったのか標的は出入り口へと走っていく。
その時中村さんを抱き寄せ2人の進行方向から外すことも忘れない。
「あ…ありがと。」
「いえ、中村さんの服や可愛らしい顔に泥がついたら大変ですから。」
そう言うと───
「~~~~~///!!」
中村さんの顔が真っ赤になった。
「───で、終わったのか?」
その一言でそちらに顔を向ける。
そこには、顔をピンクにした殺せんせーと苦笑いでこちらを見る男子達、そして…不機嫌そうに頬を膨らませる女子達がいた。
でも───
「あれ…前原君は?」
「他校の女子とメシ食いに行くってよ。」
前原君らしい終わり方だ。
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次の日───
この作戦に参加した全員が烏間先生に怒られた。
次回もお楽しみに