それでは、本編スタート!!
▷ハヤテside
転校生が入ってきた日の昼休み───
「ほんとに大丈夫なの、ハヤテ君?」
渚君が心配そうに言ってきました。
おそらく、朝のあの一件のことでしょう。
「ええ、もう問題ありません。
一時間目の途中で痛みは引いたので…
そんなことより…イトナ君でしたっけ?
彼が…殺せんせーの弟だというのは…本当なんですか?」
イトナ君というらしい転校生の方を見ながら、僕は渚君にそう聞いた。
壁の破片が直撃したことで少しの間気を失っていたらしい僕は意識が戻ってすぐその事を聞かされて戸惑うことになった。
「本人がそう言ってるし…本当なんじゃない?」
「甘党なところとか表情が読みづらいところとか…殺せんせーと似てる部分は多いしな。」
僕と渚君の会話を聞いていた杉野君が入ってきてそう言った。
「兄弟疑惑が出てきてから…皆がやたらと私と彼を比較するようになりましたねぇ…。
なんだかムズムズします…。
こういうときは、今日買ったグラビアを見るに限ります。
…これぞ大人のたしなみです。」
「教室に持ってくるなよ…。
ほらみろ…ハヤテが顔真っ赤だぜ。」
「写真でもだめなのか…。」
殺せんせーの持っている本の表紙がかなり刺激が強かったため視線を逸らすが…その先にあったものは───
殺せんせーが持っているものと同じ雑誌を開くイトナ君だった。
「女性の好みまで同じかぁ…。
…ねぇハヤテ君。
ハヤテ君はイトナ君と殺せんせーが兄弟だと思う?」
不意に渚君がそう聞いてきた。
「どうでしょうね…。
性格や好みが似ているから兄弟だとかは…絶対にそうだとは限りませんよ。
たとえ双子であっても…。
実際、兄のような立派な人間になろうとしている僕ですが…性格が完全に一致しているわけじゃありません。
というか…性格なんて人それぞれで、簡単に変えられるものじゃありませんしね。」
「そういえばハヤテ君…行方不明のお兄さんがいたんだったね…。」
「修学旅行の時に旅館でそう言ってたな…。」
「まあ…放課後に暗殺をするのなら、そこですべて分かると思うので…それまで待ちましょうか。
今ここで何を言っていても詮無いことですし。」
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放課後───
机を合わせて作られたリングの中に殺せんせーイトナ君はいた。
ルールは至極単純、リングの外に足が着いたらその場で殺される。
いわゆるランバージャックのようなものだ。
そして、殺せんせーはこのルールを破る事は出来ない。
…教師のプライドを利用した姑息な手段だ。
だが殺せんせーも負けてはいない。
リングの周りを囲う生徒達に危害を加えない事を約束した。
「ルールも決まったし、そろそろ始めようか。
暗殺…」
ついに、兄弟疑惑の真相が明かされる…そんな気がしていた。
「…開始!!」
その言葉とともに───
殺せんせーの腕が切り落とされた…。
でも…そんなことより重要なのは…
「触手!?」
イトナ君の頭から…殺せんせーと同じ触手が生えていたことだ。
「なるほど…律さんとの同時投入がキャンセルされた真の理由はこれですか…。」
僕の言葉に皆さんがハッとしたかのような表情になった。
それもそうだ。
一人が触手持ちなら…律さんの援護射撃なんて、暗殺の邪魔以外の何者でもない。
「………………こだ。」
殺せんせーのその声に向けられていないはずの僕たちまでふるえてしまった。
殺せんせーの顔に筋が浮かんでいき…やがて顔が黒くなっていく。
「どこで手に入れた!!
その…触手を!!」
あれが渚君が言っていたド怒りの顔なのだろう。
だが、それを向けられたシロさんは臆すること無く兄弟とは、同じ触手を持っているからだと言った。
「しかし…怖い顔をするね。
何か…嫌な事でも思い出したかい?
まあ、
これから死ぬ奴が何を思い出したところで無意味だけどね…。」
そういうと、シロさんは左腕を挙げる。
すると、そこから怪しげな光が放出され…殺せんせーの体が硬直した。
───その一瞬が命取り。
そういうかのように…殺せんせーに向けて、イトナ君の触手が振り下ろされた。
次回もお楽しみに!!
あれ!?
思ったより短い!!
でも…前話のカット分を編集するのが難しいので入れません。