暗殺者のごとく   作:aros

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前書きのネタが無いなぁ。


まあ、それはおいといて…


それでは、本編スタート!!


第34話 苦戦の時間

▷渚side

 

シロさんの腕から放たれた光を受け硬直した殺せんせーをイトナ君の頭から生えた触手が貫いた。

 

 

その光景をただ呆然と見ているしかなかった僕たちをよそにまだ足りないとでもいうようにイトナ君が触手を雨のように殺せんせーに打ちつけた。

 

 

「殺ったか!?」

これだけの攻撃を受けて生きていないだろうと思ったのであろう村松君が叫ぶ。

皆も同じ考えだったのかリングの殺せんせーを見た。

 

 

 

───2人を除いて…。

 

 

 

「…いや、上だ。」

 

 

そのうちの一人───寺坂君の言った方向に目を向けると───

 

 

 

 

リングの真上の照明に捕まった殺せんせーがいた。

じゃあ、今までやられていた殺せんせーは!?

見ると、そこにあったのは一枚の薄い膜だった。

あれは…殺せんせーの奥の手の一つ、脱皮だ。

月に一度のそれをこんなに早く使わせるなんて…。

 

 

「脱皮か…そういえばそんな手もあったね。

でもね殺せんせー…その脱皮にも弱点があるのを知っているよ。」

 

 

「脱皮が…弱点?」

「おそらく…脱皮するためにはそれなりのエネルギーが必要なんでしょうね。

虫だって、脱皮するときはかなりのエネルギーを消費するらしいですから。」

シロさんの言葉を不思議に思っていると…殺せんせー(脱皮した皮)がイトナ君の触手に貫かれた時からずっとシロさんの方を見ていたハヤテ君がそんな考察を述べた。

「その通りだよ、綾崎君。

よってその直後は自慢のスピードも低下する。

それでも、常人からすれば速いがね。

でもね…触手同士の戦いではその影響は計り知れないよ。」

確かに…どんどん追い込まれてる。

でも…僕には、それが脱皮の影響だけじゃ無いように思えた。

「加えて…イトナの最初の奇襲で腕を失い再生したね?

それも結構体力を使う。

二重に落とした身体的パフォーマンス…私の計算では、この時点でほぼ互角のはずだ。」

「なるほど…ナメッ○星人が再生した後と同じ原理ですね。」

「なんでハヤテ君は解説やってるの…。」

似合ってるけども…。

ところで…いつまでシロさんを睨んでるの?

 

 

「また…触手の扱いは精神状態に大きく左右する。」

───ッ!!

殺せんせーは些細な事でもすぐに動揺する。

さらにこのリングは狭いため、気持ちを立て直す暇も無い!!

それじゃ…この試合、勝つのは…。

 

 

シロさんが腕を挙げる。

「さらには…献身的な保護者の───」

またあの光を放つ気か!!

と、思っていたが…それは実行されなかった。

なぜなら───

 

 

 

 

そのライトを───

 

 

 

 

「何のつもりかな、綾崎君?」

 

 

 

 

ハヤテ君が蹴り壊したからだ。

 

 

「何のつもり…?

決まってるじゃないですか。

 

 

 

1対1の真剣勝負に変な横やりを入れる卑怯者を成敗しただけです。」

 

 

ハヤテ君…もしかして、シロさんの方をずっと見ていたのは、シロさんがライトを出す瞬間を見逃さないようにするためだったの!?

 

 

 

▷ハヤテside

 

「卑怯者…か。

私のどこが卑怯なのか、教えて「だったら…」…?」

「だったら…イトナ君のサポートを辞めていただけませんか?

さっきから見ていたらイトナ君が殺せんせーにダメージを与えられたのは最初以外あなたのサポートがあったから…。

殺せんせーにはサポートはないのに片方にだけある事が卑怯じゃ無いのならいったいなんだと言うんですか。

ましてや、イトナ君はあなたから僕たちの知らない殺せんせーの弱点を聞いている。

今まで真剣に殺せんせーの命を狙ってきた僕たちとしてはこれもフェアじゃないと言える。

それ以外にも色々言いたいことはありますが…ここから先は、余計な手出しをせず黙ってイトナ君の暗殺を見ていてくださいませんか?」

 

 

僕の願いをシロさんは…

「…悪いが、その頼みは聞けないね。

イトナは私がいないといけないんだ。」

そう言って断った。

 

「そうですか…。

なら、こちらも容赦はしない。」

「…何をする気だい?

まあ、したところで意味は無いけどね。

殺れ、イトナ。」

シロのその一言に呼応してイトナ君がトドメとばかりに触手を纏めて叩きつけた。

 

 

 

 

───が…ダメージを受けたのは殺せんせーではなく、イトナ君だった。

 

 

 

 

「何が…!!

ッ!!床に対先生用ナイフ…だと!?

まさか!!」

シロが僕の方を見るが…それを軽く無視し、殺せんせーに笑顔を向ける。

 

 

 

~~~~

 

真相はこうだ。

 

 

まず、殺せんせーが脱皮する直前のイトナ君のラッシュの時に素早く自分の持っていた対先生用ナイフをハンカチで包む。

 

           ↓

 

それを机の下に置き、それを悟らせないように元々いた場所から移動し解説役を担いこちらに注意を引きつける。

 

           ↓

 

殺せんせーがそれに気づいて取るための時間稼ぎ。

 

 

 

こんなところだ。

 

~~~~

 

触手を失い動揺したイトナ君を殺せんせーが脱皮した自分の皮で覆い、窓の外へ投げる。

 

 

「先生の勝ちですねぇ…。

経験の差と先生と生徒の信頼を侮ったあなたがたの油断がこの敗北を招いた。

私に勝ちたいのなら…この教室でそれらを盗まなければいけませんよ。」

 

 

 

その瞬間───

 

 

 

 

イトナ君の触手が、真っ黒に染まった。




脱皮に関しては調べました。



次回もお楽しみに!!

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