これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。
それとakihaさん。
誤字報告ありがとうございました。
その部分は修正しました。
これからも気づいたら遠慮なく言ってください。
それでは、本編スタート!!
▷ハヤテside
「あら、綾崎君。」
鷹岡さんというらしい新しい先生が持ってきたケーキを無視して教室に向かう途中、背後から声をかけられた。
「…?
あ、園川さんじゃないですか。」
誰かと思い振り向くと…そこにはスーツ姿の女性が立っていた。
確か、園川さんという名前の…烏間先生の部下の一人だ。
「その顔…何かあったんですか?」
園川さんの顔に何かを恐れているような表情がうかがえたので聞いてみることにした。
「…ッ!!
…分かりました、話しましょう。」
園川さんは驚きの表情を見せた後、少し悩むような間をおいて…やがて覚悟を決めたような目でこちらを見てきた。
「明日から体育は鷹岡さんが担当することになったんです…。」
───ッ!!
鷹岡さんが!?
「…綾崎君は鷹岡さんのことをどう思っていますか?」
次に園川さんの口から出た言葉は、僕に対しての質問だった。
「一概には言いにくいんですが…どうも胡散臭いんですよね。
フレンドリーに接することで、周りに自分をいい人だと印象づけているように思えるんですよね…。
…似たような人間の下で14年以上生きてきたので、そう思えるんですよね。」
「その通りです…。
鷹岡さんは───」
▷渚side
「…よーし皆集まったな。
では、今日から新しい体育の始まりだ!!」
今日から体育は鷹岡先生の担当だ。
昨日の様子だったら問題ないだろう。
だって───
「厳しくなると思うが…終わったらまたウマいモン食わしてやるからな!」
「そんなこと言って…自分が食べたいだけじゃないの?」
「まーな…。
おかげさまでこの横幅だ。」
こんなにも僕たちとフレンドリーに接してくれるのだから…。
そのためか…昨日は関わろうとしなかったハヤテ君も体育に参加している。
面倒くさいという理由でサボったカルマ君とは大違いだ。
それに…鷹岡先生は僕たちを“家族”と言ってくれた。
信じるしか無いだろう。
「さて!
訓練内容の一新に伴って…E組の時間割も変更になった。
このプリントを皆に回してくれ。」
時間割の変更…?
いつも通りでいいんじゃ…?
そう思い、回ってきたプリントを見る。
そして───
『…!?』
驚愕した。
「10時間目…!?」
「夜9時まで…訓練…!?」
こんなの…出来るわけが無い…。
「このくらいは当然さ…。
理事長も“地球の危機ならしょうがない”と言って承諾してくれた。
この時間割についてこれれば、お前らの能力は飛躍的に上がる。
では、早速「ちょっ…待ってくれよ!!」…ん?」
愕然とする僕たちを代表して前原君が待ったをかけた。
「勉強の時間がこれだけじゃ確実に成績落ちるよ!!
理事長もそれが分かってるからそんな時間割を承諾したんだ!!」
確かに、あの理事長先生ならやりかねない。
だが───
「…遊ぶ時間もねーし!!
出来るわけねーよ、こんな…ガハッ!!」
最後まで言い終わることなく前原君の抗議が止められた。
前原君のお腹を鷹岡先生の膝が直撃したからだ…。
「“出来ない”じゃない…“やる”んだよ。
…言ったろ?
俺達は“家族”で、俺は“父親”だ。
世の中に…父親の命令を聞かない家族がどこに居る?」
どうやら僕たちは、騙されていたようだ…。
…と、その時───
「やっと…本性を現しましたね…。」
背後から怒気を孕んだ声が聞こえてきた。
いったい誰が…と後ろを向くと───
そこには…いつもはあるはずの笑顔がいっさい無くなり…それを補うかのように顔を憤怒で染め上げたハヤテ君がいた。
「なんだお前…?
父親に刃向かう気か?」
「あいにく…犯罪者が親なんてもうコリゴリなんですよ…。」
その犯罪者とは…ハヤテ君の両親のことだろう。
「犯罪者だぁ…?
俺の何が犯罪なんだ?」
「さっきの前原君への暴行やこの時間割のような労働基準法違反…過去にしてきたことをあげたらキリがない!!」
今までも同じようなことをしていたのか!?
いや、それ以前に…なんでハヤテ君がそれを知ってるの!?
「お前…なぜそれを知っている…!?」
同じことを思ったのか、鷹岡先生が聞き返す。
「知ってるんじゃなくて…聞いたんですよ。
昨日のあなたの笑顔が、あまりにも胡散臭かったので…関わらないようにしようとしていた時に園川さんに会いましてね。」
その返答でようやく気づく。
ハヤテ君は、なんとなくではあるが…鷹岡先生の本性に気づいていたんだと言うことに…。
あまり金銭面に余裕の無いハヤテ君には高級ブランドのケーキなんてご馳走に等しいはずだ…。
なのに帰るなんて…食べる気分じゃなかったとばかり思っていた。
言い終わったハヤテ君は、鷹岡先生に背を向けると…前原君の下に歩いていく。
▷ハヤテside
───鷹岡さんは、烏間さんが空挺部隊にいた頃の同期でして…そのために、烏間さんに対する強い対抗心があるようなんです。
───同期として劣っていたことで見出した活路が教官という役職でした。
───実際、短期間で精鋭を育てることに成功しています。
ですが…それは教え方がよかったからではなく、暴力に頼った独裁体制だったからです。
前原君のもとにたどり着くまでの間、昨日園川さんから聞かされたことの大まかな部分を思い出していた。
「すみません…。
こんなに早くことを起こすなんて思ってもみなかったので、対処が遅れました。」
前原君の下に着いた僕はその場で片膝をつき、謝罪の言葉を述べる。
「いや…ハヤテが気に病む必要は…ねぇよ…。
上辺に騙された…俺達が悪い…からな…。」
よほど痛むのか、前原君は蹴られたお腹を押さえながら返答する。
だが…言葉が途切れ途切れになっている。
それが…僕の怒りの炎をさらに燃え上がらせた。
「分かってねぇな…お前も。」
その時、鷹岡の声が耳朶を打つ。
「分かってない…?」
「そうだ。
教え子を手なづけるのに必要なのはたったの2つ…。
その2つとは…“親愛”と“恐怖”だ。
逆らえば叩き、従えば誉める…それだけでいいんだ。」
「…ツ!!
あまりにも極端すぎる!!」
あえて低い声で問いかける。
すると、返ってきたのはまるで奴隷への対応のような最低なものだった。
「極端でいいんだよ…。
な?
お前は父ちゃんについて来てくれるよな?」
僕の反論を気にする様子も見せず、近くにいた神崎さんの頭に手を置くと、自分のやり方に賛同するかどうかを問いかける。
「…は…はい、あの…私…。」
神崎さんは怯えた表情から一変して、微笑むと───
「私は嫌です。
烏間先生の授業を希望します。」
言った。
それを聞いた鷹岡は神崎さんに対して拳を振り上げようとして───
───その腕が途中で止められた。
なぜなら…僕が鷹岡の腕を掴んだからだ。
「なんだお前…やる気か?
そっちの方が得意だぞ!!」
その言葉を待っていた僕は、鷹岡の腕を放し…叫ぶ。
「その言葉…後で後悔しても、遅いですよ!!」
次回もお楽しみに!!