暗殺者のごとく   作:aros

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原作14巻に、前原がE組女子の中で片岡に声をかけなかった理由が友達(磯貝と推測出来る)への義理となっているので、そこから磯貝が片岡のことをかなり前から好きだった、と解釈しています。



それを理解した上で今回の話をご覧ください。



それでは、本編スタート!!


第49話 寺坂の時間

▷渚side

 

「綾崎君。」

片岡さんを立ち直らせた日の翌日…放課後になり、帰ろうとしていたハヤテ君に片岡さんに声をかけられた。

「…?

どうかしましたか、片岡さん。」

「これからプールで殺せんせー暗殺のための調整をしようと思ってるんだけど…この後、予定が無いなら…綾崎君も…一緒に来ない?」

どうやら…片岡さんの要件は、ハヤテ君が放課後のトレーニングを一緒に出来ないか、ということらしい。

 

 

 

「そうですね~…今日は特に用事もありませんし…そういうことでしたら、ご一緒させてください。」

「良かった…じゃあ、準備して行こっか。」

返事を待つ間中ずっと不安そうな表情をしていた片岡さんだったが…ハヤテ君がそう答えたことでその表情が笑顔になった。

 

 

 

「なあ渚…。

あれって…“いつもの”か?」

「想像してる通りだと思うよ、杉野…。」

今のハヤテ君と片岡さんのやりとりについて杉野が聞いてきた。

ハヤテ君が無自覚に惚れさせることはもはや“いつものこと”となっているので普段は気にしないことにしているが───

 

 

 

「片岡でも綾崎の天然ジゴロには勝てなかったのか…。」

今回は…相手が片岡さんだったからか、教室の隅でつまらなさそうにしている寺坂君とこの場にいない岡島君、それと…こうなった経緯を知っている僕と茅野を除いた全員が驚いている。

 

 

 

「いいのか磯貝…片岡取られちまったぞ…?」

「別にいいさ。

相手に誰を選ぶかなんて片岡本人が決めることだからな…それに、どこの馬の骨かも分からない奴よりハヤテなら安心出来るからな。」

「お前は片岡の親か…。

つーか…微妙に泣いてんじゃねーか。」

磯貝君と前原君のそんなやりとりが聞こえる。

え…?

磯貝君って…片岡さんのことが…?

 

 

 

「ついにメグさんまで…。」

面白くないものを見たような表情で西沢さんが呟く。

いや…不機嫌そうな顔をしているのは西沢さんだけじゃない。

『ムゥ~…。』

ハヤテ君の天然ジゴロにやられた女子全員とが不機嫌そうに唸っている。(速水さんだけなんで不機嫌になった理由が分からないというような表情が混ざっていたが…)

だが…今回は片岡さんに譲るようで、ただ見ているだけだった。

 

 

 

だが…着替えるために2人が教室から出ようとしたその時───

 

 

 

「おい皆来てくれ!!

プールが大変だぞ!!」

岡島君が入ってきてそう叫んだ。

プール…?

昨日の放課後は何の変化もなかったけど…いったい何が…?

 

 

 

「何があったんでしょうか…。」

「さぁ…とにかく行ってみよう?」

「そうですね。」

今まさにプールに行こうとしていた2人がそう言って教室から出て行った。

それにつられるように僕たちもプールへと向かっていった。

 

 

 

▷ハヤテside

 

これは…ひどい。

 

 

 

プールが大変だ、と岡島君が言っていたので様子を見に行った瞬間に思ったことはそれだった…。

水面をゴミや壊されたビーチチェアなどが漂っているそこには…昨日まであった清涼感などどこにもなかった。

 

 

 

「ッ…!!

メチャクチャじゃねーか…。」

僕と片岡さんがついた直後にやってきた皆の中で先頭にいた前原君が驚きの声を上げる。

 

 

 

ふと渚君を見ると、彼はプールではなく生徒達の方の一角を見ていた。

僕もそちらを見ると…ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべる寺坂君がそこにはいた。

 

 

 

「何見てんだよ…渚、綾崎。」

その視線に気づいたのか寺坂君が詰め寄ってきた。

「まさか…俺が犯人だとでも疑ってんじゃねーだろうな…?

くだらねーぞ…その考え。」

まだ何も言ってないのに…。

だが…証拠なんて何一つ無いので、彼が犯人だと特定する事は出来ないため何も言えないでいると───

 

 

 

「…寺坂君の言う通りです。

犯人探しなどくだらないのでやらなくていい…。」

自分が作ったものをメチャクチャにされたというのにショックを受けていない様子の殺せんせーが現れ、次の瞬間にはプールが元の姿に戻っていた。

 

 

 

「はい…これでもとどおり!!

いつも通り遊んでください。」

 

 

 

▷竜馬side

 

「なぁ寺坂よぉ…そろそろクラスの奴らと距離を置くのやめようぜ?

クラスに馴染めてねぇのお前だけだしよ…。」

プールを壊してやったというのにあのタコに効果が無かったことにムカつき、舌打ちを残して去っていった俺を追ってきた村松がそう言ってきた。

 

 

 

そこで…村松のポケットに何かが入っているのを見つけた。

「村松…そのポケットに入っているのは何だ…?」

「あっ、これか…。

いやぁ~…この前の全国模試が過去最高の順位だったからよぉ…。

これもあのタコが開いた“模試直前放課後ヌルヌル強化学習”のおかげで…。」

「放課後ヌルヌル行ったのかお前!!」

こないだこいつが学校から出るのが遅ぇと思ったらそういうことだったのか!!

「ヌルヌルなんざバックレよーってグループで言ったべ!?」

「いやでも…ヌルヌルするのとヌルヌルしないのとじゃ大違い…。」

「ヌルヌルうるせー!!

あのタコに絆されやがって…プールぶっ壊すって提案を拒否したのもそれが理由だろ…!?」

 

 

 

 

「それは…狭間は知らねぇけどよ、んなことしたら綾崎が嫌がると…「おい…。」…グッ!?」

八つ当たりに近い俺の言葉への村松の返答によく分からねぇ怒りが込み上げ…気がついた時には村松の胸ぐらを掴んでいた。

「お前…修学旅行終わった後から綾崎とばかり連むようになったよな…。」

「そ…そりゃ、あいつバイトでうちによく来てるしよ…。

それに共通点もあるし…話が合うのはどっちかというと綾崎…「うるせーよこのヤロー!!」…ガハッ!!」

その言葉を聞き完全にキレた俺は…村松を突き飛ばし、背後の木に激突させた。

 

 

 

「ケッ…どいつもこいつも、あんな奴らのどこがいいってんだ。」

そう言って村松のもとを去っていった。

 

 

 

~~~~

 

「うおっ…!!

マジかよ殺せんせー!?」

教室の近くまで来ると…今度は吉田の興奮した声が聞こえてきた。

気になって入ると───

 

 

 

「君がこの前雑誌で見ていたヤツです…。

丁度、プールの廃材があったので作ってみました。」

「まるで本物じゃねーか!!

殺せんせーすげーよ!!」

バイクの模型に跨がるタコと、それを食い入るように見つめる吉田やクラスの奴らがいた。

 

 

 

「…何してんだよ吉田…!?」

「あ、寺坂…。

い、いやぁ~…この前俺と綾崎とこいつとでバイクの話で盛り上がっちまってよ…。

うちの学校…こーいうの興味ある奴いねーから…。」

「ヌルフフフ…先生は大人な上に漢の中の漢ですからねぇ…この手の趣味もひととおり齧ってます。」

よーするに吉田…お前も村松と同じく綾崎とタコに絆されたってことだろ…?

そーいや…吉田と綾崎の初会話もバイクに関することだったな…。

 

 

 

「しかもこのバイク…最高時速が300kmだそうですよ…。

先生一度本物に乗ってみたいですねぇ…。」

「アホか…抱きかかえて飛んだ方が断然速ぇだろ…!?」

吉田のツッコミで周囲から笑い声が響く。

 

 

 

面白くねぇ…。

余計腹が立ったので…その捌け口として、タコの作ったバイクの模型に蹴りを入れた。

 

 

 

「何てことすんだよ寺坂!!」

「謝ってやんなよ!!

大人な上に漢の中の漢の殺せんせーが泣いてるよ!?」

途端に巻き起こるブーイングの嵐…。

つーか…プール破壊されても動じねぇのに模型破壊されたら泣くのかよ…。

 

 

 

「えっと…これはいったいどういう状況でしょうか…?」

そこに、プールでタコ暗殺用の訓練をしていたはずの綾崎と片岡が教室に入ってきた。

 

 

 

▷ハヤテside

 

プールから教室に戻った僕と片岡さんが最初に聞いたものは、クラス中から寺坂君へのブーイングだった。

 

 

 

「ブンブンうるせーんだよてめーら…虫みてーだな。

駆除してやるよ…。」

寺坂君はそんなものは関係ないとでもいうような態度で自分の席に行くと…机の中からスプレー缶を取り出し、床に投げつけた。

 

 

 

「うわっ!!

何だコレ…殺虫剤か!?」

その衝撃で側面に穴があいたようで、中から薬剤が勢いよく吹き出し、それに戸惑う声が響く。

 

 

 

「寺坂君!!

ヤンチャするにも限度ってものが「さわんじゃねーよモンスター。」…。」

諫めようと肩を掴んだ殺せんせーの触手を振り解いた寺坂君は続けて言う。

「気持ちわりーんだよ…テメェも、そいつに操られて仲良しこよしのE組も…。」

 

 

 

「何がそんなに嫌なのかねぇ…。」

そこにカルマ君が口出しした。

「気に入らないなら殺しゃいいじゃん。

せっかくそれが許可されてる教室なのにさ…。」

「何だカルマ…テメェ俺にケンカ売ってんのか?

上等だ…だいたいテメェは最初から───」

最後まで言い終わる前にカルマ君の右手が寺坂君の口を塞ぐ。

「ダメだってば寺坂…ケンカするんだったら口より先に手ェ出さなきゃ…。」

「…ッ!!

ケッ…放せ!!

くだらねー!!」

カルマ君の冷たい眼差しに殺気を感じた寺坂君は、その手を振り解き逃げるように帰って行った。

 

 

 

「…なんなんだあいつ。」

「一緒に平和にやれないもんかな…。」

前原君と、磯貝君がそれぞれ言葉を発する。

 

 

 

そんな中…僕は嫌な予感しかしていなかった。




arosの、サンデーの目次コメントに漫画家でもないのに答えてみた

Q.(子供はいいな)と感じる瞬間はありますか?

A.ありません。


次回もお楽しみに!!
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