それと、お気に入り400達成しました!!
これからも頑張っていきますので…皆さん、よろしくお願いします!!
それでは、本編スタート!!
▷竜馬side
「思いついた!
とりあえず…原さんは助けずに放っとこう!!」
カルマが名案のように出したその案に、出した本人以外は信じられないとでも言いたそうな表情を見せた。
「おいカルマ…テメェそれふざけて言ってんのか…?
原が一番危ねぇだろうが!!
ふとましいから身動き取れねーし、ヘヴィだから枝も折れそうだろうが!!」
なので俺は…カルマの胸ぐらを掴み、作戦の内容について抗議した。
「とか言われてもさぁ…さっき自分で言ってたじゃん。
あの状況で助け出すのは俺達じゃ難しいって…。
だから…先に殺せんせーを助け出そうって言ってんの。」
だがカルマは、飄々とした態度でそう言った。
なるほどな…ハヤテが動けねぇ今、原を助け出せる見込みがあるのは…あのタコだけだもんな。
そう思っていると、カルマが俺の胸ぐらを掴んできた。
「寺坂が今着てるシャツ…昨日着てたヤツでしょ?
昨日と同じ所にシミあるし…。
それ使えばいいと思うんだよねぇ…。
でも、ズボラだよなー…やっぱお前悪だくみとか向いてないよねぇ…。」
「んだとコラ!!」
「でもさ…頭はバカだけど、その代わり高い体力と実行力持ってるから…寺坂を軸にして作戦を立てるのが面白いんだ。
死にはしないだろうからさ…俺を信じて動いてよ。」
俺を信じて動いてよ、か…。
「…バカは余計だ。
つーか…お前を信じたから作戦を与えてみろって言ったんだろうが…。
んな御託はいいからさっさと指示よこせ。」
と、その時───
「待って…ください…。」
そんな声が聞こえ、振り向くと───
「僕にも…やらせて、ください…。」
渚と西沢の肩に手を置いて立ち上がるハヤテの姿があった。
「僕にもって…怪我してるんだから無茶は「それでも…!!」…!?」
今の状態を考えて止めようとした磯貝の言葉を遮ってハヤテは続ける。
「皆さんを…危険な目にあわせた、あの2人を…許して…おけないんですよ…。」
やっぱ優しいな、ハヤテは…そうじゃなきゃ血塗れの自分よりも他人のために動こうとなんてしないもんな…。
信じて正解だった…こいつのこういうところを見てると本当にそう思える。
でもな───
「お前なぁ…その怪我で何が出来るっていうんだよ…。
いつものお前なら一緒に来てくれって言ったんだろうがな…他人に支えてもらわねーとロクに立てもしねぇ今のお前じゃ足手まといにしかなんねーよ。」
ちょっとおとなしくしててくれや…。
「寺坂!!
お前…いきなり何を…!!」
「考えてみろや磯貝。
今のこいつの状態じゃ、原を助け出すのも出来やしねぇだろ…それに、さっきのカルマの言い方…どー考えても俺にイトナの相手をしろってことだろうが。
マッハ20の奴が相手なんだからよ…怪我人なんていても邪魔でしかねぇんだよ。」
俺の言い方に磯貝が反応したが…俺がそう言うと、黙り込んだ。
その視界の端で、ハヤテがひどく落ち込んだような顔をしていた。
「んな分かりやすいほど落ち込んでんじゃねぇよハヤテ…。
俺はただ今のお前じゃ“イトナの相手”をするのが難しいって言っただけだ。
いるだろうが…相手側にマッハ20じゃねぇやつがよ…。」
俺がそう言ったことで理解したのか、ハヤテは岩場の下を見た。
察しが良くて助かる…。
「そういうことだ…。
イトナは俺がどうにかするからよ…ハヤテ、お前は一発…俺達をナメてるあの白ヤローに、蹴りを叩き込むことだけ考えてりゃいいんだよ。
だから…その時までおとなしくしててくれや。」
「寺坂君…はい、分かりました!!」
俺が止めた理由を言った後…ハヤテの顔はパッと明るくなり、そう言ってきた。
「つーことでだ…さっさと作戦よこせカルマ。」
「分かってるっての…んで、作戦だけど───」
▷ハヤテside
「んじゃ…行ってくるぜ。」
カルマ君から作戦を聞いた後、そう言って寺坂君は岩場を降りていった。
「寺坂君…大丈夫…でしょう、か…?」
「心配しすぎだよハヤテ君…。
言ったでしょ…死にはしないって。
だってさ…シロの目的って、殺せんせーを殺すことであって俺達を殺すことじゃないからさ…。」
寺坂君のことを心配する僕にカルマ君が軽く溜め息をつきながらそう言った。
「おいシロ!!イトナ!!」
岩場の下からシロとイトナ君の名を呼ぶ寺坂君の声が聞こえた。
ここから…作戦開始だ。
「…寺坂君か。
悪いけど…後にしてくれないかな?
今は裏切り者に構っている場合じゃないんだよね…。」
「先に騙しやがったのはテメェらだろうが!!
つか…最初から俺のこと信じてなかったろ…!!
盗聴器なんか使いやがって…!!」
───ッ!?
盗聴器!?
まさか…僕の作戦がバレていたのは───
「盗聴器…?
いったい何のことだい…?」
「しらばくれやがって…もうテメェらは許さねぇ!!
イトナ…俺とタイマン張りやがれ!!」
寺坂君は上着を脱ぐとともに水の中に飛び込むとそう叫んだ。
「やめなさい寺坂君!!
君に勝てる相手じゃない!!」
「すっこんでろ…このふくれタコ!!」
殺せんせーが止めたが…その程度じゃ寺坂君は止まらない。
「そんな布キレ一枚で防ごうとは…綾崎君の影響かな…?
なんと健気なことか…。
これ以上邪魔されたくないし…しかたない、黙らせろイトナ。」
シロがイトナ君に指示を出した。
その指示を受けたイトナ君は寺坂君のお腹に触手を叩き込んだ。
だが…寺坂君は耐えた。
「へぇよく耐えたねぇ…。
イトナ、もう一発だ。」
それを見たシロは、イトナ君にもう一度指示を出した。
だが───
「くしゅん…!!
くしゅん…くしゅん!!」
イトナ君がくしゃみを連発し始めたことで、実行されなかった。
「あれは…?」
「プールからここに来るまでの間に寺坂と話してたんだけど…昨日寺坂が教室でバラまいたアレ…殺せんせーの粘液をダダ漏れにさせる効果があると思うんだよねぇ…。
で…寺坂のシャツが昨日のヤツと同じってことは…アレの成分を至近距離でたっぷり浴びたものってことだ。」
なるほど!!
そんなもの…触手持ちのイトナ君にはひとたまりもない!!
「で…一瞬でもいいからイトナに隙が出来れば、原さんは殺せんせーが助け出してくれる。
殺せんせーとイトナの弱点は同じ…だったら相手がやってきたことをやり返せばいいわけだ。」
そう言いながら、カルマ君は皆にハンドサインを出した。
僕もそろそろ行くとしよう…そう思った僕は、岩場をシロの死角側から降りていった。
▷竜馬side
「おい…吉田!村松!!
お前らはそこから飛べ降りろ!!
イトナにたっぷり水をかけてやれ!!」
原の救出成功を見届けた俺は吉田達の方を向き、叫ぶ。
その指示を理解した2人は、同時にその場から飛び降り、それを追うようにハヤテとカルマを除く岩場の上にいた奴らが一斉に飛び降りた。
「ま…まずい!!」
それを見たシロが焦ったようにそう言いながらイトナのもとに行こうとした。
そんなシロの側頭部に───
ハヤテの跳び蹴りが直撃した。
「ウオッ…!!」
そう言ってシロは少し仰け反った。
「綾崎君…また君か。
おや…?
ずいぶんとひどい怪我じゃないか…。
なるほどねぇ…その怪我じゃクラスメートを助け出すのも難しそうだし…イトナの相手が出来るとは思えない。
だから私を狙ったんだろうけど…残念だったね。
私が着ている服の素材は寺坂君の持っているような布キレではなく…対先生繊維で強化した布だからね…戦車で突進しても破けることは「ハヤテ君の方にばかり気を取られてるけどさ~…イトナ君の方はいいのかな~?」…しまった!?」
カルマにそう言われて思い出したシロがイトナの方を見たが…そこには、皆が掛けた水を吸い触手が膨れ上がったイトナの姿があった。
「だいぶ水吸っちゃったねぇ…。
これであんたらのハンデが少なくなったけど…どうすんの?
賞金持ってかれんのは嫌だし…そもそも皆あんたらの作戦のせいで危険な目にあった…ハヤテ君に至っては重傷だしね…ついでに寺坂もボコられてるし…そっちがまだ続けるって言うんだったら…こっちも全力で水遊びさせてもらうけど?」
カルマのその言葉を裏付けするように皆が水をすくい上げた。
その様子を見たシロは溜め息をつくと───
「してやられたね…。
丁寧に積み上げたはずの戦略が…たかが生徒の作戦と実行でメチャクチャにされてしまった…。
この子らを皆殺しにでもしようものなら…反物質臓がどう暴走するか分からないし…ここは引かせてもらうよ…。
帰るよ…イトナ。」
悔しそうにそう言って、撤収しようとした。
だがイトナは…俺達にやられたことが気に入らなかったのか怒りで顔を歪ませていた。
だが───
「…どうです?
皆で楽しそうな学級でしょう?
そろそろ君も、ちゃんとクラスに来ませんか?」
タコがそう言うと…我に返り、シロとともに帰って行った。
なんとか追っ払えてよかったぜ…。
「そーいや寺坂君…さっき私のことヘヴィだとかふとましいだとか言ってたよね…。」
き…聞かれてやがったか…!!
「い、いやあれは…状況を客観的に分析してだな…。」
「言い訳無用!!
動けるデブの恐ろしさ…見せてあげるわ!!」
そう言いながら詰め寄ってくる原の気迫に押されていると───
「あーあ…寺坂ってホント無神経だよな~…。
そんなんだから手の平で転がされんだよ。」
カルマがそう言ってきた。
このやろう…人事だと思いやがって…!!
「うるせーよカルマ!!
テメェも1人だけ高いところから見てんじゃねぇよ!!」
ムカついた俺はカルマの胸ぐらを掴み、水に叩き込んだ。
「ちょっ…何すんだよ上司に向かって!?」
「触手を生身で受けさせるようなイカレた上司がどこにいんだよ!!
だいたいテメェは…サボリ魔のくせにオイシイ場面だけ持って行きやがって!!」
「あー…それ私も思ってた。
よくぞ言った寺坂君。」
「この機会に泥水たっぷり飲ませようか…。」
中村のその言葉で、カルマを水の中に押し込もうとしていると───
「よかった…。」
ハヤテがそう言ってきた。
「寺坂君が…皆さんと…仲良く、なれて…。」
そう言い終えたハヤテは…力尽きたように前のめりに倒れ込んだ。
次回もお楽しみに!!