暗殺者のごとく   作:aros

61 / 84
オリジナル回を多めに入れることを考えている8月編。
初っ端からオリジナル回です。



本当なら、いきものの時間の後は原作通り策謀の時間にしようとしていたのですが…矢田の誕生日が8月1日なので、急遽この話を入れることにしました。
矢田の誕生日を祝うのを策謀の時間でやると、長くなると思ったから、というのもありますがね…。



原作に駅前の描写が無いので、勝手にオブジェがある設定にしています。



それでは、本編スタート!!


第61話 デートの時間

▷桃花side

 

8月1日 9時47分───

 

 

 

私は今、椚ヶ丘駅の改札を通り、北口前の広場に向かって進んでいる。

 

 

 

実は昨日、綾崎君からデートのお誘いがあったのだ。

10時からとは言われたが…誕生日に、しかも“あの”綾崎君からのお誘いというのが嬉しくて、少し早く来てしまったのだ。

 

 

 

駅前広場に着いて、待ち合わせ場所に指定されていたオブジェを見てみるとそこには───

 

 

 

オブジェを背に直立する綾崎君の姿があった。

「お待たせ、綾崎君!!」

「いえ…僕も今来たところなので大丈夫ですよ。」

早く来たつもりだったけど待たせちゃったかな…と、思ったのでそう言いながら近づくと、返ってきたのはそんな言葉だった。

綾崎君の性格からして…呼び出した本人が遅刻するのは良くないと思い、早く来ていたんだろうが…私に気を使わせないようにあえてそういったんだろうなぁ…。

 

 

 

「予定していた時刻までまだ時間がありますが…行きましょうか。」

 

 

 

綾崎君のその言葉で、私達2人のデートは始まった。

 

 

 

「ヌルフフフ…。」

私達の背後に…人間に変装した殺せんせーがいることにも気付かずに───

 

 

 

▷ハヤテside

 

駅前から移動すること15分…僕達は、シャルモンという洋菓子店に来ていた。

「いらっしゃいませ。

お席の方にご案内させていただきます。」

店内に入ると、メガネをかけた店員が僕達に対応してきた。

 

 

 

「このお店、綾崎君と来たの久しぶりだね。」

案内された席に座り、店員さん矢田さんがそう切り出してきた。

実は、球技大会の前にも矢田さんとこの洋菓子店に来ていたのだ。

なので───

「ええ…そうですね。

あの時矢田さんから一口いただいたケーキ、おいしかったですよ。」

僕がそう笑顔で返すと、矢田さんは頬を赤く染めうつむいた。

 

 

 

「さて…そろそろケーキの方を選びましょうか。」

「そ、そうだね…。」

 

 

 

その後…僕はメロンのケーキを、矢田さんはフルーツタルトを注文した。

 

 

 

~~~~

 

 

 

「ご注文の品は以上で揃いましたでしょうか。

では…ごゆっくりお楽しみくださいませ。」

店員が僕達のテーブルに2つのケーキを置いた。

 

 

 

※作者自身が食レポにむいてないので、食べているシーンや味の詳しい感想は、読者の想像に任せます。

 

 

 

~~~~

 

 

 

「───で…それがね───」

「あ、そうだったんですか…。

僕はてっきり───」

ケーキを食べ終わり、追加で注文した飲み物(僕はアイスコーヒー、矢田さんはアイスレモンティー)が来るまでの間、他愛もない世間話に花を咲かせていたその時───

「矢田さん、ちょっと失礼しますね…。」

あることに気づいた僕は、矢田さんの座っている椅子の横で矢田さんの目線になるまでかがむと、その頬に僕の左手を当てた。

 

 

 

「え、ちょっ、綾崎君!?

そういうのはまだ早いっていうか…ここでは人が多いっていうか…。」

その途端…矢田さんが目を白黒させながら顔を真っ赤にして慌てたような声音でそう言ってきた。

何のことか僕には分からなかったが…とりあえず、右手を矢田さんの口元まで持って行き───

 

 

 

───そこについていたフルーツソースを指で掬い取った。

 

 

 

「え…?」

さっきまで慌てていたのが嘘かのように、矢田さんは目を点にして、そんな素っ頓狂な声を上げた。

「はい。

口元にソースがついてましたよ。」

僕はそう言いながら、指についたソースを舐めた。

「な、なんだ…そういうことだったんだ~。

私、てっきり…。」

僕の一言で我に返った矢田さんは頬を赤く染め、そう言った。

 

 

 

てっきり…?

あ…!!

そういうことか…確かに、あの姿勢だとキスをしようとしているようにも見えなくもない。

 

 

 

それに気づいた僕も…顔を赤くして、うつむいた。

 

 

 

と、そこに───

「あの~、お客様。

お飲み物をお持ちいたしました…。」

僕達が注文した飲み物を持って、店員がやってきた。

「ほ…ほら綾崎君!

飲み物来たよ!!」

「そ…そうですね!!」

 

 

 

気まずくなった僕達は、それぞれの飲み物を飲み終えると、会計してそのまま足早に店を後にした。

 

 

 

その途中───

「綾崎君、ありがとうね。」

矢田さんが僕の方を見ながら、笑顔でそう言ってきた。

 

 

 

今日は、矢田さんの誕生日。

 

 

 

そんな日に、矢田さんのこの笑顔が見れたのなら…誘ったかいがあったというものだ。




arosのサンデーの目次コメントに漫画家でもないのに答えてみた

Q.子供の頃は食べられなかったけど、今は好きな食べ物はありますか?



A.親の話だと、離乳食を食べ出した頃から幼稚園児くらいまでの間のどこかでナスとトマトが嫌いだったそうです。
今は、ドライフルーツ以外で好き嫌いはほとんどありません。
※ドライフルーツが嫌いな理由:甘ったるいから



次回もお楽しみに!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。