暗殺者のごとく   作:aros

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先に言っておきます。
この8月編の途中で、タグを一つ追加します。
そのタグのヒントは今回の話の中にあります。



さて、そんなことはどうでもいいとしまして───



鶏猿蛇さん、誤字報告ありがとうございました。
今後も、文章中で気になることがあれば容赦なくお願いします。



心理描写で烏間先生がロヴロを呼び捨てにしているのは、12巻で心理描写内で烏間先生が呼び捨てにしていたからです。



それでは、本編スタート!!


第62話 策謀の時間

▷ハヤテside

 

矢田さんとのデートの次の日───

 

 

 

南の島での暗殺旅行まで後一週間と迫った今日…僕達は、その計画の最終調整と暗殺の訓練のために学校へと集まっていたのだが───

 

 

 

「───仮にもこの教室にいる間は教師なんですから、もっと生徒のお手本になるような行動をしてください!!」

 

 

 

なぜか…イリーナ先生へのヒナギクさんの説教が開始されていた。

 

 

 

なぜこうなったのか…。

それは…計画の調整が終わり、南の島での暗殺に向けて訓練を始めた時まで遡る。

 

 

 

~~ここからは回想となります~~

 

 

 

僕達が、殺せんせーを模した風船での射撃訓練をしている一方で───

 

 

 

「まぁまぁガキ共…汗水流してご苦労様ねぇ…。」

ただ一人、イリーナ先生だけは訓練に参加しようという気を見せようとしていなかった。

今まで、ハニートラップでターゲットを殺してきたイリーナ先生にとって、退屈でしかないのだろう。

 

 

 

だが───

 

 

 

「イリーナ先生~?」

 

 

 

その態度が、ヒナギクさんの逆鱗に触れた。

 

 

 

~~回想終了~~

 

 

 

そして…今に至る、ということだ。

 

 

 

「どんなにすごい力を持っていたとしても…ちょっとでも鍛練を怠ったら、いざという時に全力を出せなくなりますよ!!」

「そのお嬢ちゃんの言うとおりだ…イリーナ。」

突如、イリーナ先生の背後からそんな声が聞こえてきた。

イリーナ先生がおそるおそる振り向くと、そこには───

 

 

 

以前、イリーナ先生と模擬暗殺を行った殺し屋屋ロヴロさんがそこにいた。

 

 

 

▷惟臣side

 

「1日休めば指や腕は殺しを忘れる…落第が嫌ならさっさと着替えろ!」

「ヘ…ヘイ喜んで!!」

暗殺者としての自身の師匠であるロヴロにそう怒鳴られ、イリーナが動きやすい格好に着替えるため校舎へとかけていった。

今回の作戦にプロの視点から助言を貰えれば…そう思い特別講師として来てもらったのだが…こんな形で役に立つとは思っていなかった。

 

 

 

と、そこに───

「あの~烏間先生、あの人は誰なんですか…?」

桂さんが俺の下に来ると、そう聞いてきた。

言われてみれば…桂さんは一学期終了間際からの参加なので彼の事を知らなくて当然だろう。

「あぁ…桂さんは会ったことがなかったな。

彼はロヴロ・ブロフスキという殺し屋の斡旋業を営む男でな…。

イリーナも彼の下で育った殺し屋の一人だ。」

俺がそう言うと桂さんは納得した、という表情をした後、生徒達の輪に戻っていった。

と、ちょうどその時───

「それで…殺センセーはこの特訓を絶対に見ていないのだな?」

「ああ。

兼ねてからの予告通りエベレストで避暑中だ。」

ヤツが今何をしているかをロヴロが聞いてきた。

この場にいないことは、ヤツの動向を俺の部下が見張っているためそう断言させてもらうと、作戦の機密保持こそ暗殺の要だから良し、とロヴロが言ってきた。

 

 

 

「ロヴロさんって殺し屋の斡旋業者なんですよね?

今回の暗殺にも誰か送ってくるんですか…?」

疑問に思ったのか、岡野さんがロヴロにそう聞いた。

「いいや。

今回はプロは送らん。

…というより送れんのだ。

殺センセーは臭いに敏感…特に部外者の臭いを嗅ぎ分けるため、君達の知らない所で送った殺し屋の誰もが悉く失敗してきた。

その際、プロ特有の強い殺気を臭いごと覚えられ…二回目からは教室にすら辿り着くことさえ出来なかった…つまり、一度使った殺し屋をもう一度使う事は極めて難しいということだ。」

だが、ロヴロは悔しそうな表情でそう返すだけだった。

「その上、困ったことも重なってな…。

俺が持つ残りの殺し屋で有望だった殺し屋4名と…何故かは分からないが、突然連絡がつかなくなってしまったのだ。

という訳で、今現在俺が斡旋出来る殺し屋はいないため、ここは慣れ親しんだ君達に殺してもらうのが一番だろうと、そう判断した。」

ロヴロは重ねてそう言ってきた。

 

 

 

連絡がつかなくなった殺し屋達、か───

 

 

 

嫌な予感しかしないな…。

 

 

 

~~~~

 

 

 

「ふむ…先に9本の触手を破壊し、間髪入れずクラス全員で攻撃して奴を仕留める作戦か…。

それは分かるのだが…一番最初の“精神攻撃”というのは何だ?」

俺が渡した島での暗殺の計画書を見ながら、ロヴロがそう生徒達に聞いた。

「まず動揺させて動きを落とすんです。

殺せんせー、殺気を伴わない攻撃にはもろいとこあるから。」

その問いに渚君がそう答えると同時、近くにいた生徒がロヴロの方に視線を集めた。

 

 

 

「この前さ…殺せんせー、○○本拾い読みしてたんすよ。」

ロヴロに向かって、前原君がそう言い出した。

 

 

 

…ヤツに、教師としての自覚があるのだろうか…その話を初めて聞いた時、そう考えてしまった俺はおかしくないはずだ…。

 

 

 

「“クラスの皆には言わないで”ってアイス1本配られたけど…今時アイスなんかで口止め出来るわけねーだろ!!」

『クラス全員でさんざんにいびってやるぜ!!』

前原君の言葉に続く形で、寺坂君達がそう叫んだ。

しかも、そんな黒歴史モノのネタがまだ沢山あるらしく、それを使って精神的に追い込んでいく予定だそうだ。

「…残酷な暗殺法だ。」

さすがのロヴロでもこんな暗殺を見たことがなかったのか若干引いたような表情をしていた。

「…で、肝心なのはとどめとなる最後の射撃だが…これには正確なタイミングと精密な狙いが必要不可欠だが…」

「…不安か?

このクラスの射撃能力は。」

が、すぐに表情を戻すと計画書に目を落としそう言ったので、不安な点があるのではないかと思い聞いた。

「いいや、逆だ。」

ロヴロは射撃訓練をしている集団の方を向き───

 

 

 

「特に…あの3人は素晴らしい。」

綾崎君、千葉君、速水さんの3人を見ながらそう言った。

「…そうだろう。

千葉君は空間計算に長けているため、綾崎君以外で遠距離射撃で並ぶものの無いスナイパー、速水さんは手先の正確さと胴体視力のバランスがいいため、動く標的を仕留める事に優れたソルジャー、この2人はどちらも主張が強いわけではない…結果で語る仕事人タイプの人間だ。

綾崎君の場合、自身が不幸体質なためか訓練での成績はクラスの中間地点となっているが…ロクでなしの両親を持ったが故か…それを補って余りある高い戦闘スキルがあり、先ほどの2人も彼を参考にする事があるほどだ。

まあ今回、彼には別の役割があるがな。」

「ほう…俺の教え子に欲しい人材だな。

一人、躊躇うことになりそうだがな…。」

俺の説明に苦笑いしながらロヴロがそう言った。

 

 

 

「それだけではない…彼ら以外の者も良いレベルに纏まってきている。

4月から今日までの短期間でよくここまで育てたものだ。

この作戦に合格点を与えよう…彼らなら、十分に可能性がある。」

 

 

 

生徒達の訓練を見ていたロヴロは、そう締めくくった。

 

 

 

▷ヒナギクside

 

「なかなか当たらないわねぇ…。」

「まあ、桂さんは最近始めたばかりですから…。

むしろ…最初から何でも出来る方が異常なんじゃないかな…。」

射撃訓練中、あまり的に弾が当たらないことに落ち込んでいた私に西沢さんがそう言ってきた。

 

 

 

そうだ。

いい機会だし…前から気になっていた事を聞いてみようかな。

 

 

 

「ねぇ、西沢さん。」

「…?

どうかしました、桂さん?」

「ハヤテ君のご両親って…どんな仕事をしてるの?」

 

 

 

私のその質問に、西沢さんは目を丸くすると───

 

 

 

「あー桂さんは知らないんでしたね…。

ハヤテ君の両親、ハヤテ君に一億五千万の借金を押しつけて…いなくなっちゃったんですよ。」

 

 

 

そう言った。

え…?

じゃあ…5月の全校集会で初めてハヤテ君を見たときに感じたのは間違ってなかったということだったの!?

「学費の方は烏間先生が負担してくれているらしいので…って、桂さん…どうしました?」

「あ…な、なんでもない!!

は、話を変えるけど…私の事は“ヒナギク”って呼んで貰ってはいいかしら。

私も“歩”って呼ぶから。」

私がそう言うと、歩は笑顔で───

 

 

 

「はい!!

では…よろしくお願いします、ヒナさん!!」

真正面からそう言ってきた。

 

 

 

なぜ“さん”付け?

いじわる?




次回もお楽しみに!!
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