暗殺者のごとく   作:aros

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メリークリスマス!!
アーンド、ちょっと早いけどカルマ誕生日おめでとう!!
↑初の前書きでの誕生日おめでとう。



遅くなってしまってすみません。
リアルがマジで忙しかった上に、先週の火曜日に会社での忘年会があったので…執筆が遅くなりました。



それでは、本編スタート!!


第64話 島の時間

▷ヒナギクside

 

 

 

「それで…どんな用件なんですか、ヒナギクさん。」

南の島へと向かう船の上、渚君の下から少し離れたところでハヤテ君がそう聞いてきた。

「歩から聞いたんだけど…ハヤテ君って、ご両親に借金を押しつけられたのよね?

その時…どう思ったの?」

ハヤテ君の方を向いた私は、前から気になっていた事について尋ねてみた。

「…えっと…、どうと言われましても…ヒドい親だな~ってだけですね。」

私の問いに、ハヤテ君はそんな答えを返してきた。

「自分達は働かずに、子供にばかりお金を稼がせてきたというのに…それをあっさり捨てるなんて親として最低だと…というか、それ以前に人間失格だと思うんですよね…。」

「…そっか。

もういいわ、ハヤテ君にとって気分のいいものではなないでしょうしね。」

本当なら…捨てられた事に理由があるのではないか、と聞こうとしたけど…ハヤテ君にばかりお金を稼がせていたと聞いて、そんな気分ではなくなってしまった。

 

 

 

「確かにこの教室に来た当初は思い出すだけでも嫌な気分になりましたけど…今は、思いを分かち合える仲間がいます。

だから…そんな過去があっても前を向けるんです。」

ハヤテ君もいい気分ではないだろう、そう思って向けた背にそんな言葉が飛んできた。

 

 

 

「強いのね、ハヤテ君。」

「そうですかね…では、暗殺頑張りましょう。」

私とハヤテ君はそう言い合うと、その場を後にした。

 

 

 

▷ハヤテside

 

青い空に白い雲、そして…水平線上に広がる青い海。

 

 

 

こういう船の上での平和な風景はいいなぁ…。

 

 

 

「にゅやぁ…。」

 

 

 

船酔いしてる殺せんせーがいなければ、だけど…。

───と、そうこうしているうちに見えてきた。

 

 

 

この夏最大の暗殺計画の舞台、“普久間島”が。

 

 

 

▷歩side

 

 

 

普久間島に着いた私達は、配られたウェルカムドリンクを味わっていた。

 

 

 

「あ、これ美味しい!!」

「ホントですね。

甘くて美味しいです。」

私の感想に、ハヤテ君が返してくれた。

こうして一緒に居られるなんて…南の島に来てよかったんじゃないかな?

…なんて思ったけど───

 

 

 

「ホントだ。

けっこういけるじゃん!!」

「美味しいね~。」

私と一緒のテーブルにいるのはハヤテ君だけじゃない。

私がハヤテ君に一緒に飲もうと誘ったところを見られた陽菜乃ちゃんと莉桜ちゃんがついてきたんだよね…。

トホホ…。

 

 

 

 

▷渚side

 

 

 

暗殺決行は夜なので、それまでの間は修学旅行の時の班(桂さんは班の代表によるジャンケンの結果僕達のところに入る事となった)で行動し、一つの班が殺せんせーと一緒に楽しんでいる間にそれ以外の班が暗殺の準備を進めることになり、僕達の班と殺せんせーでイルカを見に来たのだが───

 

 

 

「えーと…これはどういう状況でしょうか…。」

「こっちが聞きたいよ…。」

 

 

 

なぜか、突如現れたサメとハヤテ君の海上での一騎打ちになっていた…。

 

 

 

「まあ、綾崎君なら大丈夫でしょう。

夕食にフカヒレスープがつくくらいに考えましょう。」

「量が足りないんじゃ…。」

「そっちかよ渚…。」

 

 

 

───数分後、ハヤテ君は本当に勝って戻ってきた。

 

 

 

▷ハヤテside

 

 

 

「そうか。

それは災難だったな…。」

サメとの一戦を終えた僕に千葉君が労いの言葉をかけてくれた。

まさか…あんなところにサメがでるとは…。

「まあそのことは置いておくことにして…さっさと射撃スポットを選んじゃいましょうよ。

殺せんせーが洞窟の中にいる今しかもう機会は残ってないわけですし…。」

「綾崎の言うとおりね。

じゃ…サクッと決めちゃおうか。」

「俺はそっち探してみるから綾崎と速水はあっち探してきてくれ。」

「え?

あ…はい、分かりました。」

その言葉を合図に、二手に分かれての射撃スポット探しが始まった。

 

 

 

~~~~

 

 

 

そして…時間はあっという間に過ぎ、夕食の時間となった。

夕食は船上レストランで振る舞われることとなっている。

乗り物に酔いやすい殺せんせーの動きを船酔いで鈍らせようという作戦のためだ。

当然、殺せんせーもそれに気づきそれについて僕たちに何か言ってきているが───

 

 

 

「船酔いなど『黒いわ!!』…そんなに黒いですか?」

 

 

 

皆のツッコミの通り、日焼けした殺せんせーがあまりにも黒すぎて話が頭に入ってこない。

 

 

 

「ねぇハヤテ君。

日焼けであんなに黒くなるものだったっけ…?」

近くにいたヒナギクさんが僕にそう聞いてきた。

「ならないと思いますよ?

そもそも日焼けは紫外線による炎症の発赤とメラニン色素の皮膚表面への沈着によって起こるものなので…。

あ、発赤というのは毛細血管の透過性や細動脈の拡張で血流の量が増えることで起こる現象のことです。

メラニン色素の多い人は日焼けし難いんですよ。

まぁ…多すぎても全身黒子まみれになるようなものですがね…。」

「ふーん…さすが、一部の人から“ハヤペディア”って呼ばれてるだけはあるわね…。

じゃああれは…?」

そう言ってヒナギクさんが見た先には───

 

 

 

───殺せんせーが日焼けした皮を脱いで元の色に戻っているところだった。

 

 

 

「あれは…脱皮ですね。

殺せんせーの月に一度の奥の手です。」

「…月に一度なら、こんなどうでもいいところで使わない方がいいんじゃないの?」

 

 

 

聞こえていたのかは知らないが…やらかしてしまったことに気づいた殺せんせーは途端に落ち込みだした。

 

 

 

殺せんせーって…肝心なところで大きなドジを踏むなぁ…。

暗殺の面では大助かりだけど…。

 

 

 

その後…この場では暗殺をしないため、僕たちは普通に夕食を食べたのだった。

 

 

 

~~~~

 

 

 

食事が終わった僕たちは、結局船酔いした殺せんせーを連れてホテルのパーティールームへと移動する。

 

 

 

「席に着けよ、殺せんせー。

映画でも見ようぜ…暗殺はそれからでも遅くねぇだろ?」

そこでは…先に会場のセッティングをしていた三村君と岡島君がいる。

 

 

 

さぁ殺せんせー…覚悟してください。




次回もお楽しみに!!

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