暗殺者のごとく   作:aros

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やっと7巻の内容が終わりました…。
これからも頑張っていきます。



それでは、本編スタート!!


第67話 伏魔の時間

▷ハヤテside

 

「───と、言うわけだ…。

せっかくバカンス気分でいたはずなのに、こんなことになってしまったことについて、申し訳ないと思ってる。」

電話を終わらせた烏間先生は、動ける生徒達を集めると今の状況について説明し、そのことについて僕たちに謝罪をしてきた。

 

 

 

内容を纏めると───

 

・皆が苦しんでいるのは、いつの間にか仕込まれていた人工のウィルスのせいで、さっきの電話はその犯人からのものだったということ。

 

・犯人は、ワクチンと引き換えに殺せんせーを渡すように要求してきていること。

 

・持ってこさせる役として、青髪の男子2人と緑髪の女子1人を指定してきていること。

 

・持って行く場所として指定されている“普久間殿上ホテル”は、警察でも手が出せないような場所だということ。

 

 

 

これらのことから、犯人は殺せんせーを狙ってこの島にやってきた刺客であり、殺せんせーが動けなくなったことから、堂々と行動を開始したと言うことが分かる。

それと…要求にあった男女はだれのことかというと───

 

 

 

「ケッ…青髪2人と緑髪1人だァ…?

1人はハヤテとして…後の2人はこのちんちくりん共だろうが!!

どう考えても足手まといにしかなんねぇだろうが!!

つーかよ、原因がウィルスだっていうんなら都会の病院にでも運んで薬飲ませばいいだけだろ!!」

渚君と茅野さんの後ろにまわった寺坂君がそう怒鳴った。

言い方は悪いけど…寺坂君の言うとおり、もし何かあった時に2人同時に守れるかとなると難しいとしか言えないのが現状だ。

それなら、病院に連れて行くのが…そう思っていたが───

 

 

 

「悪いけど…僕は賛成しないね。

既存のウイルスならともかく、本当に人工のウィルスの場合、対応出来る薬なんてどの病院にもないだろうね…。」

家が病院の竹林君がそう言った事で、呆気なく潰えた。

 

 

 

「ご心配なく。

先生にいい案がありますよ。」

打つ手を無くし、悩んでいた僕たちに殺せんせーがそう言い放った。

「律さんの下調べも終わったようですし…元気な人は汚れてもいい格好で、先生が指定した場所に来てください。」

 

 

 

あ、これは…かなり無茶なことをやらされそうな言い方だ。

 

 

 

~~~~

 

「うおぉ…高ぇ。」

ウィルスに感染した11人と、その看病のために残った竹林君と奥田さんを除く全員で、殺せんせーに指定された場所に来てすぐ、木村君がそう呟いた。

どうやらここは、あのホテルの裏側のようだ。

 

 

 

「律さんの情報によると、この崖の上にある通用口だけが警備が配置されていないようですねぇ…。

なので、今動ける全員でここから侵入し…最上階にいる犯人を奇襲して治療薬を奪い取るのです!!」

『ッ!?』

殺せんせーのその宣言を聞いた僕たちは、皆同じように驚いたような表情を見せた。

 

 

 

そんな中で───

 

 

 

「え…?

ここを、登るの…?」

そんな弱気な発言をしたのは、いつもは凛々しい姿を見せているヒナギクさんだった。

「ええ、その通りです。

まあ、行くかどうかは君たち次第ですがねぇ…。

しかし…桂さんがそんな弱気な事を言うとは意外でしたねぇ…。」

「そ、そんなことを言われても…。」

 

 

 

なんだか…ヒナギクさんの言い方が行きたいのはやまやまだけど、ある理由で進めないというような感じに聞こえるなぁ…。

 

 

 

「そういえばヒナ…あなた今回の暗殺の作戦会議の時に、フライボードの役を頑なにやろうとしなかったわよね?」

そんな時、片岡さんが思い出したようにそうヒナギクさんに問いかけた。

言われてみれば…暗殺にフライボードを使う事が決まった瞬間、ヒナギクさんは───

 

 

 

───私は絶対やらないから!!───

 

 

 

───と、いって絶対に首を縦に振らなかったような気がする。

問いかけられたヒナギクさんが視線を僕たちから逸らすも、片岡さんの問いかけはまだ続く。

 

 

 

「E組に落ちたくなかった理由も、成績だけが理由じゃないって言ってたし、去年の夏休みに一緒に遊園地に行ったときも、観覧車やジェットコースターに乗ろうとしなかったわよね…?」

 

 

 

そして、片岡さんは一呼吸置いて───

 

 

 

「もしかしてヒナ…高所恐怖症?」

そう問いかけた瞬間、ヒナギクさんはこちらを向き───

 

 

 

「ええそうよ!!

でもいいでしょ、私にだって怖い物があったって!?」

怒鳴るようにそう言った。

ヒナギクさんに怖い物があったのは意外だったが、だからといって作戦を変えているような暇もない。

そう考えた僕は───

 

 

 

「でしたら、僕がヒナギクさんを抱えて行きましょうか?

それならヒナギクさんは目を瞑っているだけでいいので大丈夫だと思うのですが…。」

そんな提案を出した。

「それなら…お願い、ハヤテ君。」

その提案にヒナギクさんは頬を赤くして、そう言った。

 

 

 

他の女子からの視線が痛くなったが、ヒナギクさんが喜んでくれたのなら、提案したかいがあったと僕は思う。

 

 

 

「ヌルフフフ…どうやら皆さん、侵入するつもりみたいですねぇ…。

さて、烏間先生。

あなたはどうしますか?」

問いかけられた烏間先生は、殺せんせーの言葉で覚悟を決めたように息を大きく吸い込むと僕たちに向けて叫ぶ。

 

 

 

「注目!!

目標、山頂のホテル最上階!!

ハンドサインその他諸々は訓練のものを使う!!

3分でマップを叩き込め

19時50分より、作戦を開始する!!」

『おう!!』

 

 

 

今回は標的が違うだけで、いつも通りにやればいい。

僕の大切な人たちに手を出した報いを受けさせてやる。

 

 

 

だから…首を洗って待っていろ。

この騒動の主犯!!




次回もお楽しみに!!

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