それでは、本編スタート!!
⇒ハヤテside
「よし、ここからはこのホテルの客のフリをしながら進んでくれ。」
非常階段を抜け、全員が2階に上がったところで烏間先生が後ろを向いてそう言った。
このホテルに中学生のお客さんがいるとは思えないが…(たぶん皆)同じ事を考えていたのか、菅谷君が代表して烏間先生に聞くと…どうやらこのホテルには、裕福な家系の御曹子なんかが利用することもあるらしい。
普段着で来るように言っていたのはそのためらしい。
先の事まで考えて行動出来るところは見習わないとなぁ…。
「そんな訳で、君たちもこの世の中をナメているかのような感じで上の階を目指しましょう。」
その殺せんせーの言葉に従うように皆にやけたりガンを飛ばすような表情になった。
だが───
「そうそういいですよ皆さん!!
ホラ、綾崎君も。」
「と、そんな急に言われましても…。」
僕はこれまで相手をナメたりする事がなかったので、上手く出来そうになかったのでどうしようか悩んでいると───
「「綾崎(ハヤテ)君…失礼するね///?」」
前方で内緒話をしていた片岡さんと矢田さんが左右に別れて僕の腕に抱きついて来た。
「ちょっ、二人とも何を…///!?」
「いいから。
こうやってたらちょっとはそれっぽく見えるでしょ?」
いきなりの事に慌てる僕に矢田さんがそう言ってきた。
時間的な猶予はあまりなかったため、結局このまま進む事にしたのだった。
⇒ヒナギクside
まさかメグがあんな行動に出るとは思ってなかったわねぇ…。
メグ、ハヤテ君の事が好きみたいね。
きっかけは…多川さんの一件かな?
ていうか、E組にハヤテ君に好意を寄せてる子が多いように思うんだけど…。
確か、ハヤテ君がこの学校に来たのが四月の終わり頃だったはずなのにそうだろうなって子がもう二桁くらいいるんだけど…。
…あれ?
よく分からないけど…今のハヤテ君を見てるとイライラする。
…どうして?
⇒凛香side
出遅れた…。
片岡と矢田が綾崎に抱きついたのを見た私は心の中でそう悔しがっていた。
「速水はやらなくてよかったのか?」
と…そんな私に気づいたのか、不意に千葉が小声でそう聞いてきた。
「…やらない。
両方塞がっちゃったし。」
そう千葉に小声で返した。
あれ…この返し方だったらどっちかが空いてたらやってたって事になるんじゃ…。
それだけじゃない…なんで片岡達を見て出遅れたなんて考えたんだろう?
今考えても仕方ないか。
先に進もう。
そうすれば答えが見つかると思う。
⇒ハヤテside
そんなこんなで客のフリをして進んでいる僕たちは、今のところ何事も無く3階の中広間まで辿り着いた。
…ここを突破すれば5階までは階段で行く事が出来る。
故に楽勝だと考えたのか、寺坂君と吉田君が飛び出して行ってしまった。
彼らの走っていく先には一人の男が歩いて来ている。
あの男の顔は見たことがある。
だが、彼が客としてここにいるというのは考えにくい。
その時から警戒していたが、おそらく彼は───敵だ。
「寺坂君、吉田君!!
そいつから離れて!!」
そう判断し、寺坂君たちをその場から離れさせようと叫ぶより先に不破さんがそう叫んだ。
だが…その言葉に反応したのであろう烏間先生が二人を自分の背後に投げ飛ばした。
だが、その事には男は右手で服の襟を口元まで持っていきながら左手を前に突きだしていた。
そして───
ボシュゥ!!
そんな音と共に煙のようなものが吹き出して、それが烏間先生を包みかけるが、烏間先生は相手を蹴るような仕草を見せた後に、バックステップで脱出してきた。
「へぇ…相手に殺気を見せず、すれ違いざまに殺るのが俺の十八番だったんだが…まさかバレちまうとはなぁ…。
参考までになんで分かったのか教えてほしいなぁオカッパちゃんよぉ。」
「だって私、おじさんの顔見たことあるからね。
私達がこの島に着いたときにサービスドリンク配ってたでしょ?
それに、気づいたのは私だけじゃなさそうだし。」
僕たちの集団に近づいてきた男の疑問に不破さんは自信満々そうにそう答えた後、僕の方を見た。
そして不破さんのその言葉でやっと気づいたのか、皆男を見て驚いたような表情を見せた。
「じ、じゃあ…皆にウィルスを盛ったのは………!!」
「おいおい…まだ断定するのは早すぎるんじゃねーか?
まず証拠が弱すぎる。
お前らがこの島に来てからウィルスの効果が出るまでの間にお前らが口にした物はそのドリンクだけじゃねーだろ?
その時にウィルスを仕込めばいいだけの話だろ。」
口に手を当てて言ったヒナギクさんの発言に男が反論した。
だが、それを待ってましたとばかりに不破さんは人差し指を立て、話し出した。
「皆が感染したのは飲食物にウィルスを混入されたからっていう理由が確実らしいけど、私達クラス全員が口にしたのはそれと、船上レストランで食べたディナーだけ。
ディナーの食材は綾崎君がレストラン側に交渉して徹底的に品質チェックしてたから仕込むのは難しいはずよ。」
そう。
ディナーは殺せんせーだけではなく、僕たち全員も食べるので…大丈夫だとは思ったけど皆さんが食あたりしないように、烏間先生経由でレストランの食材のチェックをさせてもらった。
だけど…理由はそれだけじゃない。
「仮にディナーに仕込んでいたとしても感染者の中に食べずに作業をしてた二人がいるからまずあり得ない。
それに、着いてすぐに盛られるなんて思わない。
例え五つ子の家庭教師やってる天才高校生でもね。
だから…そんな心の隙をつけるのはおじさん君…あなただけよ!!」
不破さんの推理に男は心底悔しそうな顔をした。
どうやら当たりのようだ。
「すごいよ不破さん!!
本物の探偵みたいだったよ!!」
見事な推理で相手を追い詰めた不破さんに皆が思い思いに賛辞を送る。
「ふふ~ん。
普段から読んでる少年漫画に探偵物もあるからね。
こういう小さな事でも後でヒントになるから見逃さないようにしてるんだ。」
「あぁ、頭が星の形に禿げた少年探偵の漫画とかおじいさんの名にかけて謎を解く探偵の漫画ですよね?」
「お前な…せめてクロスしてる漫画の載ってた本誌のやつにしろよ。
しかもすげぇ古いし…。」
不破さんの話に乗って僕がそう言うと、木村君からツッコミが入った。
…と、その時───
「くっ…!!」
その声とドサッ!!という音と共に烏間先生がその場に倒れこんだ。
さっき打撃をくらったとは考えにくいのでこれは…毒、それも神経毒と考えた方がいいのかな?
同じように考えた殺せんせーが聞くと、さっきのガスが毒ガス…というより麻酔のようなものらしい。
象でも気絶させられる、というどこかで聞いたことのあるような効果だという。
「お前達がここに潜入して来た、ということは取引に応じる意思は無い、ということだ。」
男はそう言うと、交渉決裂だと来た道を引き返そうとする。
だが───
「何っ!?」
それは失敗に終わった。
なぜなら、その道を皆が塞いでいたからだ。
「気づかれた理由を知るために迂闊に俺達に近づいたのが間違いだったな。
いや、俺達を見て攻撃せずすぐに報告に戻るべきだった。
中学生の集団と侮ったお前の判断ミスだ。」
「こいつまだしゃべる力があったのか。
だが、所詮は手負い…すぐにケリをつける。
そうなりゃこの集団も終わる。」
その言葉と共に二人は臨戦態勢に入った。
───勝負は一瞬だった。
男がズボンのポケットから容器のようなものを取り出した瞬間、左の頬に烏間先生の膝蹴りが決まった。
そして…決着がつくと同時に烏間先生の体も前のめりに崩れていった。
「烏間先生!!」
倒れていく烏間先生の下に皆集まっていく。
と、そんな時───
速水さんに向かって斜め上から一本のナイフが飛んできた。
「速水さん危ない!!」
そのナイフから嫌な予感のした僕は咄嗟に速水さんの前に出た。
そして───
arosのサンデーの目次コメントに漫画家でもないのに答えてみた
Q.「小さい頃にこれ習っておけば良かった…」と思うものはありますか?
A.コミュニケーション技術
次回もお楽しみに!!