まぁいいでしょう…。
再就職先も出来た事ですし…気長に待ちましょうか。
前回の話に二回も誤字があったと指摘されました。
気をつけているつもりなんですが…こういうミスは本当になくなりませんね。
ムーンフォースさん、いつもありがとうございます。
前回の前書きでも言いましたが、今回の話から9巻の話になります。
今回、渚が鷹岡を呼び捨てにするシーンがありますが…怒りによって我を忘れているうえに、殺そうとしている対象だからという解釈でお願いします。
それでは、本編スタート!!
⇒カエデside
「渚…。」
治療薬を破壊された事で頭に血が上ったのか、いつもの様子からは考えられないような形相で鷹岡先生を睨む渚を見た私は、ほぼ無意識にその名を呟いた。
復讐のためにこのE組に来た私だから分かる…。
渚のあの目は、目の前にいる復讐の対象を殺す…ただその事だけを考え、後の事などどうでもいいという思いしか無いようだった。
なんとか止めないと…そう思っていた私の横を寺坂君がフラフラとした足取りで横切り、皆の前───ヘリポートに一番近い場所で立ち止まった。
⇒渚side
(殺す…!!
こんなやつを生かす価値なんてあるもんか…!!)
治療薬が破壊された事で、ウィルスを盛られ苦しんでいる皆を助ける事が出来なくなった、そう考えた直後から、僕は目の前の男を殺す事しか考えなくなっていた。
(後の事はどうでもいい…。
皆の命を弄んだ報い…その命で償わせてやる!!)
そんな覚悟で鷹岡に飛びかかろうとした。
その時───
ゴンッ!!
「うわっ!!」
背後から飛んできた何かが僕の後頭部に当たり、その衝撃によって僕は幾らか冷静になった。
鈍い音を立ててヘリポートの床に落ちたのはここに来るまでの間で見たスタンガンだった。
まさかと思い皆の方を見ると───
その予想通り、物を投げた後のような体勢の寺坂君がいた。
もう限界なのかゼーゼーと肩で息をしていた。
⇒ヒナギクside
寺坂君が渚君にスタンガンを投げつけた事である程度は冷静になった私は、周りの皆と共に寺坂君へと視線を向けた。
「渚テメェ…調子に、乗ってんじゃ、ねーぞコラァ!!
薬が、ぶっ壊された時に…哀れむような、目で俺を…見てたの知ってんぞ!!」
その寺坂君は、渚君が寺坂君の方を見たと同時に大きく息を吸い、思いきり渚君を怒鳴りつけた。
…なんで薬が壊されて見るのが寺坂君なのかしら?
その理由は、すぐに本人の口から語られた。
「ウィルスなんてもん…ちゃんと栄養取って、温かくして寝てりゃ…余裕で直るもんだろうが!!
テメェに、心配される必要なんざ…ねぇんだよ!!」
───ッ!?
それらの言葉だけで、全て理解出来た。
どうやら寺坂君は、あのウィルス入りのドリンクを飲んでいたようね。
発症が遅かったのか…それとも最初から無理して来ていたのかは知らないけど、身体に異常は無かったから治療薬奪取班に着いてきた。
でも、時間の経過と共にウィルスは寺坂君の身体を蝕んでいっており、それを渚君に気付かれた…そういう事だったのだろう…。
「そのまま…感情に任せて、突っかかってりゃ…殺人罪で即少年院行きだろうが…テメェは…それでも、いいって思っただろうがな…ちゃんと、周りの事も…考えたのかよ…!?」
ウィルスの影響による物なのか、寺坂君は苦しそうな顔で渚に説教を始めた。
実際、寺坂君の言う通りだ。
渚君が…クラスメイトが犯罪を犯して居なくなるのは皆見たく無い。
「もしテメェが…そんな事に、なったらあいつが…ハヤテが気に病むと…思わなかったの、かよ!?」
確かにハヤテ君なら“僕がいなかったばかりに”なんて言って気にしそうね…。
まだ話を続けるつもりなのか、寺坂君は大きく息を吸い込んだ。
「お前は…あいつが…俺達に…自分の事情、を話す前と…後で…接し方…を…変えず…受け入れた、だろう…が…。
だから…ハヤテも、お前を…心の…拠りどころにして…いるような、ぶぶんが…ある。
そんな…やつが、いきなり…いなく…なったら…あいつは…にどと、たちなおれねぇ…はず…だ。
だから…ぐっ!!」
「寺坂…あっつ!!
お前、こんなんで来てたのかよ!?」
ついに限界が来たのか、話の途中で寺坂君は膝から崩れ落ち、近くにいた数名が彼を支えるために側に駆け寄った。
「てめぇら…いまみるのは、おれじゃ…ねぇだ…ろ。」
その寺坂君は、最後の力を振り絞ったかのようにヘリポートへと顔を向け───
「そいつを、たおして…かえって…こい。
てめぇなら、できる…じぶんをしんじ…ろ…。」
渚君に対してのものと思われる声援を送り、言いたい事は全て言ったというような満足気な顔で眠りについた。
⇒渚side
───ありがとう、寺坂君。
僕としたことが…危うく大事な事を忘れるところだったよ。
寺坂君に感謝しながら、僕は彼が投げてきたスタンガンを拾う。
確かに…さっきまでの僕は、治療薬を破壊された事による怒りで他の事はどうでもよくなっていた。
でも…それじゃダメだという事を寺坂君に教えられた。
ウィルスに感染しているのに…無理させちゃったなぁ…。
だから…謝罪の意味も込めて、殺さない程度に全力で鷹岡先生に挑もう。
そう考えながらパーカーを脱ぎ捨て、スタンガンをベルトに差して ナイフを構える。
「ふん、お友達の変な茶々が入ったから使わないかもしれないと思ったが…そんな心配は余計だったか。
安心したぜ…本気じゃねぇヤツとやるなんて味気ねぇからな。
まぁ、そんな事になってたら…こいつがどうなってたか分からねぇがな。」
そう言って鷹岡先生はズボンのポケットから小瓶を三つ取り出した。
「治療薬の予備だ…三つしかねぇがな。
こいつが欲しけりゃ本気でかかってこい。
さもなくば…こいつも破壊してやるからな。
下の奴等もこいつが欲しけりゃこれ以上余計な手出しするんじゃねぇぞ?」
その独白を聞いて、内心ホッとした。
まだ治療薬があるなら…持ち帰った後、奥田さんにその成分を分析してもらい、それを作ってもらえばいいだけだ。
奥田さんには負担をかける事になるけど…ね。
そう考え、臨戦態勢をとる。
さて、どうやって勝ちに持ち込もうか…。
相手は以前僕が暗殺した事のある人物だ。
だから…今回も同じような方法で殺すのは難しいだろう。
そこでふと思い出す。
そうか…この旅行の前にロヴロさんに教えてもらった“あれ”を使えばいいんだ。
でも、それを使える程の隙を作れなければいけない…。
なら───無理矢理にでも作り出す!!
「オラァ、来ねぇならこっちから行くぞ!!」
僕が何もしない事にイライラしたのか、僕の考えが纏まるのとほぼ同時に鷹岡先生が回し蹴りを仕掛けてきた。
だが───それは僕には当たらなかった。
「何っ!?」
上体だけを素早く後ろに退いてそれを避けた僕は、そのまま鷹岡先生の死角へと潜り込み、逆手に持ち変えたナイフを思いきり振り抜いた。
「ッ…ウォォ!?」
その際、殺気を出す事で“あえて”鷹岡先生に気付かせる。
「ッ…チィ!?」
ギリギリで避けた事で直撃は免れたが、鼻先を掠めたようで、鷹岡先生の顔からわずかに血が流れる。
そして、反撃をくらわないように攻撃射程外へと飛び退いた。
これが、僕の新しい戦い方。
アイソレーションという技術を応用して死角に潜り込み、相手が油断したところに一撃を入れる戦法だ。
前回の鷹岡先生との戦いの後、僕が小柄で小回りが利くからという理由でハヤテ君に教えてもらい、なんとか習得出来た。
カウンターでの攻撃でしか使えないけど…相手の意表を突き、例え正面戦闘でも暗殺に持ち込める。
今の攻撃で、一つ気になった事があった。
それを確かめるために再び相手の死角へと潜り込み、今度は側頭部へとナイフを振るう。
…もちろん、攻撃のタイミングで殺気を出して───
「うぉ…!?
クソが…!!」
今度こそ反撃しようとしたのか、鷹岡先生は僕の腕を掴みに来た。
が…僕が咄嗟に腕の軌道を変えたため、空気を掴むだけとなった。
───ゾリッ!!
隙だらけとなったタイミングを逃さず、持っているナイフで鷹岡先生の頭頂部の髪を削ぎ落とし、バックステップで距離を取る。
この時点で一つの確信を持った。
さっきまで厄介だと思っていた、鷹岡先生の顔の傷によるセンサーは、このヘリポートでは吹き荒れる風の影響で上手く機能していない、という事を…。
「な…なんなんだテメェ!?」
ここまでやったからなのか、鷹岡先生の顔に動揺の色が見え始めた。
ここまでやれば、もういいだろう。
そんな想いを込めた笑みを見せる。
さぁ、鷹岡先生───
───おとなしく…もう一つの新技の実験台になってください。
そして、相手を死へと誘うための第一歩をゆっくりと踏み出した。
arosのサンデーの目次コメントに漫画家でもないのに答えてみた。
Q.捨ててしまって後悔したものはなんですか?
A.仮面ライダーやスーパー戦隊のDX玩具。
色々持ってたけど全部捨てたなぁ…。
大人になってまた買い集めるくらいなら全部取っておけば良かったなぁ…と思ってます。
今回、渚を魔改造しすぎましたかね…。
ハヤテと関わって強くなった事を表現したかったのですが…。
さて…次回、渚VS鷹岡決着!!
次回もお楽しみに!!