暗殺者のごとく   作:aros

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大…ふっか~~つ!!



皆さん、長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
一度間違えて全部消してしまって…偶然あったコピーを参考に書き直し、それでもまだ出来ていなかった部分を付け加えていたら(それと現実での仕事が忙しかったので…)こんなに遅れました。



さて、前回の終わりで鉢合わせたハヤテとヒナギク…いったいどうなるのか!?
そして、ついに復活する〇〇〇〇〇…。
詳しくは本編にて!!



それでは、本編スタート!!


第82話 夕日の時間

⇒三人称side

 

 

 

「「………。」」

ハヤテが部屋の扉を開けてから数秒間、ハヤテとヒナギクの間を静寂が支配していた。

「あ、ハヤテ君…起きてたんだ。」

先に我に帰り、話を切り出したのはヒナギクだった。

「はい、おかげさまで。

…といっても、今起きたばかりですけどね。

でもそういうヒナギクさんも早いですね。

皆さんと同じように疲れているはずですが…。」

「たぶん、普段起きるのが早いからかしらね。

それに、剣道やってたからあのくらいはどうってこと無いのかもね。」

そのヒナギクの予想にハヤテは「なるほど…。」と納得したという意思を見せる。

 

 

 

彼女───桂ヒナギクが潜入に参加しており、尚且つそこそこの活躍を見せていたのにこの時間に起きていたのか…それは彼女の生活習慣と所属していた部活動にあった。

毎朝5時に起きてそこから1時間走るのが彼女の日課であるため、起床時間が2時間程ずれただけで済んだのだ。

そして、彼女が所属していたのは剣道部───全身を酷使する上に試合となると重い剣道着を着るため、あの程度の活躍では彼女は体力を使いきったとは言いきれないのだ。

最も、彼女が活躍したのは7階と8階にいた数分間…激しい動きをした時間が短かったからというのも理由の一つかもしれないが…。

 

 

 

「僕、これから外に行こうと思っていたのですが…ヒナギクさんも一緒に来ませんか?」

「ええ、そうしましょうか。

ここで話していても皆の安眠妨害にしかならないものね。」

そう言うと二人は並んで歩き始めた。

 

 

 

⇒ハヤテside

 

 

 

「あの~…ヒナギクさん。」

「何かしら、ハヤテ君?」

「あれはいったい…なんでしょうか?」

砂浜に来た僕は、海の中に建てられている巨大煉瓦(おそらくコンクリート製だろう)で出来た建造物ついて、一緒に来ていたヒナギクさんに聞いた。

「あぁあれね。

あれ中に殺せんせーを入れてあるらしいわよ…対先生弾を周りに敷き詰めた上でね。

ほら、今日の夕方には元の姿に戻るでしょ?」

すると、ヒナギクさんからはそう返答してくれた。

「なるほど。」

元の姿に戻った瞬間対先生弾で仕留めるつもりのようだ。

でも、あの時殺せんせーが言っていた事が事実なら───

「ですが…あれで成功させるのは難しいでしょうね。

昨日殺せんせーも言ってましたしね…たとえ対先生物質の中に封じ込めたとしても、体内のエネルギーの一部を爆発させて対先生物質を吹き飛ばす事で最小限のダメージで脱出する、とね。」

「確かにそんな感じの事を言ってたわね…まぁ烏間先生もそれを理解した上でダメ元でやってるらしいけどね。」

烏間先生の計画が上手くいくかどうかを話しつつ、相変わらずの殺せんせーのチート性能ぶりに二人同時にため息を吐いた。

 

 

 

~~~~

 

 

 

「それはそうとハヤテ君、今回かなり無茶をしたみたいね…。」

話題を殺せんせーの事から潜入作戦の話に変え、暫く話していると、ヒナギクさんが僕をジト目で見てきた。

声も幾分か怒っているようにも思えた。

「あ、あはは…まぁ後で殺せんせーになんとかしてもらいましょうか…。」

どれの事だろう───そう思った僕はとりあえず思い当たる右掌の切り傷を見ながら言った。

ブラックとの勝負で負った傷である。

あの後ブラックがある程度の処置はしてくれたらしいが、それでも傷痕は残ってしまっている。

「何でもありね…あの先生。

って、それもかなり無茶してるけどそっちじゃなくて!!」

僕の発言でヒナギクさんは殺せんせーに対してもはや何度目かも分からない呆れの表情を見せる…が、すぐに僕にそう言ってきた。

あぁ…そっちか。

「そっちと言いますと…薬を盛られていたにも関わらず同行した事の方でしょうか?

ですが…僕が発症するまで結構時間かかりましたし、要求に僕が含まれていた以上行かない訳には…。」

「それは分かってるわよ!!

それに…たとえ最初から発症していたとしてもハヤテ君の体力なら無理をしなかったら何の問題も無いかもしてない…でも───」

 

 

 

ヒナギクさんは少し間を置くと───

 

 

 

「───もしかしたら…そのせいでハヤテ君に何かあって、もう会えなくなったら…そう思ったら怖くなっちゃったのよ…。」

僕に向かってそう言った。

「えっと…それはどういう事でしょうか?」

「だって…相手はハヤテ君に盛っていた事を知っていた…その上で呼び出して戦わせようとしたって事はつまり、ハヤテ君を殺す明確な意思があったって事でしょ?」

僕の疑問にヒナギクさんはそう返した。

なるほど…それなら僕が殺されるかもしれなかったという不安に駆られるのも頷ける。

でも、僕に行かないという選択肢は無い…なぜなら───。

「確かに…殺される可能性があるのに素直に要求に従う理由なんてなかったでしょう。

ですが…皆さんに危険な事をさせておいて僕は安全な場所で傍観してるなんて僕には出来ません。

だって、僕にとって皆さんは…家族のような大切な人達ですから。」

そう言うと僕はヒナギクに微笑んでみせた。

「家族、か…そっか。」

その言葉に対してヒナギクさんはどこか陰りのある表情でそう言った。

これは───

「あの…もしかしてヒナギクさんも家族関係の事で何かあったんですか?」

「え…なんでそう思ったの?」

僕が聞くと、ヒナギクさんは驚いたような表情でそう返してきた。

「いえ…さっき僕がE組の皆が家族みたいな存在って言ったら暗い顔をされたように見えましたから。」

「へぇ…そんな顔してたんだ、私。」

そう言うヒナギクさんの顔はどこか悲しそうな表情だった。

あれ…これ僕、やらかした?

「あの、もしかして聞いてはいけない事でしたか…?

すみません…どうやら僕デリカシー無いらしくて…。」

「い…いいのよ別に!!

全然気にしてないから!!

それに…一度は誰かに話しておかないと、ね。」

自分の軽率な発言に罪悪感を覚え顔を逸らしてしたが、

ヒナギクさんがそう言ってその場に座りこんだので僕もそれに倣うように座る。

それを見たヒナギクさんは口を開いた。

「実は、私の今の両親はね…本当の両親じゃないの。」

「えっ、それって養子…って事ですか?」

「そんなところね。

で…本当の両親は私が6歳になる前くらいに8千万を残していなくなったのよ。」

「え…。」

親が借金を残していなくなった───ヒナギクさんのその告白に僕はそう言うしかなかった。

「その借金はお姉ちゃんがなんとかして返済したんだけどね。

で…その後引き取ってくれたのが今の両親なの。」

「………。」

徐に立ち上がり、そう言って自虐的に笑うヒナギクさん。

もしかして、この島に着く少し前にヒナギクさんがあんな事を聞いてきたのは、僕にかつてのヒナギクさんの姿を重ねていたからなのだろう…ふとその事を思い出し、そう考えた。

 

 

 

そして───ヒナギクさんは失う事を恐れているのだろう。

本校舎にいた頃から仲の良かったらしい片岡さんからそんな話を聞かなかった事からもヒナギクさんが頑なに話そうとしなかったのが分かる。

話したら最後…皆が自分から離れていくかもしれなかったのだから───

「…ッ!!」

刹那、今のヒナギクさんとE組に来た当初の僕が重なったように見えた。

あの時の僕も、それを恐れて親の事を話さなかった。

今の僕に出来る事…それは───

そう考えた僕は、ヒナギクさんを後ろから抱きしめた。

「え、ちょっ…ハヤテ君!?」

いきなりの事だったためかヒナギクさんは驚いて引き離そうとする。

が…それもほんの1、2秒程で、それから数分間僕の抱擁を受け入れていた。

 

 

 

~~~

 

 

 

「まったく…女の子にいきなり抱きつくなんて相手と場合によっては通報されてたわよ。

今回は意図が分かってたから問題無かっただけで…。」

「す、すみません…。

僕に出来る事は無いかと考えていたんですが…咄嗟に思いついたのがそれしか無くて…。」

「だから分かってるって…。

でも…するんだったら手をもうちょっと下にしてほしかったわね…。」

…?

そういえば何か柔らかい物を触ったような…と、それよりも言いたかった事があったので、ヒナギクさんの横に並ぶと口を開く。

「ヒナギクさん、あなたは確かに一生忘れる事の出来ない悲しい出来事を経験しました。

それを乗り越えるのは簡単ではありません。

ですが…受け入れて前に進む事も時には大切です。」

そこまで言った後、ヒナギクさんの肩にそっと手を置き、こちらに向いていたヒナギクさんと目を合わせた。

「一から…いえ、ゼロから始めましょう。

今僕達がいるこのE組で…最高の仲間達と一緒に。

そう考えたら、今いる場所も…悪くないでしょう?」

僕のその言葉を聞くヒナギクさんの頬は、なぜか徐々に紅くなっていた。

 

 

⇒ヒナギクside

 

 

 

「今いる場所も…悪くないでしょう?」

あ…今、ようやく分かった。

ハヤテ君がそう言った瞬間、そう思った。

全校集会で初めて見た時から今までハヤテ君を気にかけていたのは同じ痛みを抱えているが故の同情かと思っていたけど、そんなものじゃない。

本当の理由…それは───

 

 

 

その時から…ハヤテ君の事が好きだったから、だ。

 

 

 

所謂一目惚れというものだ。

そして…今まで分からなかったのは、過去の事例から誰かを好きになると居なくなってしまうという思いこんでいたから。

だから、これからは───

 

 

 

「ええ、そうね。

最高の場所よ。」

自分の心に素直になってみよう。

すぐには無理でも、皆と一緒に少しずつ───。

 

 

 

⇒ハヤテside

 

 

 

ヒナギクさんとの対話からしばらく経ち、夕方…さすがに起きたのか皆がホテルから海岸に出てきた。

「あ、いたいた…ハヤテ君。」

「渚君、皆さん、おはようございます。」

僕の姿を見つけた渚君の呼び掛けに挨拶で返す。

「おはよ…と言っても、もう夕方だけどね…。

ってそれはそうとこっちはびっくりしたからね…起きたらハヤテ君がいなかったんだからさぁ…。」

「すみません。

皆さんお疲れのようでしたので起こすのを躊躇ってしまいまして…。」

早速渚君に怒られてしまった…やはりメモは残すべきだったか…。

それから暫くの間、残っていたメンバーから感謝の言葉やらお叱りの言葉やらを頂いた。

 

 

 

~~~

 

 

 

そして、話題は今回のミッションでの活躍の事になっていた。

「そういえば…今回の渚の動き凄かったよな。

アイソレーション、だっけか…ダンスの技術なんだってな。

どこで習ったんだ?」

「鷹岡から薬奪ったあれもどこで身につけたんだ?」

ラストの鷹岡との一騎討ちの話になった所で菅谷君と木村君が渚君にそう聞いた。

それに対し渚君はと言うと───

「あー…それどっちもハヤテ君から教えてもらってた技術なんだ。

僕なら相手の懐に入るのも簡単だろうからって言われてね。」

まさかアイソレーションはともかく“ついで”に教えたあれも役に立つとは思わなかったけど…。

「それで、綾崎はどこであんなスリ紛いの技術を身につけたの?」

「あはは…その、色々ありまして…。」

ふと僕の左隣に座っている速水さん(※右にはヒナギクさんがいます。)がそう聞いてきたのでそう言うと、皆またか…と書かれていそうな顔をした。

「なぁハヤテ…言いにくい事だったら別に言わなくていいからな。」

そんな空気の中、杉野君が僕を心配してかそう言ってきた。

「ありがとうございます。

確かに世間体とかを考えれば話しづらい内容ですが…皆さんにはそういうのを散々話してますから。」

そう言うと僕は深呼吸をしながらその時の事を思い出していた。

「これは僕が4歳の頃の話なのですが…一時期父が絵を売っていてその手伝いをしていたんですよ…。」

「ん?

てことはハヤテの親父さんその時はまともな人間やってたのか?」

「いえ、当時もダメ人間ですよ。」

予想通り反応した菅谷君の質問をバッサリと切り捨てると再び遠い目をしながら話していく。

「まず父がお客さんに本物の絵を見せてですね…で、その方が購入を決めたら梱包のために僕に渡すんです。

どんなに用心深い方でも、さすがに子供相手となると油断するみたいで…その心の隙を突いて本物の絵を梱包する、と見せかけて…その裏に仕込んであった偽物の絵を僕が手品の様に瞬時にすり替えてそのまま偽物を売りさばくという事していまして…。」

『詐欺じゃ(ねぇか/ん)!!』

ほぼ全員からツッコミが入った。

「お前…それが犯罪だって分からなかったのか…!?」

「さっきも言いましたが当時まだ4歳だったので…何が犯罪になるのか分からなかったんですよ…。」

菅谷君の指摘にそう僕が答えると、皆ため息を吐きながらもそれ以上は言及しなかった。

「まぁ…その絵をすり替える技術を応用した技術を敵の持つ重要情報なんかを盗み取る事を想定して教えておいたんですよ。」

「たぶんもう使わないだろう無駄スキルだな…。」

「応用した結果詐欺の手口がスリの手口になっただけじゃねぇか…。」

杉野君と木村君に呆れたような声でツッコまれた。

まぁこうなるだろうとは思いつつ言ったけど…。

「なぁ皆、俺ちょっと思った事があるんだ。」

と、そこで磯貝君が発言した。

「今回のミッションでさ…俺達は自分に足りない物を見せつけられたって思う。

烏間先生もビッチ先生もハヤテも、それにホテルで会った殺し屋達も…経験が長いからこその凄い技術があって、俺達はその背中を追いかける…んじゃまだ足りないな。

追い付いて…最終的に追い越す。

それはこれから先どんな道を選んだとしても掲げるべき目標だと思うんだ。」

磯貝君のその意思表明に心の中で頷いた。

彼の言う通り、大人社会では“先人の技術に追い付き、それを自分のやり方で追い越す”事の繰り返し。

人としての道さえ踏み外さなければそれに結果が答えてくれる。

 

 

 

と、そんな事を考えていると───

 

 

 

ドグオオォォン!!

 

 

 

そんな轟音と共に殺せんせーが閉じ込められた建造物が爆発し、その瓦礫が周囲の海や砂浜に落ちる。

こっちに飛んで来ないのはそれだけの力加減がされている証拠なのだろうか。

となると───いや、結果なんて皆最初から分かっていただろう。

 

 

 

「いやはや、申し訳ありませんでした。

先生が不甲斐ないばかりに皆さん危険に晒してしまいましたね…。

ですが、皆さんよく頑張りました。

今回の一件で君達は大きく成長しました…先生はそれが嬉しいのですよ。」

背後からの声に反応して振り返る。

すると皆「やっぱり…」という表情になったが、そこにはどこか安心のようなものも見られた。

 

 

 

「ヌルフフフ…では皆さん、最後までこの旅行を楽しみましょうか。」

───やっぱり、殺せんせーは僕達で殺したい…それが皆の意見のようだ。

「と、その前に…。」

ふと僕の右手に触手を伸ばした殺せんせーは、その掌の上で触手を素早く動かす。

僅か1秒程で離れると、なんとそれまではあった深い切り傷が綺麗さっぱり無くなっていた。

「今回の無茶について君は既に咎められた…ならば私が何か言うつもりはありません。

いえ、“自分の後ろには仲間がいる”という事を君は知っている…なら言う必要は無いと言った所でしょうか。」

そう言うと殺せんせーは僕の頭を優しく撫でた。

そして全員に視線を向けると大声で叫んだ。

「さて皆さん!!

昨日の暗殺で私をあそこまで追い詰めたご褒美として、夏の夜を盛り上げる楽しいイベントを私から企画させていただきました!!」

そう言うと殺せんせーは服を脱ぎ、いつからか着ていたその下の白装束になった。

 

 

 

「ヌルフフフ…今宵、皆さんに最高のドキドキをプレゼントいたしましょう。

覚悟していてくださいね。」

そう言う殺せんせーの手には、“納涼!!ヌルヌル暗殺肝試し”と書かれた看板があった。




arosのサンデーの目次コメントに漫画家でもないのに答えてみた。
今は4月…入学シーズンという事で…!!



Q.学生時代に最も嫌いだった授業を教えてください。



A.中学生の時は国語、高校では+数学ですかね。
漢字と計算の応用問題が苦手でしたね…。



次回もお楽しみに!!
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