暗殺者のごとく   作:aros

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GWがあったからかわりと筆(というか指と妄想)の調子が良くてかなり早く投稿出来ました。
………結果、約一名暴走しましたが。
そのキャラ推しの方々にこの場を借りて先に謝らせていただきます。
自分でもやり過ぎたと思っています。
申し訳ありませんでした。



それと告知を。
この作品の短編集をこの話とほぼ同じタイミングて投稿させていただきます。
ぜひ、そちらもチェックしてください。



それでは、本編スタート!!


第83話 怖い時間

⇒渚side

 

 

 

「肝、試し…ですか?」

「えぇ、夏の夜と言えばやはりお祭りとこれですからねぇ。」

看板に書かれていた事を僕が聞くと、殺せんせーは頷いてからそう答える。

「では大まかなルールの説明を。

場所はこの島の海底洞窟の中のみでとさせていただきます。

入り口から出口までの距離300mをくじで決まった男女ペアで進んでください。

私が分身でお化けとして皆さんを思い切り驚かせます。

先生はお化け役として参加しますのでそれを殺すのも有りです。

以上!!

ヌルフフフ…この旅行の締めを暗殺を一旦忘れてただ思い出にするのも、最後まで暗殺者である事を貫くのも君達の自由です。」

なるほど…殺せんせーがセッティングを行ってくれるなら、全力で驚かせてくれそうな気がする…何かゲスいのはありそうだけど。

そう考えていた時、ふとハヤテ君の方を見ると…桂さんがホッと胸を撫で下ろしているのが見えた。

「ねぇ、片岡さん…。」

「うん。

実はヒナ、お化け苦手なの。」

もしかしてと思い、その事をよく知っていそうな片岡さんに聞くと、案の定そんな答えが返ってきた。

なんか…本校舎にいた頃の桂さんは話しかけづらい印象があったのに、E組に来てからは彼女がどんな人間なのかがどんどん見えてきて話しかけやすいように思えている。

殺せんせーはそんな様子をスルーしてくじ引きとかでよく見るような箱を2つ取り出した。

「では、洞窟に入る順番を決めましょう。

それぞれの箱に1~16までの番号の書かれた紙が入っています。

同じ番号を引いた2人でペアを組み、番号順に洞窟内に入ってきてください。

交換は無しですのでご注意を。」

16…か。

そういえば、このクラスの男女それぞれの人数って烏間先生とビッチ先生を入れると16人ずつなんだっけ。

「この話を作るために作者が数えた時に驚いた事なんだって。」

「不破さん?」

まぁそのやりとりは置いといて、皆どんどんくじを引いていく。

僕の引いた紙には大きく“1”と書かれていた。

 

 

 

そして…全員のペアが決定し、肝試しが始まった。

 

 

 

~~~

 

 

 

「っとと…」

「大丈夫、渚?」

「あぁうん、ちょっと滑っただけだから。」

洞窟に入った直後に転びかけた僕を茅野が心配して声をかけ、僕はそれに大丈夫と答えた。

それが本当の事だと分かったのか茅野は辺りを見回すと話題を変えた。

「うぅ…けっこう暗いけど大丈夫かな?」

「ゾクゾク系のだったら大丈夫かも…でも殺せんせーの事だからビックリ系が多いだろうなぁ…そこは不安だね。」

マッハ20の殺せんせーが仕掛人だからなぁ…もしかしたらゾクゾク系でもヤバいかも…そう考えていた僕の耳に三線の音が聞こえてきた。

まさか…と思い、茅野と一緒に音のした方を見ると───

 

 

 

───そこには、王族の亡霊みたいな服を着た殺せんせーが浮いていて、僕達は驚いた。

「ここは…血塗られた悲劇の洞窟…。

かつて、戦いに敗れた王族達の霊が…いまださ迷う場所です。」

作り話だとは思うが、そのあまりのリアリティさに腰を抜かしそうになる。

どうやらここで語り部として僕達を迎えるつもりらしい。

 

 

 

⇒友人side

 

 

 

「戦士は…親友に恋人を託し、2人を逃がすために再び戦場へと赴きました…。

この扉の前の椅子に一組の男女が語り合う事でその戦士の御霊を呼び寄せられ、扉を開くでしょう。」

俺と神崎さんの目の前に扉が見えたと思うと、殺せんせーが現れそう語る。

そして殺せんせーが指差した先には、その背後に落ち武者のようなマネキン置かれた椅子があり、俺達はそれに2人で座った。

「あ…あのさ、ハンカチとかあった方が良かったかな?

ハヤテみたいにこういう事態を想定してなかったから…ごめん。」

「ううん、いいの。

その気持ちだけでも嬉しいから。」

それなら良かった…もしこれで機嫌を損ねられたりなんかしたら、後が気まずいもんな。

「それよりさ、教えてくれないかな…杉野君から見た綾崎君の事。」

そう考えていた俺に神崎さんはそう言って詰め寄ってきた。

この様子だとやっぱり───

「その前に聞かせてもらっていいかな?」

「いいけど…どうしたの?」

「直球で悪いんだけど…神崎さんってハヤテの事が好きなの?」

俺がそう聞くと、神崎さんは少し固まった後顔を赤くして「うん…。」と答えた。

「やっぱりか…。」

「気づいてたんだ。」

「修学旅行の時からなんとなくそんな感じはしてた。

あの時のハヤテはまるでゲームとかの勇者みたいだったからな。」

あの不良共のケータイに何が入ってたのは知らないが、あんな事をされて惚れないなんて無理があると思う。

そもそもハヤテには男女構わず他人を惹き付ける魅力があるから遅かれ早かれこうなっていたかもしれない。

「だから俺は神崎さんを応援したい。

ライバルは多いだろうけど、負けないでくれよ。」

「ありがとう、杉野君。」

「で、ハヤテの事なんだが…あいつこの間うちのクラブチームに助っ人に入ってくれてさぁ───」

しばらく話していると扉が開き、足下を十分に注意しながらまだ話せていない部分を話しながら歩き始めた。

 

 

 

⇒殺せんせーside

 

 

 

(ヌルフフフ…皆さん適度に怖がり、適度に私の思惑通りに動いてくれていますねぇ…。)

目の前で行われている村松君と倉橋さんのペアを含む洞窟内各地で行われている男女の語り合いを見ながら私はそう心の中で言った。

綾崎君の加入以降、生徒達は皆精神的にも肉体的にも強くなったと私は思っている。

そして…彼を中心として恋愛争奪戦が日夜繰り広げられており、その凄惨な過去を知っているかこそ幸せになってほしいからか、それを見ているとついにやけてしまいそうになる。

ですが…その恋愛模様は本人目線───つまり、女子から見た彼の印象のみだと思われる部分もあるようだった。

異性よりも同性の方が知っている事もいくつかある…だから私はこの場を使って女子達が綾崎君事をもっと知るように仕向けた。

だから原さんと狭間さん、そしてイリーナ先生以外にくじ仕組んではいない。

…と、さっきのが8組目───岡島君と中村さんのペアだった…なら次は綾崎君のペアですね。

では、他の方々とは全く異なるルートに案内しましょうか。

ヌルフフフ…。

 

 

 

⇒ハヤテside

 

 

 

「っと…ここも滑りやすいですね。

足下に気をつけてゆっくり来てくださいね。」

「あ、うん…ありがと///」

僕が後ろに手を伸ばしながらそう言うと、彼女は顔を赤くしてそう言いながら僕の手を取った。

そのまま薄暗い洞窟内を暫く歩いていると───

「───ヒャッ!?」

そう言って彼女は僕に抱きついてきた。

「どうかしましたか!?」

「い…今、私の首筋に何か…ヌルッとした物が…!!」

何かあったのかと聞くとそんな答えが返ってきたため、辺りを見回すと───

「あぁ…安心してください、蒟蒻を当てられただけのようですから。

天井から吊るされた蒟蒻が見えたため、そうだろうなと思い報告すると、彼女は安堵のため息を吐く。

「でも怪我をしたとかではなかったようで良かったです───

 

 

 

───岡野さん。」

そう、僕とペアになった女子は岡野さんだったのだ。

それから暫く懐中電灯の灯りを頼りに進んでいると、殺せんせーの声が聞こえてきて、それと同時に上から吊るされた頭蓋骨が降ってきた。

「逃げ込んだこの洞窟内に食糧はあまり多く備蓄されてはいなかった…故に、食糧の尽きた我々はかろうじて見つけた骨ですら奪い合った…。」

なかなかに凝った語りですが…さっきカップルベンチとかいうよく分からない物に座らされたんですが…。

「お前達も我々と同じように一本の骨を奪い合え…さもなくばこの場所からは一歩も通さぬぞ。」

その言葉と共に僕達の間に糸のような物を括り付けられた一本の棒が降りてきた。

「さぁ…両端から齧っていけ…。」

「いやこれポッキーゲームじゃないですか!!」

降りてきたそれを見た僕は思わずツッコんだ。

「さっきから全然怖い要素が見当たらないんですがいったい何がしたいんですか殺せんせー!!

岡野さんも何か言ってやってくださいよ…って、岡野さん?」

さすがにいてもたってもいられず殺せんせーに怒鳴った僕が岡野さんの方を見ると…彼女は小声で「これは先に進むため…うん、しょうがない。」と言っていた。

どういう事だろうと思っていると、岡野さんは僕の方を向いた。

「ねぇ…せっかくだからやっていこうよ。

ほら、さっき殺せんせーがやらなかったらここは通さないって言ってたし。」

そして、この恐怖と全く関係の無いポッキーゲームに対してなぜか積極的だった。

「岡野さん?

ハァ…まぁいいですよ。」

殺せんせーのゲスい策略にまんまと嵌められてる気はするけど、断ったら岡野さんが悲しむだろうと思いそう言うと、岡野さんは笑顔でありがとうと言ってポッキーの片側に行った。(チョコ側は譲りました。)

「そうだ…せっかくだから罰ゲーム有りにしようよ?」

「罰ゲーム…ですか?」

「うん。

負けた方は勝った方の命令を何でも聞くってやつでね。」

「なるほど、ですがもし途中で折らずに食べきった場合はどうなるんですか?

確か食べきって負けになるのは3人以上の複数人の場合でしたよね?」

「その時は引き分けで命令権無しだね。

それと…もしわざと途中で折ったら許さないから。」

見透かされている…。

これはもう僕の不幸で足が滑って結果折れるしか無さそうだ…。

そんなこんなでポッキーゲームが始まった。

どんどん食べ進めていく僕達だったが、中心に近付くにつれて食べづらくなっていた。

と言うのも、僕と岡野さんの身長差は20cmほどある。

僕が屈み岡野さんが背伸びをする姿勢だ。

あと1cm…僕が何かしなくても勝手に折れてくれる…そう思っていると、いきなり岡野さんが僕に抱きついた。

そして、そのまま僕と岡野さんの唇が触れ合った。

 

 

 

当然ながら、チョコの味がした。

 

 

 

~~~

 

 

 

{『右手、黄色!!』}

ラジカセから流れてきた殺せんせーの声に岡野さんは自身の背中の下にある黄色に右手を置いた。

{『左手、緑!!』}

直後その指示が届き、僕は一番近い岡野さんの横の緑に手を置いた。

そう…僕達は今なぜかツイスターゲームをしている。

さっきのポッキーゲームが引き分け終わったため、同じ罰ゲームを設けてやっている。

{『右手、赤!!』}

そんな声で我に返ると、岡野さんはもう右足を僕の左足に近い黄色に置いていた。

その姿がブリッジをしているように見えたが特に辛そうな表情をしていないのはさすが“元”体操部だと思う。

と、そんな事を考えながら右手を移動させようとマットから離した瞬間───突如背中に何かが当たり、そのままバランスを崩して岡野さんへと倒れこんでいく。

だが、岡野さんに全体重をかけて覆い被さるわけにもいかないと僕は“白い部分”に右手を置いた。

「ふぅ…大丈夫ですか、岡野さん。」

「うん…フフッ。」

僕の問いかけに答えた後、岡野さんはいきなり笑いだした。

「…?

どうしたんですか、岡野さん?」

「いや…なんか、あの時と逆になったなぁ~って。」

「あぁ…確かにそうですね。」

ああの時と言うのは…忘れもしない、僕が初めてこのE組に来たあの日の事だろう。

あの時は烏間先生に投げられた岡野さんが僕を押し倒したような体勢になっていたが、今回は僕が岡野さんを押し倒したようになっている。

「そんな事より、もうゲームは終わりみたいだから起きよっか。」

その岡野さんの一言で僕はやっと自分が負けた事を思い出した。

 

 

 

~~~

 

 

 

「じゃあ、綾崎への罰ゲーム言うからね。」

先に立った僕の手を取って起き上がった岡野さんが僕にそう言った。

いったいどんな罰ゲームがくるのか…。

そう考えていると、岡野さんは顔を真っ赤にして───

「じゃあさ───」

 

 

 

言い終えた直後、洞窟内に殺せんせーの悲鳴が響き渡った。

 

 

 

⇒渚side

 

 

 

「つまり、最後の3ペア以外肝試しってのは建前で…本当の目的は女子が男子目線でのハヤテの事を知る事でもっと親密な関係にしようとしたってのか…。

んでもってあわよくばその3ペアとハヤテのペアからカップル成立する奴が出れば…ってどんだけ下世話なんだよ殺せんせー。」

自分の仕掛けた物で勝手に驚いた後、そのまま洞窟から出てきた殺せんせーは、僕達に囲まれた状態でそう供述し、それを呆れ顔の前原君に簡潔に纏められていた。

「ったく…それこそ余計な世話ってやつだろうが。

殺せんせーがんな事しなくてもそれぞれのペースでやっていたはずだしよ。」

前原君がそう指摘すると、殺せんせーはプルプルと震えていたが、途端に顔を上げると言った。

 

 

 

「だって…しょうがないじゃないですか!!

明らかに恋愛の雰囲気がクラス内の至る所から漂ってるのにずっと友達以上恋人以下のような状況じゃないですか!!

そんなの見せられたら後押ししたくなるのは仕方ないでしょう!!」

最早泣きギレに近かった。

そんな殺せんせーの肩に千葉君が手を置いた。

「殺せんせー、そう思うのも分かる。

…が、さすがに展開を急ぎすぎだ。」

そして、殺せんせーを諭すようそう言った。

うん…千葉君は速水さんとハヤテ君仲を進展させようと色々やってたからね。

「まぁそれは殺せんせーなりに後押ししたかった、と考えればいいかもしれないけど───」

そんな様子を見ていた磯貝君がそう言いながら視線を別の方向に向ける。

 

 

 

「───あいつらいったいどうしたんだ?」

その先には真っ赤になった顔を背けるハヤテ君と、手で顔を覆い踞る岡野さんがいた。

「さぁ…?

出てきてからずっとあんな感じだからね…。

殺せんせー何か知ってない?」

ただ思案していてもキリがないと思った僕は、この状況について知っていそうな殺せんせーにそれを聞いた。

「ヌルフフフ、洞窟内での岡野さんは暴走気味でしたからねぇ…。」

「あぁなるほど…今思い出して悶えてるって事か。」

何をしたのかは岡野さんの名誉のために聞かないでおこう。

 

 

 

と、その時───

 

 

 

「なによ、結局何も出てこなかったじゃない!!

せっかく怖がって歩いてやったのに損した気分だわ!!」

洞窟出口からそんな声が聞こえてきた。

全員(ハヤテ君と岡野さん以外)がそっちの見ると…そこには、烏間先生にベッタリくっついたビッチ先生がいた。

が…僕達の視線に気づいたのか、恥ずかしそうに烏間先生から離れていった。

 

 

 

「うすうす思ってはいたが…これで確定だな。」

「だろうな…で、俺面白い事思いついたんだが…。」

「あぁ、帰るまでの時間はまだそこそこあるし…な。」

「それに、ビッチ先生には潜入ん時に真っ先に陽動やってくれた礼をまだしてなかったしな…。」

 

 

 

『くっつけちゃいますか!!』

 

 

 

こうして、本人達の与り知らぬ所で“ビッチ先生のカップル成立作戦”が開始されようとしていた。




今回はいつものコーナーはお休みです。
代わりに、肝試しのペア一覧を載せます。
組み合わせはリアルでくじを作って一組ずつ決めたって感じですかね。

1.渚、茅野 ペア
2.木村、西沢 ペア
3.菅谷、ヒナギク ペア
4.磯貝、片岡 ペア
5.村松、倉橋 ペア
6.杉野、神崎 ペア
7.前原、不破 ペア
8.岡島、中村 ペア
9.ハヤテ、岡野 ペア
10.三村、矢田 ペア
11.千葉、速水 ペア
12.カルマ、奥田 ペア
13.竹林、律 ペア
14.吉田、原 ペア
15.寺坂、狭間 ペア
16.烏間、イリーナ ペア

まぁ一部(というか半分くらい)仕組んだ訳ですが…。



次回もお楽しみに!!
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