「カーット!いい絵が撮れた!」
「………お疲れ様です」
「おつかれ、長野君。君、なかなか演技も行けるじゃないか、どうだい、僕の所属してる劇団に来ないかい?」
「あ、あはは…学業に専念したいので、ありがたい話ですが」
「そうか…残念だなぁ」
大洗の学園艦…ではなく、内陸地にある廃工場でそんな会話を交わす。
周りには撮影スタッフ、そして役者の方々。
俺は今、戦車道連盟の依頼により、とある特別番組の撮影を行っていた。
黒歴史とは言え、昔散々テレビに出た経験のお蔭で撮影はスムーズに進んだ。
まぁ……台詞が若干恥ずかしかったが。
「お疲れ様です長野君。残りはアテレコになるので撮影はこれで終了です」
「お疲れ様です…まさか、こんな依頼だとは思ってませんでしたよ…」
またどこかのチームの臨時指揮官とか、戦車道をやっている学園巡りとか、そういった仕事だと思っていたので最初聞いた時は面食らったものだ。
まぁ…番組が番組だし、みほちゃん達に見られる事はないだろうから良いか。
「これで約束した物は…」
「えぇ、連盟からの助成金とは別に、消耗品と各種材料を大洗学園にお届けします。……所で、戦車のパーツじゃなくて材料で良いんですか?」
「えぇ、材料があればこっちで加工して作りますから」
「え、加工…作る?」
「作るんです」
自動車部が。
自前の旋盤とか持ってて戦車のパーツとか自分達で加工して作ってしまう。
もう部活じゃない、そういうレベルじゃないよ自動車部…。
「それじゃ、失礼します。お先に上がります!」
「おうお疲れ!また出演する時はよろしく頼むよ!」
監督に頭を下げて、撮影場所を後にする。
さて、皆へのお土産を買って大洗へ帰ろう。
……その前に、両親に会いに行くか、折角内陸に来たんだし。
アヒルさんチームの場合
「練習終了!」
「「「「お疲れ様でした!」」」」
笛を吹いて全員を集め、今日の練習を終了させる。
一列に並んだアヒルさんチームが、頭を下げながら唱和する。
そう、戦車道の練習…ではなく、バレーの練習を終了。
夕方まで戦車道の練習をし、それが終わったら丁度体育館が空くのでバレーの練習をするのがいつもの日課なバレー部。
本当に根性の塊である。
「今日もありがとうございました、コーチ!」
「いや、まぁ、あんな指導で良いなら…」
何度も言うが、俺はバレーの選手ではない。
なので指導も大したことは出来ない。
一応、バレーの試合映像や資料を読み漁って勉強しているが。
だが、練習を監督したり、トスやレシーブの練習に付き合うだけでもバレー部は嬉しいそうだ。
「コーチも入れて6人、これで何時でも試合が出来ますね!」
「ナチュラルに八九式を人数に入れるんじゃありません、あと俺は男だからバレーの試合には出れないから」
毎日練習練習練習で、試合に飢えている感がある磯辺、ナチュラルに八九式と俺をメンバーに入れてくるから油断ならない。
「コーチ、どうぞ、タオルです」
「ありがとう、近藤も身体を冷やすんじゃないぞ」
近藤からタオルを受け取り、額の汗を拭いながら汗だくの近藤に注意する。
「お腹空いたわね」
「なにかガッツリ食べたいね~」
河西と佐々木の会話が耳に入る。
ふむ、丁度いいか。
「皆、汗を流したら一緒に帰ろう、夕飯ご馳走するぞ」
「え、良いんですか!?」
「あぁ、臨時収入があったからな。何が良い、何でも良いぞ」
「じゃぁ、焼き肉行きましょう!食べ放題があるお店があるんです!」
「良いですねキャプテン!」
「焼き肉、根性が付きますね!」
「わーい!」
やだ、肉食女子。
元気があって大変よろしい。
「それじゃ汗を流したら校門で合流な」
「はい、急いで行ってきます!」
「いや、急がなくて良いぞ、俺も汗流すし」
この度、目出度く男子用のシャワールームが建設された。
女子用のお風呂程じゃないが、大変ありがたい。
もうすぐ夏本番、汗を流せるのは非常に助かるからな。
片付けを終え、お風呂へ走るバレー部を見送って体育館を閉じる。
男子用シャワールームへ足を運ぶと、数名の生徒が使用していた。
男子部が設立された運動部の連中か。
「お疲れー」
「あぁ、お疲れ様」
「……うぉっ」
「…ん?どうかしたか?」
シャワールームの謎のルール、相手が誰でもお疲れと言うを返したら、何故か驚かれた。
「い、いや、何でも無いんだ…!」
「そうか…」
どうかしたのかと問い掛けたら、何故か挙動不審に首を振られた。
なんだろう、俺何かしただろうか。
校舎裏に呼び出してきた嫉妬団…じゃないよな。
まぁ良いか。
「……おい、長野だぜ(ヒソヒソ」
「マジか!?…本当だ、長野だ…(ヒソヒソ」
なんか内緒話をされているが…この距離じゃ聞こえんな。
構わずジャージを脱ぎ、腰にタオルを巻く。
はて、シャンプーは何処へやったか…。
「…ゴクリ、あいつ本当に同級生かよ…なんて筋肉してやがる…(ヒソヒソ」
「あぁ…やべぇな…ムッキリマッスルって感じだよな…細いのにマッチョだ…(ヒソヒソ」
「腰がエロい(ヒソヒソ」
「同意(ヒソヒソ」
あったあった、鞄の下の方に行ってた。
なんか視線を感じて後ろを見ると、数人が集まって何やら会話していた。
……なんだ?
そんな視線を向けると、全員が明後日の方向を見て口笛を吹き始める。
一名、全く音が出てないぞ。
「………まぁ良いか」
空いているシャワーボックスに入ってシャワーの蛇口をひねる。
最初に冷たい水が、やがて温かいお湯が勢いよく噴き出してくる。
あー、この瞬間が堪らない。
顔を洗いながら髪をかき上げる、今日もよく汗をかいたから念入りに洗わないとな…。
「……なんだろ、洋画のシャワーシーン見てる気分だ(ヒソヒソ」
「あぁ、主演男優がやたらセクシーな奴だろ、分かる(ヒソヒソ」
「これ、売れんじゃね?女子とかに高く売れんじゃね?(ヒソヒソ」
「正直興奮する」
「「「声が大きいっ!」」」
「ん?」
「「「なんでもないぞ!」」」
何か声がするから振り向いたら、三人くらいが組体操しながら首を振っていた。
見事な扇だが、全裸でやるなよ…。
仲が良いのは結構だが。
……考えてみたら、俺、男子の親しい友人居ないんだよな…地味に生活してたから。
眼鏡を止めたら話しかけてくる男子が増えたけど。
「お先ー」
「「「お、おう…」」」
手早くシャワーを済ませ、身体を拭きながら着替えを済ませる。
髪は乾かしながら行けば良いか。
「なんで髪タオルで拭いてるだけなのに色気があるんだよ…反則だろ…」
「あれで頭も良くて運動神経も抜群なんだろ…どこの完璧超人だよ…」
「でもヘタレらしいぞ。童貞だって噂だ…」
「至高の童貞か……イケる」
「「「ちょ、おま」」」
なんか勝手なことを色々言われている気がするが、黒歴史時代色々言われたから対して気にならない。
嫉妬した人間からの言葉って本当にドロドロしていて汚いからなぁ。
「あ、コーチ!お待たせしました!」
「早かったな…って、髪乾いてないぞ磯辺」
「キャプテン、だから言ったじゃないですかー」
「ドライヤー使う時間すら惜しむからですよ」
「お待たせしましたコーチ~」
まだ髪が乾ききっていない磯辺の後ろから、近藤達がやってくる。
こちらはドライヤーを使ったのか、ちゃんと乾いている。
「ほら、ちゃんと乾かせ、風邪引くぞ」
「わぷっ、あ、ありがとうございます…コーチ…」
予備のタオルを取り出して磯辺の髪を軽く拭いてやる、すると何時も根性根性元気な磯辺が、急にしおらしくなった。
はて、どうしたのだろうか?
「キャプテン、ズルい…」
「あざとい、流石キャプテンあざとい」
「良いな~、私もして貰えば良かったー」
髪も乾いたのでアヒルさんチームを伴って焼肉屋を目指す。
しかし、制服姿のバレー部は見慣れないから新鮮だな。
「なんだか新鮮だな、磯辺達の制服姿」
「そうですか?まぁ、私達いつもバレー部のユニフォームですから仕方ないのかな」
「なんだか制服より落ち着くんですよね、パンツァージャケットの下もこのユニフォームじゃないと落ち着かなくて」
一度河嶋先輩に注意されたが、落ち着かないと言う事でバレー部だけ許可になったんだよな。
「正直、私達はスカートとか似合いませんからね」
「正直落ち着かないんですよね~」
「そんな事無いだろう、お前達だって可愛い女の子なんだから似合わないとか無いぞ」
バレー部は危機感と言うか、もうちょっと自分達の容姿をよく認識しろと言いたい。
近藤なんて男子が作った校内可愛い子ランキングのTOP10に入ってるんだぞ、知らんだろうけど。
「う……正直キた…コーチ、女ったらしとか言われません?」
「いきなり酷いな」
河西が酷い、こんなヘタレな俺に対して女ったらしだなんて。
「コーチ、私達にどうこう言う前に、自分がどれだけ目を引くか理解して下さい」
「何を言うか近藤、ちゃんと理解してるぞ」
「足りないんです、もっとちゃんと理解して下さい」
近藤も酷い、自分の容姿が視線を集める事位分かってるのに…。
「分かってたらそんな気軽に口説くような事は言いませんから」
「口説いてなんてないぞ…!?」
「無自覚ですか~余計に質が悪いですねー」
佐々木まで酷い…。
えー、容姿を褒めると口説いている事になるのか…。
「あ、ありましたよコーチ!」
「おー、下町にありそうなお店だな」
磯辺が指さした先には、焼き肉・ホルモンと書かれたシンプルな看板。
お店もそんなに大きくない、だが食べ放題ののぼりが出ている。
こんな規模でも食べ放題が出来るのか…。
お店の前に来ると、肉が焼けるいい匂いが漂う。
隣から、くきゅーと可愛い音がした。
「あ、あはは…お腹空いちゃって…」
そう言ってお腹を擦りながら恥ずかしそうに頬をかく磯辺。
気持ちは分かる、正直俺も腹が鳴ってもおかしくないレベルで胃が刺激されている。
今日はガッツリ食おう。
「いらっしゃいませー、何名様ですか?」
「5名です」
「5名様ですね、こちらへどうぞー」
案内されたのはテーブル席。
お座敷は既に満杯か。
対面に河西と佐々木。
近藤、俺、そして磯辺と座る事になった。
……俺、端で良いんだけど。
近藤に進められるがままに座ったらこうなった。
なんだか落ち着かない…。
「食べ放題、5人で!」
「はい、食べ放題メニューですね、こちらの中からお選び下さい」
店員が持ってきたメニュー、食べ放題用メニューにはそこそこ豊富なラインナップ。
普通、食べ放題だと選べる品が限定されるんだが…ここは希少部位でも乗ってるのか、珍しいな。
「とりあえずライス大盛り5つ、烏龍茶5つと、カルビ5人前、ロース5人前!」
「あ、ハラミも食べ放題なんだ、ハラミ2人前で!あと卵スープ1つ!」
「う…骨付きカルビは食べ放題じゃないのか…じゃぁカルビスープ1つ」
「河西、別に頼んでも良いぞ、俺も上タン塩頼むから。すみません、骨付きカルビ2人前と上タン塩5人前で。あとわかめスープ1つ」
「あ、わかめスープは2つで~。ホルモンは…後で良いですね~」
「はい、ライス大5つ、烏龍茶5つ、カルビ5人前、ロース5人前、ハラミ2人前、卵スープ1つ、カルビスープ1つ、骨付きカルビ2人前に上タン塩5人前、わかめスープ2つで宜しいですね。火をお点けしますね」
注文を繰り返し、手早くコンロの火を点ける店員さん。
磯辺が配ってくれたおしぼりを受け取り、手を拭く。
「焼き肉なんて久しぶりですね」
「めったに来れないもんね~」
「折角のコーチの奢りなんだ、根性入れて食べるよ皆!」
「食べ過ぎちゃいますよキャプテン」
「支払いは心配せず好きなだけ食ってくれ。アヒルさんチームにはお世話になってるからな」
八九式という圧倒的に劣る戦車で、最後の最後まで使命を全うしてくれたアヒルさんチーム。
今では練度も大洗で1番、本当に助かっている。
「いえ、お世話になっているのは私達の方ですよ!戦車道のコーチだけじゃなく、私達の我が儘に応えてバレーのコーチまでしてくれてるんですから!」
「コーチがバレーの資料や映像を読み漁って勉強してくれてるの、ちゃんと知ってるんですよ?」
「本当にお世話になります、コーチ」
「それに比べたら、戦車道での苦労なんて全然ですよ~」
「お前達…」
やだ、本当に良い子達。
なんで大洗の戦車道履修者って良い子しか居ないのだろう。
ある意味奇跡だな。
「はいお先に烏龍茶5つです」
「よし、乾杯するか」
丁度飲み物が来たのでそれぞれが持ったのを確認してジョッキを掲げる。
「何に乾杯します?」
「そうだな…バレー部の今後と、改めて全国大会お疲れ様って事で。乾杯」
「「「「かんぱーい!」」」」
ジョッキがガチャリと音を鳴らし、烏龍茶を口に含む。
「お待たせしました、ライス5つとお先に上タン塩5人前です」
「………この店、出来る…!」
「急にどうしたんですかコーチ…?」
最初に運ばれてきた品に、この店の厨房の方を見て戦慄する俺。
近藤がキョトンとして問い掛けてきた。
「焼き肉の定石として最初にタン塩、これを好む客が多い。それを考えて最初にタン塩を持ってきてくれる…この店、出来るぞ」
「あ、レモン掛けますねー」
「お願い聞いて」
冷静な俺の分析をスルーしてレモンを絞る近藤、君本当に冷静ね。
十分に熱された網の上に、先鋒の大定番、上タン塩を乗せる。
上タン塩、カルビ、ロース、そして希少部位、俺の完璧な布陣…正に西住流のような、真正面から相手を迎え撃ち、撃破する布陣。
「お待たせしました、カルビ5人前とロース5人前です」
「きたきたー!スパイク行くよ!」
な――――!?待て磯辺、早まるな!?
だが俺の手が伸びる前に、磯辺は上タン塩が並ぶ網に、カルビとロースを投入してしまう。
戦力の過剰投入…!圧倒的連携不足…!
「キャプテン、まだカルビとロースは早いですよ…」
「そう?でもじゃんじゃん焼かないとテーブル一杯になっちゃうし」
河西が諌めるが、磯辺は合理的判断で肉を投入していく。
俺の理想的な肉焼き計画が…!まさかの味方の行動で序盤から破綻するとは…!
――――叢真さんって、イレギュラーに弱いですよね――――
何故か脳裏にみほちゃんの天使のような声で俺の弱点を突いてくる声が聞こえた。
そうね、そのイレギュラーに付け込んで突破するのがみほちゃん得意だもんね。
「はい、焼けましたよコーチ」
「ありがとう…」
近藤が焼けたタン塩をレモン汁の入った小皿に入れてくれる。
まぁいい、今は上タン塩だ、程よく焼けたプリプリの上タン塩を口に頬張る。
「……美味い!」
程よく柔らかくプリプリとしたタン塩が口の中で暴れる、これは良いタンを使っている。
やはり出来るな、この店…!
「ん~、上タン塩なんて久しぶり~」
「普段はタン塩も食べないもんね…はふはふ」
「キャプテン、焼いてばかり居ないで食べて下さい~」
「私、一口目はカルビって決めてるんだ」
なん…だと…?
ではカルビ・ロースの戦力過剰投入はワザと…?
磯辺、恐ろしい子…!
――――こんな格言を知っていて?長野さ…――――
今忙しいんでまた今度なダージリン。
「キャプテンはカルビ大好きですからね」
「……一口目は上タン塩、そんな俺の作戦は傲慢だったのか…不覚!」
「なんで焼き肉でそんな難しい事考えてるんですか、ほらどんどん食べましょう?」
「そうですよ~、ほら、カルビ焼けましたよ、あ~ん」
「ちょ、佐々木それ私が育ててたカルビ!?」
タレに付けたカルビを対面から差し出してくる佐々木。
いや、俺は最初に上タン塩で前方平原を制圧し、その後でカルビによる浸透突破をだな…。
そうじゃない、その前に人前であ~んとか恥ずかし過ぎて無理だ、死ねる。
五十鈴さんにされた時も死にそうだったんだぞ、それなのにバレー部全員が居る前でなんて…!
「あ~ん♪」
「………あ、あ~ん…」
佐々木の笑顔には勝てなかったよ…。
口に入れて貰った熱々のカルビ、甘めのタレと合わさって程よい肉汁が口の中を蹂躙する。
ただのカルビでこの味…やはりこの店、出来る…!
……五十鈴さんので耐性が出来たかな、味が分かる。
「む……はいコーチ、まだ上タン塩残ってますよ、あ~ん」
「こ、近藤…?」
「……骨付きカルビで…いえ、ダメね、骨が邪魔だわ…ここはロースで…」
「コーチ、私が焼いて育てたロースです、どうぞ!」
「あ、キャプテンズルい!」
近藤から上タン塩、磯辺からはロースが差し出される。
待ってくれ、俺には俺の考えた完璧な焼き肉制圧作戦があるんだ、それの順番を無視して食べたら折角の肉の味を味わう作戦の真意が…!
「あちち…はふはふ…」
「はい、ロースもどうぞ!」
近藤の笑顔の圧力と、磯辺の純真無垢な好意には勝てなかったよ…。
と言うかそんな次々に口に入れられたら火傷するわ!
「お待たせしました、ハラミ2人前と骨付きカルビ2人前です」
「骨付きカルビ来た、これで…!」
あぁ、河西が上タン塩を焼いていた場所に骨付きカルビを投入してしまった…!
もう上タン塩を焼けるスペースが近藤と佐々木の前しかない…!
「ハラミも焼いちゃいますねー」
が…!ダメ…!
近藤が上タン塩を退かし、ハラミを焼き始めてしまう。
なんて事だ…俺の布陣がこうもあっさり崩壊するだなんて…。
アヒルさんチーム…流石は撹乱陽動の要、見事な腕前だ…。
「心配しなくても、網を交換して貰えばいいじゃないですか~」
そうなんだけど、そうなんだけどね佐々木!
こう、流れというものがあってね!
「お待たせしました、わかめスープ2つ、カルビスープ、卵スープになります」
待っていたぞわかめスープ!
これで口の中を一度リセットし、再び上タン塩・カルビロース連合、希少部位と攻略する事が出来る!。
あっさりとしたわかめスープ、たっぷりのわかめがありがたい。
「コーチ!骨付きカルビです、どうぞ!」
が…!ダメ…!パートツー…!
河西が焼き上がった骨付きカルビを差し出してくる…そんな、河西…信じていたのにお前まで…!?
「あち、あちち…骨があつぅい…!」
「す、すみませんコーチ!」
たたでさえ骨付きカルビってデカいのに…!
濃厚なカルビの肉汁で再び口の中が蹂躙された…まるでヤークトティーガーに進撃された気分だ。
「コーチ、ご飯どうします?私おかわり頼むんですけど」
「行こうじゃないか」
まだだ、まだ終わらんよ…!
少なくなったご飯を補充し、もう一度戦線の立て直しを…!
「ハラミもっと食べますよね、追加で2人前」
「イチボとかザブトンとかありますね、どんな味なんでしょう」
「そろそろホルモン行きましょうか~」
「すみません、牛テールスープ追加で!」
………ムリダナ。
攻略作戦を放棄して、もう目の前の肉を食べる事に集中する事にした。
一人焼肉の時にしよう、そうしよう…。
「コーチって、食事の時本当に美味しそうに食べますよね」
「……なんか、他の人にも言われたが、そんなに目立つか俺?」
「はい、見てるこっちが幸せになりそうな位美味しそうに食べますから、こう…ついつい手が出ちゃうんですよね、あ~ん」
そんな理由であ~んされてたの俺!?
「分かります~、もぐもぐ食べるのが凄く可愛いんですよねコーチ」
「和みます」
「凄く可愛いですよコーチ!」
ヤメテ!俺に変な属性を追加しないで!?
だが俺の願い虚しく、その後も近藤と佐々木を中心としたあーん攻撃は止むことはなかった。
ハハ、もう恥ずかしいなんて思わなくなったぞぉ…ハハ…。
追加された肉や希少部位をどんどん食べる。
うおォン、俺はまるで人間火力発電所だ!
「ご馳走様でした、コーチ!」
「「「ご馳走様でした!」」」
支払いを済ませて店を出ると、磯辺を先頭に感謝の言葉を叫ぶアヒルさんチーム。
「この位なら安いもんだ。さて、もう遅いし全員送っていくよ」
「ありがとうございます!それじゃお言葉に甘えて…!」
「行きましょうコーチ!」
「お腹いっぱい、明日からの練習も頑張れるわ」
「そうだね~、またコーチと一緒に来ようねー」
俺の右手を磯辺が、左腕には近藤が。
……あの、なんで手を握ったり腕を組んだり…?
「良いじゃないですか、冷泉先輩なんて毎日おんぶして貰って登校してるんですよね?」
「コーチとの触れ合いも大切な練習ですよ~」
なんの練習。
「えへへ、根性ですよコーチ!」
「そうですよ、コーチ」
「まるで意味が分からんぞ…」
いや、アッサムさんとかノンナさんで慣れてるから別に良いけど…。
いや良くないな、こんな姿学園の男子に見られたらまた嫉妬団が…。
だが楽しそうな磯辺と幸せそうな近藤を振り解くのは…良心が痛む。
あ、でもちょっと近藤からは腕を離す、大変立派なものが二の腕に当たるので。
「む…えいっ」
「ちょ」
少し距離を置いたのに気付かれて余計にしがみつかれた。
止めてくれ、それは俺に効く。
「いいなぁ、キャプテ~ン、もう少ししたら交代ですからね~」
「分かってる分かってる」
「え…交代制…?」
「コーチの腕は2本、私達は4人ですからね」
近藤の無慈悲な肯定。
この後滅茶苦茶腕を組まれた。
「叢真さん…バレー部の皆さんを取っ替え引っ替えしていたって噂が…」
「誤解だみほちゃん!?お願いハイライト消さないで怖い!」
(主人公の)サービスシーンと、焼き肉に対しての面倒臭い面をお送りしました(´・ω・`)
誰得?(´・ω・`)
んー、らんらん得かな(´・ω・`)