ガルパン日和   作:アセルヤバイジャン

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みなさんお待ちかねのあの人が登場です(´・ω・`)





アン…ツィオ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼を最初に見たのは、娘達が参加した戦車道卓上演習大会。

 

母親らしき女性に手を引かれ、興味深げに周囲を見渡していた恐ろしく整った容姿をした少年。

 

特別珍しい訳ではなかった、思春期前の男女の感覚の隔絶が無い状態だと男子でも戦車道に興味を示す。

 

そんな子が偶に大会に参加してくるので、注目はされるが物珍しさが大半だ。

 

年齢が上がれば自然と戦車道から離れるか、応援する側に回るか。

 

彼もその内そうなると、最初は思っていた。

 

ただの興味本位の参加、または親の意向による記念参加。

 

そう思っていた周囲の予想を、彼は覆した。

 

初参加で幼年部優勝。

 

様々な流派や名家の子女が参加している中、子供とは思えない実力で優勝した。

 

偶然では、偶々だ、そんな大人たちの声を他所に、彼はその後も優勝を続けた。

 

何処かの流派に属している訳でもなく、名家の生まれでもない。

 

母親が戦車道の元選手で、祖父が自衛隊員、その程度しか戦車道に関わっていない。

 

その母親も、選手としては優秀だったかもしれないが、指導者としては決して優秀とは言えない。

 

なのに彼は、他を寄せ付けない強さで優勝を重ねた。

 

あまりに実力が隔絶している為、彼は特別措置として上の部に参加する事になった。

 

悔しい話だが、自慢の娘達も彼には勝てなかった。

 

年上ばかりの部でも彼の快進撃は止まらなかった。

 

遂には大人の部に参加する様になり、大人の、それも国際強化選手にまで勝利してしまった。

 

こうなると周りも彼を放っておかない。

 

元々容姿端麗で礼儀正しい彼は、連盟の思惑も後押しし、あっと言う間に戦車道のアイドルと化していた。

 

戦車道があまり男性に縁がない武道であり、物珍しさも合わさってその人気は下手な国際強化選手よりも上になった。

 

変幻自在な戦術、型に囚われない作戦、西住流とは真逆の存在。

 

それ故私は、彼を娘達の最大の敵として認識していた。

 

公式大会前人未到の20連覇を成し遂げた彼、中学生になり初めてみた時から随分大人になっていた。

 

だが私の娘達も負けていない、彼に苦戦を強いる事が出来るまでに成長した。

 

今は無理でもいずれ…そう思っていたある時、彼が戦車道の実戦試合に参加すると耳にした。

 

今までどれだけ期待されても卓上演習から出てくる事がなかった彼が、何故今になって…。

 

そう思って調べてみたら、なんとも下らない理由が原因だった。

 

彼に負けた大会参加者の数人が発起人となり、それぞれの伝手を使って強引に署名を集め、連盟に直談判して無理矢理彼を実戦に引きずり出した。

 

その理由が、実戦なら負けない、負かして恥をかかせてやるという、戦車道選手としてあまりにも情けない理由。

 

彼は確かに天才的な指揮官だが、卓上演習でしか腕を磨いていないのだ。

 

戦車に乗った経験すら無い。

 

そんな素人同然の子供を無理矢理引き摺り出して戦わせる?

 

大人の、真っ当な戦車道選手のやる事ではない。

 

戦車道全体の恥になる、だが発起人達も署名を行った者達も西住流とは縁のない者達。

 

私の権限では止めることが出来なかった。

 

如何に卓上演習で優れていても、実戦、しかも殆ど練習すら出来ないぶっつけ本番で高校生を率いての試合。

 

しかも率いる学校は、プラウダは兎も角、貧乏で有名な継続と戦車道が衰退してしまったアンツィオ。

 

とてもまともな勝負にはならない、誰もがそう思った。

 

卑劣にも程がある、弱小校ばかり、練習期間も無い、指揮訓練の時間も無い、不利な条件ばかりを彼に押し付けた。

 

これで勝っても誰が評価すると言うのか、下らない自尊心を慰める為の愚劣な行為。

 

観戦する人々の大半が彼への同情を募らせる中、彼はまたも予想を覆した。

 

防御戦術を得意とするマジノ女学院、伝統に倣って指揮するOG。

 

その防御陣を、1枚1枚丁寧に引き剥がす様に局地戦を仕掛ける継続高校。

 

巧みな戦術で、まるで森が襲ってくるかのようにマジノ女学院側の戦車が1両、また1両と消えていく。

 

追い詰められた指揮官は追い立てられる様に山間部へ。

 

ここでも局地戦を仕掛けられ、次々に戦力が減っていく。

 

継続高校の優れた操縦技術、崖に重戦車を誘い込み、崖から転落させた技量は見事だった。

 

瞬時にそれを指揮した彼、それを可能にさせた継続の技量、継続高校が貧乏で無ければもっと一方的な試合になっていただろう。

 

そして護衛の車両だけになった指揮官。

 

次はどんな手を…そんな観衆の度肝を抜く大胆過ぎる戦法。

 

マジノ女学院が追い詰められた場所の後ろにある崖を意図的に崩し、一網打尽にしてしまった。

 

狙って山を崩すという手腕、それを実行に移せる胆力。

 

結局彼が乗ったフラッグ車は一度もマジノ女学院側に姿を見せる事無く、試合は終了した。

 

試合後、彼は連盟に注意されていた、崖を大規模に崩すという被害規模が大き過ぎる戦法を取ったのが理由。

 

だがそれに対して、彼は「禁止されてなかった、勝つために必要だった」と平然としていた。

 

嘘だ、彼なら他にいくらでも方法を思いついただろうし、あの時点でマジノ女学院側は虫の息だった。

 

では何故わざわざ崖を崩すなんて方法を取ったか。

 

彼なりの報復だったのだろう、無礼には無礼で、セオリーや暗黙の了解を一切無視して確実に、大胆に、相手に恐怖を与える方法を選んだ。

 

彼に、魔王の名前が付いた瞬間だった。

 

続く聖グロリアーナ戦、彼が率いるのは弱小校であり戦車道履修者が激減してギリギリ4両、それもセモヴェンテ2両にCV33が2両という目を覆いたくなる戦力しかないアンツィオ。

 

対する聖グロリアーナはチャーチルとマチルダⅡという鉄壁の布陣。

 

聖グロリアーナ側の指揮官が慢心か自信なのか判断が付かないが、同数で勝負すると言い出し、少数での戦いになった。

 

試合は終始、フラッグ車のCV33がチャーチルとマチルダⅡに追い回されるという展開。

 

セモヴェンテやCV33は散発的な攻撃をするだけで、反撃されると直ぐに逃げてしまう。

 

やはりアンツィオの戦車と選手では駄目か、観衆の誰もがそう思っていた時だった。

 

逃げ回っていたCV33が止まり、彼が姿を現した。

 

乗員が身を乗り出している時は極力狙わない、そんな戦車道の暗黙の了解を逆手に取った苦し紛れの抵抗かと思ったが、違った。

 

勝利を確信したが故の、行動だった。

 

隠れていたセモヴェンテが道に隣接するホテルの最後の柱を破壊し、建物が隊列を組んで進軍してきたチャーチルとマチルダⅡに襲いかかった。

 

回避など不可能なタイミング、瓦礫に埋もれる聖グロリアーナの戦車達。

 

たった1手で相手を全滅させた彼。

 

試合後、また彼は連盟に注意された、崖崩しほどではないがやはり被害が大きい。

 

生き埋めにされる選手の精神的ダメージを考慮し、急遽崖崩しビル崩しの禁止が大会規定に追加された。

 

それに対して、彼は平然としていた。

 

他にやり方はいくらでもあると言う事なのだろう。

 

サンダース戦では、彼は強豪校であるプラウダを率いた。

 

また局地戦や奇抜な作戦で戦うのかと思っていた観衆の期待を裏切る彼。

 

今度は正面から、圧倒的戦力と連携でサンダースを磨り潰していった。

 

その戦い方は、継続でのコソコソとした物でもなく、アンツィオの博打勝負でもなく、堂々とした王者の戦い方だった。

 

「驚いたわね…彼があそこまで堂々と戦うなんて」

 

「はい…まるで西住流のようです…」

 

観戦に連れてきたまほは驚きながら自分達のようだと評した。

 

みほは…手に汗握って彼の応援をしている。

 

継続、アンツィオでは圧倒的に劣る戦力故に局地戦と奇抜な作戦に終始しただけで、プラウダのような充実した戦力があれば西住流と同じ戦い方が出来る。

 

変幻自在な作戦立案力…型に嵌らない行動力。

 

考えてみれば当然である、彼は卓上演習だけで満足していたのだ。

 

実戦を知らない、故にセオリーや暗黙の了解を知らない。

 

知っていても無視する、相手に情けをかける必要がないから、一切の手加減を行わない。

 

「……面白いわね」

 

「お母様…?」

 

彼が、正式にどこかの流派を習ったら。

 

足りない経験や知識を補い、正道の戦い方を教える。

 

そうすれば、彼は王者として完成するだろう。

 

今のままでは駄目だ、無法と暴力を振り撒く魔王になってしまう。

 

今も逃げるフラッグ車を、執拗に駆り立てて追い詰めている。

 

嬲り殺しにも見える、あれもワザとやっているのだろう。

 

今のままではいけない、あれでは戦車道という道を壊してしまう、破壊者になってしまう。

 

彼に道を、王者としての道を教えなければ…。

 

今回の1件で彼に注目する流派や名家が増えるだろう。

 

下手な所に取り込まれたら西住流を脅かす存在になり得る。

 

特に彼の戦法に似ている島田流…あそこに渡すのだけは阻止しないとならない。

 

あの親馬鹿な島田流が娘を差し出すとは思えないが…方法はいくらでもある。

 

そう、方法はいくらでも……。

 

彼の母親は黒森峰のOG、伝手はある。

 

取り込む事が出来なくても、縁を結んでおいて損はない。

 

まほが丁度いい、彼の事を好意的に見ているし、私の後の後継者としての資格も才覚も十分。

 

彼と結ばれれば、西住流を繁栄させ、彼に正道を教える事が出来る。

 

顔も頭も性格も合格――家柄だけがネックだが、西住流は他の名家と違って実力主義、拘らないので問題ない。

 

娘の幸せを勝手に決めるようで心苦しいが…お見合いして駄目なら他の方法を考えましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、まさか彼の母親が手当たり次第にお見合いの話を受けて、息子自慢をする親馬鹿だとは知る由もない西住しほ。

 

彼女の最大の懸念だった島田流まで彼にお見合いを申し込んでそこそこいい関係を結んでしまった事を知ると、頭を抱えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンツィオ?知らない子ですねの場合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サンダースの学園艦をケイさん達に見送られて旅立った俺は、熊本県熊本市に来ていた。

 

…………なんでだ。

 

次の目的地はアンツィオなんだけど、なんで俺はみほちゃん達の実家に居るんだ。

 

「そんなに緊張しなくても大丈夫よ、どっしり構えてなさい」

 

そう言って笑う蝶野教官。

 

うん、原因が居たね、隣に。

 

サンダースは長崎県佐世保市を母港とする学園艦である。

 

その為、サンダースが寄港したのに合わせて陸地行きの飛行機に乗った。

 

そして福岡空港で一度降りて、アンツィオに行くのに1番早い方法を探していたら、ぽんと肩を叩かれた。

 

振り向いたら笑顔の蝶野教官。

 

「こんな所で奇遇ね、ちょっとお姉さんに付き合わない?」

 

と言いながらずるずると引き摺られて熊本行きの飛行機に乗せられた。

 

俺に拒否権はなかった。

 

奇遇も何も、俺の行動予定は連盟に電話で伝えているので役員である教官は全部知っている。

 

わざわざ空港で待ち構えて俺をどこに連れて行くのかと思えば、西住流本家。

 

みほちゃんの実家である。

 

お見合いで来た時以来だが、相変わらず立派な家だ。

 

お手伝いさんに部屋に通され、家主を待つ俺と教官。

 

教官の隣にはお土産の地酒、俺も一応明太子を持ってきた、自分のお土産として空港で買った奴だけど。

 

なんで教官が西住流本家を訪れたかと思ったら、何でもしほさんが家元を襲名するそうで、そのお祝いを告げに来たと言う。

 

それになんで俺を付き合わせるのかが分からない。

 

まぁ…俺も一度、まほさんとの関係について話さないとと思っていたので丁度いいかな…。

 

しほさんの指示であんな肉食ポンコツ行動取ってるみたいだし、まほさん。

 

「待たせたわね」

 

襖を開けてしほさんが入ってくる。

 

相変わらずビシッとした人だ、何人かの家元や流派の師範とは会ったことがあるが、1番格好いいのはしほさんだな。

 

自分にも他人にも厳しい人で、その厳しさがみほちゃんを追い詰めた。

 

その事に思うことは色々あるが、家庭の事なので下手に口出し出来ない。

 

「この度は、家元襲名おめでとうございます」

 

「おめでとうございます」

 

「ありがとう、わざわざ来てもらって申し訳ないわね」

 

教官の言葉に続いて頭を下げる。

 

暫く教官としほさんの会話を黙って聞いていたら、話が終わったのかこちらに顔を向けてきた。

 

「長野君もわざわざありがとう、戦車道視察の最中だったのでしょう」

 

「いえ、期限は設けられてませんから」

 

大雑把な期限、いついつまでに着て下さい、来る際は連絡をお願いしますとしか言われてない。

 

その期日もかなり先に設定されているので急ぐ事はない。

 

「まほが、やっと黒森峰に来てもらえると喜んでいたわ。いい関係が続いている様で安心しました」

 

「あの、その事なんですけど…自分とまほさんが婚約者って、どこから出てきたんですか」

 

俺の記憶が確かなら、俺とまほさんはお見合いをしただけで婚約者でも許嫁でもない。

 

なのにまほさんはすっかり婚約者気分であり、これには俺も困っている。

 

自称許嫁のあの子よりはマシなんだけど…。

 

俺の母にも一応確認したが、知らないと言われたし。

 

「…?お見合いも成功したのだし、婚約者で間違ってないのでは?」

 

すっごい不思議そうな顔をされた。

 

「い、いえ、お見合いの結果はひとまず保留的なニュアンスだったかと…」

 

「そうだったかしら。まほが乗り気だから良かれと思って婚約者としたのだけれど」

 

乗り気だったのかまほさん…。

 

「あの、一応俺の意思という物もありまして…」

 

「まほに何か問題でも?」

 

キッと睨まれた、やだ怖い。

 

「い、いえ、まほさんに文句なんて無いんですが…」

 

「そうでしょう、まほは西住流後継者として立派に育っています、どこに出しても恥ずかしくない自慢の娘です」

 

面倒臭いなこの人…親馬鹿が滲み出してるぞ…。

 

横を盗み見ると教官が楽しそうに笑ってるし。

 

「ただその、自分自身が婚約者とか、そもそも結婚とかまだ考えられないんです。まほさんの気持ちは嬉しいんですが、自分のこんな気持ちではまほさんに失礼かと思って…」

 

「そうですか…ですが長野君、貴方はもう少し自分の立場という物を考えた方が良いわ」

 

「立場…?」

 

立場と言われても…俺はただの学生だ。

 

名家の生まれでもなければ、何処かの流派の人間という訳でもない。

 

「貴方は、戦車道卓上演習で前人未到の記録を打ち立て、さらに実戦試合でも大会規定が改定される程の戦果と結果を残した。その才覚と美貌を、他の流派や名家が放っておく事はないわ」

 

えぇ…放って置いて欲しいんですけど…。

 

「貴方が傷害事件に巻き込まれ、戦車道から身を引いた事で一時沈静化したけれど、今でも貴方を狙う流派や名家は多いのよ。それは西住流でも同じ、貴方を手に入れ身内にしたいと考えているわ」

 

家柄の為、名声の為、そして次に生まれる子に期待する為に、俺が欲しいって事か…。

 

その為に娘を差し出しても構わないと…。

 

今までお見合いをした子達を思い出す、どの子も家の期待を背負っているからか、積極的に俺に気に入られようとしていた。

 

それに、俺はただただ困惑していた。

 

恋や愛、恋愛経験が無いので偉そうな事は言えないが、女の子としてそれで良いのかと思ってしまう。

 

だが、家の期待に応えようと努力する彼女達を否定する事は出来ない。

 

「とは言え、私も人の親…まほが嫌だと言うなら無理強いをするつもりはないわ。そんな状態で交際を続けても双方の破滅しか待っていないですからね」

 

まほさんが嫌だと……言うのだろうか、西住流を守り、西住流であろうとする彼女が、西住流の為になる事を拒否するのだろうか。

 

こればかりは本人に聞かないと分からないな…。

 

「では、もしまほさんが本心では嫌だと、少しでも俺との婚約者である事に拒否感があるならこの話は無かった事にして貰えるんですね?」

 

「そうですね、まほがもしそう言うのなら考え直しましょう。無いと思いますが」

 

いや分からない、本当は嫌だが母の言うことだからと従い、無理しているからあんなポンコツな行動を取ってしまった可能性が高い。

 

嫌われている…とは思いたくないが、婚約者である事に拒否感を持っていないとは言えないからな。

 

黒森峰に行った際にちゃんと話をしよう、全てはまほさんの本心を聞かないと始まらない。

 

「まぁ…まほが駄目ならみほに任せるだけですが」

 

「ちょ」

 

なんでそうなるんですか。

 

だいたい、みほちゃんを放っておいて今更そんな事させるなんて虫が良すぎる。

 

「聞く所によると、貴方はみほと非常に仲が良いそうね…」

 

鋭い瞳で射抜かれる。

 

誰がそんな事を…と視線を横に向けると、蝶野教官が顔ごと視線を逸した。

 

犯人は貴女ですか!

 

「一度は勘当を考えた娘ですが、自分の戦車道を見つけ胸を張るあの子はもう西住流を汚す存在ではない。貴方の相手としてはみほでも問題ないでしょう」

 

「い、いえ、みほちゃんとは別にそんな…」

 

「ではみほとは遊びだったと?」

 

「違います違いますッ」

 

なんでそうなるんですか、勘当まで考えてたのにやっぱり娘が可愛いんじゃないですか親馬鹿じゃないですか。

 

「まさか…まほとみほ、両方をだなんて考えてるんじゃないでしょうね?」

 

「駄目よ長野くん、二股は良くないわ」

 

「考えてませんよ!?」

 

なんでここぞとばかりに口を挟んでくるんですか教官、味方が、味方が居ない…!

 

「確かにまほもみほも可愛い子よ、どこに出しても恥ずかしくないわ。英雄色を好むとも言いますし、貴方は若い、欲望が暴走してしまう事もあるでしょう…けれど、姉妹揃ってなんて駄目よお母さん許しません」

 

「だから考えてませんって!」

 

この人もうただの親馬鹿じゃないか!

 

本音ダダ漏れだよ!

 

「丁度いいです、貴方が無差別にお見合いを受けていた事も含めて話し合いましょうか。時間はたっぷりありますから」

 

「師範、丁度良い物がありますよ、お土産の地酒です」

 

なんか恐ろしいことを言い出すしほさんと地酒を差し出す教官。

 

教官ただ飲みたいだけでしょう!?あとお見合いを受けてたのは母であって俺の意思じゃありませんからね!?

 

「良いわね、私も秘蔵のお酒を出すとしましょう…長野君、今夜は泊まっていきなさい、いいですね?」

 

拒否権無いのに聞くとか鬼ですか貴女は…。

 

みほちゃん、みほちゃん助けて、この際まほさんでも良い、誰かタスケテ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンツィオの訪問は一応無事終了した。

 

カルパッチョは強敵。

 

アンチョビは可愛い。

 

ペパロニはマジ天使。

 

以上。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チョビ…何か悪いことしたかな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




大人気のしぽりん登場です(´・ω・`)


え、誰も待ってない?(´・ω・`)



そんなー(´・ω・`)

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