らんらんが食べたいから(´・ω・`)
ぐぎゅるるるるるるるる(´・ω・`)
「また負けたにゃー…」
「強すぎぴよ…」
「絶対パラメーター設定ミスってるナリ、そうじゃないとおかしいモモ!」
今日も今日とて戦車道の授業後にゲームに興じるアリクイさんチーム。
だが今日は珍しく負けているのか、落ち込んでいたり憤怒していたりしている。
「どーしたの?」
「磯辺さん…ちょっとゲームのアップデートで追加されたボスが倒せなくて…」
そこへ、バレーボールを手にして現れたのはアヒルさんチームの磯辺。
その後ろには、やはりバレーボールを持った近藤達の姿がある。
「磯辺さん達は…バレーの練習じゃなかったの…?」
「それが、バスケ部の練習が長引いてて体育館が使えなくて」
ねこにゃーの問い掛けに、残念そうに答える磯辺。
彼女達はバレー部が廃部になっている為、部活として体育館が使えない。
その為、他の体育館使用の部活が終わるまで待たないといけない。
普段は戦車道の練習があるので、それが終わると丁度体育館が空くのだが、今日は空いていなかったらしい。
「それで、倉庫前で練習しようと思って」
「練習しないって選択肢がない辺り、筋金入りぴよ」
練習しないなんて選択肢、バレー部には存在しない。
これにはぴよたんも苦笑するしかない。
「また負けたモモ!難易度設定狂ってるよこれ!」
「ももがーちゃんが負けるなんてそんなに強いボスなの?」
ももがーが嘆くので、近藤が気になって画面を覗き込む。
「………ん~?これ…コーチに似てません?」
「どれどれ?」
「あ~、確かにコーチに似てるね~」
河西と佐々木も画面を覗き込む、その画面にはYOU LOSEと表示され、その後ろには軍服を肩に羽織り、マントの様に靡かせる黒髪長髪の美丈夫のイラスト。
髪型は違うが、その顔立ちは彼女達がよく知る人物にそっくりだった。
「そのキャラ、長野さんナリよ」
「「「えー!?」」」
ももがーの言葉に、驚いて画面をよく見る3人。
凶悪な顔つきをしているが、叢真によく似ているキャラのイラスト。
「?どういう事?」
ゲームとかさっぱりな磯辺がねこにゃーに問い掛けると、ねこにゃーが自分のゲーム機を操作して違う画面を表示させる。
「昨日から配信された、戦車道全国大会優秀選手コラボイベントなんだけど…それに隠しボスとして長野さんが追加されたんだにゃー…」
「……確かに似てるけど、コーチこんなに悪人面してたっけ…」
イベントミッション選択画面に映る叢真のイラストは、牙を剥き出しにして笑う凶悪な表情。
おまけに長髪になっていて、豪華な軍服を着ている。
「それはゲーム会社がアレンジしたイラストぴよ、長野くんの戦歴や逸話を元にした、架空の姿だっちゃ」
「それでなんでこんな禍々しいイメージになるんですか…」
確かに練習の時とかは厳しいが、基本的に温和で純朴な雰囲気の叢真からは想像が出来ない姿に、近藤がツッコむ。
アヒルさんチームは叢真の昔を知らないので、イラストからは想像出来ないのだろう。
「このゲームの特徴で、ちょっと印象を盛るんだモモ。だからほら、西住隊長とかこんなイラストになってるナリ」
そう言って画面の選択ミッションを変えると、磯辺達も愛用しているパンツァージャケットを身に纏った女の子のイラストが表示される。
「え、これ西住隊長!?」
「うわー、凛々しすぎてなんか…」
「普段の西住隊長を知っているから、違和感が凄いね…」
イラストのみほに驚く磯辺と、ちょっと引く近藤と河西。
そのイラストのみほは、右手でどこかを指差しながら左手で咽頭マイクを押さえ、キューポラの上に仁王立ちをしている姿。
表情が凛々しすぎて、一瞬誰?となる。
「こっちは隊長のお姉さんだにゃー」
「こっちは…うん、なんかイメージ通りだね…」
磯辺の感想、まほのイラストはキューポラから上半身を出して、右手で咽頭マイクを押さえ、左手をこちらに向かって伸ばしているイラストなのだが、その顔半分が影に覆われ、目が赤く光って残光が出ている。
凄く恐ろしいイラストに仕上がっているのだが、まほの事をよく知らない、黒森峰戦での対戦でしか印象が無い磯辺はまほのイメージ通りだと感じた模様。
「覇王西住まほ、軍神西住みほ、そしてこの2人を倒すと出てくるのが、魔王長野叢真だにゃー」
「何その物騒な二つ名…」
ねこにゃーの言葉に、顔を引くつかせる磯辺。
「ネットで有名な二つ名ぴよ、常勝軍団黒森峰を率いる覇王西住まほ、無名校を優勝まで導いた軍神西住みほ、そして数々の記録と伝説を残した魔王長野叢真」
「そんな人達が敵として実装されたから今ゲームはお祭り騒ぎモモ」
「へ、へー…凄いんだね…」
ゲームとか詳しくない磯辺は、ちょっと引き気味に笑うしかない。
「ゲームが配信された時からやってるコラボイベントだけど、今回は過去最高難度って評判だにゃー」
「普通、1日経てば全クリする人が出てくるけど、今回はまだ誰もクリアしたって報告が無いぴよ」
「ただでさえ覇王まほと軍神みほが強いのに、その後に魔王叢真が控えてるから攻略組も苦戦してるナリ。ネットじゃ公式チート、公式バグとか言われる位に理不尽な強さに設定されてるし」
「それ、ゲームとして成立してるんですか…?」
アリクイさんチーム3人の感想に、至極真っ当な事をツッコむ近藤。
そんな超難易度じゃコラボイベントとして成立しないのでは…とゲームは詳しくないが思うバレー部。
「普通にクリアするだけなら難易度を落とせばいいんだにゃー。でも、最高難易度でクリアしないと手に入らないパーツや戦車があるんだ…」
「ゲーマーとして、コレクターとして見逃せないぴよ!」
「特に魔王叢真を倒すと、超性能の戦車が手に入るって公式でアナウンスされてるモモ、逃せないナリ!」
「なるほど~、クリアだけなら下の難易度で、アイテムが欲しい人は高難易度に挑戦って形なんですね~」
納得する佐々木、クリア称号やアイテムは低難易度でも手に入るが、最高難易度ではそれぞれのキャラに由来した戦車やパーツが手に入る。
「ほ、ほら、これなんて軍神みほを倒すと手に入るんだけど…大洗仕様のⅣ号戦車…」
「おー、本当だ、あんこうチームのⅣ号だ」
「いいなー、ウチの八九式も入れて欲しかったなぁ…」
「八九式は流石に…」
「普通のは実装されてるけど使うのは本当に趣味の人か舐めプの人位モモ…」
画面に映る大洗仕様のⅣ号に声を上げる磯辺と、羨ましそうに感想を口にする近藤。
ゲームでもその性能は残念なのか、ぴよたんとももがーが冷や汗を流す。
因みに覇王まほを倒すとマウスかまほ仕様ティーガーが手に入る。
軍神みほを倒すと大洗仕様のⅣ号、他のⅣ号に比べてやたら旋回性能が高くてドリフトする上に、異様に砲撃精度が高い軍神仕様である。
Ⅳ号の他にポルシェティーガーレオポンカスタムも実装されており、ポルシェティーガーの癖に異様に足回りが良くて手に入れたプレイヤーからは「こんなのポルシェティーガーじゃない、見た目の違うティーガーⅠだよ!」と盛大に突っ込まれている。
「あ!最速攻略掲示板にクリアした人の報告が上がってるぴよ!」
「おぉ!遂にクリアした人が!」
「悔しいモモ、先を越されたー!」
携帯で確認していたぴよたんの言葉に、興奮するねこにゃーと悔しそうなももがー。
その熱狂ぶりにアヒルさんチームはちょっと引き気味である。
「ふむふむ、クリアすると異様にステルス性能が高いBT-42、異常に速度と旋回速度が速いCV33、設定ミスを疑う程に命中精度の高いKV-2が確認されてるみたいぴよ」
「どれもこれもコラボ景品だけあって突飛な性能だにゃー…」
「流石コラボラスボス、なんとしても手に入れないと…コレクターの血が騒ぐモモ!」
「あの車体と車高でステルス性能が高いBT-42…?」
「確かにアンツィオのCV33は凄い旋回性能してましたけど…」
「命中精度が高いカーベーとか反則じゃないかな…」
「流石ゲームですね~」
確認された情報を読み上げるぴよたん、その情報にときめくねこにゃーと、ゲーマー魂が刺激されているももがー。
みほと優花里による戦車勉強会でそこそこ戦車に詳しくなった磯辺や近藤、河西はその異様な性能設定に冷や汗。
佐々木だけはのほほんと笑っているが。
因みにこれらの景品、全て魔王全盛期の叢真の伝説から設定された物である。
一度も相手に発見されずに終わった継続指揮時の搭乗車両であるBT-42、チャーチルとマチルダⅡの合計4両を挑発しながら一度も被弾せずに逃げ切ったCV33、密集するシャーマン相手にピンポイントで砲弾を撃ち込んで吹っ飛ばすわ橋を渡るファイアフライごと橋を吹っ飛ばすわと異様な命中精度を発揮したKV-2。
本当に凄いのは叢真の指示通りに車両を動かした当時の高校生達なのだが。
まぁ佐々木が言う通り、そこはゲームという事で。
「よーし、頑張ってクリアするにゃー!」
「先駆者が出たんだからクリア出来るってことぴよ!」
「がんばるナリ!」
気合を入れてゲームを始める3人に、頑張って下さいと苦笑する近藤達。
「よーし、私達もアリクイさんチームに負けないように根性だよ!」
「「「はい!」」」
よく分からないが触発されたのか、バレーボールを片手にいつもの根性を口にする磯辺。
それに唱和し、戦車倉庫の外で練習を開始するバレー部だった。
「へー、みぽりんゲームに出るんだ」
「うん、連盟とゲーム会社から依頼されて…恥ずかしかったけど、お姉ちゃんと叢真さんも出るって言うから…」
「いいなー、私もゲームに登場したいな~。そしたら全国のゲーマーから人気になっちゃったりして~!」
「通信手が出れる訳無いだろ」
「麻子ってばひどーい!」
「あはは…」
「…………」
「隊長?どうしました?」
「エリカ……私はこういうイメージなんだろうか…」
「え…こ、これは、いわゆる漫画的表現なだけで、別に隊長がこう見られてる訳ではないと…!」
「だと良いんだが…しかし叢真の画像、禍々し過ぎないか、叢真はもっと純朴で少年のような愛らしさがあるんだぞ」
「は、はぁ、そうなんですか…」
継続がけいぞく中(どやぁ
「や、やっと着いた…」
プラウダを出てから2日、やっと継続高校の学園艦に到着した。
「やれやれ、少々時間がかかってしまったね…」
「誰のせいだと思ってるんですか!」
主にカンテレ使いの胡散臭い人が駅とか港で立ち食い買い食いして代金を奢らせるわ、荷物置いてどっか行ったかと思えばカンテレ演奏しておひねり稼いでるわ、ラブが付くホテルに入ろうとするわ…。
お蔭で余計な時間がかかったわ!
「大丈夫?結婚する?」
「しないよ!全く…」
「心配しなくてもお金なら学校に着いたら払うさ…アキが」
「後輩に払わせるんじゃないよ!?」
「仕方ないじゃないか、私のお小遣いはアキが管理してるんだから」
うっそだろおい…アキちゃんに依存し過ぎだろこの人…。
連絡船…と言うより殆ど貨物船から降りて継続の学園艦に乗り込む。
観光客なんて殆ど来ないから、連絡船も物資搬入の仕事が大半なのだろう。
上部甲板まで登ってくると、継続のマークが書かれた車が丁度来て止まった。
「長野さん!いらっしゃいませ!」
「おっと、久しぶりアキちゃん。元気そうだね」
「はい!長野さんも元気そうで安心しました!」
輝く笑顔で俺に抱きついて来たのは、継続の良心にして癒やし、大天使アキエルならぬアキちゃん。
あぁ、思わず浄化される気分で癒やされる…。
「アキ、私には何もないのかな」
「あ、おかえりミカ」
「…………冷たくないかな」
「何も言わずにふらふらと出ていく人には当然の対応かなって思うんだ」
「ぷっ…」m9(^Д^)プギャー
「おや、急に唇が寂しくなってしまったよ、丁度いい所に美味しそうな唇があるね…」
「おい馬鹿やめろ止せ顔を近づけるな!?」
「もー!なにしてるのよミカ!」
つい煽ったら真顔で唇を狙ってきた、本当に俺からの煽り耐性が無いなこの人!
アキちゃんが俺から離れてミカさんを引き剥がしてくれる、流石アキちゃん頼りになる。
「おーっす!アニキ!」
「おっと、久しぶりだなミッコ」
背中に飛び込んできたのは、車の運転をしていたミッコ。
腕を回して頭をガシガシ撫でてやるとニシシと嬉しそうに笑う。
運転が絡まなければ良い子なんだよなぁこの子も…。
「なんかお土産ないの、お土産!」
「お前は親戚の子か…ちゃんと持ってきたよ」
「いえーい!」
俺の言葉に両手を上げて喜ぶミッコ、本当に親戚の子みたいで癒やされる。
「あの大量のダンボールがそう?」
「いや、アレはミカさんの成果。俺のは隣の発泡スチロールの方」
中身は鴨とカニである、石川県と言えばこれだろう。
「おー!鴨とカニだー!やったー!」
大はしゃぎのミッコ、継続は石川県が所在地だが、学校で食べられる訳じゃないからな…。
大洗だとあんこうは食べられるけど。
「えー!そんな高級食材買ってきてくれたんですか長野さん!?」
「俺が食べたかったのもあるから安心していいよアキちゃん」
割と本音である、途中で食べてきても良かったのだが、どこぞのカンテレ使いが目につくモノを片っ端から手を出すもんだからお腹が一杯で…。
2・3口食べると満足して残りを俺に押し付けてくるのだ、あのカンテレ使いは。
ちゃんと完食する五十鈴さんを見習えと言いたい。
「アキ、私もたくさん持ってきたよ」
「ふーん、そう、ありがとうミカ」
「………………」
「黙って居なくなるからそうなるんです、自業自得。拗ねて俺に擦り寄らないでくれます?」
背中で頭をグリグリしないで下さい、こそばゆい。
「ほら長野さんに迷惑かけてないで、荷物積み込んでよミカ」
アキちゃんに言われ、渋々荷物を車に積み始めるミカさん。
4人でテキパキと積込み、車に乗り込もうとしたら、トラックタイプなので3人しか座れない。
「俺が荷台に行こうか?」
「大丈夫です、ミカは真ん中座って、長野さんは助手席に」
運転はミッコ、言われるがままに座ると、アキちゃんが「失礼します」と言って俺の膝の上に。
「えへへ、重くないですか?」
「あぁ、軽い軽い」
「一度してみたかったんです!」
そう言ってニパーと笑うアキちゃん、癒やされる。
「アキ、そこは私の特等席だよ」
「違います」
「ミカじゃ重いし邪魔になるだけだよ、私くらいが丁度いいんだから」
確かにアキちゃんなら膝に座っても頭頂部が俺の顎位だから邪魔にならない。
ミカさんだと身長があるし、何よりカンテレを持ち込むので余計に邪魔である。
「…………」
「拗ねても乗せませんよ、乗せないから痛てててて抓るな!?」
拗ねて俺の太ももを抓ってきた、太ももは痛いんだぞ!?
「もー、長野さんに迷惑かけないの!」
「私と叢真は心でつながってるからね、こんな些細な事も気心が知れた友情が為せる事なんだよ」
「………気心?友情?」
「………………」
「冗談冗談嘘だからやめろ耳を舐めるな!?」
「ちょっとミカ!?」
「運転してるんだから静かにしててよ!邪魔!」
ミッコに怒られて全員黙る。
真面目に運転してる時にミッコは怒らせてはいけない。
学校に到着すると、車をそのまま戦車倉庫へ。
倉庫内では継続の戦車道履修者達が戦車の整備や練習に励んでいた。
「ただいまー、みんな、長野さんがお土産持ってきてくれたよー!」
アキちゃんの言葉に、歓声が上がる倉庫内。
俺の事を美味しいモノをお土産にしてくれる人、という認識が強い気がするのは気のせいか…。
「アキ、私もちゃんと食料を持ってきたんだけど」
「はいはい、それで何を持ってきてくれたの?」
車から荷物を降ろしながら中身を確認していくアキちゃん。
「なによこれぇ、調味料とかドレッシングとかばっかりじゃない」
「まぁ、賞味期限が近いモノってなったらそうなるよな…」
ダンボールの中身は、簡単調味料とか業務用調味料が殆ど。
一応ソーセージとか燻製製品もあったが。
「あ、よかった、小麦粉とかもある」
「こっちはお米入ってるよ!」
食材になりそうな物が入っていて安心するアキちゃんと、お米を発見して喜ぶミッコ。
はて、お米に賞味期限…?
「……………」
視線をミカさんに向けると明後日の方向を見ながらカンテレを奏でていた。
オイ。
「ふふ、大丈夫?子作りする?」
「するか馬鹿」
「………だんだん、私に対して遠慮が無くなってないかな」
「遠慮するとエスカレートすると学習したので」
「長野さん、ミカの言うことは聞き流していいですよ」
うん、基本的にそうしてるよ安心してアキちゃん。
「野菜とか無しかぁ、買ってこないとだなぁ」
「そうだねぇ…ねぇ、誰かお買い物行ってきてくれる?」
ミッコの言葉に頷いて、適当な子に声をかけるアキちゃん。
すると3人程がやってきて、アキちゃんが言う材料をメモして、お金を預かってその足で戦車に乗り込んで出ていく。
すっかり継続の保護者だなぁアキちゃん…。
本来その役目をやらないといけない人は…。
「人にはね、向き不向きがあるんだよ」
ならなんで隊長やってるの…。
「長野さんが鴨とカニとか多めに買ってきてくれて良かったよぉ…」
「そんな気がしたから奮発したけど無駄にならなくて良かった」
安堵するアキちゃんの頭を撫でながら苦笑する。
「お、お菓子の箱発見!」
「じゃぁ夕飯が出来るまでそれ摘んでてもらおう、ミッコ配って」
「りょうかいー!」
プラウダでよく売られている、売れ残りのお菓子。
こうした物でも彼女達にはご馳走なのだから健気だ。
お土産奮発して良かった。
かなりお金使ったけど、まぁ印税とか色々あってそこそこお金はあるので痛くはない。
母が俺の稼いだ金なのだからと、全部俺の口座に入れて、自分達では使わない。
賞金が出る大会なども参加してたので、そこそこ余裕がある。
でなければ飛行機チャーターして移動なんて事出来ない。
なおそんな俺よりお金持ちなのがサンダースの上流階級組である。
あと聖グロのお嬢様組。
「3人くらいお米研いでー、残りは椅子とテーブル借りてきて。お鍋とコンロは遠征用のを出してね!」
テキパキとアキちゃんが指示して、生徒達がそれぞれ散っていく。
なお本来それを行う筈の人物は、ミッコが配ったお菓子を食べながらカンテレをひいている。
それでいいのか継続隊長…。
買い出しに出た生徒が戻る頃には、戦車倉庫の一角にテーブルと椅子が並べられ、コンロと鍋がセットされる。
「丁度鍋の素が入ってたから使っちゃおう、ミッコ入れ過ぎないでね」
「りょうかーい」
プラウダから貰ってきた調味料の中に鍋の素が入っていたので、使い切ってしまう事にしたアキちゃん。
何種類か味があるのでそれぞれ好きな味の鍋をつついて貰うようだ。
手分けして野菜を切り、鴨とカニをそれぞれ分けてカニ鍋と鴨鍋を作る生徒達。
ご飯は飯盒で生徒達が手早く用意している、本当にサバイバル能力が高い。
秋山さん並の能力を持っているな。
それに引き換え隊長は…。
「私が本気を出すのは、明日の戦車指揮の時だからいいんだよ」
「本当に本気出すんでしょうね…」
この人が本気出してる所とか、全然見たこと無いんだけど…。
「安心して、私が本気を出すのは君を堕とす時だからね」
「永遠に出さないでいいです」
「ふふ、そう言われると逆に本気を出したくなってしまうね…」
「だから抱き着かないでやめろ首筋に吸い付くな痕が付く!」
「もー!長野さんで遊んでないでミカも手伝ってよ!ほらお皿並べて!」
アキちゃんに怒られて渋々お皿を並べるミカさん、これが継続の隊長である。
指揮官、戦術家としてはみほちゃん並に凄い人なんだけど…普段がこの調子だからなぁ。
まぁみほちゃんも戦車乗ってないとドジだしな…そこが可愛いんだけど。
ご飯ができあがり、鍋も良い感じに煮えた。
生徒達もそれぞれ好きな鍋の前に座り、号令を待つ。
「それじゃ、長野さんに感謝を込めて、いただきます!」
『いただきまーす!!』
アキちゃんの号令の元、元気に叫んで鍋をつつく生徒達。
普段食べられないカニや鴨に、嬉しそうだ。
「はい、長野さんの分」
「ありがとう、頂きます」
アキちゃんがよそってくれたお椀を受け取り、汁を1口。
鴨の出汁が出て美味い。
「カニの方も貰ってきたよー」
ミッコが他の鍋からカニや白身魚が入ったお椀を持ってきてくれた。
「ちょっと出費が痛いけど、折角長野さんが来てくれたんだし良いよね」
「ごめんなアキちゃん、余計な気を使わせたみたいで」
「うぅん、長野さんがこうして来てくれるだけで嬉しいから気にしないで!」
本当に良い子だ…大天使ミホエル・大天使ペパロニ・大天使アキエルの3天使が居る限り俺は生きていける。
小悪魔ダジリンから受けた傷が癒えていくようだ…。
「明日は私達の練習風景をお見せしますから、今日はゆっくりしていって下さいね!」
「ありがとう。ミッコ、ほら鴨肉食べな」
「ありがとアニキ!あむ!」
ガツガツとお椀の中身をかき込むミッコに、プリプリの鴨肉を差し出したら箸ごと食われた。
お椀に入れようとしたんだけど…まぁいいか。
「……あの、長野さん、私にも…」
それを見ていたアキちゃんが、俺の袖をちょいちょいと引っ張りながらもじもじとおねだり。
アキちゃんは可愛いなぁ…。
彼女みたいな娘が欲しいだけの人生だった。
「はい、どうぞ」
「あ~…あれ?」
「うん、美味しいよ叢真。君の愛を感じるね」
「………何してんの貴女」
「もー!邪魔しないでよミカぁ!」
鴨肉を差し出したら、途中で後ろから顔を出したミカさんに食われた。
ドヤ顔で咀嚼するミカさんを、アキちゃんがポカポカと叩く。
全くこの人は…。
鍋のシメの雑炊まで頂き、生徒達も満足そうだ。
大洗で鍋を食べたと聞いて、つい食べたくなって材料を買ったが、皆満足してくれたようで安心する。
「長野さん、サウナですけど汗を流してきて下さい」
「あぁ、そうさせてもらうよ」
継続に大浴場はない。
代わりに、学園艦のあちこちにサウナが設置されている。
サウナで汗を流して、併設されている水風呂で身体を洗うのが継続流だ。
因みに本当の継続流は、雪が降ってから出来る。
サウナで温まったら、積もった雪にダイブして転がるのが本当の継続流だと言う。
戦車倉庫から程近いが、少し離れた場所にあるサウナへ。
倉庫に近い方は戦車道の生徒達が使うので、俺は人が居ない方へ。
サウナの横に併設された脱衣所で脱いで、腰にタオルを巻いてサウナの中へ。
「あんまりサウナは得意じゃないんだけど…」
祖父が好きでよく付き合わされた、最低でも15分は入ってないと駄目だと言われて大変だったなぁ。
継続の生徒は1時間程度なら楽勝で入る、慣れって凄い。
ベンチ状の場所に座り、汗を流す。
これでお風呂があれば最高なんだけどなぁ…。
お風呂は学生寮などの建物じゃないと設置されていないから、我慢するしかない。
「下手に入って、生徒と鉢合わせしたらたまったもんじゃないしな…」
アンツィオみたいに。
あの時は本当に危なかった…。
大天使ペパロニに感謝だな。
「お邪魔ー!」
「おわっ!み、ミッコ!?」
寛いでいたらミッコが勢いよく入ってきた。
確りとタオルを巻いているが、予想外の乱入者に思わず足を閉じて両手で身体を隠す仕草をしてしまう。
「片付け終わったから汗流しに来たんだ、よいしょっと」
「お、おいおい、男が入ってるのに…」
「んー?大丈夫大丈夫、フィンランドじゃ男女一緒に入るのが当たり前なんだし!」
そう言ってケラケラ笑って俺の隣に座り、気持ち良さそうに背中を壁に預けるミッコ。
……まぁ、ミッコだし良いか。
親戚の子供みたいな感じだし、セーフだよなセーフ。
ミッコなら変な事はしてこないし。
「明日はアタシの操縦テクニックを存分に見せてやるから楽しみにしててくれよ、アニキー」
「あぁ、期待してる」
ミッコの操縦テクニックは、下手をすると冷泉さんを超えている。
特に悪路や狭い場所などでは冷泉さんを超えるだろう。
あと曲芸走行。
「あー、やっぱりここに居た。ミッコ、先に行くなんてズルいよ」
「あ、アキちゃん!?」
扉を開けて入ってきたのは、確りタオルを巻いたアキちゃん。
「お邪魔しますね長野さん。もう1個の方が満員で入れなかったので」
「あ、はい…」
笑顔で平然と入ってくるアキちゃん、満員なら仕方がない…いや、駄目だろ。
「えへへ、ミカが長野さんと一緒にサウナに入ったって聞いて、やってみたかったんですよねー」
「いや、あれは無理矢理押し入られてそのまま居座られただけで…」
決して同意ではない。
「わー、長野さん凄い筋肉、鍛えてるんですねー」
「アニキならあれ出来そうだよね、ほら腕にぶら下がる奴」
「出来るけど…今はやらないぞ、後でな後で」
ペタペタと俺の腕や肩を触ってくるアキちゃんとミッコ。
物珍しさからだろう、不埒な気持ちが一切感じられないので抵抗感はない。
これがアッサムさんやカルパッチョ、ノンナさんなら逃げてたな。
ケイさん?あの人は普段からペタペタ触ってくるからもう諦めた。
「どんな訓練してるんですか?」
「特別な事はしてないよ、ジョギングとか腕立て、腹筋とか…」
砲弾をダンベル代わりにしたり、主砲で懸垂したり。
祖父が教えてくれたメニューをやってたらこんな肉体になった。
「私ももっと鍛えないとかなぁ…二の腕なんてぷにぷになんですよー」
「女の子だから多少は仕方ないさ……ん?……うお!?」
「え…わぁ!?」
「うわぁ!?」
ふと視線を感じて扉の方を見たら、扉にある窓からミカさんがこちらを見ていた。
<●><●>
こんな視線で。
率直に言って怖い、腰が抜けるかと思った。
「な、なにしてんのミカ!?」
「ビビったぁ…」
慌てて叫ぶアキちゃんと、胸を押さえて呟くミッコ、2人共俺の腕にしがみついている、それだけ驚いたのだろう。
「…………私の時は必死に逃げたのに、アキとミッコとは一緒に入るんだね…」
「いや、だって2人は下心とか無いし…親戚の子とか娘とかと同じ感覚だし…」
「親戚の子!?」
「娘!?」
扉をギィィィィ…と無駄にホラーに開けて入ってきたバスタオル姿のミカさんの言葉に、正直に話す。
なんかミッコとアキちゃんがショック受けてる気がする。
「私だって純粋な想いしかないよ」
「俺の身体を舐めるように見てたのは純粋なんですかねぇ」
忘れないぞ、ガン見して俺の腕とか胸板とか腹筋とか足とか見てきた視線を。
よく女性は視線に敏感だと言うが、男だって気付くもんは気付く。
「…………その質問に意味があるとは思えない」
「いや答えろよ」
ポロロンじゃないよ全く。
答えずにそのまま俺の対面に座るミカさん、出ていく気が無いなこの人…。
まぁアキちゃんとミッコが居るのだ、変な事はしないだろう。
「娘…娘…うぅ、娘かぁ…」
「親戚の子…妹ですらないのかよぉ…」
その頼りの2人は、何やらショックを受けて落ち込んでいた。
はて、どうしたのだろうか…。
「鈍感であることは、時に自分の身を守る為に必要なんだよ」
「なんですかそれ…」
ポロロンとカンテレをひいてドヤ顔するミカさん。
誰が鈍感だって言うんだか、全く。
「このお部屋を使って下さい!狭いですけど…」
「ありがとうアキちゃん、それじゃまた明日…ちょ、ミッコ!?」
「親戚の子なんだよね?ならアニキと寝ても問題ないよね!」
「ミッコ!?」
「私も娘なんだから平気ですよね!」
「アキちゃんまで!?いや、あれはものの例えであって…!」
「2人が子供なら、私は伴侶だね…さ、家族のように並んで寝ようか」
「出てけぇぇぇぇぇ!!」
アリクイさんチームがやってるゲームはドリームタンクマッチのオンライン版みたいな奴です(´・ω・`)
アプデ配信でコラボイベントとか追加ミッションとか出る奴って妄想です(´・ω・`)
そんなゲームやりたいにゃぁ(´・ω・`)
ソーマの書に記されし天使、大天使ミホエル、大天使ペパロニ、大天使アキエル
他に、守護天使ルクリリ、幼天使カチュエル、愛天使サオリンなどが記されている。
なお特に意味はない。