幻想を捨てる吸血鬼   作:王者スライム

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今回は主人公の覚悟回とかそういう感じです。


男は順応する

俺が転生してから五年経ち、ここあたりの言語も理解出来るようになってきた。やはり、前世の記憶があるというのはかなり便利だ。こっちの言語も喋れるし、日本語の方も喋られる。て言うか、日本語の方が流暢に喋れる。流石元日本人と言った所だろうか。そして、自分の立場も理解してきた。

 

どうやら俺は吸血鬼らしい……いやまじで。俺も最初は信じられなかったが、良く自分の背中を見れば羽が生えていたし、鏡にも映らなかった。牙も鋭いし、間違いない。ちなみに家はとても広く、結構使用人とかも居るようだ。後、吸血鬼からなのかどうかは分からないが魔法が使える。そう魔法だ。俺の父、トラジェディーアクター・スカーレットの持つ書斎に沢山の本があったのだがそれの大体が魔法の本だったのだ。

 

それに興味をもった俺はアクター父さんに頼んで魔法を教えて貰ったのだが、相性が悪いのか属性魔法はあまり成果が出なかった。その代わり、亜空間魔法という物にめちゃくちゃ相性が良いらしくなんか大魔法使い位の実力があるらしい。因みに亜空間魔法は自分が居る場所とは違う空間を作って、そこに物を片付けたり、好きな物を取り出したりする魔法らしい。空間も自由に操れるらしく、作ろうと思えば、太陽なんかも再現できるとかなんとか……まあ、結構便利な魔法という事だろう。

 

 

「イリュージョン様。料理の準備ができました。」

「ああ、分かった。すぐに行く。」

俺はここの主人の息子なだけあって様付けで呼ばれている。昔は息子様だったのだが、子供とは思えない賢さとか口調に合わされたのか名前+様付けになっていた。まあ、前世の記憶があるとか知らないだろうし、俺が子供としては可笑しいと思う気持ちも分かる……俺は広月 喰伊呂(人間)だった。だが、今はイリュージョン・スカーレット(吸血鬼)だ。そしてアクター父さんも使用人も広月 喰伊呂(人間の俺)を見ていない。

 

当然だ。広月 喰伊呂(人間の俺)はもう死んで存在していないのだから。ここに居るのはイリュージョン・スカーレット(吸血鬼の俺)だ。広月 喰伊呂(死んでしまった俺)が存在していたことを知っているのはイリュージョン・スカーレット(今、生きている俺)だけだ。そういえば、あいつは似たような事を言っていた。

 

『君は自分の存在が周りから否定されたらどうなると思う?』と……もしかしたらあいつもそうだったんじゃないだろうか。あいつも死んで、別の人間として生き返った人物なんじゃないか……いや、それはねぇな。だって、あいつ常識ほぼ無いし、頭可笑しいし、神の存在はともかく、妖怪や悪魔とかそんな存在まで信じて居るちょっと現実が見れなくて、道具の名前を当てる特技があり、なんか電化製品とかに興味がある変なやつだ。

 

もし、前世の記憶があるならもうちょい常識を学んでいただろうし、友達とか増やせる方法とか学んでるだろうが、かわいそうなことにあいつの友人は俺一人である。まあ、博識ではあるから結構あいつから学んだりすることもある。けど、河童の元は河伯では無く、鼈とかどうでもいい。まず河伯とやらが河童の由来としてあることすら俺は知らなかったのだ。だからそんな話を聞かされたところで『へっ、へぇ……。』としか言えなかった俺は悪くない……話が逸れたな。

 

俺はいつまであいつの話をしているんだが……まあいいや。あいつは言っていた。『人間は自分すら意識して他人に意識されて生きている。人間という存在を意識して見ていられるから生きてられるんだ。』あいつが言っていたこの事は正解では無いだろう。だが、結構的を射ているような気もする。人間はグループを作って生きる生き物だ。本当はそんな性格じゃなくても、他人からの[キャラ付け]でそんな性格になっていたということも珍しくないと思う。

 

そして、そういった者が悩むのは他人との認識の食い違い。他人は自分を怖い人と見ているが自分は自分を普通の人だと思っている。そんな認識の食い違いがそういった者達を悩ませるのだろう。今の自分もそうなんじゃあ無いだろうか。自分は広月 喰伊呂(人間の俺)イリュージョン・スカーレット(吸血鬼の俺)を見ている。でも他人はイリュージョン・スカーレット(吸血鬼の俺)しか見ていない。

 

もしも自分が広月 喰伊呂(人間の俺)を見なくなれば広月 喰伊呂(人間の俺)は消えてしまうのだろう。それはつまり、生きていた記憶も消えてしまうのだろう。つまりあいつも消えてしまうと言うことだ。あいつを忘れる訳にはいかない。あいつ(俺の友人)を忘れるなんてあってはならない。あいつ(親友)を忘れる等考えてはいけない。だったら、ずっと見ておこう。

 

広月 喰伊呂(前の俺)イリュージョン・スカーレット(今の俺)も、たとえこの世界が吸血鬼が迫害してきたされる世界だろうが、吸血鬼より恐ろしい者達が生きていようが俺は自分(俺達)を見て生きていこう。二度目の人生?だ。しっかり生きていか……あれ?夕食まだ食べてねぇな俺……まずい。アクター父さんに叱られるな。速く行かねぇと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時が流れるというのは早いもんであれから二年たった。今日は妹が生まれる日であり、アクター父さんも、今か今かと母さんの居る部屋のドアの前で歩いている。因みに母さんの名前はゼーラフ・スカーレットだ。スカーレット家は女性の名は短く、男性の名は長くするという謎の風習が受け継がれている。何故かは知らん……そんな事を考えていると突然ドアが開き、使用人の一人が出てくる。

 

「ご主人様、お子様が生まれました‼」

「何⁉本当か⁉」

そういいアクター父さんは部屋に素早く入って行く。俺がその後を追いかけて部屋に入ると赤ん坊を抱えるアクター父さんとベッドに座っているゼーラフ母さんが居た。

「フム、女の子か……ならばあちらの名前だな。」

「ええ、そうですわね。」

 

既に名前は決めてあったのかアクター父さんはズボンのポッケから紙を取り出す。

「只今、スカーレット家の長女が生まれた。今日は記念すべき日である。では、この子の名前を発表しよう。」

アクター父さんがそういうと使用人の一人が歌い出す。ただし、どう聞いてもピアノで曲を弾いているようにしか聞こえない。何その技術。

 

ババンッっと、使用人が歌い終わるとアクター父さんがまた口を開いた。

「レミリア・スカーレットだ。」

そして、周りの使用人達が騒ぎ出す。レミリア・スカーレットねぇ……結構普通の名ま……えっ?レミリア・スカーレット?それって東方projectのキャラじゃあ……えっ?




やっと原作キャラを登場させれた……次の話はまた時代が飛びます。
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