戦姫絶唱シンフォギアOOO   作:みたらしだんご

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序章 メダルとパンツと謎の腕
001


 鴻上ファウンデーションが管理するとある美術館の倉庫。

 

 普段であれば厳重な警備でアリの子一匹入れないはずの倉庫に2つの影があった。

 その影の正体はこの倉庫の警備をしている警備員2名だった。

 2人は美術品を物色しており、金目になりそうなものを探していた。

 

「はははっ、これだけの宝を盗めば一生遊んで過ごせるな!」

「だが売って足のつくものは持ってけないからな。金や宝石みたいな小物で高値で売れるものを中心に運ぶぞ」

 

 歴史的にも芸術的にも価値のある美術品は本来であれば監視カメラやセンサーによって監視されている。

 しかし本来警備するはずの警備員が盗人ならばそれらの監視システムを停止することは容易だ。

 

「そういやこの棺、ここに運び込まれた時にジャラジャラって大量の金貨が入っているような音が鳴ってたな」

「それは本当か? それならこの棺ごと盗もう。ほら、お前そっち持て!」

 

 2人が棺を運ぼうとした時、倉庫の入り口の方から人の足音が鳴り響いた。

 

 その音に反応し、盗人の2人はその場に伏せて棺の陰でヒソヒソと小声で会話を始める。

 

「だ、誰か倉庫に入ってきたぞ……まさか今日入ったばかりの女の警備員か?」

「そ、そんなバカなっ。あいつは睡眠薬飲ませたら明日の朝まで起きないはずだっ」

「ともかく、今入ってきた奴をどうにかするぞ。場合によっては殺すことも考えろ」

 

 そう言いながら1人は腰に備えていた警棒を伸ばす。

 

「ああ、嫌だなぁ。俺、人殺しなんてしたくねえよ」

「ここを乗り切って億万長者になるか、それとも捕まって刑務所に行くかだ。お前がやらなくても俺がやる」

 

 そう言い残して警棒を片手に1人入り口の方へ向かった。

 やがて何かを殴る音が聞こえ、残った盗人の方へ誰かが歩み寄ってきた。

 

「お、おい、本当に殺しちまったのか?」

 

 その問いに、聞き覚えのない女性の声が答えた。

 

「ええ、さっきの男なら私が殺したわ」

「は? え、だ、誰だ!?」

「安心しなさい、さっきの人と同じ場所へ貴方もすぐ行くから」

 

「へぇ?」と盗人がすっとんきょうな声を上げた瞬間、その頭が宙をグルグルと舞った。

 血飛沫を上げながら舞う頭にコントロールを失った身体がその場に横たわった。

 

 盗人を殺した女性は2人が盗み出そうとした棺を見つめる。

 

「これが800年前の錬金術師が聖遺物を再構築して造り出したオーズドライバーとコアメダルが入った棺か」

 

 その女性は棺の中心にあるオーズドライバーと呼んだものに手をかける。

 

「欲望で聖遺物を制御しようとした発想は面白い。まずは封印を解き、コアメダルに宿るグリードの観察を行うとしよう」

 

 オーズドライバーを傾けると、棺が輝き始める。

 

 光り輝いた棺は形を崩し、中に入っていたコアメダルとセルメダルが溢れ出た。

 

 そしてコアメダルと呼ばれる様々な色のメダルが宙に浮き、それを中心に灰色のセルメダルが人型の形を作ってグリードと呼ばれる怪物になろうとする。

 

 その中で1つ、赤い左腕だけが一足先に本来の形を取り戻す。

 

 赤い左腕はセルメダルの山の上に放置されたオーズドライバーを掴み取り、他のグリードに悟られないようその場から去った。

 

 セルメダルがグリードの形となった瞬間、倉庫の壁が砕かれてバイクに乗った1人の男性が現れた。

 

 その場には既に封印を解いた女性の姿はなく、復活しようとしているグリードに向けて男性は銃を放った。

 

 まだセルメダルが人型の形となっただけなのに、グリードには銃が全く効いていなかった。

 

 男性はそれを確認するとすぐさま通信機を使用して誰かに指示を貰おうとする。

 

「こちらライドベンダー第一小隊後藤、メダルの覚醒が始まりました。次の指示を」

『殲滅』

「了解」

 

 後藤はすぐさまバイクをUターンさせて倉庫から飛び出す。

 

 外に出るとそこには待機していた他のライドベンダーの隊員がバズーカを肩に担ぎ美術館の倉庫に向けていた。

 

「フェイズ1開始」

 

 倉庫から出てきた後藤の指示と同時に倉庫に向けて放ち、更に倉庫に仕掛けられた爆弾と相成りグリード達がいた場所は瓦礫で埋もれた。

 

 普通の生き物であればそれで無事では済まないはずだ。

 

 しかし、それらの攻撃でグリードが滅ぶことはなかった。

 

 倉庫から4つの影が出現し、攻撃したライドベンダーへ文字通り飛んできた。

 

「フェイズ1、失敗。続けてフェイズ2に移行」

 

 ライドベンダー隊は班に分散し、各グリードとの戦闘に入った。

 

 グリード達はライドベンダー隊の思惑通りそれぞれ単独で追い始め、戦闘を開始した。

 

 復活したと言ってもそれぞれのグリードはまだ全てのコアメダルが集まっていない不完全体。

 不完全だがその戦闘力は計り知れない。

 通常の銃火器ではダメージを与えられず、逆に各グリードの攻撃によりライドベンダー隊は死傷者が多発する。

 

 まさに死屍累々。対グリード用の戦闘を想定して訓練してきたライドベンダー隊に抵抗する力は無く、結局グリードを殲滅することが不可能となった。

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